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子猫とルキア

結婚して、5か月が経った。

子猫だった琥珀は立派な大人の猫になっていた。雌猫だった。猫好きな雛森の勧めで、同じオッドアイの白猫と一緒に過ごさせて、子猫を産んだ。

「うわぁ、かわいいなぁ」

にゃあにゃあと、おっぱいを求めて鳴く5匹の子猫を抱き締めて、ルキアは幸せそうだった。

一護は、最近ルキアが子猫に夢中になっているため、放置され気味だった。

「ルキア、夫の俺にもスキンシップくれよ」

「何を言うのだ。貴様は時間が経っても変わらぬ、この子猫たちは、時間が経つと成長してしまい、大人になってしまうのだぞ。今が一番かわいい盛りなのだ」

「ルキアのばか!」

「ほら、一護も抱いてみろ。かわいいであろう?」

「確かにかわいいけど、かわいいって言ってるお前のほうがかわいい」

その言葉に、ルキアが朱くなる。

「恥ずかしいやつだな、貴様は!」

「にゃあ」

一護が、猫の鳴きまねをしてルキアに抱き着いた。

「ええい、鬱陶しい・・・・・」

「なールキア。子供なら俺たちも作ろうぜ」

「そればかりは、天に運を任せるしかあるまい」

まだ新婚といっていい時期ではある。セックスは週に2回くらいはしていた。

「ルキアが食べたい」

「こら、一護」

ルキアを腕の中に抱いて、一護はルキアにキスをする。

「盛るのはいいが、ここが食堂であることを心得よ、駄犬」

「きゃいん!ってでもいえばいいのか、白哉義兄様!」

ばちばちと、二人の目線が火花を散らす。

「ルキア、今日の昼餉はルキアの弁当を食したい」

「はい、兄様、喜んで作ります!」

それ見たかと、白哉は得意げになった。

「ルキア、今日夜は二人で焼肉食い放題の店にいこうぜ」

「何、焼肉食い放題だと!けしからん、必ず行くぞ、一護!」

ふふんと、今度は一護が得意げになった。

そもそも、ルキアと籍を勝手にいれ、黒崎一護を朽木一護にしたのは白哉なのだ。

それなのに、ルキアの取り合いをしたり、嫌がらせをしたり。

白哉の性格は、何気にねじ曲がっている。おまけの極度のシスコンだ。

それに加えて、義妹であるルキアの白哉大好きのブラコンなのだ。

この兄妹、本当になぜ一護と結婚したのだろうかと思うほどに仲がよい。

「では、今から兄様のお弁当を作ってきます。一護は、兄様と先に朝餉をとっていてくれ」

「うわ、最悪だ」

「こちらの台詞だ」

朝食のメニューがやってくる。白哉のは普通であったが、一護のはわかめ大使だった。

「ふ・・・甘いぜ」

わかめ大使をもきゅもきゅと、一護は食べた。

しかし、顔色が赤くなって蒼くなって、また赤くなった。

「からいいいいい!」

唐辛子とマスタードが、これでもかというほど入っていた。

水をごくごく飲む。

水のおかわりを頼むと、沸騰したお湯をもってこられた。

「水!」

仕方なしに、井戸までいって水を飲んだ。

「くー白哉めえええ!覚えてろーーー!」

その日の朝は、白哉の勝ちだった。



9時前になり、一護もルキアも13番隊隊舎に出勤する。

「今日は、通常の仕事の他に、流魂街での虚退治がある」

「お、待ってました。最近体あんま動かしてないから、いい運動になるぜ」

一護は、ルキアの他に誰もいないことを確認すると、ルキアを抱き締めた。

「ふあっ!?」

突然のことで、ルキアが目を丸くする。

「好きだぜ、ルキア」

「それくらい、知っておる」

舌が絡まるキスをして、二人は離れた。

それから12時まで執務仕事をして、12時になって、朽木家から昼のメニューがやってくる。

豪華ではあるしメニューの数は多いが、1品自体の量は少なく、食べ残しをあまりしないように配慮されていた。

足りない時は、言えば追加メニューが出てくる。

今日の一護のメニューは普通だった。普通すぎて、つまらなかった。美味しかったけど。



一方の白哉は。

愛しい義妹の手作り弁当を食べようとしていた。

さらさらと、弁当箱が粉っぽいことに気づき、まさかと思って中身をあけると、弁当の上にいっぱい砂糖がかけてあった。

「く、あやつ・・・・・・」

白哉は甘い物が嫌いだ。

仕方なしに清家を読んで、早急に昼餉の準備をしてもってくるように命じた。

「せっかくのルキアの手作り弁当だというのに・・・・・」

砂糖のかかっていない一部分だけしか、食せなかった。

昼は、一護の勝ちだった。



一方、一護とルキアは。

それから流魂街に、席官を数名伴って、虚退治に出かけた。最近24地区で暴れまわっている虚の大群だった。

姿を現した虚たちを、ルキアと一護はなんの遠慮もなく切っていく。

虚の数は多く、こちらは席官をいれて5名だったが、尸魂界を二度も救った英雄がついているのだ。

遅れをとることなど、万に一つもない。

「うらぁ!・・・ああ、たまには卍解するような強敵はいねぇもんかなぁ」

「たわけ!貴様が卍解をするような相手がいたら、尸魂界にとっても脅威だ!」

「それもそうだな」

斬魄刀をしまい、帰路につく。

今日は戦闘があったので、執務仕事をは早めに打ち切られて、4時には仕事は終わりとされて、
あがることができた。

「少し早いけど、焼肉食い放題の店に行こうぜ」

「うむ。食べ放題なのであろう。今から楽しみだ」

少し早かった。店は5時からあくのだ。

仕方なしに、ベンチに座って、膝にルキアを乗せた。

「これは、なんの意味があるのだ?」

「ん?意味なんかねーよ。ただ、お前といちゃつきたいだけ」

「たわけが・・・・・」

そう言いながらも、ルキアは長くなった黒髪をいじってくる手を止めなかった。

そうだと、一護は懐から何かの箱をとりだした。

「これは?」

「やるよ。この前店で見つけて、いいなと思って買ったんだ」

先端にアメジストをあしらった、ヘアピンだった。

「かわいいではないか。貴様にしては、私のつぼをよく分かっているな」

「お前のつぼはたまにチャッピーとかわけわからないのあるけど、概ね10代の少女のまんまだろ」

「10代のままか・・・・そういう一護も、18のまま時が止まってしまったな。死んだこと、本当に後悔しておらぬのか?」

「ああ?別に後悔してねーよ。確かに親父や妹たちや友人を置いてきたのは悪いと思ってるけど、こっちにこれてお前と結婚できて、俺は死んで良かったとさえ思っている」

未練も悔いもないと言われて、ルキアもすっきりした顔をしていた。

「私はな・・・・いつか、貴様が他界したら、魂をもらいにいこうと思っていたのだ。技術開発局で開発した、魂魄の若返りの装置を使い、貴様を若返らせて、死神にさせようと思っていた。それが、若くして、事故ではあるがこちら側にきて、喜んではいけないのだが喜んでしまったのだ。また、共に在れると。そして貴様は本物の死神となった。いつか、貴様にこの狂おしい想いを告げようとして・・・・兄様が、籍をいれてしまったのだがな」

ルキアは苦笑する。

「まぁ、籍のことは白哉に感謝かな。お前、恋次とできそうになってただろ」

「な、何故それを知っておるのだ!」

「恋次のやつ、お前にベタ惚れだったからな。横からかっさらうようで悪かったが、こればかりは俺も譲れねぇ。ルキア、お前は俺のものだ」

「一護・・・・・・」

唇が重なる。

「お待たせいたしました、只今より開店でーす」

二人は、ぱっと離れた。

そして、焼肉食い放題を思う存分頼んで、酒も飲んで二人は朽木邸に帰宅した。

食堂で、白哉が長椅子に横になって寝ていた。子猫と遊んでいたらしく、周囲には猫の玩具が散乱していて、子猫が3匹、白哉と一緒に眠っていた。

「お疲れなのだろう。そっとしておこう」

「ああ」

眠いっている白哉の表情は穏やかで、同じ男とは思えない端正な作りをしていた。

「今日の夜は、勝負はなしだ、白哉義兄様」

ルキアは、寝室からもってきた毛布をそっと白哉にかけて、にゃあにゃあと鳴き出した子猫3匹を連れて、食堂を後にした。

琥珀は、ルキアと一護の寝室にいた。

にゃあにゃあと、残りの2匹の子猫にお乳をあげていた。・

「琥珀、この子らをわすれているぞ」

3匹の子猫を与えると、琥珀はぺろぺろと3匹の毛並みを舐めた。

「よし、ルキア、俺たちも子作りするぞ!」

「おい、一護、こんな時間から!」

「夕飯もくったし、後は湯あみするだけだろ」

「で、では湯浴みをしてからだ」

「分かった。でも、湯浴みが終わったら、抱くぞ」

ルキアは真っ赤になった。

たまに、一護は男らしいところがある。でも、優しいのだ。

ルキアが拒否すると、まずしないだろう。

「一度、だけだぞ」

「うっし。好きだぜ、ルキア」

触れるだけのキスを何度もしてくる。

一護は、甘く優しい。

甘くて甘くて、まるで砂糖菓子のようだった。

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