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彼岸花

残暑もまだ残る9月の終わり。

雨乾堂に植えた、彼岸花が一斉に咲いて、赤い絨毯のようになった。

「これは見事だねぇ」

京楽が舌を巻く。

「綺麗だろう」

植えたのは浮竹だ。自慢気に、真紅の絨毯を見せる。あまりにも美して、日番谷や松本といった、仲の良い死神も見に来たくらいだ。

中でも浮竹を驚かせたのが、白哉がきたことだろうか。白哉が意味もなく、出歩くことはない。ただ、人づてで浮竹のところの彼岸花がすごく美しいということを耳にして、興味をかられてやってきたらしい。

「日番谷隊長と松本副隊長が一昨日来たんだ。昨日は、なんと白哉がきたんだぞ」

「へえ、堅物の朽木隊長がかい」

「白哉は、一見感情がないように見えるが、身近に接していればけっこう喜怒哀楽が分かって楽しいぞ」

「浮気、しちゃだめだよ?」

「おいおい。俺はそんな目で百哉を見たことはないぞ。むしろ弟のように思っている。日番谷隊長は息子かな」

声をあげて、浮竹が笑う。

つられて、京楽も朗らかな笑い声をあげた。

「酒盛りしようっていってたでしょ。君の好きな甘いお酒、いろいろ仕入れてきたんだ。お酒を飲もう!」

「そうだな」

彼岸花のどこでも続く紅い絨毯を、縁側から見下ろして、二人は酒盛りを始めた。

お互いん杯に酒を注ぎあう。

京楽はカクテルを浮竹の杯に、浮竹はいつもより強めの果実酒を京楽に。

昼食の時間でもあったので、酒を飲みながら、昼食も食べた。

赤い絨毯のすみっこに、白い絨毯があった。

「あれは?」

「あれは白い彼岸花。赤い色のほうが好きだから、端のほうに植えたんだ」

「へえ、白い彼岸花は初めて見るけど、悪くないね」

「彼岸花は、花の形が特殊だからな」

今日は、前から言っていた通り、京楽は黄色い薔薇を持ってきた。

浮竹の白い髪には、黄色い薔薇が飾られてあった。

いつもなら、「僕の黄薔薇姫」と囁くところであろうが、今日は彼岸花の美しさに圧倒されて、酒盛りに夢中になっていた。

「零れる零れる」

「おっと、注ぎすぎたね」

浮竹の手を濡らした酒を、京楽は舌でなめとった。

ちょっとエロくて、浮竹は頬を朱くした。

「どうしたの?」

「なんでもない」

俺だけだろうか?こんなことを思うのは。

少し興味が沸いて、浮竹の杯に零れるほど酒を注いだ。

「おっと、零れた・・・」

ペロリと、手に零れた酒を舐めとると、黒曜石の瞳で見つめられた。

「どうした?」

「誘ってるの?」

ああ、俺だけじゃなかったんだ。

そうほっとして、首を振る。

「誘ってなんかない」

「ねぇ、彼岸花・・・別名曼珠沙華。庭の花、いくつかとっていいかい」

「ああ、いいぞ」

京楽は、20本ほど鋏で彼岸花をつむと、それを雨乾堂の畳の上に広げた。

「寝転がってごらん」

「ああ」

言われた通りに寝転がってみると、まるで彼岸花に包まれているような気分になった。

「どうだい?」

「悪くないな。さすがに、庭の彼岸花の上に寝転がるわけにはいかないからな」

京楽が、覆いかぶさってくる。

「彼岸花の中で抱かれたいって思わない?」

「思わん。重い、どけ」

京楽がどかないので、浮竹は好きにさせた。

何度か口づけを求められて、答えてやる。浮竹が、京楽を押し倒した。

「浮竹・・・・・・」

「どうだ。彼岸花に囲まれた気分になるだろう」

浮竹のほうから、口づけてきた。でもすぐに京楽の手にかかり、甘い声をあげることになる。

「ううん・・・・・・」

全身にキスの雨が降ってきた。死覇装を脱がされて、肩甲骨から背骨のラインを唇がはう。

「浮竹の背中は綺麗だね・・・・・・」

「お前も、背中はあまり毛がはえていないし、綺麗な背中をしているぞ」

「浮竹の妖艶な背中には負けるよ」

「どこが妖艶なんだ」

「どこもかしこも」

京楽は、浮竹の花茎に手をかけた。ぐちゃぐちゃと音がするくらい上下に扱うと、浮竹はあっという間に精を放ってしまった。

「あああああああ!!」

京楽は、浮竹を貪った。

「ああっ」

潤滑油を指にかけて、蕾を解していく。

「ううん・・・・」

体内でばらばらに動かされて、その一本が前立腺をついて、浮竹は声をあげる。

「やっ」

「いやじゃないでしょ?ここ、こんなにひくついて、僕を求めてる」

「ああっ、言うなっ・・・・・・ああああ」

前立腺ばかりを、指で刺激されて、二度目の精を放った。

「中に入れるよ」

「やあああああああ」

突き上げられて、ぱらりと、髪に飾られていた黄色の薔薇が落ちた。

「今日は、彼岸花姫だね・・・・・」

「ううん」

前立腺を突き上げてくる。入口まで抜いて、最奥にたたきつけるように挿入されて、浮竹はその激しさに宙に白い髪を乱れさせた。

「うああああ!」

今日は、いつもより荒々しい抱き方をされた。でも慣らされてしまっている体は、それにも反応する。

「あうっ」

突き上げられながら、前をいじられて、達したのと同時にオーガズムでもいってしまい、浮竹の意識が一度ぷつりと途切れた。

「浮竹・・・・」

また突き上げられて、すぐに意識を取り戻す。

「あ、俺・・・・・意識を?」

「もうすぐ終わるから、我慢して」

「ううん」

何度かまた前立腺をすりあげられて、京楽も浮竹の最奥に欲望を放って満足した。

情事の後の色っぽさに、京楽はまた熱をもったが、すでに浮竹は3回も出している。もうこれ以上は交われないだろう。

二人で、湯あみをした。湯あみの最中、浮竹の裸をおかずにぬくと、頭をはたかれた。でも、熱をもてあましてしまったのだから、仕方ない。

二人分の体重に押しつぶされた彼岸花は、もうどうすることもでないので、せめて土に還るようにと、庭のすみに埋めた。

「また、来年も綺麗に咲くといいね、彼岸花」

「ああ。今度はもう少し白い彼岸花も多めに植える。知っているか?白い彼岸花にはあなたを想うっていう花言葉があるんだぞ。俺から、お前に」

そっと、机の下に隠してしあった、白い彼岸花を京楽に贈った。

「浮竹・・・・・大好きだよ。愛してる十四郎」

「んっ。俺も大好きだ・・・・・愛してる、春水」

彼岸花が枯れるまでの間、思っていたよりも多くの客人が訪れて、浮竹が笑顔を零していた。



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