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学院生活

それは、まだ一護が真央霊術院の特別転校生としてやっていた日の物語。


一護は、いきなり4回生からの編入生徒になった。

一護の霊圧は荒々しく、虚のそれが混じっているため、友人らしい友人はできなかった。

「こら、一護!貴様、弁当を忘れたであろう!」

「ルキア・・・・こんな学院にまで、何しに来てやがんだ」

「貴様!せっかく弁当を届けてきてやったというのに・・・ええい私が食してやる!」

「ああっ、嘘、ごめんなさい!」

屋上で、いきなり重箱の弁当を広げて食べだすルキア。

「ほら、あーんしろ」

「あーん・・・・って何させやが・・・・むごっ!」

口をあけた一護に海老の天ぷらをつっこんで、次にちくわの天ぷら、また海老の天ぷらをつっこんでいくと、一護が喉をつまらせた。

「げふごふっ・・・・」

なんとか咀嚼して飲み込むと、ルキアの額に額をぶつけた。

「痛いではないか、何をする!」

「そりゃこっちの台詞だぼけ!俺を殺す気か!?」

「貴様と私は一蓮托生・・・・貴様が学院にいくならば、教師として赴任するまでよ」

「はぁ?お前が教師!?この真央霊術院ってとこも、かなり落ちぶれた学校なのか」

「たわけ!そんなわけがなかろう!今いる死神たちは、この真央霊術院を卒業した者がほとんどだ!」

「ふーむ。でもお前が教師ねぇ。なんの教師だよ」

「鬼道だ。少々得意でな。元々私は、この学院をまともに卒業してはおらんのだ。朽木家の養子になり、すぐに卒業させられて死神となった・・・・・・」

ふっと、ルキアに暗い影が落ちる。

「私は・・・・・んっ」

一護に、口づけされていた。

「お前はお前だ。養子にされたから学院まともに卒業してないからって、なんなんだってんだよ。お前はお前の力で13番隊副隊長にまで登りつめたんだろうが」

「一護・・・・・・」

一護は、ルキアを抱き締めた。

「教師として、また学院の雰囲気に馴染めばいいさ。お前はもう、誰がなんといおうと、13番隊副隊長なんだ」

「一護・・・好きだ・・・・・」

「俺もだぜ、ルキア」

授業開始を予告する、10分前の鐘がなる。

一護は急いで弁当を食べ始めた。ルキアもだ。

「なんで俺の弁当、お前まで食ってるんだよ!」

「これは、私の分まで作られておるのだ!」

「道理で一人分にしては量があるはずだ」

なんとか食し終わり、ルキアと別れた。

「ではな、マイハニー!」

何処で覚えたのか、なんか間違った知識をいろいろと身に着けてしまっているルキアだった。

午後になって、ルキアの指導する鬼道の授業になった。

言霊を詠唱し、的に向かって放つ。

ルキアが、手本を見せる。的は粉々になり、クレーターができた。

「凄い・・・流石は13番隊の副隊長様だ」

「素敵・・・お近づきになりたい」

「お姉さま・・・・」

なんか危ない生徒多くないか?

そう思いながらも、詠唱し的にあてようとして、自分が黒焦げになった。

「ええい、もう一回だ!」

霊圧のコントロールに向かない一護であるが、その霊圧の高さは尸魂界でも一番だ。

「やった!」

なんとか的にあたった。

大分それて、後ろの建物を粉々に破壊した。

「やべぇよ・・・・黒崎一護だっけ・・・・そうそう、尸魂界の英雄」

「今更学院になんて、何しに来てるのかしら」

やはり、友人はできそうになかった。


帰り道、ルキアと手を繋いで帰った。

「今日は、兄様が特別にプレゼントがあるそうだ。そうそう、恋次も来ているのだ」

「お、恋次か。なかなか会えなかったからな。酒でも飲んで騒ごうぜ」

一護は未成年であったが、尸魂界に未成年が飲んではいけないという法律はない。

現世では飲まなかったが、尸魂界では一角、弓親、恋次あたりとつるんで飲みあった。


朽木家に戻ると、わかめ大使の着ぐるみを着た恋次がいた。

「ぎゃははははは!」

「あーっはっはっはっは!」

一護とルキアは、二人で地面を叩いて笑い転げた。めっちゃシュールだった。

「笑いたきゃ笑いやがれ・・・・でもなぁ、一護、てめぇの分まであるんだぜ」

「え」

現れたのは、なぜか様になっている、朽木白哉。同じく、わかめ大使の着ぐるみを着ていた。

「おお、兄様、お似合いです!」

「おい、ルキア、その変わり身の早さはなんだ!」

恋次がむきになる。

「兄も、これを着ろ」

「嫌だって言ったら・・・・?」

「散れ、千本桜・・・・・・」

「うわああああ、嘘だ、着る、着るからやめろ!」

朽木白哉も大戦を生き残った。強者であることには変わりない。

「私が着させてやろう」

嬉しそうに、わかめ大使の着ぐるみを一護に着せていくルキア。

「わかめ大使トリオだ」

白哉の言葉に、涙を流しながら笑顔を浮かべる恋次と一護がいた。

写メをとられ、死神という死神にまでメールを送る白哉。

「だから、友達いねーんだな」

「卍解、千本桜景厳・・・・・・」

「ぎゃああ、洒落になんねーぞ一護、早く謝りやがれ!」

「ぎゃあああ、すまねぇ白哉あああって、あああああ!!」

数億の桜の花びらに埋もれて、一護と恋次は仲良く気絶した。

「兄様、その恰好のフィギュア人形をつくるなど、どうですか!?」

キラキラした瞳で、ルキアはわかめ大使の着ぐるみを着た義兄を見た。

「ふむ、それもよいな・・・・・思案しておく」


「ほれ、一護、恋次、いつまで気絶しておるのだ」

「白哉は!?」

「もう、屋敷に戻られた」

「隊長のあほー!」

恋次は、わかめ大使の着ぐるみを脱ぎ捨てた。そして、さっきまで恋次がいたところに、千本桜の花びらが舞う。

「おーこえぇ。地獄耳・・・・」

恋次は、長年付き合った隊長である白哉のことを、一護よりは理解していた。

「おい、恋次、帰る前に飲みに行こうぜ」

「おう、いいな!」

「ルキアもくるだろ?」

「ふむ・・・・まぁよい、仲間にくわわってやろう」

次の日べろんべろんに酔ったルキアと一護がいた。学院は、二日酔いで休みだ。ルキアも教師としての授業を休んだ。

恋次は飲み慣れているし、加減というものを知っているので、二日酔いになるほど飲まなかった。

ルキアは、あまり酒を飲んだことがないので、一護の学院への愚痴を聞きながら飲み交わしていた。そしたら、深酒になってしまった。

「兄とルキアは・・・・もう少し、自分の限界というものを覚えろ」

白哉に看病されるルキアはまだいい。一護など、薬を与えて放置だ。

「くそ・・・・いつか、見返してやる」

「兄様・・・・お花が回っています」

「ルキア、つらいなら4番隊まで連れていくが」

「いえ、そこにまでは及びません。薬も飲んだし、静かにしていれば、直に治るでしょう」

「俺は放置プレイ・・・・・」

「一護は放置プレイが大好きだからな!」

「ルキア、後で覚えてろ~」

一護はむなしく、天井を見上げるのだった。

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