恋する瞬間 ルキアの見合い
「朽木ルキア、只今戻りました、兄様」
「ルキアか・・・見合いだが、よいのか?このまま話を進めても」
「はい・・・・・」
ルキアは、胸の中で一護を思った。
一護。
裏切ることになるのだろうか。一護とは、魂のレベルで繋がっている。そんな繋がりを絶つように、見合いをすることになった。
相手は、4大貴族の次に並ぶ大貴族、桐蔭家。
桐蔭那由他(トウインナユタ)という、年の頃は20前後の若者と、見合いをすることが決まっていた。
多分、見合いをすませたら縁談に話は進むだろう。
桐蔭家には、13番隊を存在から立て直すしてもらうのに、かなりの財力を貸してもらった。
断るに断れない。
すぐにちよが呼ばれ、ルキアは死覇装から朽木家の姫君にふさわしい着物を着て、髪を結いあげてもらい、アメジストの髪飾りで髪をまとめられた。
薄く化粧をして、最後に口に紅を塗る。
「美しいです、ルキア様」
「ありがとう、ちよ」
そんなルキアを伴って、白哉は何か言いたげにしていたが、無言で桐蔭を待たせている部屋に、ルキアと共に入った。
見合いは、朽木家で行われた。
「ルキアさん・・・今日は一段と美しいですね」
「那由他様・・・ありがとうございます」
「この度は、急な申し出にも関わらず、見合いを受けていただき感謝しております」
「それはこちらこそ・・・桐蔭家の力がなければ、13番隊は隊長を失ったばかりで、早々に立ち上がることもできなかったでしょう。感謝しているのです」
ルキアは美しかった。今日のために用意しておいた着物もよく似合っていた。
「ルキアさん・・・・無理を、していませんか?」
「何をですか?」
「断っても、よいのですよ。私はルキアさんが好きです。でも、ルキアさんにすでに心に決めた人がいるならば、考えましょう」
「いえ、そのような人物はおりません」
いるとしたら・・・・多分、一護。
でも、一護には井上がいる。
ルキアは、井上が一護に告白するシーンに出くわしていたのだ。
でも、そのまま聞いていられずに走り去った。一護は井上と付き合っているのだと、そうルキアは勘違いをしていた。
「本当なら、縁談を今すぐに・・・と言いたいところなのですが、私も気持ちの整理がついていないのです。しばらく、猶予をくださいませんか」
「時間なら、いくらでもあげましょう。それで私を受け入れて下さるのなら」
「ありがとうございます」
あとは差し障りのない会話を行い、見合いは滞りなく終わった。
一方、仮にできた一番隊の隊舎では、一護が京楽と話をしていた。
「京楽さん・・・ほんとにありがとな。ルキアのこと」
「ああ、気にしなさんな。尸魂界を救ってくれた大恩人の、少しくらいの我儘を聞くくらい、どうってことないよ」
「でも、13番隊は浮竹さんを亡くして、副隊長であるルキアは現世にいて・・・まともに、機能しているんだろうか」
「まぁ、そこらは優秀は3席が二人いるからね。元から浮竹が臥せっていた時は、3席たちが仕事をこなしていたから、問題はないよ」
「そっか。ならいいんだ」」
一護が安堵して、息を吸った。
「尸魂界を見たかい?」
「瀞霊廷なら、ここに来る前に少し見た。大分戦火の爪痕が残ってるけど、少しずつ復旧しているようで何よりだ」
「そうだよ。ただね・・・・・。建物はいくらでも元に戻る。でも、失った人材までは、戻らないんだよ」
京楽は、辛そうに俯いた。
「浮竹さんのこととか・・・・京楽さんも、辛いだろ」
「うん・・・滅茶苦茶年下の君に甘えたいくらい、参ってる。僕はね、浮竹が誰より好きだったんだ。親友だった。大好きだった。それが急にいなくなって・・・涙を零す時間すら、今の僕には与えられていないんだ」
浮竹と京楽は同期で、とても仲がいいと、他の隊長たちの間でも有名だった。学院時代からの付き合いで、数百年という年月を共に過ごしてきたのだという。
一護だったら、とても耐えらえれない。
もしも、相手がルキアだったら・・・・そう思っただけで、寒気がした。
ルキアが居なくなってしまうなんて、考えたくもない。ずっと、傍にいてほしい。
魂のレベルで、結ばれているのだから。
「お墓、雨乾堂の跡に作るんだってな」
「うん。せめて、安らかに眠れるように、ね」
「お墓できたら、俺にも教えてほしい。墓参り、行きたいから」
「うん。今はお墓より、隊舎をまずはどうにかしないといけないから、かなり後になるだろうけど、浮竹は特に君のことを気に入っていたからね。墓参りに行ってあげると、とても喜ぶと思うよ」
もういない浮竹のことで、話を続けた。
総隊長になってしまった京楽は、もう誰にも弱さを見せてはいけないのだからと、一護にだけ弱さを見せた。
浮竹との出会い・・・院生時代の出来事、学院を卒業してお互い席官になったこと、副隊長になったこと、次期は違えど、同じく隊長にまで登りつめたこと。
「はははは・・・聞いてくれて、ありがとね。大分胸がすっきりしたよ」
「京楽さん、俺でいいなら、いつでも話相手になるぜ。一応、メルアド渡しとく」
「ああ、ごめんね。たまに、愚痴かきこむかも・・・・」
「それでもいいさ。溜めこむよりよほどましだ」
「ありがとうね。浮竹が君を大好きだったこと、よく分かるよ。僕も好きになったよ、君のこと」
「照れくさいな」
一護は、頭をぽりぽりとかいた。
「じゃあ、俺はそろそろ現世に戻るから」
「うん、気をつけてね」
「いや、もう敵とかいないから、大丈夫」
「それもそうだね」
お互いに笑いあって、別れた。
京楽は、総隊長になったけれど、心がへし折れてしまいそうな思いを抱え込んでいたのだ。
それを、今回、ルキアの礼を兼ねた一護を利用したのだ。
でも、利用されて一護はよかったと思った。京楽という死神が、飄々として掴みどころのない人物と思っていたイメージが崩れたが、それでよかったのだ。
誰であれ、心に闇がある。
それを吐きだせないことは、とても辛いことだ。
ルキア。
浮竹を失くした京楽。
一護にとって、京楽の中の浮竹は、一護の中のルキアだった。
何があっても、失いたくない。
強く、そう思った。
「ルキアか・・・見合いだが、よいのか?このまま話を進めても」
「はい・・・・・」
ルキアは、胸の中で一護を思った。
一護。
裏切ることになるのだろうか。一護とは、魂のレベルで繋がっている。そんな繋がりを絶つように、見合いをすることになった。
相手は、4大貴族の次に並ぶ大貴族、桐蔭家。
桐蔭那由他(トウインナユタ)という、年の頃は20前後の若者と、見合いをすることが決まっていた。
多分、見合いをすませたら縁談に話は進むだろう。
桐蔭家には、13番隊を存在から立て直すしてもらうのに、かなりの財力を貸してもらった。
断るに断れない。
すぐにちよが呼ばれ、ルキアは死覇装から朽木家の姫君にふさわしい着物を着て、髪を結いあげてもらい、アメジストの髪飾りで髪をまとめられた。
薄く化粧をして、最後に口に紅を塗る。
「美しいです、ルキア様」
「ありがとう、ちよ」
そんなルキアを伴って、白哉は何か言いたげにしていたが、無言で桐蔭を待たせている部屋に、ルキアと共に入った。
見合いは、朽木家で行われた。
「ルキアさん・・・今日は一段と美しいですね」
「那由他様・・・ありがとうございます」
「この度は、急な申し出にも関わらず、見合いを受けていただき感謝しております」
「それはこちらこそ・・・桐蔭家の力がなければ、13番隊は隊長を失ったばかりで、早々に立ち上がることもできなかったでしょう。感謝しているのです」
ルキアは美しかった。今日のために用意しておいた着物もよく似合っていた。
「ルキアさん・・・・無理を、していませんか?」
「何をですか?」
「断っても、よいのですよ。私はルキアさんが好きです。でも、ルキアさんにすでに心に決めた人がいるならば、考えましょう」
「いえ、そのような人物はおりません」
いるとしたら・・・・多分、一護。
でも、一護には井上がいる。
ルキアは、井上が一護に告白するシーンに出くわしていたのだ。
でも、そのまま聞いていられずに走り去った。一護は井上と付き合っているのだと、そうルキアは勘違いをしていた。
「本当なら、縁談を今すぐに・・・と言いたいところなのですが、私も気持ちの整理がついていないのです。しばらく、猶予をくださいませんか」
「時間なら、いくらでもあげましょう。それで私を受け入れて下さるのなら」
「ありがとうございます」
あとは差し障りのない会話を行い、見合いは滞りなく終わった。
一方、仮にできた一番隊の隊舎では、一護が京楽と話をしていた。
「京楽さん・・・ほんとにありがとな。ルキアのこと」
「ああ、気にしなさんな。尸魂界を救ってくれた大恩人の、少しくらいの我儘を聞くくらい、どうってことないよ」
「でも、13番隊は浮竹さんを亡くして、副隊長であるルキアは現世にいて・・・まともに、機能しているんだろうか」
「まぁ、そこらは優秀は3席が二人いるからね。元から浮竹が臥せっていた時は、3席たちが仕事をこなしていたから、問題はないよ」
「そっか。ならいいんだ」」
一護が安堵して、息を吸った。
「尸魂界を見たかい?」
「瀞霊廷なら、ここに来る前に少し見た。大分戦火の爪痕が残ってるけど、少しずつ復旧しているようで何よりだ」
「そうだよ。ただね・・・・・。建物はいくらでも元に戻る。でも、失った人材までは、戻らないんだよ」
京楽は、辛そうに俯いた。
「浮竹さんのこととか・・・・京楽さんも、辛いだろ」
「うん・・・滅茶苦茶年下の君に甘えたいくらい、参ってる。僕はね、浮竹が誰より好きだったんだ。親友だった。大好きだった。それが急にいなくなって・・・涙を零す時間すら、今の僕には与えられていないんだ」
浮竹と京楽は同期で、とても仲がいいと、他の隊長たちの間でも有名だった。学院時代からの付き合いで、数百年という年月を共に過ごしてきたのだという。
一護だったら、とても耐えらえれない。
もしも、相手がルキアだったら・・・・そう思っただけで、寒気がした。
ルキアが居なくなってしまうなんて、考えたくもない。ずっと、傍にいてほしい。
魂のレベルで、結ばれているのだから。
「お墓、雨乾堂の跡に作るんだってな」
「うん。せめて、安らかに眠れるように、ね」
「お墓できたら、俺にも教えてほしい。墓参り、行きたいから」
「うん。今はお墓より、隊舎をまずはどうにかしないといけないから、かなり後になるだろうけど、浮竹は特に君のことを気に入っていたからね。墓参りに行ってあげると、とても喜ぶと思うよ」
もういない浮竹のことで、話を続けた。
総隊長になってしまった京楽は、もう誰にも弱さを見せてはいけないのだからと、一護にだけ弱さを見せた。
浮竹との出会い・・・院生時代の出来事、学院を卒業してお互い席官になったこと、副隊長になったこと、次期は違えど、同じく隊長にまで登りつめたこと。
「はははは・・・聞いてくれて、ありがとね。大分胸がすっきりしたよ」
「京楽さん、俺でいいなら、いつでも話相手になるぜ。一応、メルアド渡しとく」
「ああ、ごめんね。たまに、愚痴かきこむかも・・・・」
「それでもいいさ。溜めこむよりよほどましだ」
「ありがとうね。浮竹が君を大好きだったこと、よく分かるよ。僕も好きになったよ、君のこと」
「照れくさいな」
一護は、頭をぽりぽりとかいた。
「じゃあ、俺はそろそろ現世に戻るから」
「うん、気をつけてね」
「いや、もう敵とかいないから、大丈夫」
「それもそうだね」
お互いに笑いあって、別れた。
京楽は、総隊長になったけれど、心がへし折れてしまいそうな思いを抱え込んでいたのだ。
それを、今回、ルキアの礼を兼ねた一護を利用したのだ。
でも、利用されて一護はよかったと思った。京楽という死神が、飄々として掴みどころのない人物と思っていたイメージが崩れたが、それでよかったのだ。
誰であれ、心に闇がある。
それを吐きだせないことは、とても辛いことだ。
ルキア。
浮竹を失くした京楽。
一護にとって、京楽の中の浮竹は、一護の中のルキアだった。
何があっても、失いたくない。
強く、そう思った。
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