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恋い焦がれ 愛という名のメロディー

一護は行く当てもなかったが、5席ということで館が与えられた。

そこに移動しようとすると、ルキアは一緒にいくと聞かないものだから、白哉が折れた。

一緒に朽木家にずっと寝泊まりしてもいいことを、許可してくれたのだ。

「白哉、なんかわりぃな」

「悪いと思うのなら、尸魂界のために精々身を粉にして働け」

「へいへい」

ルキアと付き合っていることは、白哉も知っていた。

「一護、てめぇ!」

久し振りに会った恋次が、怒っていた。

「あ?なんだよ、今更ルキアを奪ったとかそういうのなしだぜ」

「違うぼけ!残された家族が友人のことをを、少しは考えやがれ!」

「んーとは言ってもなぁ。他界しちまったもんは仕方ねーし。ま、なるようになるだろ」

「ルキアは泣かせてねーだろうなぁ」

「泣かせるかよ!」

一護が、初めてむきになった。

「なら安心したぜ。腕にぶってねぇなだろうな。仕事終わった後で、6番隊の修練場に来やがれ」

「おう」

一護は、その日から13番隊の5席として働きだした。

副官である小椿や隊長であるルキアに手伝ってもらいながら、死神としての能力を、特に苦手そうな書類仕事を任されて、手伝いがあるとしても、短時間で終わらせてしまった。

「貴様、この手の書類仕事は得意なのか?」

「あー。大学でまぁいろいろと学んだことが役に立ってるみたいだ」

その日6時に死神業務終了時間となった。

「ルキア、すまねぇ!恋次と約束してるから、先に帰っててくれ」

「あ、こら一護!全く・・・しょうがないやつだ」

6番隊の修練場にやってきた。

巨大な岩穴であった。

「 卍解!双王蛇尾丸」

「げ、いきなリ卍解かよ!」

「いっけえええええ!」

恋次の容赦なしの攻撃に、一護も卍解する。

「卍解、天鎖斬月!」

二人の力は拮抗していた。

そのまま30分は暴れ回り、地形をクレーターに変えて、二人して息をついた。

「やるな、恋次」

「てめぇこそな、一護」

「やっべ。あんまり遅くなったらルキアに怒られる」

「ルキアのこと、幸せにしてやってくれよ」

「勿論だ、恋次!そんなこと、言われなくても分かってる!」

朽木家に帰還すると、ルキアが遅いとどなってきた。

白哉はもう夕食を食べたが、ルキアは一護と食べるために待っていたのだ。

その日の夕食は豪華だった。

「豪華だな。なんかの祝いの日か?」

「違う。これは朽木家では当たり前の食事だ」

「ほへー。貧乏な俺には、食費さえ払えそうにないわ」

「ばか者!誰が食費などとるか!」

ルキアは、至極落ち着いていた。

もしも尸魂界がなく、一護の魂がやってこなかったら、泣き叫んでいたかもしれないが、一護が現世で生きようと死のうと、どのみち最終的には尸魂界にやってくるのだ。

その時間が早かっただけなのだ。

「式を挙げようと思うのだ」

「誰が」

「私が」

「誰と」

「あほか貴様は!貴様以外にありえぬであろう!」

「ええええええええ!」

一護が叫んでいた。

「貴様には、朽木一護になってもらう」

「ええええ!もうそこ、必須条件なのか?」

「そうだ。兄様に結婚の許可を願い出たら、朽木一護にするのであれば許すと言われたのだ」

白哉の考えることはよく分からないが、とりあず妹を手放したくないことだけは分かった。

「式の日取りとか、決まってないよな?」

「5月15日」

一護は展開の速さについていけなかった。

「来月じゃねーか」

「兄様が、このまま一護を意味もなく寝泊まりさせるわけにはいかぬというので、事情をうかがったら結婚しろと言われた。まさか、嫌なのか?」

「嫌なわけねーだろ!でもなぁ・・・まだ尸魂界にきたばかりなのに」

「兄様は、怖がっておいでなのだ。私が、緋真姉様のようになる前に、結婚させておきたい、と」

「ちょっと、相談にいってくるわ。いくらなんでも、早すぎる」

一護は、白哉と話し合った。

確かに恋人同士ではあるが、まだ結婚するには早すぎると訴えると、白哉はそうかとだけ答え、問答の末に来年の5月15日に結婚式を伸ばしてもらうことに成功した。

ルキアもそれを知り、安堵しているような残念なような、複雑な顔を浮かべていた。

「俺ら、付き合いだしてまだ1年くらいしかも経ってないだろう?だから、いろいろと縛りがないうちにやっておきたいことあるし」

「それはなんだ?」

「いや、デートとか。とりあえず、来月給料でたら、そんな高価なものは買えなけど、エンゲージリング買うわ」

「エンゲージリング?なんだそれは」

「婚約指輪だ」

「こんにゃく指輪だと!?」

「違う、婚約指輪」

「意識して間違えたのだ!つっこめ!」

ルキアのぼけは、微妙すぎて分からない。

次の月になり、一護は得た給料で、ホワイトゴールドの婚約指輪を買って、ルキアの手にはめた。

自分の分は、ルキアにはめてもらった。

裏には一護のものにはRUKIAと、ルキアのものにはICHIGOと、彫られてあった。

「ふふ・・・・・」

ルキアは嬉しそうだった。

それから、余ったお金で買った、アメジストをあしらったペンダントを買い与えた。

「そうか・・・・結婚してしまえば、こんなこと当たり前になってしまうのだな」

「まぁそうだな」

一護は、それから1年非番の日が以外は休まず、5席としての仕事を続けた。

ほぼ1年後。隊首会がまた開かれて、死神業務に慣れた一護は、13番隊の副隊長として就任することが決まった。

「おめでとう、一護」

「ああ、ありがとな」

屋敷ではほぼ常に一緒だが、職場では別々だった。今後は、職場も同じ13番隊の執務室になる。



新しい歯車が、メロディーを奏でだす。

愛という名の、メロディーを。

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