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愛のあるスケベ

「今日いいっすか?」
執務室での恋次の誘いに、白哉は眉を顰めた。
「先週もしたばかりであろう」
「いや、俺たちまだまだ若いから」
「そのような問題ではない。却下だ」
「えー。隊長はたまったりしないんですか」
「な、何を言い出す!」
恋次の言葉に、真っ赤になる白哉。
「俺は、あんたを抱く回数が月に3回くらいしかないから、自分でも抜いてますけどね。あんたのあられもない姿を想像しながら」
「・・・・・・・」
「あんたも、ほんともっと俺に抱かれたいんでしょう?俺を思ってくれて、抜いたりしてるんすか?」
「貴様、よほど千本桜の塵になりたいと見える」
かちゃっと、斬魄刀を抜こうとした白哉の動きに、恋次は慌てて白哉をその胸にかき抱いた。
「何を・・・・・」
口づけされた。
はじめは触れる程度の。次に舌が入ってくる。
「んあ・・・・・・」
濡れた白哉の声に、恋次が耳元で呟く。
「あんたの声、たまんねぇ。今すぐ抱きたいくらいだ」
「この痴れ者が!」
怒った白哉が、恋次の赤銅色の髪を思い切り引っ張った。
「あいたたた! 抜ける、抜けるから!」
「貴様など、一度はげになってしまえばいい」
「ええ、はげの俺が好きなんですか、隊長」
「そんなわけなかろう。はげの恋次になど、抱かせぬ」
「じゃあ、抜けるから髪ひっぱるのやめてください・・・・あいたた」
ぶちぶちと、数本髪が抜ける音がした。
そのままぱっと手を放すと、反動で恋次は白哉を押し倒してしまった。
その手が、いけない場所を触っていて、白哉の頬が朱くなる。
「貴様・・・執務室でこのような・・・・」
いわゆるラッキースケベ、たまたまだった。
でもそれを知らない白哉は、恋次がわざと触ってきたと勘違いした。
「破道の4、白雷!」
プスプスと恋次が焦げた。
無論、すごく手加減はされてあったが、それでも鬼道だ。
「俺を愛してくれてるんじゃないんですか。愛して相手にこの仕打ちはないと思うんですけど」
「ただのスケベを愛したつもりはない」
「ただのスケベ・・・じゃあ、愛のあるスケベならいいんですね」
「何を!」
白哉を執務室のテーブルの上に押し倒して、口づけし、衣服の上から体を触っていく。
「ああ!」
「ほら・・・・俺はスケベだけど愛はありますよ・・・俺の手でこんなになって・・・・かわいい、隊長」
「あっ」
袴の上からなぞられて、びくんと体が痙攣した。
「あれ、いっちゃいました?」
「この痴れ者が!」
がっと、脳天に一撃を加えられた。
「くーきいたーーー」
「一度、朽木邸に戻る!」
「ええ、なんで」
「濡れた下着のままでいろというのか」
「じゃあ、もっと濡れてくださいよ」
「くどい!」
迫ってくる恋次を伸してから、白哉は執務室を後にして、一度朽木邸に戻ると湯浴みをした。
確かに、月の3回の交わりは少ないかもしれないが、白哉はもともと淡泊で、性欲などほんとんどないのだ。
それでも、恋次に慣らされてしまったこの体は、恋次に求めらると疼いた。
執務室に戻ってきた白哉は、すねている恋次に声をかける。
「明日・・・・・明日ならば、抱かせてやる」
「ほんとですか、隊長!」
ああ、この男はやっぱりただのスケベに見えてきた。
「貴様、本当に私を愛しているのか?」
「当たり前でしょう。愛してなきゃ、同性のあんたになんて、興味も示さない」
その言葉を信じよう。
「・・・・・私も、貴様を愛している」
小さい声での呟きであったが、恋次の耳には届いていた。
「すっげー嬉しい。ああ、早く明日がこないかな」
抱きついてキスをしてくる恋次を受け入れながら、白哉は思う。
ああ。
愛してしまった故の苦労が絶えない。
でも、それもまた愛の形であろうと思うのであった。                     

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