始祖なる者、ヴァンパイアマスター30
魔女アリスタシアの腹にいた赤子は、成長促進の魔法をかけられ、臨月を迎えた。
生まれてきたのは、双子の姉妹だった。
「よくやったね」
「待って、その子たちを返して!」
「何故だい?」
「藍染様の子でも、私の子でもあるのです!」
「君はこの子たちを産んだ。もう用はない。魔女の里に帰っていいよ」
「そんな!」
魔女アリスタシアは藍染の足に縋りついて泣き出した。
「お願いです、まだ乳も与えいないんです。赤ちゃんを返して!」
「なら、君が実験台になるといい」
「え?」
魔女アリスタシアは顔をあげた。
藍染の顔は、醜く歪んでいた。
「私の血と魔人ユーハバッハの血を混ぜた、この血液を注射する。さぁ、暴れておいで」
「いやあああああああああ」
魔国アルカンシェルで、藍染の花嫁の悲鳴が響き渡った。
-----------------------------------------------------
「んー」
浮竹は、ガイア王国の街の魔法屋で買った、魔法書とにらめっこしていた。
古代エルフ語と古代ドワーフ語、さらには古代魔法文字で書かれていて、謎解きのようになっていて、解読に時間がかかった。
「魔法の威力を一度だけ倍にする魔法・・・・・・」
「すごいじゃない」
「でも、媒介にいろいろと必要だ。普通の時には使えんな」
そう言って、浮竹は読んだ魔法書を棚に入れた。
その棚は古城内にある図書館と繋がっており、いろいろと便利だった。
浮竹と京楽が、魔人ユーハバッハの血を舐めたというヴァンパイアハンターの襲撃から、半年が
経過していた。
始めは二人は次がくるのではないと警戒していたが、何も変わらぬ穏やかな日々に、すっきかり毒されてしまっていた。
「今日の昼食は、海鮮パスタだよ」
「あーうん。そこらへんに置いておいてくれ」
「もう、浮竹ってば自堕落すぎるよ!朝食もベッドの上で食べてたでしょ!」
「別にいいだろう。古城には俺とお前と戦闘人形とポチだけだ」
ソファーで寝転がって、新しい魔法書に夢中な浮竹から、魔法書をひったくった。
「何をする!」
「ちゃんとダイニングルームで昼食とって。僕と一緒に」
「お前、最近暇だからって戦闘人形の仕事手伝ってるし、だらだらする俺をたしなめるし・・
まるで、おかんだな?」
「おかん!それはないよ」
「ははは、分かった。ちゃんとダイニングルームでお前と昼食をとる」
浮竹は起き上がると、ずり落ちそうなふわふわのコートを着直して、ダイニングルームに移動すると、用意されてあった海鮮パスタのいい匂いに釣られて、椅子に腰かけた。
「後はアボガドサラダと、コンスメスープ。どうぞ、召し上がれ」
「いただきます。うん、うまいな」
「るるる~~」
「なんで何気にミミックのポチまで・・・」
「いつも残飯だとかわいそうだろう」
「るるーーー」
ポチは、意思表示するように、箱をかばかぱと開けた。
「浮竹、君毎日ドラゴンステーキあげてるんでしょ?」
「それだけじゃ足りないんだとさ」
浮竹から海鮮パスタを分けられて、ポチはそれを美味しそうに食べていった。
「僕も食べるか」
「るる!」
がばりと、ポチが京楽の頭の齧りつく。
「うわ、真っ暗で何も見えない!」
「ポチ、お座り」
「るーー」
京楽を吐き出して、ポチはお座りと言われた場所で待機していた。
「君たちって、意思の疎通できてるよね」
「ミミック教の教祖様であられるからな、ポチは」
「そう言えば・・・・最近、町でオロチ教って信仰宗教が流行っててね。僕も危うく勧誘されそうになったよ」
京楽は、さも疲れたという顔をしていた。
「オロチ教・・・そういえば、東洋の京楽は八岐大蛇だったな。それと関係しているのだろうか?」
「さぁ、いくらなんでもボクも詳しいことは知らないよ」
「一度、宗教の集まりに参加してみよう」
「ええっ!信仰するの?」
「血の帝国でも流行りだしているそうだ。一度様子を見てくれと、この前ブラッディ・ネイの式の梟が手紙をよこしてきた」
「信者になって、教会本部に潜りこむんでしょ?大丈夫なの?」
「大丈夫だろ」
そんな調子で、二人はオロチ教に入ることとなった。
-----------------------------------------------------------------
「あなたは恵まれいます。このオロチ教の神官になれるのですから!」
持っていた金銀財宝の一部を寄付すると、浮竹と京楽は、一般信徒からすぐに神官まで、スピード出世した。
恐れるべきは、金の力であろうか。
「こちらが、教皇のおられる部屋です」
ドクンドクンと、鼓動が脈打つ音が聞こえた。
「失礼を・・・教皇様は、ベッドの上から動けません。謁見は、カーテン越しに行ってもらいます」
浮竹と京楽は、それに従うそぶりを見せた。
「新しい神官の方ですね。なんでも、莫大な寄付をして下さっとか・・・・」
教皇は、薄いカーテン越しでもわかるほどに、細い少女だった。
だが、ドクンドクンと、醜く脈打つ血管が、部屋のいたるところにあった。
「私のこの部屋を見ても驚かないのですね。流石は、ヴァンパイア」
「血の帝国でも、オロチ教は流行ってるからな」
「それで、何の用なのですが、始祖のヴァンパイア」
浮竹が、薄いカーテンを引き裂いた。
「きゃあああ!」
「うわあああ!!」
教皇の姿をみた、他の神官や巫女が逃げだしていく。
ベッドにいたのは、一人の魔女だった。
魔女であった、というほうが正しいか。
上半身は普通だった。下半身は鱗にまみれて、まるで蛇のようであった。
「ラーミア?」
まるで、蛇の下半身をもち、人間の上半身をもつラーミアというモンスターに似ていた。
だが、ドクリドクリと、脈打つ血管が、ただのラーミアではないと告げていた。
「この血の匂い・・・・藍染!」
「藍染は、私の夫です」
その言葉に、浮竹と京楽が驚愕する。
「あの藍染に、こんなかわいい・・・うん、多分かわいい女の子の妻がいるなんて」
「あなたたちを、おびき出すように、オロチ教などという宗教を作り、教祖となりました」
浮竹と京楽は、それぞれ血の武器を構えていた。
「争い事にはしたくありません。始祖ヴァンパイアの浮竹十四郎。その血族の京楽春水。どうか、あなたの血をください。猛毒というあなたの血を」
「どうして、僕たちを倒さないんだい?」
「私にはそんな力はないから。あるのは、夫である藍染と魔人ユーハバッハの血を注射された、この蛇の下半身」
「なんか、深い事情がありそうだね」
魔女アリスタシアは、京楽からその猛毒である血をもらい、飲みほした。
数分のたうちまわっが、死ぬことができずに、苦しんでいた。
「どうやら、お前の血でも魔人ユーハバッハの血には対抗できないようだ」
「そうみたいだね」
「殺して、ください。お願いします・・・せめて、人の心をもったまま、死にたい・・・・・」
魔女アリスタシアは、ベッドの上で蛇の下半身をくねらせた。
部屋中にとりつき、脈打っていた血管が全てアリスタシアの蛇の下半身が取り込んでしまった。
浮竹は、蛇の下半身と人間の上半身の部分を斬り分けた。
「ありがとうございます。私は、魔女のまま死ねる・・・」
そのまま、上半身のアリスタシアは息絶えた。
浮竹と京楽は、上半身をなくした蛇の下半身に取り囲まれていた。
「これって、ピンチ?」
「とにかく、この場から逃げよう。建物の中だと、障害物が多すぎる!」
浮竹と京楽は中庭に出た。
真っ黒な鱗をもった蛇の下半身が、追いかけてくる。
「ファイアオブファイア!」
浮竹が、禁呪の火の魔法を打ちこむが、蛇の下半身んの鱗を数枚焼いただけだった。
「魔人ユーハバッハって、強いんだね!血だけでこんなに強くなるんだから!」
京楽が、ミスリル銀に氷の魔法を纏わせて、切りかかる。
鱗は斬り裂かれたが、すぐに再生した。
「蛇か・・・そういえば、東洋の京楽は八岐大蛇、オロチ教のシンボルっぽいな。同じ蛇でも、蛇神のほうが数段存在は上だろう。こんな場所で長く戦っていると人目につくし、被害が大きくなる!」
浮竹と京楽は、東洋の友人からもらったお札に祈りをこめた。
ポン。
そんな音を立てて、東洋の京楽は、東洋の浮竹の膝枕で耳かきをしてもらっていたのに、召還されてしまった。
(ちょっと、いきなり何!西洋のボクたち、タイミングってものを・・・何こいつ。複雑な呪いでできてるね・・・ちょっと待って)
東洋の浮竹は、膝枕をして耳かきをしていた場面を目撃して、赤くなったが、下半身しかない黒い蛇の体を見て、清浄な空気を作り出し、まずは結界をはって黒蛇を閉じこめた。
「しゃあああああああああ」
黒蛇の下半身から、女の姿を模倣した上半身がはえてくる。
「食わせろ・・・・始祖を、食わせろ!」
(ボクの友人を食い殺すなんて、許さないよ)
東洋の京楽が、瞳を金色にした。フードで顔を隠してはいるが、その東洋の京楽がまとうものは、魔力ではなかったが、神力でもいうのか、とても凄まじいものだった。
「しゃああああああ」
威嚇する蛇を、召還された数えきれない黒蛇が襲った。
「あああ、食われる、ああああ!!」
蛇の化け物は、獰猛な京楽の黒蛇に食われて、骨だけになった。
「うわぁ、僕たちが苦戦してたのに、あっという間だったねぇ」
「東洋の京楽は蛇神だからな。下位の蛇をやっつけてくれるだろうと思ったんだ」
(呪術というか、ただの蛇の肉の塊が動いてただけだった。ただ、血が・・・・・なんというのか、どす黒すぎて、普通じゃあ殺せないだろうね)
「魔人ユーハバッハの血を取り込んでいたからな」
((魔人?))
首を傾げてハモる東洋の二人に、西洋の浮竹が頷いた。
「人でありながら、人を超越して神になろうとした男だ」
(この世界でも、凄い存在がいるんだね)
(神なろうとした・・・・藍染みたいだな)
「こっちの世界の藍染の血も入ってるからね、さっきの化け物」
(大丈夫だろうとは思うけど、黒蛇たちが胸やけ起こさないといいけど)
「じゃあ、騒ぎになる前に撤収したい。東洋のお前たちは、一度帰ってくれ。また後日にでも呼び出すから」
(うん、分かったよ)
(またな、西洋の俺たち)
騒ぎにかけつけてきた者たちから、自分たちの存在を消し去り、浮竹と京楽はオロチ教を壊滅させた。
実際に壊滅してくれたのは、東洋の浮竹と京楽であったが。
教祖は蛇のお化けだった。
そんな噂が流れて、数日たち、オロチ教は見る影もないほど衰退していった。
生まれてきたのは、双子の姉妹だった。
「よくやったね」
「待って、その子たちを返して!」
「何故だい?」
「藍染様の子でも、私の子でもあるのです!」
「君はこの子たちを産んだ。もう用はない。魔女の里に帰っていいよ」
「そんな!」
魔女アリスタシアは藍染の足に縋りついて泣き出した。
「お願いです、まだ乳も与えいないんです。赤ちゃんを返して!」
「なら、君が実験台になるといい」
「え?」
魔女アリスタシアは顔をあげた。
藍染の顔は、醜く歪んでいた。
「私の血と魔人ユーハバッハの血を混ぜた、この血液を注射する。さぁ、暴れておいで」
「いやあああああああああ」
魔国アルカンシェルで、藍染の花嫁の悲鳴が響き渡った。
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「んー」
浮竹は、ガイア王国の街の魔法屋で買った、魔法書とにらめっこしていた。
古代エルフ語と古代ドワーフ語、さらには古代魔法文字で書かれていて、謎解きのようになっていて、解読に時間がかかった。
「魔法の威力を一度だけ倍にする魔法・・・・・・」
「すごいじゃない」
「でも、媒介にいろいろと必要だ。普通の時には使えんな」
そう言って、浮竹は読んだ魔法書を棚に入れた。
その棚は古城内にある図書館と繋がっており、いろいろと便利だった。
浮竹と京楽が、魔人ユーハバッハの血を舐めたというヴァンパイアハンターの襲撃から、半年が
経過していた。
始めは二人は次がくるのではないと警戒していたが、何も変わらぬ穏やかな日々に、すっきかり毒されてしまっていた。
「今日の昼食は、海鮮パスタだよ」
「あーうん。そこらへんに置いておいてくれ」
「もう、浮竹ってば自堕落すぎるよ!朝食もベッドの上で食べてたでしょ!」
「別にいいだろう。古城には俺とお前と戦闘人形とポチだけだ」
ソファーで寝転がって、新しい魔法書に夢中な浮竹から、魔法書をひったくった。
「何をする!」
「ちゃんとダイニングルームで昼食とって。僕と一緒に」
「お前、最近暇だからって戦闘人形の仕事手伝ってるし、だらだらする俺をたしなめるし・・
まるで、おかんだな?」
「おかん!それはないよ」
「ははは、分かった。ちゃんとダイニングルームでお前と昼食をとる」
浮竹は起き上がると、ずり落ちそうなふわふわのコートを着直して、ダイニングルームに移動すると、用意されてあった海鮮パスタのいい匂いに釣られて、椅子に腰かけた。
「後はアボガドサラダと、コンスメスープ。どうぞ、召し上がれ」
「いただきます。うん、うまいな」
「るるる~~」
「なんで何気にミミックのポチまで・・・」
「いつも残飯だとかわいそうだろう」
「るるーーー」
ポチは、意思表示するように、箱をかばかぱと開けた。
「浮竹、君毎日ドラゴンステーキあげてるんでしょ?」
「それだけじゃ足りないんだとさ」
浮竹から海鮮パスタを分けられて、ポチはそれを美味しそうに食べていった。
「僕も食べるか」
「るる!」
がばりと、ポチが京楽の頭の齧りつく。
「うわ、真っ暗で何も見えない!」
「ポチ、お座り」
「るーー」
京楽を吐き出して、ポチはお座りと言われた場所で待機していた。
「君たちって、意思の疎通できてるよね」
「ミミック教の教祖様であられるからな、ポチは」
「そう言えば・・・・最近、町でオロチ教って信仰宗教が流行っててね。僕も危うく勧誘されそうになったよ」
京楽は、さも疲れたという顔をしていた。
「オロチ教・・・そういえば、東洋の京楽は八岐大蛇だったな。それと関係しているのだろうか?」
「さぁ、いくらなんでもボクも詳しいことは知らないよ」
「一度、宗教の集まりに参加してみよう」
「ええっ!信仰するの?」
「血の帝国でも流行りだしているそうだ。一度様子を見てくれと、この前ブラッディ・ネイの式の梟が手紙をよこしてきた」
「信者になって、教会本部に潜りこむんでしょ?大丈夫なの?」
「大丈夫だろ」
そんな調子で、二人はオロチ教に入ることとなった。
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「あなたは恵まれいます。このオロチ教の神官になれるのですから!」
持っていた金銀財宝の一部を寄付すると、浮竹と京楽は、一般信徒からすぐに神官まで、スピード出世した。
恐れるべきは、金の力であろうか。
「こちらが、教皇のおられる部屋です」
ドクンドクンと、鼓動が脈打つ音が聞こえた。
「失礼を・・・教皇様は、ベッドの上から動けません。謁見は、カーテン越しに行ってもらいます」
浮竹と京楽は、それに従うそぶりを見せた。
「新しい神官の方ですね。なんでも、莫大な寄付をして下さっとか・・・・」
教皇は、薄いカーテン越しでもわかるほどに、細い少女だった。
だが、ドクンドクンと、醜く脈打つ血管が、部屋のいたるところにあった。
「私のこの部屋を見ても驚かないのですね。流石は、ヴァンパイア」
「血の帝国でも、オロチ教は流行ってるからな」
「それで、何の用なのですが、始祖のヴァンパイア」
浮竹が、薄いカーテンを引き裂いた。
「きゃあああ!」
「うわあああ!!」
教皇の姿をみた、他の神官や巫女が逃げだしていく。
ベッドにいたのは、一人の魔女だった。
魔女であった、というほうが正しいか。
上半身は普通だった。下半身は鱗にまみれて、まるで蛇のようであった。
「ラーミア?」
まるで、蛇の下半身をもち、人間の上半身をもつラーミアというモンスターに似ていた。
だが、ドクリドクリと、脈打つ血管が、ただのラーミアではないと告げていた。
「この血の匂い・・・・藍染!」
「藍染は、私の夫です」
その言葉に、浮竹と京楽が驚愕する。
「あの藍染に、こんなかわいい・・・うん、多分かわいい女の子の妻がいるなんて」
「あなたたちを、おびき出すように、オロチ教などという宗教を作り、教祖となりました」
浮竹と京楽は、それぞれ血の武器を構えていた。
「争い事にはしたくありません。始祖ヴァンパイアの浮竹十四郎。その血族の京楽春水。どうか、あなたの血をください。猛毒というあなたの血を」
「どうして、僕たちを倒さないんだい?」
「私にはそんな力はないから。あるのは、夫である藍染と魔人ユーハバッハの血を注射された、この蛇の下半身」
「なんか、深い事情がありそうだね」
魔女アリスタシアは、京楽からその猛毒である血をもらい、飲みほした。
数分のたうちまわっが、死ぬことができずに、苦しんでいた。
「どうやら、お前の血でも魔人ユーハバッハの血には対抗できないようだ」
「そうみたいだね」
「殺して、ください。お願いします・・・せめて、人の心をもったまま、死にたい・・・・・」
魔女アリスタシアは、ベッドの上で蛇の下半身をくねらせた。
部屋中にとりつき、脈打っていた血管が全てアリスタシアの蛇の下半身が取り込んでしまった。
浮竹は、蛇の下半身と人間の上半身の部分を斬り分けた。
「ありがとうございます。私は、魔女のまま死ねる・・・」
そのまま、上半身のアリスタシアは息絶えた。
浮竹と京楽は、上半身をなくした蛇の下半身に取り囲まれていた。
「これって、ピンチ?」
「とにかく、この場から逃げよう。建物の中だと、障害物が多すぎる!」
浮竹と京楽は中庭に出た。
真っ黒な鱗をもった蛇の下半身が、追いかけてくる。
「ファイアオブファイア!」
浮竹が、禁呪の火の魔法を打ちこむが、蛇の下半身んの鱗を数枚焼いただけだった。
「魔人ユーハバッハって、強いんだね!血だけでこんなに強くなるんだから!」
京楽が、ミスリル銀に氷の魔法を纏わせて、切りかかる。
鱗は斬り裂かれたが、すぐに再生した。
「蛇か・・・そういえば、東洋の京楽は八岐大蛇、オロチ教のシンボルっぽいな。同じ蛇でも、蛇神のほうが数段存在は上だろう。こんな場所で長く戦っていると人目につくし、被害が大きくなる!」
浮竹と京楽は、東洋の友人からもらったお札に祈りをこめた。
ポン。
そんな音を立てて、東洋の京楽は、東洋の浮竹の膝枕で耳かきをしてもらっていたのに、召還されてしまった。
(ちょっと、いきなり何!西洋のボクたち、タイミングってものを・・・何こいつ。複雑な呪いでできてるね・・・ちょっと待って)
東洋の浮竹は、膝枕をして耳かきをしていた場面を目撃して、赤くなったが、下半身しかない黒い蛇の体を見て、清浄な空気を作り出し、まずは結界をはって黒蛇を閉じこめた。
「しゃあああああああああ」
黒蛇の下半身から、女の姿を模倣した上半身がはえてくる。
「食わせろ・・・・始祖を、食わせろ!」
(ボクの友人を食い殺すなんて、許さないよ)
東洋の京楽が、瞳を金色にした。フードで顔を隠してはいるが、その東洋の京楽がまとうものは、魔力ではなかったが、神力でもいうのか、とても凄まじいものだった。
「しゃああああああ」
威嚇する蛇を、召還された数えきれない黒蛇が襲った。
「あああ、食われる、ああああ!!」
蛇の化け物は、獰猛な京楽の黒蛇に食われて、骨だけになった。
「うわぁ、僕たちが苦戦してたのに、あっという間だったねぇ」
「東洋の京楽は蛇神だからな。下位の蛇をやっつけてくれるだろうと思ったんだ」
(呪術というか、ただの蛇の肉の塊が動いてただけだった。ただ、血が・・・・・なんというのか、どす黒すぎて、普通じゃあ殺せないだろうね)
「魔人ユーハバッハの血を取り込んでいたからな」
((魔人?))
首を傾げてハモる東洋の二人に、西洋の浮竹が頷いた。
「人でありながら、人を超越して神になろうとした男だ」
(この世界でも、凄い存在がいるんだね)
(神なろうとした・・・・藍染みたいだな)
「こっちの世界の藍染の血も入ってるからね、さっきの化け物」
(大丈夫だろうとは思うけど、黒蛇たちが胸やけ起こさないといいけど)
「じゃあ、騒ぎになる前に撤収したい。東洋のお前たちは、一度帰ってくれ。また後日にでも呼び出すから」
(うん、分かったよ)
(またな、西洋の俺たち)
騒ぎにかけつけてきた者たちから、自分たちの存在を消し去り、浮竹と京楽はオロチ教を壊滅させた。
実際に壊滅してくれたのは、東洋の浮竹と京楽であったが。
教祖は蛇のお化けだった。
そんな噂が流れて、数日たち、オロチ教は見る影もないほど衰退していった。
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