恋し恋され
恋次のことが好きだった。
緋真以外を愛さないと誓いながら、いつの間にか恋次に恋慕を抱いていた。
気づかないふりをしていた。例えそれで恋次を傷つけることになっても、恋次のことを愛していると認めたくなかった。
怖いのだ。
緋真のように、失ってしまうのが。
大戦中、白哉も恋次も、もう助からないと言われるような怪我を負った。あの時は、せめて恋次だけでも生かそうと思った。
でも、いま思えばそれは恋次に-------------緋真を失った、白哉のような思いをしろということだった。
「恋次、愛している」
そう答えれば、恋次はまるで犬が尻尾をふるようにこっちにやってきて、すり寄っって来る。
「隊長、俺も愛してます」
恋次の愛しているという言葉は、軽い気がしてしまう。
いつも------------毎日のように愛を囁いてくる恋次。
「貴様の、「愛している」は軽いな」
そう言うと、恋次は酷く傷ついた顔をした。
「軽くなんてありません。全身全霊であんたが好きで愛してます。俺の全ては、あんただけのものだ」
「そうか」
「そして隊長、あんたは----------------全部、俺のものだ。心も、身体も」
ここ最近、身体を重ねていなかった。
恋次の言葉に、かっと全身が熱くなるのがわかった。
「今宵、あの館へ・・・・・・」
「はい!」
それは、恋次と睦みあうためだけに建てられた館。
広くも狭くもない。管理は清家にさせてあり、きちんと掃除は行き届いていた。
月に数回、この館を使う。
恋次からしてみれば、御馳走が並んでいた。
白哉からしてみれば、いつもの食事だ。ただ、今日は少し豪華にしていた。焼いた伊勢海老がいて、茹でたカニのお吸い物が足されていた。
クリスマスが近い。
たまには、豪華な食事を食べさせてやるのもいいだろうと思った。
「隊長。メリークリスマス。これ、ちょっと早いけどクリスマスプレゼントです」
現世の赤ワインを渡された。
「すまぬ。私は何も用意をしていない・・・・「私」を与えよう」
その言葉に、恋次の赤銅色の瞳が見開かれた。
「このワイン、今飲んでもよいか?」
「え、ああ、どうぞ」
それなりの高額だったのだろう。いい味だった。
ワインを飲み干して、食事を続ける。
先ほどから、恋次はそわそわしていた。
「何をそわそわしておるのだ」
「いや、だって隊長、クリスマスプレンゼントに「私」って、つまりは・・・・・」
「今は、何も言うな」
食事がまだ済んでいない。残すという行為は、あまりしたくないのだ。いくら4大貴族とはいえ、飽食でであることは白哉は嫌いだった。
だから、豪華であるとはいえ二人分の食事だけで、食べ終えることのできる量しかでてこなかった。
「いいだろう。来い、恋次」
許可を与えると、恋次は壊れものを扱うかのように白哉を抱き上げて、褥に寝かせた。
「あ・・・・・・」
服の上から、次々に刺激を与えられる。抱きしめられて、口づけを交わした。
飲んでいたワインの味がした。
「ん・・・・」
ぴちゃりと舌が絡まるキスをする。体が熱くなってくるのが分かった。
死覇装を脱がされていく。
白い白い肌が、露わになる。
傷一つない。反対に、赤銅色の髪をした恋次は、自己鍛錬から敵に負わせられたものまで、戦士としての勲章がたくさんあった。
左胸の傷跡に、白哉が手を当てた。
「まだこの傷、残しておるのだな」
「そりゃ、あんたがくれたものだから」
義妹であるルキアを助けようと、裏切った恋次を倒した。その時につけた傷だった。
「あの時------------しかと、刃は私の首に届いていた」
大戦を経験し、さらに恋次は強くなった。けれど、それは白哉も同じで。
二人の差は、大きくなることはあれど、縮まることはなかった。
「ん・・・・・・」
鎖骨の上にキスマークを残された。そのまま、死覇装を着ていれば見えない位置にたくさんキスマークを残された。
「ふ・・・・」
くすぐったくって、そんな声がもれた。
「あーもう、あんたかわいすぎ」
恋次が、平な胸を撫でてくる。脇腹をなでられ、無駄な筋肉などついていない体を愛撫してくる。
胸の先端をひっかかれると、甘い痺れを感じた。
「あんたのここ・・・・こんなに濡れてる」
下着を脱がされて、先走りの蜜を流す花茎を、あろうことが恋次は口に含んだ。
「ひあ!」
いきなりの刺激に、何も考えられなくなる。
恋次は白哉の花茎を手でしごきながら、じゅぷじゅぷと口淫した。鈴口を舌で刺激されているうちに、白哉は恋次の口の中に放ってしまった。
「あああ!」
白哉が放ったものを、恋次は当たり前のように飲み込む。
「少し濃いですね。最近してなかったから・・・」
「あ、言うな・・・・・・」
潤滑油で濡れた指が体内に入ってきた。
「んん・・・・・・」
異物感は否めない。
でも、コリコリと前立腺を刺激されて、白哉は体をはねさせた。
「ひあああああ!」
「ああ、2回目いっちゃった?」
「あ、いうな・・・・ああっ!」
指を体内で曲げられて、前立腺にそれが当たる。きもちよすぎて、どうかになってしまいそうだった。
「もうよい。早く、来い・・・・」
「隊長・・・・好きです。愛してます」
「あああああああ!」
恋次の熱に引き裂かれて、白哉は唇をかんだ。
「ん!んんんん!!」
自分の手をかんで、なるべく声を押し殺そうとすると、恋次がその手に口づけ太。
「声、きかせてください。あんたの声、すごく腰にくる・・・・・」
「んっ!」
自然と、白哉の腕は恋次の背中に回された。
ズッズッと中を犯していく熱は、半端な質量ではない。
ぐちゅぐちゅと水音をたてて、浅い部分を犯された。
「あああ!」
前立腺を熱でいじられて、また何も考えられなくなる。
キュウッっと中が締まって、恋次は欲望を白哉の中に注ぎ込んだ。
「まだ、してもいいですよね?」
「あ、恋次・・・・・愛している」
その言葉に満足そうになりながらも、白哉を犯した。
「あああああああ!」
白哉を無理やり立たせた。
ズルリと引き抜けば、結合部からが恋次が出したものが溢れて、太ももを伝っていた。
「ひああああ!」
壁によりかかってなんとか立っていられる状態の白哉を、穿つ。
何度もそうしていると、白哉は何度目かも分からない精液を吐き出した。それでもしつこく犯してやると、もう出るものがないのか、先走りの蜜だけを零した。
「ああっ!恋次、もういけ・・・・つらい」
最奥にたたきつけると、びくんと白夜の体がはねた。
もう出るものもないのに、いってしまったのだ。
ドライのオーガムズを経験して、白哉は戸惑っていた。
「隊長、ドライでいくことは何も悪いことじゃありません。好きなだけいってください」
「あああ!!!」
立ったまま、前立腺をすりあげられて、また白哉はいってしまった。
「隊長の中やべぇ・・・・・吸い付いて、離れない。よすぎる」
恋次も、3回目になろうかという熱を、白哉の最奥にたたきつけた。
「ん・・・・」
性行が終わり、ずるりと引き抜くと、たらたらと恋次の放ったものが溢れてきた。
「湯殿いきましょう・・・・肩貸しますから」
「うむ・・・・・・」
交わった直後の湯浴みを少しきついが、後始末をしても完璧にぬぐいきれず、かぴかぴした体でいることのほうが、白哉には嫌だった。
湯殿に行き、髪も体も洗い、恋次が中に出したものをかきだした。
「んあ・・・・・・」
その声に、恋次の息子は反応しそうになったが、我慢だ。
これ以上白哉を抱くと、白哉は行為を嫌がって抱かせてくれない。
二人が入っても広い浴槽は、白桃の湯だった。
「愛してます、隊長」
そう言って抱き締めると、白哉もおずおずと抱き締め返してくれた。
「私も、貴様を愛している・・・・・・」
まるで、夢のようだった。
白哉に愛を囁かれるなんて。
椿の花を手折って誕生日プレゼントにした頃から、もう1年近くが過ぎようとしていた。
あの時の椿の花は、まだ氷室で凍りづいたまま花を咲かせているという。
6番隊を象徴するのは椿。
清廉潔白。
まさに、白哉そのものであった。
恋し、恋され。
この1年で、互いの在りようが大きく変わった。
恋次は白哉を必要とし、白哉もまた恋次を必要としてくれた。
愛されることが、これほど幸せなことだとは思いもしなかった。
恋し、恋され。
永劫の時を、生きていく。
傍らに、寄り添いあいながら。
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