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嫉妬と青空


「白哉じゃないか。どうしたんだ」

恋次を連れて、雨乾堂まできた白哉は、本当に珍しくおはぎなどもって浮竹の見舞いにきていた。

「浮竹は、この間の隊首会もその前も病欠したであろう。病状はどうなのだ?」

「あー、今はよくもなく悪くもなくだな」

「見舞いをもってきた。食べろ」

「おはぎか。俺の好物をわざわざありがとう。辛い物好きなお前には、買うのもきつかったんじゃないのか?」

「恋次に買わせた」

「なるほど」

長い白髪の、白い肌をした浮竹も容姿がかなり整っているが、白哉も負けていなかった。

白皙の美貌は、気品があり、気高い。

二人並べば、大輪の花が咲いたようだと、恋次は思った。

「浮竹隊長、どうかお大事に」

「ああ、ありがとう」

今まで何度か浮竹が会いにきたり、会いに行ったりするのを見てきた。

嫉妬というわけではないが、やはりあまり気分のいいものではなかった。

「隊長、浮竹隊長とは長いんですか」

「子供の頃から、たまに面倒を見てもらった。兄のようなものだ」

父というほどには、まだ年齢は離れていない。

白哉は幼い頃に父を戦死でなくしている。先代の当主銀嶺が、親代わりだった。

「やっぱり、長いこと一緒にいる人が羨ましい。隊長の子供の頃か。かわいかったんだろうなぁ」

少年時代は、冷めやすく熱しやすかった。

よく、夜一にからかわれては、瞬歩で追いかけっこののような真似ごとをしたものだ。

「浮竹に嫉妬などするなよ」

「う」

「あれは、私の兄のような存在だ。そんな存在に嫉妬するだけ、無駄というもの」

「でも、嫉妬しちゃいます」

浮竹は、京楽とできているという噂をよく耳にする。

白哉とできることはないだろうが、それでも自分の知らないところでよく会っている二人の存在を見つけると、嫉妬心が沸いた。

「隊長は、もっと俺だけをみてください」

「戯言を・・・・・」

恋次は、本気だった。

「隊長は、戯言だというけど、俺は本気ですよ」

前を塞がれる。

「邪魔だ、どけ」

「好きです、隊長」

その細い顎をとらえて、口づけるすると、白哉のまゆねが寄った。

「んん・・・・」

舌と舌がからみあい、ぴちゃりと音を立てた。

「ん・・・・やめろ、恋次」

「隊長・・・・・」

「往来だ。やめよ」

凄まじい霊圧を当てられて、流石の恋次も動きが止まった。

「外では、このような真似はするな」

「俺は、別に見られて困るようなことはないっすけどね」

「朽木家に関わる問題になる。やめよ」

「わかりましたよ」

ふてくされる恋次を放りだして、白哉は来た道を戻る。

「執務室でなら、時折なら許す」

その言葉に、まるで尻尾をふる犬のように恋次が喜んだ。

「隊長、大好きです!」

抱き着いてくる恋次から距離をとりながら、白哉は何故こんな、恋次のような副官をすきになっってしまったのだろうかと思いながら、空を見上げるのであった。

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