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忘れな草

春も終わり、初夏になろうかという5月の終わり。

白哉が、忘れな草の花束を手に、執務室にやってきた。

「隊長、それ俺にくれるんですか?いやぁ、隊長のことを忘れないようにって?」

「寝言は寝て言え」

ぴしゃりと、はねのけられた。

「冗談ですよ、冗談。誰にもらったんですか?」

「ルキアだ。13番隊の裏で、育てているらしい」

「ふーんルキアが。あいつでも、女らしいことあるのか」

「貴様、我が義妹を侮辱するのか?」

おっと。

怒らせてしまったようだ。

白哉はルキアにとことん甘い。

そのルキアは、今は現世だ。一護のところにいる。

いくら尸魂界を二度にまで渡って救った英雄といっても、しょせんは一護は人間。白哉も長いこと悩んだ。悩んだ末に、二人の交際を許可した。まぁ、許可が下りる前から二人は付き合っていたし、肉体関係もあった。

「隊長には、忘れな草みたいなかわいい花も似合いますね」

眉を顰められた。

「寝言は寝て言え。それより、この花瓶に水を汲んでこい。生ける」

「はいはい」

そう大きくもない花瓶に水をいれてもってくると、白哉は適当に花束をつっこんだ。

「ああ、それじゃダメです隊長。花に水が届きません」

「こうか?」

「いえ、違います」

「ああもう、恋次、貴様がやれ」

恋次は、器用に忘れな草を花瓶に生けた。

「これ、何処に置きます?」

「机の上は倒してはいけないからな。掛軸の前にでも置いておけ」

数百万はくだらないであろ、見事な掛軸のまえに、花瓶を置いた。

一輪だけ手にとって、白哉の髪にさした。

「なんの真似だ」

「俺のこと、いつまでも忘れないように」

「・・・・今日、あの館にこい」

「おっしゃ!」

夜のお誘いである。ここ2週間ばかり声をかけられていなかったので、そろそろだと思っていたのだ。


夜になり、いつもの館にくる。

夕食を食べて、湯浴みを済ませた。

少し酒を飲み交わしあった。

その部屋にも、忘れな草が置かれていた。

可憐な花に、どこか白哉を重ねた。


「ん・・・・・・」

キスをすると、白哉は恋次を抱き締める。恋次が抱き締めると、その背中に手を回す。

変わったものだ、本当に。

昔は、行為をする前もした後も、甘い空気なんてなかった。

今は、とろけるように甘い。

「ふあっ・・・・」

舌が絡むキスをすると、白哉が恋次を押し倒した。

「え?」

いつもと逆の立場で、ちょっと混乱する。

白哉は、恋次の死覇装を脱がせながら、入れ墨のあとにキスをしてきた。

「よっこらしょっと」

「あ・・・・」

「積極的なのは嬉しいけど、あんたを抱くのは俺なんで」

白哉が押し倒されていた。

「ん・・・・・」

唇を重ねると、ピチャリと水音がした。白夜の口腔を存分に楽しんで、舌がぬかれいく。銀の糸が引いた。

隊長羽織を脱がし、死覇装を脱がしていく。

真っ白な肌だった。

少し長めの黒髪は艶があり、漆黒の瞳は深い夜を思わせた。

「んあ・・・」

死覇装からは見えない位置に、キスマークをこれでもかというほどに残してやった。

平坦な胸を撫でて、先端を指で転がし、ひっかくと、白哉が声をもらした。

「ああ・・・・・」

「ここ、いいんだ?」

「し、知らぬ!」

何度もいじっていると、白哉は身を捩った。

もう、反応している花茎からだらだらと先走りの蜜を零していた。

「こんなに濡らして・・」

「し、知らぬ!」

キスをしてやると、白哉は大人しくなった。

潤滑油で濡らした指を体内にもぐりこませると、白哉は息を飲んだ。

「ひうっ」

「息、ちゃんとしてください」

体から、力を抜く。

スムーズに指が3本入った。前立腺のある場所ばかりを刺激していると、ビクリと白夜の体がはねた。

「あ・・・・」

いってしまったのだ。

その後で、またとろとろと先走りの蜜を零す。

「隊長、かわいい・・・・・・」

抱きしめてから、白哉を熱で引き裂いた。

「ああああああああ!」

痛みで、涙が零れた。

「ん、ん、ん!」

はじめは、痛みを少しで和らげるためにと前を宥められる。トロトロと蜜を零すその場所は、いじられることで2回目の射精を迎えた。

「んあああああ!」

白哉をなるべく気持ちよくさせてやろうと動く。汗が滴った。

「私のこととは良い・・・・好きにせよ」

その言葉に、恋次は奥を突きあげてそこで熱を放った。

「あああ!」

白哉の体を少し強引に開かせていく。

「はうっ!」

前立腺ばかりを突き上げていると中が締まり、恋次は二度目の熱を白夜の体の中に放った。

「今日はここまでにしときましょうか。明日も仕事だし、響くと困るので」

「そうだな・・・・・・」

二人で、湯浴みをした。

今日は2回だけだったので、白哉の体内からかき出した恋次の体液も少なかった。

湯浴みを終えて、シーツを変えた褥に横になる。

ふと、恋次は数本の忘れな草を花瓶からとって、白哉の髪につけてヘアピンで留めてしまった。

「おなごではあるまいし・・・・・」

「ちょっとだけ、その姿でいてくださいよ」

ぱしゃりと、伝令神機で写真を撮った。

「隊長には、椿のような豪華な花も似合うけど、忘れな草みたいな可憐な花も似合いますね」

「おなごではないと、言っている」

髪から忘れな草を外し、元の花瓶に生けてやった。

「知ってますか。忘れな草の花言葉」

「私を忘れないで、であろう」

「その他にもあるんです。誠の愛。真実の愛。俺たちにぴったりだと思いませんか?」

「世迷言を・・・・・」

「愛しています、隊長」

「私も・・・貴様を愛している、恋次」


忘れな草が、水色の可憐な花びらを散らしていく。

白哉と比べると、忘れな草の水色の花りも、白哉のほうが可憐だと思う恋次であった。






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