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始祖なる者、ヴァンパイアマスター56

魔族が守る。そういって、魔女の里に兵士を派遣していたのは藍染だった。

藍染の手中にあった魔女の里では、魔女狩りが行われていた。

老若問わず、高い魔力のものほど捕まえられていく。

魔女は錬金術士を嗜むものだ。多い魔力もちの者は、はっきり言って数が少ない。

それで、40人ばかり捕らえられて、魔国アルカンシェルの隣にある、現在藍染が住んでいるイデア王国に、魔女たちは連行された。

「君たちには、1人の魔女になってもらう」

藍染の言葉に、魔女たちの間に動揺が走る。

「藍染様、こんなこと聞いていません」

「藍染様、私たちを守ってくださるのではなかったのでですか」

「死神のキララ。後は君に任せたよ」

死神のキララは、半身を京楽に食われたが、女神アルテナの手によって魂と体を分けられて、今いるキララは魂を食われたキララの半分であった。

「はい、藍染様・・・・」

モレ草でトイレに閉じこもり、漏らしていた時は吹き出しだが、実際の藍染は冷酷だ。キララが命令に従わらないなら、どんな手でも使うだろう。

父である死神ナウセルは助けにきてくれない。

母である女神オリガは壊れている。

キララは、まだ保護者を必要とする年齢だった。藍染が、親代わりだった。

それは不幸でしかなかった。

キララは、連れてこられた魔女の肉体から魂を、新しく与えられたカーナの鎌で狩っていく。

魂が40人分抽出された。

肉体は、いらないからと、城の外に捨てられた。

40人分の魔女の魂は、は藍染の手により、難解な魔法をかけられて、1つの魂となった。

禁呪であった。魂に複合体を作る魔法であった。

「40人分の魔力を凝縮した魂だ。邪神である私には及ばないが、それなりの魔力を有しているだろう。さぁ、新生魔女の登場だ」

一番若い、アキラという名前の魔女に、その魂は宿った。

「許さない・・・殺す・・・・・」

魔女たちの無念が宿った魂は、藍染ではなく標的を浮竹と京楽にしていた。

魔女アキラの中で、自分たちをこうしたのは浮竹と京楽ということになっていた。

「殺す・・・浮竹、京楽」

魔女アキラは、ホウキに乗って、古城目指して飛び立っていく。

「少しは面白いことになりそうだ」

くつくつと笑う藍染めを、死神キララは不安な気持ちで見つめるのだった。

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「魔女乱菊さんに助けを求めたら、ここが一番力になってくれるって聞きました!お願いです、同胞たちを助けてください!」

浮竹と京楽に助けを求めにやってきたのは、魔女エル。

年若い15歳くらいの魔女で、とてもかわいかった。

「どういうことだ?」

「藍染の手の者に、40人の魔女が連れて行かれました。皆強い魔力もちの魔女ばかりです」

「魔女の里を、藍染が手中に収めたのは知っている。魔女が40人連れていかれといっても、こっちには関係のないことだ」

「そんな!」

「まぁ、エルちゃんだっけ。僕が詳しい話をきくよ」

浮竹はすることがあると、錬金術の館に閉じこもってしまった。

「藍染が、魔女の複合体の魂を作るために40人の魔女を・・・ねぇ、その魔女たちの肉体は灰にされたの?」

「いいえ、古城の外にまとめて穴をあけてそこに捨てられました」

「なら、なんとかなるかもしれない」

「本当ですか!」

「浮竹の力次第だけど」

「あんな白状な方はあてになりません。京楽さん、助けてください」

エルは、泣いて京楽に縋りついた。

「エルちゃん」

「助けてくれるなら、私、なんでもします!」

京楽に抱き着いて、エルは京楽に口づけていた。

そのシーンを、戻ってきた浮竹に見られた。

「浮竹、これは違うんだよ!エルちゃんから勝手にしてきたことで」

浮竹は、顔を顰めて京楽の頬をぶった。

「この浮気者が!」

いつもなら、ハリセンで頭をはたかれているところなのだが、今回は違った。

「魔女の里にいくぞ」

「あ、はい!」

「待ってよ、浮竹、誤解だってば」

「ふん。その件は後回しだ」

浮竹と京楽と魔女のエルは、閉鎖的な魔女の里に来ていた。

藍染の手下の者たちを皆殺しにした。

殺したのは、京楽だった。

魔神の咢でその魂を喰らい、残った体を浮竹が燃やして灰にした。

魔女の里の住人は、魔族の圧政から救われたと、浮竹と京楽に礼を言った。

「アキラという魔女はどこにいる?」

「魔女アキラは・・・あの魔女狩りで捕まって、唯一戻ってきた魔女です。でも、どこか変なんです。ただの錬金術が得意だった魔女なのに、魔力が高すぎて・・・・」

魔女アキラは、魔女の里に帰ってきていた。

まずは、魔族を滅ぼすためにきていたのだが、魔族は強い。隙を狙うつもりが、浮竹と京楽に先を越されてしまった。

「あたしは魔女アキラ。魔女40人の魂の複合体。こんな魂にされたのは、浮竹、京楽、あなたたちのせいよ!」

魔女アキラは、魔女エルや他の魔女の言うこと聞かずに、呪文を唱え出した。

「エターナルフェニックス!」

リュウウウウウン。

不死鳥は、鳴いて浮竹と京楽に襲い掛かった。

シールドを張ったが、それでも身を焼く温度に耐え切れず、浮竹が氷の魔法を放つ。

「ゴッドフェンリル!」

氷の魔狼は、炎の不死鳥を消していく。

「あたしのほうが魔力で押されている!?ばかな、あたしは魔女40人分の魔力をもっているのよ!!」

「魔女一人一人の魔力の保有量には限界がある。それに、仮に魔女40人分の魔力を複合体としてもったとしても、たった1つの魔女の魂で操れるわけがない」

魔女アキラのもつ魔力は、確かに高かった。魔神や邪神を名乗れるほどに。

けれど無理やり40人分の魔力を凝縮したせいで、歪な力になっていた。

「ああああ!魂が、壊れる!浮竹、京楽、せめて道連れにしてやる・・ゴッドフェニックス・カイザーフェニクス・エターナルフェニックス・・・トリプルファイアフェニックス!!」

炎の禁呪は、魔女の里に火柱をあげて、不死鳥の姿をして浮竹と京楽を燃やし尽くそうとした。

「浮竹さん、京楽さん!」

魔女エルは、二人の心配をしたが、火が魔女の里にもうつって、魔法で雨を降らしたりして消火活動に回った。

「うふふふ。私が新たに手に入れた禁呪。神にしか使えない禁呪よ!あたしの勝ちね!」

燃え盛る業火の中で、蠢く影が2つ。

浮竹と京楽であった。

「な、トリプルファイアフェニックスを受けて生きてるですって!?」

浮竹と京楽は、それぞれ魔力を吸収する闇魔法、ブラックホールを作り出していた。

「神が使う魔法?俺の得意魔法なんだが」

浮竹は、血の魔法を操り、魔女アキラの胸をさした。

「ああ、駄目だよ殺しちゃ」

「分かっている。魔法を使えなくするためだ。ちゃんと、臓器とかは避けた」

「がはっ・・くそ、40人分の魔女の魔力の禁呪よ!いくらブラックホールの魔法があるといえ、吸い尽くせる量じゃないわ!」

「複数設置したとしたら?」

見れば、ブラックホールの魔法は5つあった。

「そんな・・・闇魔法の禁呪でしょう!?それを同時に5つなんて、人間業じゃないわ!」

「その通り。僕らは、ヴァンパイアだ」

「そうだな。俺はヴァンパイアマスターで、京楽はヴァンパイアロードだ」

「ええい、何処までも忌々しい・・・・・」

魔女アキラは、更に魔法を使おうとして、胸の傷を再生するのが先だと体が勝手に反応して、回復系の魔法を唱え出した。

「ゴッドヒール。あはは、これでまたやり直し・・・・」

京楽が、魔神の咢で魔女アキラの魂を奪っていた。

ドサリ。

音を立てて、魔女アキラは倒れた。魔女エルが駆け寄るも、意識はなく心臓がが止まっていた。

「京楽さん、助けてくれるのではなかったのですか!」

「まぁ、ちょっと待ってよ。今、浮竹がなんとかしてくれるから」

浮竹は、血で魔法陣を作り、瞑想していた。

「ラム・アラム・エスタ・ドルキューリ。エドム・エスタ・ドルキューリ。哀れなる魂たちよ、元に肉体へ戻れ!エターナルエリクシール!!」

それは、複合体にされた魂を元に戻す魔法だった。これもまだ禁呪の一つだ。

「ぎゃああああああああ!!!」

魔女アキラが飛び起きる。

「あ、あれ!?元に戻ってる。魔神に喰われたはずなのに!」

魔女のエルは、泣いて魔女アキラを抱きしめた。

「よかった、元に戻ったのね!他の魂たちは!?」

「元の肉体に戻ったはずだ。まだ死んでからそう時間は経っていない。魂さえ戻れば、生き返るだろう」

魔女エルは浮竹の言葉に涙を流して、京楽に抱き着いた。

「京楽さん、ありがとうございます!」

「お礼なら、僕じゃなくて浮竹に言ってよ」

「いいえ、京楽さんが助けてくれると言い出したので、浮竹さんは動いたのでしょう?全ては京楽さんのお陰です!」

京楽も、若い女の子にそうやって抱きしめられて、満更でもなさそうな顔をしていた。

「京楽、お前は・・・・・・」

そこで、浮竹は言葉を区切った。

やはり、血族である京楽は女の伴侶のほうがいいのではいだろうかという不安が、大きな波となって浮竹を襲った。

やがて、夜になり、魔女の里ではホウキで帰還してきた、攫われた魔女たちが戻ってきたことで、大賑わいになっていた。

「全ては、浮竹様と京楽様のお陰です。今宵は、どうぞ魔女の里にお泊りください。精一杯のおもてなしをさせてもらいます」

魔女の里の族長は、そう礼を述べて浮竹と京楽を歓迎してくれた。

魔女の里の一軒の家に泊まるように言われて、そこへ行く。

途中で魔女のエルと会った。

立ち話もなんだからと、案内された家に入る。ベッドが2つと、シンプルな家具とバストイレつきの、簡素な家だったが、掃除は綺麗に行き届いていた。

浮竹ばベッドに腰かける。

魔女のエルは、京楽に抱き着いた。

「あたし、京楽さんが大好きです!」

「僕はね、浮竹のことだけが好きだから。浮竹が僕の伴侶なんだよ」

「それでも諦めません!!」

魔女エルは、京楽に抱き着いて離れなかった。

それを無理に引き離そうとしない京楽に、浮竹の心が不安に揺れる。

女性のほうが好きなのか・・・・。

魔女エルは、涙を零しながら浮竹を指さす。

「絶対に、あなたには負けません!男性の伴侶は普通女性です!あなたは男性だ!」

「京楽、お前もやっぱり伴侶は女性のほうが・・・・・・」

心に罅を入れる浮竹は、エルの言葉に余計に罅が広がっていた。

「何言ってるんだい、浮竹!」

「ちょっと、夜風に当たってくる・・・」

「ちょっと、浮竹!話を聞いて!」

浮竹の手を握ろうとしたら、思わぬ力で払われた。

「離せ!」

浮竹は涙を滲ませて、家の外に走り去ってしまった。

「京楽さん、やっぱり伴侶は女性のほうがいいでしょ?私は15歳で若いし、あなたの血族になれと言われたら、喜んで血を飲み干します」

「黙ってくれないか」

「え?」

「黙れといっている!」

「ひっ」

京楽は怒っていた。今まで感じてきた中で、感情が狂うほどの怒りだった。

自分が傷つけた。

浮竹の心を、傷つけてしまった。

京楽は魔力探知の魔法を使って、浮竹がいる魔女の里の外れの小川にきていた。

季節なのか、蛍が飛んでいた。

美しい蛍に照らされた浮竹もまた、美しかった。

元から浮竹は美しい。そこに蛍の幻想的な美しさが加わって、言葉にできないでいた。

浮竹は、泣いていた。目を真っ赤にしていた。

「浮竹」

「来るな!俺を見るな!」

「浮竹、僕は君の血族だ。君の伴侶で、君の永遠の恋人だ。僕は女性なんてどうでもいいし、浮竹がいてくれたらそれだけでいい。あんな乳臭い小娘に、用はないよ」

「じゃあ、なんで抱きついてくる腕を振り払わない」

「それは、あの子を傷つけると思ったから。浮竹が傷つくくらいなら、あの子の魂を食ったっていい」

浮竹は、それを信じられない顔で見ていた。

「俺のために、罪のない人間の魂をを食うと?」

「それで君の心の傷が癒えるなら」

浮竹は涙を拭い去り、京楽に抱き着いた。

「お前は俺のものだ。他の誰にも渡さない。俺だけを見ていろ」

「うん」

与えられた魔女の家に戻ると、目を真っ赤にした魔女のエルが待っていた。

「京楽さん!」

「近づかないでくれるかな。君は間接的ではあるが、浮竹を悲しませた。そんな存在を僕が許すとでも?これ以上僕らの仲に入ってくるなら、その魂、喰うよ?」

「あああ・・・・・」

魔女エルは、絶望に顔を歪めて走り去ってしまった。

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「君は、僕のものだよ」

「んっ」

たくさんのキスマークを刻まれる。

「あっ」

「君は、僕なしでは生きていけない体にしてあげる」

浮竹のものをなめあげて、指でしごくと、浮竹は簡単に精液を零していた。

「んあっ」

京楽と、深く口づけしあう。

「んんっ・・・はぁっ」

舌を引き抜かれると、銀の糸が垂れた。

京楽は、浮竹の薄い胸を何度もさわり、胸の先端をひっかく。

「んっ」

その刺激だけでまた硬くなってきた浮竹のものを見て、耳元ので囁いた。

「ほら、君の体は素直だ。僕なしじゃあ、生きられないね?」

「あ、春水・・・・・」

やや不安そうな顔で、京楽を見上げる。

「十四郎。僕には君だけだ。愛しているよ」

「んんっ」

「こんな時のために、アイテムポケットにローション入れておいて助かったよ」

「おいばか、外でも盛るつもりだったのか」

「実際、今古城の外じゃない。それとも、止める?」

胎の奥が疼いて、浮竹は素直に京楽を求めた。

「お前が欲しい。きてくれ。お前なしの体では、生きられないようにしてくれ」

京楽は、ローションを人肌の温度になじませると、浮竹の蕾にぬっていく。指をいれると、熱かった。

「君のここ、もうトロトロだね。そんなに僕が欲しいの?」

「ああ、欲しい・・・・・」

「いい子だね。僕の子種なしじゃあ、生きていけにようにしてあげる」

「あああああ!!」

京楽は、浮竹を貫く。

すぐに奥を衝かれて、その衝撃で目がちかちかした。

「んあああ!」

浮竹が精を放つのと、京楽が浮竹の胎の奥に精を注ぐのが同時だった。

「あああ・・・・・・・」

ずちゅずちゅっと、音を立てて、京楽のものが出入りする。

「んあっ」

京楽は浮竹を突き上げて奥をごりごりすりあげながら、浮竹の首筋に噛みついて、吸血していた。

「ああああ!」

オーガズムでいきながら、吸血される快感にも飲まれていく。

「ああ・・・あああ・・もう、お前なしじゃあ、生きられない・・・」

「それなら安心だよ」

京楽は、浮竹の結腸の中にまで侵入した。

「ひああああ!!深すぎる!」

「奥に、子種注いであげるからね?」

「あああああ・・・・」

京楽は、ごりっと最奥をけずりあげながら、精液を放っていた。

「んああああ」

浮竹は、京楽に噛みついて、血をすすりながらオーガズムでいくのであった。


-----------------------------------------------------


次の日、魔女アキラも目覚めた。魂の複合体を宿していた時の記憶はないようだった。

魔女エルの姿は見えなかった。たくさんの魔女にお礼をいわれ、金銭や珍しい魔道具、魔法書などをもらって、浮竹は上機嫌にそれらをアイテムポケットに入れていく。

「じゃあ、俺たちは行く。また魔族がくるような時があれば、式を送ってくれ。守ってやろう」

始祖ヴァンパイアに守るといわれて、その色香に惑わされた魔女たちが、ばたばたを気を失っていく。

「浮竹、何かしたの?」

「お前に悪い虫がつかないように、俺自身に京楽に興味を持つ者をチャーム(魅了)する魔法をかけた」

「ええ、じゃあ僕のライバルが増えてしまうよ!今すぐ解いて!」

「分かった。解呪」

魔女たちに一晩のお礼を言って、浮竹と京楽は古城に戻っていった。

-------------------------------------------------------------------


数日が経ったある日、京楽に重要な話があると呼び出された。

「君に渡したいものがあるんだ」

京楽は、改まって浮竹に向き直った。

「なんだ?」

「ペアリング。君と僕の愛が永遠だって証」

プラチナにピジョンブラッドのスタールビーがあしらわれた、指輪を見せられる。

「石の言葉は「絆を深める」。僕と君の絆は永遠だよ。ヴァンパイアだから、真紅の瞳をイメージしたら、この石に辿り着いたんだ」

「これは・・・・」

浮竹の目に、じんわりと涙が浮かんだ。

血の帝国には結婚式の概念がない。結婚指輪もペアリングも、普通つけない。

長い間外の世界にいた浮竹にとって、ペアリングをもらうということは、正式なプロポーズであった。

「お前が、つけてくれ」

左手を差し出すと、京楽は指輪を薬指にはめた。

同じデザインの指輪を、今度は京楽の左手の薬指にはめる。

「僕たちの愛は永遠だよ」

「ああ、永遠だ」

浮竹と京楽は口づける。

今この瞬間が永遠であればいいのにと、二人は思った。


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「そうか。魔女の複合体は解呪されたか。あの魔法には解呪の魔法があるからな。あんな古代の禁呪の解呪をしっているとは、流石は始祖ヴァンパイア。無駄に8千年を生きていないということか」

壊れた女神オリガは、赤子を抱いて揺らしていた。

藍染との間にできた子供だった。

「藍染様に、お目通りをしたいという魔女の小娘がいます。いかがいたしましょう」

「面白い。通せ」

「藍染様・・・私、始祖の浮竹が憎いんです。京楽さんを愛しています!京楽さんを手に入れられる方法をください」

「王に無礼だぞ、小娘」

「いや、いい。名前は?」

「エル・トゥ・バジエル」

少女は、京楽に拒絶された魔女のエルだった。

「いいだろう。君に、一目ぼれの幻の薬をあげよう」

「え、そんなものがあるんですか!?」

「魔女の里で作られるよう薬は、一時的なものだろう。この薬の効果は永遠だ」

ちゃぷんと、コバルトブルーに輝く液体の入った小瓶を、藍染は魔女のエルに渡した。

「うふふふ。これで、京楽さんは私のもの・・・・・」

「よかったんですか、藍染様。あれは、女神の秘薬」

「使い道もなかった。京楽があの薬を飲んで、魔女のエルとやらに夢中になれば、主の浮竹は壊れるだろう。それもまた一驚だ」

魔女エルは、京楽に最後の別れにするからと、秘薬入りの最高級ワインを飲ませた。

「エル・・・君を愛している。君が大好きだ」

隣にいた京楽が突然そんなことを言いだすので、浮竹は慌てた。

「京楽!!!」

「うふふふ、京楽さんは私のものよ!」

魔女エルは、ホウキに乗り、京楽を乗せて飛び立っていく。

「俺から京楽を奪う?馬鹿なことを・・・・その代償、命で償ってもらおうか」

浮竹は絶望していなかった。

残酷に微笑みながら、どうやって調理してやろうかと、考えるのだった。

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