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恋い焦がれ エピローグ

5月15日、待ちに待ったルキアとの結婚式の日が訪れた。

一護は、一護現世にいき、死神としてやっていると、石田と茶虎に知らせた。あと一心にも。

3人は、忙しいだろうにスケジュールを5月15日にあくようにしてくれて、結婚式を見届けにきてくれた。

和服で正装した一護と、一護の願いでウェディングドレスを着たルキアがやってくる。

和装で正装した白哉が、ルキアを連れてやってきた。

式の内容としては、和風形式で進めたが、結婚指輪をはめ合うことと、キスを取り入れた。

もう何度目かも分からぬ、ルキアとのキスをして、酒を飲み交わし合って、結婚は滞りなく行われた。

ルキアのウェディングドレス姿はとても綺麗で。

「ルキア・・綺麗だ」

「このようなヴェール、邪魔になるだけかと思ったが、案外よいものだな」

結婚式には、主だった隊長副隊長が出てくれた。

「朽木、幸せになんなさいよ」

「はい、松本副隊長!」

ブーケを持っていた。

それを投げると、砕蜂の手に落ちた。

「これは・・・・夜一様と式を挙げろということか!」

倒錯した思考にいきついた砕蜂に、並ぶように立っていた夜一が耳元で囁きかける。

「結婚などせずとも、儂とそなたは今のままでいいのじゃ」

「はい、夜一様!」

砕蜂は、ブーケを投げ捨てた。

それは、恋次の手に落ちた。

「俺がもらっても意味ねーんだけどな。ま、ありがたくもらっとくぜ」

白哉は、静かに義妹の結婚式を眺めていた。

「緋真、見ているか。そなたの妹は、今結婚式を挙げた」

緋真・・・そう、白哉は繰り返した。

美酒と御馳走が振る舞われた。

朽木家主催なので、豪華な食事と、高級酒が揃っていた。

「きゃー、飲むわよー!」

「おい松本!みっともないからやめろ!」

そういう冬獅郎も、酒を飲んでいた。

いつの日だったか、朽木家の庭で、恋次とルキア、一護と井上で梅の花を見ながら飲みあったことを思い出す。

もぅ、井上とは連絡をとる気もないし、一護を殺したのだ。その魂は、死後地獄へと落とされる。

ルキアと一護も、酔いつぶれない程度に飲んだ。

「ルキア。今、幸せか?」

「愚問だな。幸せ以外の何があるというのだ」

そのまま結婚式は終わり、初夜が訪れる。

二人は、結婚する前から体を重ね合っていたが、今日はとびきり甘くルキアを抱いてやった。

「ああ・・・・一護・・・・そこやっ・・」

本気で嫌がる様子のないルキアに口づける。

ずっと避妊具ありで体を重ねていたが、今日は避妊具なしだった。

次の日、ルキアも一護も疲れて眠ってしまった。

その翌日には、現世のヨーロッパへ6泊7日の旅に出た。

全てが終わり、尸魂界に帰還して仕事に復帰すると、山のように仕事が溜まっていた。

3席になった小椿が大分処分してくれたらしいが、それでも書類は1週間以上分溜まっていた。

「新婚旅行の後はこうなるのか・・・・・・」

「そうだな。まぁ楽しんだし、仕方ないとして諦めるがよかろう」

二人して、書類を片っ端から片付けた。

残業はしなかった。

4日目あたりに、やっと書類仕事の終わりが見えてきた。

やがて月日はめぐる。

結婚して、3年が経っていた。

最近、ルキアの調子が悪いのだ。食欲もなく、吐き気を訴える。

まさかと思い、かかりつけの医者に診てもらうと、懐妊が明らかになった。

2か月目だそうだった。

「4番隊の診察では、男児と言われているのだ」

「そっか。頑張って、元気な子を産んでくれよ」

一護にとって、生まれてくるの始めての子だ。

流産した子が二人いる。井上が勝手に懐妊し、流産した胎児だった。名など、つけていなかった。

「ルキア、くれぐれも流産に注意してくれよ」

「大丈夫だ、一護。私は井上ではないのだ。ちょっとやそっとで、流産などしない」

ルキアが重いものを運ぼうとすると、一護が運んだ。

月に2回は、4番隊の救護院で胎児の様子を診てもらった。

9か月目になる時、ルキアは初産であるが陣痛の痛みを訴え出した。早産である。

一護だけでなく、白哉も慌てた。

4番隊から、産婦人科を診ている死神を緊急で呼び出して、そのまま朽木邸で、産ませることになった。

無理に動いて何かあったら大変だ。

早産で、少し小さかったが、ルキアは待望の子を産んだ。

男児ではなく、女児であった。

産湯に浸かり、へその緒が切られ、乳児用の着物をきた我が子に、ルキアは涙を流しながら、前から考えていた名をつけた。

「一護の文字を入れて、苺花というのだ」

「苺花か・・・・いい名前だな」

赤子を抱き上げる一護。ルキアは一度母乳を与えると、産褥なので疲れて眠てしまった。

それから、ルキアは1年の産休をとることになった。

男児と言われていたので、着る物とか全部男用のものばかりで、気の早い白哉は袴とかまで用意していた。まぁ、袴は女児でも着れる。

女児と知って、気の早い白哉は振袖などを用意していた。

「兄様、早すぎます!」

ルキアの訴えで、それ以上振袖が作られることはなくなったが、代わりに子供用の高価な着物が溢れた。

ベビーベッドに寝かせた我が子を、ルキアは粉ミルクで育てた。普通の貴族は、乳母を雇うのだが、ルキアの希望により、乳母は雇わなかった。

自分の手で我が子を育てるルキアに、一護も率先して赤子の世話をした。

どうしても、隊長でなければ裁可のおりぬ仕事をもちこまれた時などは、一護がいない時は付き人であるちよに、苺花を任せた。

それから、また月日は弓矢の如く過ぎ去っていいく。

苺花は7歳になり、3つ下の4歳の一勇という男児ももうけた。

苺花は、何かあるたびに、弓親のことをちかさんと呼び、懐いていた。

剣のほどきを、一角から受けていた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ、一護」

「もう一人子供が欲しいって言ったら、笑うか?」

「いや?子は多い方がよい。ただ、面倒が見切れるかわからぬが」

「そうか。なぁ、ルキア」

「なんだ?」

「愛してるぜ」

「私も、貴様を愛している」

二人は、子供が遊んでいる風景を見ながら、キスをした。

二人で、並んでサッカーという現世の遊びをしている子供二人を見ながら、微笑んだ。

愛の果てにあるもの。きっとそれは、幸せ。

恋い焦がれ合った季節は、とうの昔に過ぎ去ってしまった。

今はただ、傍に在れることが幸せだ。

この幸せは、千年近くも続いていくのだ。

いつか。死が訪れて霊子に還っていっても。きっとまた、結ばれる。

永遠の愛を誓いあいながら。

二人は歩き続ける。

明日へ、向かって。



綺麗な歯車がたくさん廻り出す。

幸せだと泣きながら。

二人の歯車は、永遠に廻り続ける。

ただ、未来に向かって--------------------------。




              恋い焦がれ

               fin

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