怒った浮竹さん
「日番谷隊長~」
「あーもううっせーな、朝からなんだよ」
10番隊の執務室にやってきた浮竹は、何かの包みをもっていた。
「お弁当をつくってみたんだ。味見してくれ」
「はぁ?浮竹、お前が作ったのか?」
「そうだが」
「お前、料理なんてできたのか?」
意外だと見ると、少し照れくさそうにしている浮竹がいた。
「普通だ」
「自分で味見しろよ」
「したけど、よくわからない」
どういう弁当だよ。
包みをあける浮竹。日番谷は、どんな恐ろしい弁当が待っているのかと身構えていた。ぶくぶく泡立つ液体や、ゲル状のものが入ってたらどうしようか、胃薬常備してたかとか。
ぱかっと中をあけると・・・・・・京楽の顔があった。
「キャラ弁かよ。しかもおっさんの」
「ああ・・・ただの海苔だから」
ご飯の上にかかれた京楽の顔は、海苔でできていた。おかずを見てみる。卵焼き、タさんンウィンナー、焼きそば、ツナとほうれん草のあえもの、ポテトサラダ。
あまりにも普通・・・いや思っていた以上の弁当に、日番谷が声を出す。
「これ、本当に俺が食っていいのかよ?」
「ああ。感想がききたい」
「味がすげぇとかだったらどうすればいいんだ」
「食べ残してもいいし、捨ててもいい」
まずは、いまいましい京楽の顔から食ってやった。海苔の味がしたが、ご飯は炊きこみご飯で上品な味がした。
「けっこううまい・・・・?」
卵やきを食べてみる。
出汁巻き卵らしく、料亭の味がした。
「美味い!?」
気づくと、全部平らげていた。
「本当か?」
浮竹が顔を輝かせる。
「浮竹、お前料理できたんだな」
「いや、子供の頃たくさんの弟や妹はいたからな。両親は共働きだったし、たまに兄弟たちの分まで飯をつくることがあったんだ」
「それ、料理ができるで、いいんじゃねーか?」
嬉し気な浮竹に、自然と日番谷の表情も綻ぶ。
「あとは、同じ弁当をつくって、涅マユリの薬を入れるだけだ・・・・・」
「おい、ちょっとまて。今、聞き捨てならない言葉が聞きこたぞ」
「いっそ、ヒ素でも盛るか?」
「まてまてまて。何故そうなる」
浮竹を止めようとすると、浮竹はゆらりと霊圧をほとばしらせた。
「あの男、涅マユリの性別転換の薬を俺に盛りやがった。おまけに最後までしやがった・・・・同じ目に、あわせてやる!」
ブーーーー!
日番谷は、お茶を吹き出した。
「せ、性別転換の薬?」
「しかも中だししやがった」
ブーーーー!
日番谷は、またお茶を吹き出していた。
だんだんと、状況が読めてきた。
浮竹は、京楽に騙されて性別転換の薬を盛られ、おいしくいただかれてしまったのだ。
「待て、だからといって殺すのはやばいだろ!」
「女にして、飢えた流魂街の男どもの巣にほうりこんでくれる!」
女性化した京楽を想像してみる。もじゃもじゃの京楽に胸と少し大きめのけつをつけたしてた。
想像するだけで、寒気がした。
「浮竹ぇ~」
情けない声が聞こえてきた。
「・・・・・・・・・・」
浮竹は、それを無視する。
「そんなに怒らないでよ。僕が悪かったってば。もう薬は使わないから」
「・・・・・・・・・殺す」
双魚理を解放する浮竹の霊圧に、日番谷は身震いした。
「なんて霊圧をもってやがんだ・・・・・俺以上じゃねーか」
抜刀して、切りかかる浮竹は本気で怒っていた。花天狂骨でなんとか受け止める。
「くっ、こうだ!」
何かのスプレーを、浮竹にふきかける京楽。
浮竹の霊圧が急激に弱まる。スプレー状の催眠薬だった。
「ずるいぞ京楽・・・・・・」
くたりと、浮竹の体から力が抜けてその体が頽れる。
それを抱きとめて、京楽は愛しそうに浮竹の髪に口づけた。
「おいおっさん!」
さすがに浮竹がかわいそうで、日番谷は険しい表情になっていた。
「ああ、浮竹がなんかいってたんでしょ。酒でに酔った時に薬使ってもいい?って聞いたら許可得たから、君が思っているほど、酷いことはしてないよ」
「でも、性別転換の薬なんて・・・・・・」
「君も興味あるの?」
「あるわけねーだろ!」
「浮竹は僕を女にして復讐したいみたいだけど、あいにく僕は女になったことはあるけど、あんまり美女じゃなかったからね」
「おっさん、自分自身で薬試したのかよ」
ちょっとだけ京楽が女になったところを見てみたいと思った。
「そりゃそうじゃない。愛しい浮竹に薬を使う前に、自分で試してみたさ」
ほらこれと、携帯の写真を見せられて、思っていたよりも美人な京楽の姿に、驚く。
「で、こっちが浮竹」
携帯で写真を見せられる。
かなりの美女だった。白い肌に白い髪、上気した頬に、桜色の唇・・・・基本構造は、今の浮竹と変わらないが。
胸とかぼんばーで、これが浮竹かと思うと、その美貌になんとなく納得がいく。
「日番谷隊長にあげるよ、これ」
ぽんっと渡された。
ラベルに女体化する薬と書いてあった。
「こんなもんいるかああああああ!蒼天に座せ、氷輪丸!」
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