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始祖なる者、ヴァンパイアマスター48

リン・フォン・ハルザードは、邪神の血を与えられて覚醒した。

一度は邪神ディアブロの意識に飲みこまれかけたが、女神アルテナの力で意識を取り戻した。

「ふふふ。この力なら、あの始祖と血族の神喰らいの魔神を倒せる」

そう過信していた。

邪神ディアブロ。

今から5千年前に、魔神から邪神になり、当時の上位神であった女神ククルに滅ぼされた邪神であった。

その身は、地中深くに埋められて、このアビスの世界で眠っていた。

滅んだはずの邪神が蘇る。

それは過去に何度かあった。その度に上位神が動き、邪神をまた滅ぼした。

中には、人間の勇者に滅ぼされた邪神もいた。

魔王であり邪神であるという場合も多かった。

「たかが邪神の血をとりこんだところで、勝てると思うな」

「誰だ!?」

それは、幻聴だった。

それは幻影だった。

「エターナルフェニックス」

「ぎゃああああ!!」

炎で体の内側から焼かれていく、あの身を引き裂くような痛みを思い出す。

「あああああ!俺は神だ!魔神ごときに、やられるものか!」

脳内で再生される絶望を切り取るために、リンは一時記憶を封印した。

「僕は・・・女神アルテな母様に、始祖の浮竹と神喰らいの魔神京楽を倒せと、命令されたんだっけ・・・・・」

ふらふらと、古城に向かって歩き出す。

その姿を見た者は、禍々しい何かに憑りつかれているのだとすぐに分かって、逃げ出すのだった。


---------------------------------------------------

「浮竹、甘いよ!」

「そういう京楽こそ、つめが甘い!」

お互い、血の魔法で刃を作り出して、攻撃していた。

手加減なんてしていなかったので、京楽も浮竹も怪我をしていた。

再生する傷は放置して、浮竹は京楽の懐めがけて、ミスリル銀のナイフをさして、魔法を唱えた。

「サンダーボルト!」

「く・・・これくらい、どうってことないよ!」

京楽は魔剣ラグナロクを取り出して、それで浮竹の心臓を突き刺した。

「幻影だ。エターナルフェニックス!」

「く、エターナルアイシクルワールド!」

お互い、禁呪を用いた。

今度こそ、京楽の魔剣ラグナロクは、浮竹の体を貫いていた。

「ぐふっ・・・・くくく」

「浮竹?」

「この程度で、始祖が負けると思ったか!ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!!」

3つの不死鳥が交じりあい、1つの不死鳥になり、京楽を燃やしていく。

京楽は燃やされながら、浮竹の心臓を魔剣ラグナロクで貫いていた。

「はいはい、そこまで!」

試合の審判を任された一護は、待ったをかけた。

「はい、引き分け!これ以上暴れると、この草原に生き物が住めなくなっちまう!」

辺りは焼け野原で、ところどころにクレーターができて、魔神である京楽の血が滴り落ちた地面は腐っていた。

「あー、おしかったなぁ。あのまま、浮竹の心臓を貫いて破壊すれば、一応倒したことになるわけないかな」

「俺は不老不死だぞ。心臓を貫かれたくらいで死ぬか。それより、禁呪の炎で焼いたのに、火傷どころか服の一部しか燃えていないのはどういうことだ」

「ちょっと、水のバリアをきつめにね。浮竹が得意の炎で来ることは予知していたから」

「予知夢か」

「そうなるね」

「ずるいぞ京楽だけ予知夢を見るなんて。俺にもよこせ」

「ええ!僕の血で、我慢してくれないかなぁ」

浮竹は、すでに心臓の傷を再生していた。

京楽も、浮竹にやられた腹の傷を再生していた。

「いきなり稽古の試合するから、審判しろって言われて引き受けたらこれだ。命がいくつあっても足りないっすよ」

「いやあ、ごめんね、一護クン。浮竹ってば本気でくるものだから、本気を少し出しちゃったよ」

「ふん、俺も本気を少しだしただけだ。まだまだいくらでも手はあったし、魔力にも余裕あるし、血の魔法で背後から刺そうとしてたら、待ったがかかった」

「ええ!浮竹、あんあ禁呪の魔法唱えながら、さらに血の魔法を使おうとしてたのかい!?」

「そうだが?」

「まいったねぇ。水のバリアが消えるところだったよ。水のバリアが消えたら、さすがの僕もあの火力には少しは焦げたかもね」

「少しだろう。消し炭にするつもりで放ったんだがな」

「浮竹酷い!」

わっと泣き真似をするけど、浮竹は知ったことじゃないと、一護に審判をしてくれたお小遣いをあげていた。

「うわ、大金貨10枚!ありがとうごいます!これで、ルキアに甘いものでも買ってやろう」

「一護クンと、ルキアちゃんはどこまでできてるのかな?」

「え、あ、いや、そんな仲じゃないっすから!」

一護は真っ赤になって、宮殿のある方に去って行った。

二人は、血の帝国に来ていたのだ。

「お互い、本気でぶつかり合うと、地形が変わったり、建物壊したりで、大変だね」

「まあ、俺と京楽が本気で争いあうことなんて起きないだろうから、杞憂だ」

「そうだね。ねえ、もしも僕が魔神として暴走したら、僕の命を・・・」

「助ける。何があっても、助け出してみせるし、暴走なんて起こさせない」

浮竹の瞳は真剣だった。

「お前を失ったら、俺は今度こそ目覚めない休眠に入るからな」

「すごい口説き文句。胸がきゅんきゅんしたよ」

浮竹は、やや乱暴に京楽に口づけた。

「んっ・・・ちょっと待て。首元が熱いぞ、どうした」

「ああ、これは東洋の君がくれた、瘴気を浄化するお守りだよ。ちょっと本気だしちゃったから、魔人の血が騒いで、瘴気が発生したみたいだよ」

「ああ、地面が腐っていたからな。あれも瘴気のせいか」

「そうみたい。魔人の血って厄介なんだよね。元から毒だったのに、そこに瘴気まで交じって、小さな動物なら殺してしまうし、草木を枯らしうしまうから、この護符はほんとにありがたいよ」

「魔神・・・神喰らいの魔神・・・・・」

浮竹が、手を組んで真剣な表情で悩みだした。

「どしたの、浮竹?」

「いや、神の魂の価値はいくらだろうと思ってな。もしも人間数万人分の魂に値するなら、今度神の魂を食うのはまずいかと思って」

「大丈夫だよ。神の魂も、人間と似たようなものさ。生物としての1つだけの魂だ」

「そうか。ならいいんだ」

そのまま、浮竹と京楽は、ブラッディ・ネイの待つ宮殿に戻った。

「兄様から会いにきてくれるなんて嬉しいなぁ」

「僕もいるんだけど」

「ひげもじゃはいらないから、どっかいけ」

しっしと追い払うブラッディ・ネイに、京楽はスマイルを浮かべたまま。

「その魂、食ってあげようか?」

本気でそう脅してくるものだから、ブラッディ・ネイは後宮に寵姫に癒されにいくとか言って、逃げてしまった。

「たかがブラッディ・ネイ相手に本気を出すな」

「だって、僕の浮竹がとられちゃう」

「あのな。実の妹だぞ」

浮竹は溜息を零していた。

「この血の帝国では、親子同士、兄弟同士、同性同士・・・・どんな相手とも結婚できるから、警戒しちゃうんだよ」

「まぁ、その法案を提示したのは俺自身だから、なんとも言えない」

「ええ、こんなでたらめな法律、浮竹の案だったの!」

京楽が驚いていた。

「とりあえず、古城に戻ろう。あんまりポチを放置しておくと、また噛みついて暴れ出しそうだ」

今回は、お互いの実力を知るために、あえてお互いでぶつかった。

審判がいないと泥沼になりそうなので、暇な一護をお小遣いで誘って審判をさせたが、やはり本気を出すことなく終わった。

古城に戻ると、城が破壊されていた。

「ポチ、ポチ―ーー!!!!」

「るるるるーーー!!」

ミミックのポチは、瓦礫の間から顔を出して、浮竹の顔をべろりと舐めた。

「よかった、ポチ、無事だったんだな」

「やっと見つけたぁ。死んでよ」

現れたのは、この前ボロボロに負けたはずのリンという名の少年だった。

一応、神らしい。

「何かに憑りつかれいるな。まぁいい、このまま葬り去ろう」

「僕のために、死んでぇ?」

「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!」

炎の禁呪を受けて、リンは転げまわった。

「熱い、熱い、熱い・・なんちゃって!」

「ごふっ」

浮竹の心臓を、リンがくり抜いていた。

「エターナルアイシクルワールド!」

そのまま、浮竹を氷のクリスタルの中に封じこめる。

「あははは!始祖浮竹の最期だ!」

「よくも、浮竹を・・・」

ゆらりと、京楽の禍々し魔力がにじみ出る。

「え、嘘・・・・僕は、そう、邪神ディアブロの血を飲んで各段にパワーアップしたんだ!だから、始祖の浮竹を倒せた!」

「誰を、倒せただって?」

氷を割って、浮竹が出てくる。

「嘘、嘘、こんなの嘘だああああ!!」

「死ンデシマエ。魂ヲ食ッテヤル」

京楽は、浮竹が封印されたと思いこんで、魔神として暴走を始めていた。

「君ヲ殺ス」

巨大な咢(あぎと)で、リンを喰らう。

「あああ、僕の魂が!!!」

リンはなんとか魂の一部だけを食われた状態で咢から脱出した。

「おおおお!エターナルアイシクルフィールド!!!」

氷の禁呪を京楽にかけるが、京楽は瞳を真紅にさせて、その禁呪を粉砕した。

「そんな・・・僕の最高の魔法が・・・・・こんなの嘘だあああ!!!」

「死ネ」

京楽は、リンの魂の全てを食べてしまった。

「コレハ残リカス」

炎の呪文で、リンの肉体を灰に変えていく。

「君モ、食ウ」

「京楽!?京楽、俺が分からないのか!」

「僕ハ魔神。神ノ魂ハゴチソウ」

巨大な咢に捕らわれて、浮竹は魂を食われそうになった。

「京楽、やめろ!」

その言葉で、魔神となって暴走していた京楽の動きが止まった。

「なんだ・・・・動きが止まった。このブレスレットのせいか?」

浮竹の右腕には、蛇の骨でできたブレスレットがされてあった。それが、東洋の京楽からのプレゼントだと分かっていたが、効果までは分からなかった。

’(早く止めないと不老不死でも魂を喰われれば死ぬ。今止まってる間に!)

幻の東洋の京楽がブレスレットから現れて、そう言ってくれた。

浮竹は覚悟を決める。血族を傷つける覚悟を。

「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!」

浮竹は、魔力の全てを込めてその魔法を使った。

一方、京楽は魔剣ラグナロクで、浮竹の胸を貫いていた。

「ぐっ・・・・・」

「あああああああ!!!」

京楽は、凄まじい炎に焼かれて、黒焦げになっていた。

そこに、浮竹が魔剣ラグナロクで傷つけられた、心臓の血を注いだ。

「あ・・・・僕は?浮竹、その傷は・・・あああ、全部僕のせいだ」

京楽は、意識の奥底で暴走している自分を見ていた。

「君を守るといいながら、君の魂を食おうとした!君を傷つけた。僕はもう、駄目だ。こんな駄目な血族、破棄してよ」

その頬を、浮竹が叩いた。

「浮竹?」

浮竹は泣いていた。

「そんな簡単に、血族を破棄するとか言うな!」

ボロボロと、浮竹は子供のように泣きじゃくった。

「京楽が暴走したら、止めるのは俺の役目だ。俺もお前を傷つけた。おあいこだ」

「でも、僕は!」

「もぅいいんだ。全部すんだことだ」

浮竹は、アイテムポケットから予備の服を取り出すと、服を炭化してしまった京楽に渡した。

「とりえあず、服を着ろ」

裸同然の恰好だったので、京楽は急いで服を着た。

「魔神の暴走は、俺が死んだと思ったからだろう」

「そうだけど・・・・・」

「なら、俺が今後、死んだような姿を晒さないだけでいい。お前が魔神であり続けることに、俺は一ミリの不安も抱いていない」

「浮竹・・・・ごめんね。君の気持も考えず、血族を放棄してなんていったりして」

「そうだぞ。俺はたとえ魂を食われても、魂を再生させる。不老不死の呪いは、魂を食われたくらいじゃ、きっと解放してくれない」

その確証はなかったが、そんな気がした。

「ああ、古城がボロボロだ。恋次君に頼んで、時間回帰の魔法をかけてもらわないと」

「本当だね。ポチが無事でよかったね」

「ああ。ポチ~~」

「るるるる~~~」

瓦礫の下に隠れて、避難していたポチは、お腹をすかせているようだった。

「ほら、ドラゴンステーキだぞ」

「るるるる♪」

ポチはドラゴンステーキを食べると、まだ形を残していた暖炉の中に隠れた。

「さて、帰ってきて早々に、血の帝国に逆戻りだ。俺はまだ無事な錬金術の館から、魔力回復のポーションをとってくるから、待っていてくれ」

浮竹は、大量の魔力回復のポーションを服用した。

「そんなに飲んで、大丈夫?」

「血の帝国への空間転移には、そこそこの魔力を消費するからな。往復分だけ補った。血の帝国に行こう」

浮竹と京楽は、何とか無事な地下の空間にある血の帝国への魔法陣で空間転移した。

------------------------------------------------------


「というわけだ、恋次君。小遣いは弾むから、時間回帰の魔法をかけてくれ」

「はぁ、別いいいっすけど・・・喧嘩でもしたんすか?」

「何故そう思う?」

「だって、浮竹さん目が赤い。泣いてたんじゃないっすか?」

浮竹は真っ赤になって、言い訳する。

「京楽が悪いんだ。京楽が俺の血族を止めると言い出すから!」

「だって、あの時はそれが最良だと思ったんだよ!」

「また、泣くぞ」

浮竹がじわりと涙を滲ませたので、京楽は浮竹を抱きしめていた。

「全部、僕が悪かったよ。だから、機嫌なおして?ね?」

「マンドレイク・・・」

「え?」

「マンドレイク生で10本まるかじりの刑だ!それで許してやる」

「簡便してよ~~~」

京楽の間抜けな声は、平和なブラッディ・ネイの宮殿中に響き渡るのだった。


---------------------------------------------------------------------


「あ!」

浮竹は、京楽に媚薬を飲まされて、目隠しさせられていた。

「んあ!」

目が見えない分、余計に感じた。

「あああ!」

胸の先端ばかりいじる京楽の手に、浮竹は声をあげていた。

「胸ばかりじゃいやだ。ちゃんと、触ってくれ」

「分かったよ」

京楽の手が、浮竹のものを触る。

少し撫でて、先端に爪を立ててやると、浮竹はびゅるびゅると精子を吐き出していた。

「やっぱり、媚薬のせいかな。君の体、熱いよ」

「あ、春水、早く来い。お前が欲しい」

急かす浮竹を宥めて、後ろローションで解すと、京楽は一気に貫いた。

「ひあああああああ!!」

媚薬のせいか、また精液を吐いていた。

「そんなにいってばかりじゃ、後がもたないよ?」

「そんな風に媚薬を盛ったのは誰だ!」

「はいはい、僕だね」

「年中盛りやがって・・・ああああ!」

京楽に突き上げられて、浮竹は悪態をついたが、途中で止まった。

「目が見えないの、不安じゃない?」

「少し不安だ。ただ、媚薬のせいもあって感じやすくはなっている」

「僕も媚薬飲めばよかったかな?」

「お前が飲むと絶倫になるから、簡便してくれ」

「そんなこと言って、絶倫になった僕を、しつこく求めてくるくせに」

「マンドレイク、またまるかじりしたいのか?」

「ごめんごめん」

「あ、あああ!!見えない、春水。どこだ?」

京楽が離れてしまって、浮竹は見えない目で京楽を探す。

「こっちだよ」

「ああああ!!!」

背後から抱きしめられて、貫かれていた。

「ひあ!」

ゴリゴリと音を立てて、最奥まで入ってくる京楽の熱を締め付けると、京楽は浮竹の中で弾けた。

「あ、見えない・・・・もっと、もっとお前をくれ。春水」

「分かったよ」

「ん・・・・・」

深い口づけを受けながら、また最奥まえ侵入してきたものを締め付けていた。

「んああああ!」

京楽は、浮竹の首筋に噛みついて、血を飲む。

「ひあああ!」

京楽は、また浮竹の中に精を放っていた。

じんわり広がる熱を感じながら、もっととねだってくる。

「あ、見えない・・・・春水、春水、顔がみたい」

そう言って、浮竹は泣き始めた。

「十四郎、愛してるよ」

優しく抱きしめられて、浮竹は泣きじゃくった。

「春水。もう二度と、俺の血族を止めるとか、言うな」

「うん。もう言わない」

「ひあ!」

ごりっと結腸にまで入りこんできた熱を感じながら、もう何度めになるかも分からない精を放っていた。

「あ、あ、感じすぎて、変になるうう」

「十四郎、もっと乱れて?もっと僕を感じて?」

「あ、春水・・・・ああああ!」

最後になる精を弾けて、あとはオーガズムでいっていた。

「ひああああ・・・・・」

「もっと?」

「あ、もっと・・・・・」

「僕のお姫様は、見た目は清楚なのに、睦み合うとエロくなるね?」

「もっと・・・・・・」

浮竹は、感じすぎて背を弓なりにしならせた。

「ああああ!!」

吸血されていた。

今まで一番大きなオーガズムの波に襲われて、浮竹はそのまま意識を手放した。

「浮竹・・・・意識、失ってしまったか」

浮竹の目隠しをとってやると、布は涙を吸って重くなっていた。

「愛しているよ、十四郎。もう、君の血族を止めるなんて、言わないからね」

浮竹に口づけて、京楽は浮竹を清めて、中に出したものをかき出してから、シーツを変えて眠った。

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「リンでも、だめだったのね」

女神アルテナは、他人事のように言う。

自分がお腹を痛めて産んだ子なのに、どうでもよさそうだった。

「女神オリガ」

女神オリガは、名を呼ばれてびくっとした。

「お腹の子は、平気?」

「あああ・・・・ついに、イクシードに知られてしまった。私はもうだめよお」

「そんなこと、どうでもいいのよ。あなたの中に宿る子は、邪神。邪神ディアブロの子ですもの」

「いやあああ、もういやああああ!!!」

女神オリガは、人格を崩壊させていた。

その方が、女神アルテナには使い勝手がよかった。

「お腹の子は・・・そうね。女の子だから、女神であり邪神である。ココルとでも、名付けましょう」

臨月間近の膨らんだ女神オリガの腹を、女神アルテナは愛おしそうに撫でた。

「さぁ、早く生まれてらっしゃい。邪神ココル」

「あはははは」

女神オリガが壊れて笑っていた。そんな末の妹を見て、女神アルテナも笑う。

「上位神イクシードになんて愛されるからよ。ざまぁないわね。あはははは」

狂った女神たちによって、また世界に新しい邪神が生まれようとしていた。

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