忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 28 29 30 12

風邪はあげれません

白哉が風邪をひいた。

今年の冬は風邪が流行った。インフルエンザも流行ったが、幸いなことに白哉のはただの風邪であるらしかった。

治りが遅く長引いていた。

「隊長、大丈夫っすか?」

「大丈夫と言いたいところだが、あまり芳しくなはない」

ごほごほと咳き込んで、まるで浮竹のようだなと、ふと白哉は思った。

浮竹はこんな咳の辛い状態をいつも抱えてるのかと思うと、脱帽する思いだった。

布団に横になっていたが、恋次がきたので半身を起こしていた。

「昼、何か食べました?」

「粥を食した。薬も飲んだ。医者にも診てもらった。後は、自然治癒に任せるしかない」

まさか、ただの風邪で4番隊にかかるわけもいかないので、白哉は風邪が長引いてるために、職務を休みながら自宅で療養生活を送っていた。

「りんご剥いたんですけど、食べれますか」

「ああ」

かわいくウサギカットにされたりんごを見て、ふっと、小さな笑みをこぼす。

「はい、あーん」

「何のつもりだ。一人で食べれる」

「まぁまぁ。はいあーん」

そうしないと、いつまでたっても終わらないだろうと感じて・・・恋次はしつこいから。

素直に口を開けると、りんごを放り込まれた。

少しだけ甘い味が口に広がる。

甘いのは嫌いだが、たまにはいいかと思う。

「はい、あーん」

そうやって、1個分のりんごを食べさせられた。

2個目を剥いていくので、白哉が声をかける。

「もう、りんごはいらぬ」

「あ、俺が食べるんす」

「それよりも、うつるかもしれぬ。早々にでていけ」

「いやです。今日は隊長の傍にいたい」

もう、1週間も会っていなかった。

寂しさは募り、こうやって会いにきたのだ。

「ん・・・・」

少し、熱いと感じた。

「隊長、顔赤いですよ。熱あるんじゃないっすか」

「ふむ・・・・・少し、あるようだ」

「寝てください!濡れたタオル、用意しますから」

「それより、薬箱から解熱剤をとってほしい」

薬箱を探して見つけて、解熱剤をとってもってくる。水の入ったコップを渡すと、白哉はそれを飲んだ。

「少し寝れば、熱も下がるであろう」

「じゃあ寝てください」

「貴様は戻れ」

「嫌です。隊長の顔を見ていたい」

「眠った私を見ていても、つまらぬであろう」

「いや、いろいろと想像するから、大丈夫です」

「貴様・・・・下劣なことを考えているのではあるまいな」

「さぁ?」

白哉はため息をついた。

「こちらにこい、恋次」

「はい」

ちゅっ。

頬にキスを受けて、恋次が目を見開く。

「貴様にかまってやれぬ、詫びだ」

「唇にもしてください」

「調子に乗るな。それに、風邪がうつる」

「隊長からもらえるなら、風邪でもいい」

「愚か者」

ぴしゃりと、そう言われた。

熱が上がってきたのか、白哉は咳込みながら、布団に横になった。

額にひんやりとしたものが当てられて、ふと目を開ける。

恋次が氷水で冷やしたタオルを白哉の額に置いたのだ。

「すまぬ・・・・」

「いいんすよ」

解熱剤に入っていた、睡眠成分のせいか、白哉はすーっと深い眠りに落ちていった。



「ん・・・何時だ」

「午後の5時です」

「まだいたのか・・・・仕事はどうした」

「今日は休暇をとりました」

「隊長である私がいないというのに、副隊長の貴様までいないと・・・・」

「何、今まで戦時中もそんな日が多々とあったので、平気っすよ。それより、熱さがりましたよね?」

聞かれると、確かに熱は下がっていた。

「大分、風邪は癒えたようだ。明日から、通常通り仕事に戻る」

「そうですか」

恋次は嬉しそうだった。

「貴様も、風邪などひかぬようにな」

「大丈夫、風邪とかほとんどひいたことないんで」

真冬でも、薄い死覇装一枚の恋次は、とにかく元気だ。

健康すぎて、白哉も少し羨ましくなるくらいだ、個人的に親しい浮竹に、その元気を分けてやりたいと思うのだった。







                      





拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/27)
(11/26)
(11/25)
(11/25)
(11/22)
"ココはカウンター設置場所"