寒椿
今年も、椿の花が咲いた。
6番隊隊長は、代々朽木家の当主が主に選出されていたため、庭に植えられた隊花である椿は、今年も見事に咲き狂っていた。
「隊長?」
恋次が、先へ行こうとして動かない白哉を振り返る。
「どうしたんですか、隊長」
「我が隊の隊花が何か知っているか?」
「椿でしょう。隊長のこの屋敷にいっぱい咲いてますね」
「もともと、お爺様の代より前から、6番隊の隊長は朽木家の当主が選出されてきた。多分、私の代で、朽木家の当主が6番隊の隊長になるのは終わりだ」
恋次の顔が、苦しそうに歪む。
「子供が、できないからですか」
「それもある。もっとも、私も子供が欲しいだけなら妾なりなんなりを侍らせて、子を産ましている」
「隊長・・・・・・・」
白哉は、白い椿の花を手折って、恋次に渡した。
「次の当主は、きっと遠い親戚筋か、最悪養子をとるだろうな」
「隊長、俺との関係は重荷ですか?」
「誰もそんなこと、言っていないであろう。次の当主が選ばれるのも、養子をとるとしても、もう剣が振るえなかった時だ。お爺様の朽木銀嶺様のように、年老いていても私はきっと、隊長で在り続けるだろう」
「その隣には、俺はいるんでしょうか」
「それはお前次第だ」
恋次は、渡された椿を、昔のように白哉の髪に飾った。
「やっぱ、隊長には赤色も似合うけど、白の椿も似合う」
「昔もらった紅色の椿は、今でも氷室に保管している。お前からもらった物の中で、一番嬉しかった」
恋次は、その言葉にとても嬉し気だった。
「隊長・・・・椿の花言葉が、色で違うこと知ってますか」
「知っている。白は「完璧な美しさ」「申し分のない魅力」「至上の愛らしさ」であろう」
「全部、隊長に当てはまります」
「最初の2つはいいとして、最後の至上の愛らしさななどは、私にはない」
白哉が首を横に振りながら、言う。
「そんなことないですよ。隊長かわいいじゃないですか」
「どこがだ」
「寝ている姿とか、めっちゃあどけなくてかわいい。行為中も隊長は・・・いてて」
恋次の三つ編みにされた髪を引っ張っていた。
白哉はやや頬を染めていた。
「それ以上言うと、この髪を切るぞ」
「ああっ、けっこうがんばって伸ばして揃えてるんです。勘弁してください」
「ならば、それより先を言わぬことだ」
恋次は、髪から白哉の手を退けた。
「とにかく、隊長は完璧なくらいに美しくて、申し分のない魅力をもっていて、とっても愛らしいってことです」
「褒めすぎだ」
「白椿、似合ってますよ・・・・・」
唇が重なった。
「んん・・・・・・んう」
始めは浅くだったが、次第に深くなっていく。
「ん、やめよ・・・・誰かきたらどうする」
「もう少しだけ・・・・・・」
また、深く口づけた。
恋次が舌を引き抜くと、つっと銀の糸が垂れた。
「このような場所で、キスなどするな」
「照れてます?」
白哉の頬が朱かった。
「知らぬ。行くぞ」
白哉は、6番隊の執務室まで歩いていく。
距離がけっこうあったので、途中で瞬歩を使い出す。
昔は全然追いつけなかったが、恋次も成長した。白哉の瞬歩のスピードについていけるようになっていた。
白哉の髪には、白い椿が飾られたままだった。
執務室につくと、そっと白い椿を机の上に置く。
「どうするんすか、それ」
「また、ルキアに頼んで、氷漬けにして氷室で補完する」
「椿、好きなんですね」
「隊花のせいもある。だが、個人的に好きなのだ。梅の花も桜の花も好きだが・・・・」
恋次が最初に濃い紅色の椿をくれたせいだとは、口が裂けても言わない白哉だった。
6番隊隊長は、代々朽木家の当主が主に選出されていたため、庭に植えられた隊花である椿は、今年も見事に咲き狂っていた。
「隊長?」
恋次が、先へ行こうとして動かない白哉を振り返る。
「どうしたんですか、隊長」
「我が隊の隊花が何か知っているか?」
「椿でしょう。隊長のこの屋敷にいっぱい咲いてますね」
「もともと、お爺様の代より前から、6番隊の隊長は朽木家の当主が選出されてきた。多分、私の代で、朽木家の当主が6番隊の隊長になるのは終わりだ」
恋次の顔が、苦しそうに歪む。
「子供が、できないからですか」
「それもある。もっとも、私も子供が欲しいだけなら妾なりなんなりを侍らせて、子を産ましている」
「隊長・・・・・・・」
白哉は、白い椿の花を手折って、恋次に渡した。
「次の当主は、きっと遠い親戚筋か、最悪養子をとるだろうな」
「隊長、俺との関係は重荷ですか?」
「誰もそんなこと、言っていないであろう。次の当主が選ばれるのも、養子をとるとしても、もう剣が振るえなかった時だ。お爺様の朽木銀嶺様のように、年老いていても私はきっと、隊長で在り続けるだろう」
「その隣には、俺はいるんでしょうか」
「それはお前次第だ」
恋次は、渡された椿を、昔のように白哉の髪に飾った。
「やっぱ、隊長には赤色も似合うけど、白の椿も似合う」
「昔もらった紅色の椿は、今でも氷室に保管している。お前からもらった物の中で、一番嬉しかった」
恋次は、その言葉にとても嬉し気だった。
「隊長・・・・椿の花言葉が、色で違うこと知ってますか」
「知っている。白は「完璧な美しさ」「申し分のない魅力」「至上の愛らしさ」であろう」
「全部、隊長に当てはまります」
「最初の2つはいいとして、最後の至上の愛らしさななどは、私にはない」
白哉が首を横に振りながら、言う。
「そんなことないですよ。隊長かわいいじゃないですか」
「どこがだ」
「寝ている姿とか、めっちゃあどけなくてかわいい。行為中も隊長は・・・いてて」
恋次の三つ編みにされた髪を引っ張っていた。
白哉はやや頬を染めていた。
「それ以上言うと、この髪を切るぞ」
「ああっ、けっこうがんばって伸ばして揃えてるんです。勘弁してください」
「ならば、それより先を言わぬことだ」
恋次は、髪から白哉の手を退けた。
「とにかく、隊長は完璧なくらいに美しくて、申し分のない魅力をもっていて、とっても愛らしいってことです」
「褒めすぎだ」
「白椿、似合ってますよ・・・・・」
唇が重なった。
「んん・・・・・・んう」
始めは浅くだったが、次第に深くなっていく。
「ん、やめよ・・・・誰かきたらどうする」
「もう少しだけ・・・・・・」
また、深く口づけた。
恋次が舌を引き抜くと、つっと銀の糸が垂れた。
「このような場所で、キスなどするな」
「照れてます?」
白哉の頬が朱かった。
「知らぬ。行くぞ」
白哉は、6番隊の執務室まで歩いていく。
距離がけっこうあったので、途中で瞬歩を使い出す。
昔は全然追いつけなかったが、恋次も成長した。白哉の瞬歩のスピードについていけるようになっていた。
白哉の髪には、白い椿が飾られたままだった。
執務室につくと、そっと白い椿を机の上に置く。
「どうするんすか、それ」
「また、ルキアに頼んで、氷漬けにして氷室で補完する」
「椿、好きなんですね」
「隊花のせいもある。だが、個人的に好きなのだ。梅の花も桜の花も好きだが・・・・」
恋次が最初に濃い紅色の椿をくれたせいだとは、口が裂けても言わない白哉だった。
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