始祖なる者、ヴァンパイアマスター39
勇者グレイセルが、魔国アルカンシェルをたって、1カ月が経とうとしていた。
やっとのことでガイア王国の、浮竹のいる古城までやってきた。
古城から出てきた二人の後をつけた。
やってきたのはS級ダンジョンであった。
何をしているのかと見ていれば、宝箱を漁り、ミミックに噛まれている構図だった。
ミミックに上半身を食われ、じたばたしていた。
それを、偽勇者であるはずの京楽が、助けていた。
「本当にもう、君はミミックに噛まれるのが好きだねえ」
ミミックを魔法で退治した魔王であるはずの浮竹は、古代の魔法書がドロップされてご機嫌だった。
「あれが偽勇者?あれが魔王?」
勇者グレイセルの中の、偽勇者と魔王の図がガラガラと崩れ落ちていく。
とりあえず、勇者グレイセルは同じSランク冒険者のソロのふりをして、二人の後をついていった。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
宝箱が現れる度に、浮竹はミミックに食われていた。
もう間違いない。
あれは、魔王でもなんでもない、ただの始祖ヴァンパイアで、偽勇者はただのその血族だ。
そう答えに辿り着いた勇者グレイセルは、浮竹と京楽の前にくると、名乗り出た。
「私は勇者グレイセル。魔王浮竹と偽勇者京楽を倒しにきたんだけど・・・あなたたち、ただの始祖ヴァンパイアとその血族ね?」
浮竹は、それを聞かずに違うミミックにかじられていた。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
勇者グレイセルは、聖剣イルジオンで、ミミックを倒した。
「あ、ありがとう。Sランク冒険者のソロか。よくこの階層までこれたな」
古代の魔法書がドロップされて、すぐに浮竹の関心はそっちに移った。
「なんか、勇者とか名乗ってたけど」
「この世界に、今は人間の勇者はいないはずだろう?」
「勇者グレイセルって聞いたことあるよ。30年前に、魔王カイザルを倒して、その後病で亡くなった女勇者だよ」
「つまりは、反魂・・・・藍染の手の者か!」
浮竹は威嚇しだした。
「待って。私は争うつもりはないわ」
その言葉も、浮竹がきょとんとなる。
「え、そうなのか」
「そう。私は死んでいたのね。藍染というやつに利用されたってことかしら。この反魂とやらは、効果はいつまでなの?」
「術者が死ぬか、対象者がダメージを負いすぎて、体が維持できなくなったら、終わりだ」
「つまり、争わなければ生きていけるのね?」
「そうなるな」
「やっほーーーい!!私、冒険者になりたかったの!仲間にいれてくれないかしら!」
「ええ、でも藍染の手の者なんだろう」
「あんなやつの言葉を信じた私がばかだったわ。せっかく生き返ったのだし、第2の人生を謳歌してやるんだから!」
勇者グレイセルは、お茶目というか前向きな考えの人間であった。
「勇者グレイセルとは、もう名乗れないわね。今日から私はアリス。アリス・マキナって名乗るから、気軽にアリスって呼んでちょうだい」
「アリス、いいのか?藍染に反魂で蘇らされたんだろう?俺たちをやっつけるためにきたんだろう?」
「そうだったんだけど、藍染が私に嘘をついていたの。あなたたちを魔王と偽勇者だと言っていたわ」
背後から襲い掛かってきら、グレータードラゴンを、アリスは一撃で仕留めてしまった。
「強いんだな」
「これでも、魔王カイザルを滅ぼした勇者よ。あ、元勇者になるのかしら」
「こっちの京楽は、魔王アレスを倒した勇者だ」
「魔王アレス!私の倒した魔王カイザルよりよほど強い魔王ね!そんな人と知り合いになれるなんて、私ついてるわ~」
こうして、元勇者であり反魂で蘇ったグレイセル・マキナは名をアリス・マキナと改めて、浮竹と京楽と一緒に、S級ダンジョンをもぐっていくのであった。
50階層までくると、ボスのブラックワイバーンの群れが襲ってきた。
「そっちにいったぞ」
任せてちょうだい。
アリスは跳躍して、ブラックワイバーンの背中に乗ると、聖剣イルジオンでブラックワイバーンの心臓を一突きした。
「ぎゃおおおお」
ブラックワイバーンが地面に倒れる前に、次のブラックワイバーンの背中にのって、心臓を一刺しだ。
「強いな・・・・敵じゃなくてよかった」
敵だったら、多分苦戦を強いられたことだろう。
ブラックワイバーンの群れは、結局ほとんどをアリス一人で倒してしまった。
「財宝の間だ」
ゴゴゴゴゴと開いてく、ボスを倒した報酬の財宝の間をはじめて見るアリスは、目を輝かせた。
「うわぁ、金銀財宝がいっぱい!」
「欲しいならもって行け。予備のアイテムポケットをやろう」
「いいの?私がもらったら、あなたたちの取り分がなくなっちゃうわよ」
「ブラックワイバーンはドラゴンではないが、素材としてギルドに持ち込めばそこそこの値段がつく。それに俺と京楽は、よくS級ダンジョンを踏破しているから、金銀財宝なんてはいて捨てるほどある」
「踏破!強いのね。敵じゃなくてよかったわ」
「あ、宝箱!」
財宝の間の中心に置かれた宝箱は、見るからにミミックだった。
だって、小刻みに動いていた。
「ミミックよ!私が倒すわ!」
「待って、アリスちゃん。浮竹の好きなようにさせてあげて」
「でも、ミミックに」
浮竹は、すでにミミックに上半身をかまれていた。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
じたばたをもがく浮竹を、アリスは呆れた顔で見ていた。
「ミミックにかじられた浮竹はね、こうやって。よいしょと」
ミミックに更に押し付けると、ミミックはおえっとなって、浮竹を吐き出した。
「フレイムロンド」
「ぎゅいいいいい」
炎の魔法で燃やされて倒れていったミミックの後には、古代の魔法書が残されていた。
「魔法書!」
浮竹がそれを取ろうとすると、隣にあった宝箱のミミックが浮竹を噛んだ。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
「またやってる・・・・・・」
「ごめんねぇ。浮竹はミミックにかじられるのが大好きなんだ。趣味みたいなものかな」
その言葉に、アリスが引き気味に顔を強張らせた。
「ミミックにかじられるのが趣味の、始祖ヴァンパイア・・・普通なら、怖いイメージしか浮かばないんだけど、ミミックにかじられるのが趣味って聞くと、なんだかかわいいわね」
「かわいくていいから、助けてくれ」
じたばたともがく浮竹を、京楽が助けた。
ミミックを倒すと、金よりレアな、神の金属であるミスリルのインゴットが出た。
「なんだ、ミスリルか・・・魔法書じゃないなら、いらないな」
「え、放置しておくの!?」
アリスが驚いていた。
ミスリルの値段は高い。そこらの金銀財宝よりも。
「いらない。欲しければアリス、お前がもっていけ」
京楽もいらないようで、アリスは唾をごくりと飲みこみながら、自分のアイテムポケットにミスリルのインゴットを入れた。
「結局、この財宝の間の魔法書は3冊だけか」
くまなく財宝の間を探索して、浮竹は隠し扉を見つけた。
「京楽、この奥に隠し扉がある!」
「仕掛けは?」
「この壁の窪みだと思う」
浮竹が壁の窪みを押すと、ガコンと壁が動いて、人が一人入れるだけの入り口ができた。
「危ないかもしれないから、浮竹はここで待ってて?」
「分かった」
先に、京楽が隠し部屋に入った。
「きても大丈夫だよ、浮竹、アリスちゃん」
浮竹とアリスは、隠し部屋に入った。
そこは賢者が住んでいたようで、いろんな書物が溢れていた。
魔法書から、古代のレシピ、創作の物語、日記まで。
「これは・・・・賢者メイエドの遺産だな」
「賢者メイエド?」
「今から700年くらいまでに、魔法を極め、3体の精霊王を従えたという伝説の賢者の名だ」
「その遺産が、こんなところに・・・・」
隠し部屋は、壁に光苔をはやしており、光はいらなかった。
「どうするの、浮竹」
「魔法書の他にも、気になる本とかある。全部、持って帰る」
「そう言うと思ったよ」
京楽は、諦めて自分のアイテムポケットの中に、棚にしまわれていた本を放り込んでいく。
一通り収納して、3人は隠し部屋からでた。
「いやぁ、収穫が多いと気持ちいいな」
「浮竹にはね。僕は早く深層まで辿りついて、古城に戻りたいよ」
「ミスリルのインゴットに金銀財宝・・・・ふふふふ」
アリスは、危ない扉を開けかけていた。
そのまま60階層まで潜り、ボスのブラックドラゴンを倒して、財宝の間に入ると、魔力が付与された武器防具がそろっていた。
「これは・・・ミスリル銀!」
ただのミスリルよりも上位の金属に、剣士であるアリスは目を輝かせた。
ミスリル銀でできた鎖かたびらと、胸当てがあった。
「これも、もらってもいいのかしら?」
「身に付けれそうなものがあったら、もっていけ。ただ、ミスリル銀は貴重なので、身に付けないものは回収する」
「じゃあ、この鎖かたびらと、胸当てをもらうわ。ミスリル銀の剣も欲しいけど、私には聖剣イルジオンがあるし」
「その聖剣とやら、一度見せてくれないか」
「いいけど、この子には意思があるわ。存在が隠だと、その存在を焼いてしまうの」
その言葉を聞きながらも、浮竹は聖剣イルジオンを触った。
最初は火傷したが、もっているうちに熱さが消えて、火傷は治ってしまった。
「あなたの存在は、隠だけど、けれどとても陽に近いのね。イルジオンが、そう言ってるわ」
「ふむ。聖剣を返す」
「ありがとう」
「僕は・・・駄目だね」
「そうね。イルジオンが言っているわ。あなたは残酷だって」
「まぁ、浮竹を傷つける者はみんな殺すからね」
残酷に笑う京楽に、アリスは背筋がぞくっとした。
その日は、60階層の財宝の間で一晩を明かした。テントは1組してもってきていなかったので、アリスに使わせた。
夕食は、来る前に京楽が作っておいたビーフシチューと、ドラゴンステーキだった。
浮竹と京楽は、硬い地面に直接布団をしいて、その上で毛布をかぶってねた。
その次の日は、最下層の90階層まで降りた。
「何故!何故、魔王カイザルがここにいるの!」
90階層のボスは、アリスが倒したはずの魔王カイザルであった。
「ある方の手で、復活をしたのだ。ここで会ったが運命!我を滅ぼした勇者グレイセルよ、覚悟せよ!」
「もう私は勇者じゃないわ。グレイセルという名を捨てた、ただのアリスよ!」
「アリスちゃん、ここは僕らに任せて?」
「でも、危険だわ!相手は魔王よ!?」
「いいから、任せて」
京楽は、自分が愛用しているミスリル銀の剣を抜いた。
「ある方って、どうせ藍染でしょう?」
「そうなのか、京楽?」
「あのゴキブリがしそうなことだよ。勇者が意のままに動かないから、その封印された魔王をもってくる。あいつがやりそうな手だね」
「藍染め・・・・」
アリスは、自分を反魂してくれたとはいえ、こんな形にもってきた藍染に呪詛のような言葉を吐く。
「絶対、許さない、藍染!」
「まぁ、おちついて」
「アリス、危ないからこっちにこい」
浮竹は結界を作り、そこにアリスを避難させた。
「フレイムロンド」
ぽっ、ぽっ、ぽっ。
京楽の周囲に、いくつもの鬼火のような青い炎が灯る。
それは意思をもち、魔王カイザルを燃やそうとした。
「く、我は魔王ぞ。復活したのだ、魔王ぞ」
「魔王アレスより格段に弱いんでしょう?死んじゃってよ」
「ぐ・・・お主の大切なものを殺してくれる!」
魔王カイザルは、魔力で満ちた矛を浮竹に向けた。
それは浮竹の張ったシールドをやすやすと貫いて、浮竹の肩を抉っていた。
「ぐ・・・・」
「大丈夫、浮竹!?」
アリスが、浮竹の傷を押させた。
すぐに血はとまり、再生していくが、魔王カイザルは目の前で立ち上る魔力の高さに、足を震わせいた。
「なんだ、足がいうことを聞かぬ」
「君の本能が言ってるんじゃない?浮竹を傷つけられた僕の力が怖いって」
「そんな馬鹿なことがあるか!勇者ならいざ知らず、たかが小物のヴァンパイア如きに・・・」
「ファイアオブファイア。ヘルインフェルノ。トライアングルボルケーノ」
立て続けに、3つの威力の高い炎の魔法を使われて、魔王カイザルの右手は炭化していた。
「ええい、ヴァンパイア如きが!」
魔王カイザルが、魔法を使う。
魔力の礫が皆に襲い掛かる。
それは、浮竹の放ったシールドで防がれた。
「ありがとう、浮竹」
京楽が、礼を言う。
「魔王カイザルって、こんなに弱かったかしら」
「いや、京楽が強すぎるだけだ」
浮竹は、京楽の、自分と同じ神に匹敵する魔力が、揺らぎながら尖っていくのを感じていた。
魔王カイザルは、奥の手だととっておきの魔法を放った。
「凍てついて死ぬがいい!エターナルアイシクルワールド!」
禁呪の氷の魔法に、残酷に笑った京楽が、魔法を放つ。
「エターナルフェニックス!」
それは、炎の最高位精霊を使った炎の禁呪。
「ぬおおおおおおおお」
氷は、不死鳥を模った炎に溶かされていた。
「我の負けだ!我を殺すな!我はまだ人間界に復讐をしておらぬ!汝とて、ヴァンパイア。人間を守る義理など、ないであろう?」
「勘違いしないで。僕は人間がどうなろうと知ったこっちゃないよ。ただ、君は浮竹を傷つけた。僕は、それが許せない。カイザーフェニックス!!!」
再び、炎の不死鳥が呼び出される。
「我が、我がこんなヴァンパイアごときにいいいいい」
その言葉を最後に、体の全てを炭化させて、魔王カイザルはボロボロと灰となり崩れていった。
「私、故郷には戻れないから、このガイア王国に住もうと思うの。どこかいい場所はないかしら」
「それなら、このアラルの町がいいと思うよ。僕たちの住んでいる古城から一番近い町なんだ。猫の魔女乱菊ちゃんも住んでるし、冒険者ギルドもあるし、Sランク冒険者として生きていけばいいと思う」
「そうね。この街はアラルというのね」
「そうだ。王都にある冒険者ギルドよりでかい冒険者ギルドがあって、冒険者で賑わっている町だ」
「私、決めたわ。せっかく再びこの世に生を受けたんですもの。今度は勇者じゃなく、普通の冒険者として世界を巡ってみたいわ!」
「それもいいね」
「ああ、それがいいだろう」
こうして、勇者グレイセル・マキナはアリス・マキナといしてアラルの町の冒険者ギルドのSランク冒険者として、名声を高めていくのであった。
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「勇者はいい手ごまだと思ったんだがな。自由意思をもたせたの失敗だったか。反魂の時に、コアをくり抜いて、こちらで保存しておけばよかった」
魔国アルカンシェルで、藍染はイライラしながら爪を噛んだ。
勇者グレイセル・マキナはいい駒だったが、結局浮竹と京楽と戦わずに終わってしまった。魔王カイザルの封印を解いて、ダンジョンに配置したはいいが、呆気なく京楽にやられてしまった。
「愛しいあなた。4番目の子も完成したわ。5番目の子を・・・・あの始祖ヴァンパイアから入手した血を元に、作りましょう?」
いつだったか、始祖浮竹を拉致した時に、その血液を大量に抜いて、魔族の戦士に与えて聖帝国へ攻め入らせた。
その時に残っていた血液を元に、ゼイラムという浮竹の細胞をもつ子どもを作りあげたが、失敗した。
今度は、基礎から浮竹の血をべースにした、ヴァンパイアの子を作ってみせるか。
藍染は、女神アルテナが宿った、寵姫のヴァンパイアを身ごもらせて、そのヴァンパイアをベースに、浮竹の血を大量に与えて、小さな浮竹のクローンのような存在になるように作り始めた。
「この子が完成するまで、時間を稼いでおいで。レキ、サニア」
3番目と4番目の女神アルテナと藍染の子は、やはり10歳くらいの体で、レキが男の子でサニアが女の子だった。
「「行ってきます、父上、母上」」
レキの体には銃火器を、サニアの体には自爆機能を備え付けておいた。
「今度こそ・・・・・・・」
サーラの世界からやってきた、女神アルテナの知識を頼りに、サーラの世界の武器を作り出し、それを我が子に植え付けた。
我が子に対しての愛情など、欠片もなかった。
ただ、始祖浮竹と京楽を、少しでも苦しめられるならそれでよかった。
レキとサニアは、古城に向かって歩きだす。
その頃、浮竹と京楽は血の帝国にいた。
ブラッディ・ネイが懐妊したのだという。それも、浮竹の子を。
やっとのことでガイア王国の、浮竹のいる古城までやってきた。
古城から出てきた二人の後をつけた。
やってきたのはS級ダンジョンであった。
何をしているのかと見ていれば、宝箱を漁り、ミミックに噛まれている構図だった。
ミミックに上半身を食われ、じたばたしていた。
それを、偽勇者であるはずの京楽が、助けていた。
「本当にもう、君はミミックに噛まれるのが好きだねえ」
ミミックを魔法で退治した魔王であるはずの浮竹は、古代の魔法書がドロップされてご機嫌だった。
「あれが偽勇者?あれが魔王?」
勇者グレイセルの中の、偽勇者と魔王の図がガラガラと崩れ落ちていく。
とりあえず、勇者グレイセルは同じSランク冒険者のソロのふりをして、二人の後をついていった。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
宝箱が現れる度に、浮竹はミミックに食われていた。
もう間違いない。
あれは、魔王でもなんでもない、ただの始祖ヴァンパイアで、偽勇者はただのその血族だ。
そう答えに辿り着いた勇者グレイセルは、浮竹と京楽の前にくると、名乗り出た。
「私は勇者グレイセル。魔王浮竹と偽勇者京楽を倒しにきたんだけど・・・あなたたち、ただの始祖ヴァンパイアとその血族ね?」
浮竹は、それを聞かずに違うミミックにかじられていた。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
勇者グレイセルは、聖剣イルジオンで、ミミックを倒した。
「あ、ありがとう。Sランク冒険者のソロか。よくこの階層までこれたな」
古代の魔法書がドロップされて、すぐに浮竹の関心はそっちに移った。
「なんか、勇者とか名乗ってたけど」
「この世界に、今は人間の勇者はいないはずだろう?」
「勇者グレイセルって聞いたことあるよ。30年前に、魔王カイザルを倒して、その後病で亡くなった女勇者だよ」
「つまりは、反魂・・・・藍染の手の者か!」
浮竹は威嚇しだした。
「待って。私は争うつもりはないわ」
その言葉も、浮竹がきょとんとなる。
「え、そうなのか」
「そう。私は死んでいたのね。藍染というやつに利用されたってことかしら。この反魂とやらは、効果はいつまでなの?」
「術者が死ぬか、対象者がダメージを負いすぎて、体が維持できなくなったら、終わりだ」
「つまり、争わなければ生きていけるのね?」
「そうなるな」
「やっほーーーい!!私、冒険者になりたかったの!仲間にいれてくれないかしら!」
「ええ、でも藍染の手の者なんだろう」
「あんなやつの言葉を信じた私がばかだったわ。せっかく生き返ったのだし、第2の人生を謳歌してやるんだから!」
勇者グレイセルは、お茶目というか前向きな考えの人間であった。
「勇者グレイセルとは、もう名乗れないわね。今日から私はアリス。アリス・マキナって名乗るから、気軽にアリスって呼んでちょうだい」
「アリス、いいのか?藍染に反魂で蘇らされたんだろう?俺たちをやっつけるためにきたんだろう?」
「そうだったんだけど、藍染が私に嘘をついていたの。あなたたちを魔王と偽勇者だと言っていたわ」
背後から襲い掛かってきら、グレータードラゴンを、アリスは一撃で仕留めてしまった。
「強いんだな」
「これでも、魔王カイザルを滅ぼした勇者よ。あ、元勇者になるのかしら」
「こっちの京楽は、魔王アレスを倒した勇者だ」
「魔王アレス!私の倒した魔王カイザルよりよほど強い魔王ね!そんな人と知り合いになれるなんて、私ついてるわ~」
こうして、元勇者であり反魂で蘇ったグレイセル・マキナは名をアリス・マキナと改めて、浮竹と京楽と一緒に、S級ダンジョンをもぐっていくのであった。
50階層までくると、ボスのブラックワイバーンの群れが襲ってきた。
「そっちにいったぞ」
任せてちょうだい。
アリスは跳躍して、ブラックワイバーンの背中に乗ると、聖剣イルジオンでブラックワイバーンの心臓を一突きした。
「ぎゃおおおお」
ブラックワイバーンが地面に倒れる前に、次のブラックワイバーンの背中にのって、心臓を一刺しだ。
「強いな・・・・敵じゃなくてよかった」
敵だったら、多分苦戦を強いられたことだろう。
ブラックワイバーンの群れは、結局ほとんどをアリス一人で倒してしまった。
「財宝の間だ」
ゴゴゴゴゴと開いてく、ボスを倒した報酬の財宝の間をはじめて見るアリスは、目を輝かせた。
「うわぁ、金銀財宝がいっぱい!」
「欲しいならもって行け。予備のアイテムポケットをやろう」
「いいの?私がもらったら、あなたたちの取り分がなくなっちゃうわよ」
「ブラックワイバーンはドラゴンではないが、素材としてギルドに持ち込めばそこそこの値段がつく。それに俺と京楽は、よくS級ダンジョンを踏破しているから、金銀財宝なんてはいて捨てるほどある」
「踏破!強いのね。敵じゃなくてよかったわ」
「あ、宝箱!」
財宝の間の中心に置かれた宝箱は、見るからにミミックだった。
だって、小刻みに動いていた。
「ミミックよ!私が倒すわ!」
「待って、アリスちゃん。浮竹の好きなようにさせてあげて」
「でも、ミミックに」
浮竹は、すでにミミックに上半身をかまれていた。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
じたばたをもがく浮竹を、アリスは呆れた顔で見ていた。
「ミミックにかじられた浮竹はね、こうやって。よいしょと」
ミミックに更に押し付けると、ミミックはおえっとなって、浮竹を吐き出した。
「フレイムロンド」
「ぎゅいいいいい」
炎の魔法で燃やされて倒れていったミミックの後には、古代の魔法書が残されていた。
「魔法書!」
浮竹がそれを取ろうとすると、隣にあった宝箱のミミックが浮竹を噛んだ。
「暗いよ狭いよ怖いよ息苦しいよ~~~」
「またやってる・・・・・・」
「ごめんねぇ。浮竹はミミックにかじられるのが大好きなんだ。趣味みたいなものかな」
その言葉に、アリスが引き気味に顔を強張らせた。
「ミミックにかじられるのが趣味の、始祖ヴァンパイア・・・普通なら、怖いイメージしか浮かばないんだけど、ミミックにかじられるのが趣味って聞くと、なんだかかわいいわね」
「かわいくていいから、助けてくれ」
じたばたともがく浮竹を、京楽が助けた。
ミミックを倒すと、金よりレアな、神の金属であるミスリルのインゴットが出た。
「なんだ、ミスリルか・・・魔法書じゃないなら、いらないな」
「え、放置しておくの!?」
アリスが驚いていた。
ミスリルの値段は高い。そこらの金銀財宝よりも。
「いらない。欲しければアリス、お前がもっていけ」
京楽もいらないようで、アリスは唾をごくりと飲みこみながら、自分のアイテムポケットにミスリルのインゴットを入れた。
「結局、この財宝の間の魔法書は3冊だけか」
くまなく財宝の間を探索して、浮竹は隠し扉を見つけた。
「京楽、この奥に隠し扉がある!」
「仕掛けは?」
「この壁の窪みだと思う」
浮竹が壁の窪みを押すと、ガコンと壁が動いて、人が一人入れるだけの入り口ができた。
「危ないかもしれないから、浮竹はここで待ってて?」
「分かった」
先に、京楽が隠し部屋に入った。
「きても大丈夫だよ、浮竹、アリスちゃん」
浮竹とアリスは、隠し部屋に入った。
そこは賢者が住んでいたようで、いろんな書物が溢れていた。
魔法書から、古代のレシピ、創作の物語、日記まで。
「これは・・・・賢者メイエドの遺産だな」
「賢者メイエド?」
「今から700年くらいまでに、魔法を極め、3体の精霊王を従えたという伝説の賢者の名だ」
「その遺産が、こんなところに・・・・」
隠し部屋は、壁に光苔をはやしており、光はいらなかった。
「どうするの、浮竹」
「魔法書の他にも、気になる本とかある。全部、持って帰る」
「そう言うと思ったよ」
京楽は、諦めて自分のアイテムポケットの中に、棚にしまわれていた本を放り込んでいく。
一通り収納して、3人は隠し部屋からでた。
「いやぁ、収穫が多いと気持ちいいな」
「浮竹にはね。僕は早く深層まで辿りついて、古城に戻りたいよ」
「ミスリルのインゴットに金銀財宝・・・・ふふふふ」
アリスは、危ない扉を開けかけていた。
そのまま60階層まで潜り、ボスのブラックドラゴンを倒して、財宝の間に入ると、魔力が付与された武器防具がそろっていた。
「これは・・・ミスリル銀!」
ただのミスリルよりも上位の金属に、剣士であるアリスは目を輝かせた。
ミスリル銀でできた鎖かたびらと、胸当てがあった。
「これも、もらってもいいのかしら?」
「身に付けれそうなものがあったら、もっていけ。ただ、ミスリル銀は貴重なので、身に付けないものは回収する」
「じゃあ、この鎖かたびらと、胸当てをもらうわ。ミスリル銀の剣も欲しいけど、私には聖剣イルジオンがあるし」
「その聖剣とやら、一度見せてくれないか」
「いいけど、この子には意思があるわ。存在が隠だと、その存在を焼いてしまうの」
その言葉を聞きながらも、浮竹は聖剣イルジオンを触った。
最初は火傷したが、もっているうちに熱さが消えて、火傷は治ってしまった。
「あなたの存在は、隠だけど、けれどとても陽に近いのね。イルジオンが、そう言ってるわ」
「ふむ。聖剣を返す」
「ありがとう」
「僕は・・・駄目だね」
「そうね。イルジオンが言っているわ。あなたは残酷だって」
「まぁ、浮竹を傷つける者はみんな殺すからね」
残酷に笑う京楽に、アリスは背筋がぞくっとした。
その日は、60階層の財宝の間で一晩を明かした。テントは1組してもってきていなかったので、アリスに使わせた。
夕食は、来る前に京楽が作っておいたビーフシチューと、ドラゴンステーキだった。
浮竹と京楽は、硬い地面に直接布団をしいて、その上で毛布をかぶってねた。
その次の日は、最下層の90階層まで降りた。
「何故!何故、魔王カイザルがここにいるの!」
90階層のボスは、アリスが倒したはずの魔王カイザルであった。
「ある方の手で、復活をしたのだ。ここで会ったが運命!我を滅ぼした勇者グレイセルよ、覚悟せよ!」
「もう私は勇者じゃないわ。グレイセルという名を捨てた、ただのアリスよ!」
「アリスちゃん、ここは僕らに任せて?」
「でも、危険だわ!相手は魔王よ!?」
「いいから、任せて」
京楽は、自分が愛用しているミスリル銀の剣を抜いた。
「ある方って、どうせ藍染でしょう?」
「そうなのか、京楽?」
「あのゴキブリがしそうなことだよ。勇者が意のままに動かないから、その封印された魔王をもってくる。あいつがやりそうな手だね」
「藍染め・・・・」
アリスは、自分を反魂してくれたとはいえ、こんな形にもってきた藍染に呪詛のような言葉を吐く。
「絶対、許さない、藍染!」
「まぁ、おちついて」
「アリス、危ないからこっちにこい」
浮竹は結界を作り、そこにアリスを避難させた。
「フレイムロンド」
ぽっ、ぽっ、ぽっ。
京楽の周囲に、いくつもの鬼火のような青い炎が灯る。
それは意思をもち、魔王カイザルを燃やそうとした。
「く、我は魔王ぞ。復活したのだ、魔王ぞ」
「魔王アレスより格段に弱いんでしょう?死んじゃってよ」
「ぐ・・・お主の大切なものを殺してくれる!」
魔王カイザルは、魔力で満ちた矛を浮竹に向けた。
それは浮竹の張ったシールドをやすやすと貫いて、浮竹の肩を抉っていた。
「ぐ・・・・」
「大丈夫、浮竹!?」
アリスが、浮竹の傷を押させた。
すぐに血はとまり、再生していくが、魔王カイザルは目の前で立ち上る魔力の高さに、足を震わせいた。
「なんだ、足がいうことを聞かぬ」
「君の本能が言ってるんじゃない?浮竹を傷つけられた僕の力が怖いって」
「そんな馬鹿なことがあるか!勇者ならいざ知らず、たかが小物のヴァンパイア如きに・・・」
「ファイアオブファイア。ヘルインフェルノ。トライアングルボルケーノ」
立て続けに、3つの威力の高い炎の魔法を使われて、魔王カイザルの右手は炭化していた。
「ええい、ヴァンパイア如きが!」
魔王カイザルが、魔法を使う。
魔力の礫が皆に襲い掛かる。
それは、浮竹の放ったシールドで防がれた。
「ありがとう、浮竹」
京楽が、礼を言う。
「魔王カイザルって、こんなに弱かったかしら」
「いや、京楽が強すぎるだけだ」
浮竹は、京楽の、自分と同じ神に匹敵する魔力が、揺らぎながら尖っていくのを感じていた。
魔王カイザルは、奥の手だととっておきの魔法を放った。
「凍てついて死ぬがいい!エターナルアイシクルワールド!」
禁呪の氷の魔法に、残酷に笑った京楽が、魔法を放つ。
「エターナルフェニックス!」
それは、炎の最高位精霊を使った炎の禁呪。
「ぬおおおおおおおお」
氷は、不死鳥を模った炎に溶かされていた。
「我の負けだ!我を殺すな!我はまだ人間界に復讐をしておらぬ!汝とて、ヴァンパイア。人間を守る義理など、ないであろう?」
「勘違いしないで。僕は人間がどうなろうと知ったこっちゃないよ。ただ、君は浮竹を傷つけた。僕は、それが許せない。カイザーフェニックス!!!」
再び、炎の不死鳥が呼び出される。
「我が、我がこんなヴァンパイアごときにいいいいい」
その言葉を最後に、体の全てを炭化させて、魔王カイザルはボロボロと灰となり崩れていった。
それを、浮竹が不安そうな顔で見ていた。
「さぁ、終わったよ・・・浮竹?」
「お前、本当に京楽か?あの平和が大好きな京楽か?」
「僕は僕だよ」
そして腕の中に浮竹を抱きしめた。
浮竹は、仕方なく京楽の頭を撫でた。
「えへへへ」
「すごい。私があんなに苦戦した魔王カイザルを、あっけなく滅ぼしてしまうなんて。流石、魔王アレスを倒しただけはあるわね」
アリスは、京楽の魔力の高さとその冷酷さに、背筋の寒いものを感じながらも、浮竹に甘やかされてそれに甘える京楽の姿に、心のどこかでほっとしていた。
最後の財宝の間が開いた。
ミスリル銀のインゴットで溢れていた。
「きっかり3当分しよう」
もっともな浮竹の意見に、皆賛成した。
アリスは、大量の金になるものをアイテムポケットに入れいるので、辺りをきょろきょろと見回っていて、ちょっとした不審者に見えた。
「アリス。S級ダンジョンを踏破したんだ。もっと誇れ」
「でも、最後は私の出番はなかったわ」
「とりあえず、ガイア王国の冒険者ギルドに戻ろう」
3人は、ガイア王国の冒険者ギルドに戻った。
S級ダンジョンを踏破したとして、ギルドマスターに呼ばれいた。
「君が、浮竹と京楽の二人とS級ダンジョンを踏破した、アリス・マキナだね?」
「はい」
「ギルドは、君をSランク冒険者として認定しよう。このガイア王国の冒険者ギルドでの活躍を、今後期待しているよ」
浮竹と京楽は、今回のS級ダンジョン攻略で手に入れた魔物の素材を買い取ってもらった。
魔物素材には、ドラゴンも含まれていたので、大金貨2万枚になった。
「ミスリル銀製の武器防具があるんだが」
「全部、ギルドで買わせていただく!」
ミスリル銀のインゴットも売って、大金貨10万枚になった。
大金貨1枚で、4人家族で半年食べていける。
---------------------------------------------------最後の財宝の間が開いた。
ミスリル銀のインゴットで溢れていた。
「きっかり3当分しよう」
もっともな浮竹の意見に、皆賛成した。
アリスは、大量の金になるものをアイテムポケットに入れいるので、辺りをきょろきょろと見回っていて、ちょっとした不審者に見えた。
「アリス。S級ダンジョンを踏破したんだ。もっと誇れ」
「でも、最後は私の出番はなかったわ」
「とりあえず、ガイア王国の冒険者ギルドに戻ろう」
3人は、ガイア王国の冒険者ギルドに戻った。
S級ダンジョンを踏破したとして、ギルドマスターに呼ばれいた。
「君が、浮竹と京楽の二人とS級ダンジョンを踏破した、アリス・マキナだね?」
「はい」
「ギルドは、君をSランク冒険者として認定しよう。このガイア王国の冒険者ギルドでの活躍を、今後期待しているよ」
浮竹と京楽は、今回のS級ダンジョン攻略で手に入れた魔物の素材を買い取ってもらった。
魔物素材には、ドラゴンも含まれていたので、大金貨2万枚になった。
「ミスリル銀製の武器防具があるんだが」
「全部、ギルドで買わせていただく!」
ミスリル銀のインゴットも売って、大金貨10万枚になった。
大金貨1枚で、4人家族で半年食べていける。
「私、故郷には戻れないから、このガイア王国に住もうと思うの。どこかいい場所はないかしら」
「それなら、このアラルの町がいいと思うよ。僕たちの住んでいる古城から一番近い町なんだ。猫の魔女乱菊ちゃんも住んでるし、冒険者ギルドもあるし、Sランク冒険者として生きていけばいいと思う」
「そうね。この街はアラルというのね」
「そうだ。王都にある冒険者ギルドよりでかい冒険者ギルドがあって、冒険者で賑わっている町だ」
「私、決めたわ。せっかく再びこの世に生を受けたんですもの。今度は勇者じゃなく、普通の冒険者として世界を巡ってみたいわ!」
「それもいいね」
「ああ、それがいいだろう」
こうして、勇者グレイセル・マキナはアリス・マキナといしてアラルの町の冒険者ギルドのSランク冒険者として、名声を高めていくのであった。
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「勇者はいい手ごまだと思ったんだがな。自由意思をもたせたの失敗だったか。反魂の時に、コアをくり抜いて、こちらで保存しておけばよかった」
魔国アルカンシェルで、藍染はイライラしながら爪を噛んだ。
勇者グレイセル・マキナはいい駒だったが、結局浮竹と京楽と戦わずに終わってしまった。魔王カイザルの封印を解いて、ダンジョンに配置したはいいが、呆気なく京楽にやられてしまった。
「愛しいあなた。4番目の子も完成したわ。5番目の子を・・・・あの始祖ヴァンパイアから入手した血を元に、作りましょう?」
いつだったか、始祖浮竹を拉致した時に、その血液を大量に抜いて、魔族の戦士に与えて聖帝国へ攻め入らせた。
その時に残っていた血液を元に、ゼイラムという浮竹の細胞をもつ子どもを作りあげたが、失敗した。
今度は、基礎から浮竹の血をべースにした、ヴァンパイアの子を作ってみせるか。
藍染は、女神アルテナが宿った、寵姫のヴァンパイアを身ごもらせて、そのヴァンパイアをベースに、浮竹の血を大量に与えて、小さな浮竹のクローンのような存在になるように作り始めた。
「この子が完成するまで、時間を稼いでおいで。レキ、サニア」
3番目と4番目の女神アルテナと藍染の子は、やはり10歳くらいの体で、レキが男の子でサニアが女の子だった。
「「行ってきます、父上、母上」」
レキの体には銃火器を、サニアの体には自爆機能を備え付けておいた。
「今度こそ・・・・・・・」
サーラの世界からやってきた、女神アルテナの知識を頼りに、サーラの世界の武器を作り出し、それを我が子に植え付けた。
我が子に対しての愛情など、欠片もなかった。
ただ、始祖浮竹と京楽を、少しでも苦しめられるならそれでよかった。
レキとサニアは、古城に向かって歩きだす。
その頃、浮竹と京楽は血の帝国にいた。
ブラッディ・ネイが懐妊したのだという。それも、浮竹の子を。
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