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始祖なる者、ヴァンパイアマスター49

ココルは、目覚めた。

女神であり、邪神であった。

生まれる前から、世界を知っていた。

すりこまれた、始祖浮竹と血族の神喰らいの魔神京楽を、殺さなければならないと思った。

「わたくしは神。女神であり邪神でもある」

ココルは生まれてまだ4カ月なのに、大人になっていた。

邪神として、覚醒していた。

このまま生きていれば、神々に滅ぼされることは分かっていた。

だから、目的を果たしたら眠りにつこうと思っていた。

目覚めることのない永遠の眠り。

それはまどろみの幸せであり、永遠の安楽であった。

ココルは動きだす。

邪神として周囲に瘴気を満たしながら、歩き出す。

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魔剣ラグナロク。

それは、神代の時代に作られし、呪われた魔剣。

浮竹が手に入れた頃には、力をなくしてただのミスリル銀の魔剣になっていた。

それが、京楽の手に渡り、魔神としての魔力と血を吸ったことで、元の呪われた魔剣に戻った。

魔剣の呪いは、使用者の魂を吸うというもの。

もともとの魔剣ラグナロクも使用者の魂を吸う。

なので、いつも魔剣を持ち歩いている京楽が心配になって、浮竹は一時的に魔剣を預かった。

「うーーーん」

魔剣は、鞘から抜こうとしてもびくともしなかった。

せめて、魔剣の呪いをどうにかしようと思い、錬金術の釜に放り込み、生きたマンドレイク、ドラゴンの血にけちってはいられないとエリクサーもぶちこんで、煮込むこと5時間。

「やった!呪いが解けた!」

魔剣ラグナロクの、魂を吸うという呪いは消えていた。

魔剣を釜で煮込むなんて思っていなかった京楽は、呪いのなくなった魔剣を手に、微妙な顔をしていた。

「どうした。あの禍々しい呪いは解けたぞ」

「いや、僕はあの禍々しい呪いを気に入っていたんだよ。魔剣らしくて。魂を吸う呪いなんて、僕は神喰らいって名がついてるけど、モンスターの魂だってくう。この魔剣はグルメで神の魂が好きみたいだけどね」

「呪いを解いたのは、余計な世話だったということか・・・・・」

しゅんと項垂れる浮竹に、京楽は慌てた。

「でも、魔剣の呪いが解けたお陰で神の魂を頻繁に食わなくていいから、助かったよ」

「そうか。やっぱり、呪いがないほうがいいよな?」

「うん。呪いのない魔剣ラグナロクもいいんじゃないかな。呪いのせいで、切れ味おちてたし」

「ここにミスリル銀のインゴットがある。世界でも一番固い金属だ。試しに、切ってみろ」

「ええ!魔剣ラグナロクももともとはミスリル銀だよ!」

「いいから、切ってみろ」

「もう、どうなっても知らないからね」

スパッ。

音をたてて、ミスリル銀のインゴットは切れた。豆腐のように柔らかく感じた。

「凄い・・・今までよりも更に、切れる!」

「そうだろう、そうだろう。魔剣の呪いは魔剣自体の力を弱めるからな。これで、いつでも神をスパスパ切れるぞ」

「そんなに神が頻繁にやってきたら困るよ」

京楽は、ここ最近女神やら神がやってくることに、不安を感じていた。

「エリクサーの材料が切れた。町に買い出しにいくぞ」

「ちょっと、待ってよ!!」

先に行こうとする浮竹の後を、京楽は追いかけるのであった。


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「これだけあれば、エリクサー5個はできそうだ」

白金貨3枚・・・・大金貨30万枚をはらい、浮竹はいつもより安かったエリクサーの材料を買い占めた。

その後で、王国お抱えのミスリルランクの錬金術士が、エリクサーの材料を買い求めるのだが、Sランク冒険者の浮竹が買っていったと聞いて、憤慨した。

「どなりこんでやる!」

その錬金術士は、ギルドマスターから浮竹の住んでいる場所を聞いて、本当にどなりこんできた。

「頼もう!」

「なんだ、来客か」

侵入者を知らせるピリリリという警戒音ではなく、リンリンと鈴のような音を出したので、来客だと分かった。

「私は王国宮廷錬金術士のアバタール。そなた、錬金術士でもないのに、エリクサーの材料を買い占めたそうだな。金は払うから、エリクサーの材料を全て渡してもらおうか」

「何言ってるの、こいつ」

「人間か。記憶を奪って、森の外にでも放り出すか」

「まて!そなたら、人間ではないな!?」

アバタールは慌てた。

「そうだけど、それが何?」

「人外の分際で、錬金術士の真似事をするのか!錬金術を愚弄しているのか!」

「俺は、ミスラリランクの錬金術士だ。わけあって錬金術士ギルドには入っていないが、お前と同じミスリルランクだ。ばかにするな」

アバタールは憤慨した。

「どちらがより腕の高い錬金術士が勝負だ!」

浮竹は、にやりと笑った。

「じゃあ、素材はお前が金を出してくれるな?今俺の手元にあるエリクサーの材料は全部で大金貨30万枚した。それを出してくれると、思っていいんだな?」

「だ、大金貨30万枚程度、俺にはどうということはない!」

「いいの、浮竹。人間だよ?」

「適当に扱って、記憶消して森に転がす」

「ああああ、僕の浮竹が悪徳商人みたいになってる」

「余計なお世話だ」

とりあえず、ハリセンで京楽の頭を殴っておいた。


錬金術の館で、浮竹はアバタールと並んで、エリクサーを調合していく。

何度か爆発を起こしたが、気にもせずエリクサーを調合した。

「1つできたぞ」

「うぬぬぬ・・・・・・」

勝負は、お互いのエリクサーの材料がなくなるまで。

けっこうな材料を買い占めたので、調合には時間がかかった。

何度も爆発を繰り返して、結果できたのは浮竹が4つ、アバタールが2つだった。

「俺の勝ちのようだな」

「ぐぬぬぬ、こんな勝負、インチキだ!この釜が悪い!何か余計な仕掛けでしてるんだろう!ミスリルランクの王国宮廷錬金術士の俺を愚弄した!王に知らせて、無許可で錬金術をしているそたなをとらえてやる!」

「浮竹、こいつ殺していい?」

「だめだ。王国宮廷は厄介だ。記憶を全て奪って、森に転がそう」

「何をする、離せ!」

暴れるアバタールに、浮竹は魔法をかける。

この古城での一件を全て忘れさせて、古城の外の森に放り出した。

「はて・・・・俺は何をしていたのか?」

歩き去って行くアバタールを確認して、浮竹も京楽も古城に戻った。

錬金術の館は、爆発のせいで屋根がが吹き飛び、酷い有様になっていた。

「この錬金術の館はしばらく使えんな。戦闘人形たちに、命令して、作り直してもらう」

「君の血は便利だねぇ。戦闘人形なんて、普通そうそう作りだせないよ。あのブラッディ・ネイにだって作り出せない」

「まぁ、俺は始祖だからな」

胸を張る浮竹に、京楽はかわいいと思って頭を撫でた。

「そうそう、浮竹は始祖だもんね」

「全てのヴァンパイアの源だ」

持ち上げる京楽に気分をよくしたのか、浮竹はご機嫌だった、

「今日の夕飯のデザートに、苺パフェがあればいいな」

「はいはい。作ってあげるから」

浮竹は、その日、幸せを噛みしめて平穏を楽しみ、眠りにつくのであった。


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「ここが、始祖浮竹と神喰らいの魔神京楽のいる場所・・・・」

早朝に、ココルは浮竹たちの住む古城にやってきた。

ビリリリリリ。

警告音が鳴り響き、まだ眠っていた浮竹と京楽は慌てて起き出した。

「こんな時間に侵入者とは。眠りを妨げるやつには、死んでもらおう」

「わたくし女神ココル。そして邪神でもある」

現れた銀の神に青い瞳をもつ女性は、確かに女神ではあるが、邪神であるということも本当なようで、瘴気を発生させていた。

「庭に出ろ。ここでは戦いたくない」

「どこを選んでも自由よ?あなたたちが死ぬことには変わらないのかだから」

庭に出ると、ココルは自分の右手手首をナイフで切って、血を滴らせた。

ボコボコと、地面が腐っていく。

そこから、大量のアンデットが出てきた。

浮竹は、東洋の自分からもらった浄化の護符で、そのアンデットたちを浄化してしまった。

浄化の護符はココルにも効いているようで、纏っている瘴気が薄らいでいく。

「わたくしのかわいいアンデットを殺した罪。その命で、贖ってもらうわ!」

ココルは、手のひらを浮竹に向けた。

ごぽり。

浮竹の周囲を水がつつむ。

だが、浮竹は水中でも呼吸できる民家魔法を覚えている。

水に包まれたまま平気な顔をしている浮竹が癇に障ったのか、ココルは水を硫酸に変えた。

全身を焼かれて、浮竹は硫酸を蒸発して、傷をすぐに再生させた。

「ああ、僕の美しい浮竹の髪が・・・・」

全身の細胞を再生するのが先なので、髪は後回しだった。

短くなってしまった浮竹の髪を哀しそうに見つめながら、京楽は魔剣ラグナロクをココルに向けた。

「浮竹を傷つけた。死んで?」

ココルは、硫酸で京楽を包み込んだ。

けれど、京楽の周りには水のバリアがあって、京楽が硫酸に焼かれることはなかった。

「嘘、なんで!」

ココルが操るのは硫酸と、水だ。

グサリと魔剣ラグナロクに胸を貫かれて、ココルは血を吐いた。

「わたくしは女神。わたくしは邪神」

どろどろと、ココルの体は崩れ落ちて、硫酸になった。

硫酸が、ココルの本体であった。

「死ね!」

ドロドロの硫酸は、浮竹を襲った。

浮竹は全身に水のバリアを発生させて、硫酸で焼かれることを防いだ。

もう、髪も元の長さにまで再生していた。

「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!」

炎の禁呪を喰らって、ココルの本体の硫酸が蒸発していく。

「いやあああ!!」

ココルは硫酸を足して回復させると、今度は京楽に刃となった硫酸を向けた。

「こんなの、当たらなきゃどうってことないよ!」

「京楽、後ろだ!」

人型に戻ったココルが、背後から京楽の胸を素手で貫いていた。

「京楽!」

「ふふ・・・僕の血は、猛毒だよ?硫酸を体の中に流そうとしたって、そうはいかない」

京楽を貫いていたココルの手が、腐り落ちた。

「何故!邪神であるわたくしが、ここまで苦戦するの!」

「力の差と、戦いの慣れの差だね」

藍染の手の者たちと散々バトルを繰り広げてきた。

浮竹と京楽が、強くなっていて当たり前だった。

「さぁ、焼け死ぬか、雷で焦げ死ぬか、氷で粉々になって死ぬか・・・・どれがいい?浮竹を傷つけたんだから、命乞いしても殺すよ?」

「わたくしの!わたくしの力を授けましょう!邪神になれるわ。魔神なら、喉から手が出るほどに欲しいはず!」

「残念だけど、ちっとも魅力を感じないねぇ。邪神になったら、神々に滅ぼされるんでしょう?僕は、そんなのごめんだね」

「わたくしの血を!血を飲めば、不老不死が手に入るわ!」

ココルは、諦めていなかった。

「へぇ・・・」

興味のある振りをして、ココルに近寄ると、ココルは硫酸で槍を作り出して、京楽の心臓を貫いていた。

「ふふふ・・・僕が、これくらいで死ぬとでも?」

ニタリと笑む京楽に、ココルは生れて始めての恐怖を感じて、後ずさった。

「ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!」

浮竹が使った同じ禁呪を、京楽は使っていた。

「ぎゃあああああ!!!」

悲鳴をあげて蒸発していくココルを、魔神の咢(あぎと)でその魂を喰らっていく。

「うわ、不味いね。邪神の魂って、こんなに不味いんだ」

魂を食われて、力尽きたかに見えたココルは、最後の力を振り絞って、浮竹を硫酸の槍で貫いた。

「ぐっ・・・・」

「浮竹、大丈夫!?」

「ああ、なんとか。油断していた」

「邪神ココル・・・・」

京楽は、その魂を解放して、仮初の肉体を与えた。

「わたくしは、魂を食われて死んだはずでは・・・・」

「君はね、最後に浮竹を傷つけたんだ。そんな奴の魂を食うだけじゃあ、意味がないからさぁ
・・・ゴッドフェニックス、カイザーフェニックス、エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!」

「いやああああ!!

ココルは火だるまになった。

でも与えられた仮初の肉体は京楽の一部なので、滅びることはなかった。

「サンダーボルテックス!!」

「ぎゃああああああ!!」

与えられる魔法の傷みに、徐々にココルの魂に罅が入ってく。

「エターナルアイシクルワールド!」」

「いやあ、もう死なせてええええ」

「ゴッドフェンリル!」

「あああ・・・・・・」

ぱきん。

ついに、ココル魂に亀裂が走り、魂は粉々になっ弾け飛んだ。

「ふふ・・・いい気味だよ」

「京楽、やり過ぎだぞ」

浮竹が、仕方ないとばかりに、邪神ココルに貫かれた傷を再生しながら、京楽を窘めた。

「だって、君を傷つけた」

「だからって、一度食った魂に肉体まで与えて。逃げられたら、どうするんだ」

「肉体は僕の体の一部でできているから、大丈夫」

魂は粉々になっても、傷一つ負っていない、ココルの体を自分の中に吸収すると、京楽は頬笑んだ。

「僕は、浮竹、君を傷つけられるのが一番いやなんだ。だから、思い知らせてやったのさ。それに邪神の魂はまずい。まずすぎて魔力に変換しにくい」

「魂にうまい、まずいがあるのか」

「女神の魂はおいしいよ。今のところ、TOPかな」

「俺の血と、どっちがうまい?」

「それはもちろん、君の血かな」

京楽は、浮竹を抱きしめて、その首筋に噛みついて、血を啜った。

「んっ・・・」

「ああ、甘くて最高だよ。君の血は」

「あっ・・・・」

「ふふ、その気になちゃった?」

「ばか・・・・こんな朝っぱらから・・・・・」

「いいじゃない。僕たちは本能に忠実に生きている。血族と睦み合うのも、血を吸われて欲しいと思うのも、本能だよ」

「ここじゃだめだ。ベッドに行こう」

そう呟く浮竹に満足気に、京楽は浮竹と手を繋いで、寝室に戻っていくのであった。

-----------------------------------------------------------------------------


「ああ!」

京楽の口に含まれて、浮竹は甘い声を漏らしていた。

「んんっ!」

京楽の与えてくる刺激に耐えかねて、熱を京楽の口に放つ。

「俺もする」

浮竹は、珍しく自分から京楽のものを口にした。

「んっ、いいよ、そのかんじ」

ペロリと舐めあげながら、全体を指でしごく。

ちろちろと先端を舐めていると、京楽のものが弾けた。

「ああ、勿体ない。お前の精液が」

顔についたものを指で拭って舐めとる浮竹に、我慢できずに押し倒していた。

蕾はすでに、ローションで京楽に解されていて、後は侵入してくるだけだ。

「いくよ」

「あ、こい春水」

ずずずっと、音を立てて、京楽のものが浮竹の内部に入ってくる。

「あ、いい、いい、そこ、もっと」

いい場所をすりあげられて、浮竹はおねだりしていた。

「ここだね?」

「あああん!」

浮竹は甘く啼いて、精液を弾けさせていた。

「もっと奥に、お前をくれ、春水・・・・・・」

「分かってるよ」

最奥まで侵入して、ゴリゴリと押し付けてやると、浮竹はオーガズムでいいっていた。

「ひああああ!!!」

「もっと?」

「あ、もっと。もっとぐちゃぐちゃになるまで、俺を犯して」

浮竹は、京楽の肩に噛みついて、一口血を飲んだ。

「甘い・・・ああああ!」

浮竹は、ペロリと京楽の血が付いた唇を舐める。

「誘っているとしか、見れないな、君の行為は」

「そうだとしたら?」

「うん、君をぐちゃぐちゃになるまで、犯してあげる」

「ああ!」

京楽は、一度抜くと、浮竹の足を肩に担いで、貫いた。

「ひああああ!奥に、奥に当たってる、やあああ」

「ここが好きなんでしょ?」

「やああああ」

最奥をゴリゴリと刺激して、京楽は浮竹の胎の奥に欲望を放っていた。

「さぁ、まだまだいくよ」

「あ、加減は、してくれ・・・・」

「君をぐちゃぐちゃになるまで、犯すって言ったでしょ?」

「やあああん」


浮竹は、もう吐き出すものはなかった。

オーガズムでいくばかりだ。

「あああ!」

互いの体液が混ざり合い、ぐちゃぐちゃになっていた。

「あ、もう・・・春水、春水」

「どうしたの」

「もうやぁっ」

「じゃあ、これで終わりにするね?」

「それもやぁっ」

「どうすればいいの」

「このまま、繋がっていたい」

「でも、それじゃあ浮竹の中に注いだものがかき出せない。お腹壊しちゃうよ?」

「それでもいい。このまま眠る・・・・・」

次に起きた時、京楽のものは硬さを取り戻していた。

「あっ」

「起きた、浮竹?」

「ばか、盛るな」

「愛しい人に包まれて眠る幸せを味わったけど、お陰で僕の息子は復活した。責任、とってね?」

「あああああああ!!」

そえから更に3回は交わり、浮竹は精液でなくて潮をふいていた。

「いやああああ、潮はいやあああ」

「君が感じまくってる証拠で、僕は嬉しいよ?」

「や、やだあああああ」

「んっ、最後の一滴まで、君に注いであげるからね」

京楽は、息子が使い物にならなくなるまで、浮竹に注いだ。

「んああああ!」

背を弓なりにしならせていく浮竹の首筋に噛みついて、吸血してやる。

「ひあああああ!!」

吸血の快感まで与えられて、浮竹はぐったりとなった。

「お風呂、行こうか」

「ん・・・・・」

ずるりと浮竹の中から引き抜くと、尋常じゃない量の精液が溢れてきた。

「はは、注ぎすぎちゃったね?お腹は大丈夫?」

「大丈夫だ。腰が痛くて立てない。疲労開封のポーションをくれ」

事後のけだるさは腰にきてきいて、疲労回復のポーションを飲むことで自力で立てるまでに回復した。

「ん」

「はいはい、抱っこね?」

京楽は、シーツごと浮竹をお姫様抱っこすると、風呂場に向かった。

古城の風呂は、24時間入れるように、魔法で管理されてあった。

京楽に体の奥に残ったものをかき出されて、浮竹は京楽の肩に牙をたてたが、吸血はしなかった。

髪と体を洗われて、水分をバスタオルでふかれた。

「ほら、服をきて」

まあ昼過ぎだったので、普通の衣服を着た。

「少し遅いけど、中止にしようか」

「バナナパフェが食べたい」

「ええっ、バナナの在庫なんてあったかな」

「戦闘人形に買いにいかせる」

浮竹は血を操って戦闘人形ののメイドを出すと、町に買い出しにいかせた。

しばらくして、バナナやら他の食材を手に、戦闘人形のメイドが帰ってきた。

「浮竹を抱きまくったことですっきりしたし、バナナパフェ作りますか」

浮竹はすでにできていたカルボナーラと野菜スープを口にしていた。

「さぁできたよ、浮竹。ジャンボバナナパフェだよ」

「食う」

「はい、どうぞ」

スプーンを渡すと、浮竹はパクパク食べていった。

「僕の分は?」

「ない。全部、俺のだ」

「ありゃあ。僕も自分の分作ってこよ」

京楽が自分の分を作って食べる頃には、浮竹は午睡していた。

バナナパフェを食べ終わり、戦闘人形に後片付けを任せて、京楽は浮竹を抱き上げると、一番近いゲストルームのベッドに寝かせた。

「京楽も、寝ろ」

眠っていたはずの浮竹はゆっくり目を開けると、それだけ言って、また眠ってしまった。

「僕も、昼寝といきますか」

浮竹の隣にもぐりこむと、眠気はすぐにやってきた。

血族の主が近くにいると、とても心が落ち着いてリラックスできる。

浮竹と京楽はそのまま夕方に寝てしまい、その日の夜はなかなか眠れないのであった。

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「ココルの魂を食わずに、魂の自己崩壊を起こすほどに痛めつけるなんて」

女神アルテナは、ココルの命の終わりを敏感に感じ取っていた。

「邪神ディアブロ。あなたはかつて人間であった。そして、浮竹の3番目の血族であった。そうでしょう?」

「そうだ。始祖浮竹はとても愛しい。愛しくてかわいい人だ」

「じゃあ、今の血族を殺して、もとの血族に戻してもらわないとね?」

「今の血族は・・・・神喰らいの魔神京楽か。面白い。どちらがより浮竹に相応しいか、力比べといこうではないか」

邪神ディアブロは、5千年前の浮竹の、3番目の血族であった。

今の京楽のように魔神となり、人間の国を浮竹のために滅ぼして、その人間たちの魂を喰らい、存在を進化させて邪神となり、神々に滅ぼされてアビスの世界の地中深くに封印されていた。

「待っていろ、愛しの浮竹よ。私はあなたのために国を滅ぼし邪神となった。それでもあなたは私を愛してくれた・・・」

遠き昔を思い出す。

邪神となり、神々に滅ぼされていくディアブロを、浮竹は泣いて止めようとしてくれた。

「愛しい、浮竹・・・私は三番目とはいえ、元は血族。血族同士、邪神と魔神で争いあおうではないか!」

緩やかに、京楽に魔の手が忍び寄ろうとしていた。



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