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恋する瞬間 恋は止まらない

なんだかんだで、無事に現世に戻ってきた二人は、一心に無断外泊について怒られた。

それさえ甘酸っぱくて、二人はもじもじしていた。

付き合い始めたばかりなのに、周囲は婚姻まで考えているようで。

一護はその覚悟も決めて、いつか再度ルキアにプロポーズしようと思った。

「ルキア、大好きだ」

「私も好きだ、一護」

2回目のキスをした。

味はしなかったが、甘ずっぱい気がした。

それから、また平和な毎日が訪れた。

一護は、ルキアと交際をしだしたことを周囲に告げて、驚かせていた。

「やっぱり、一護は朽木さんとできてたんだね」

たつきの言葉に、ルキアが顔を真っ赤にする。

「できていたというか、できたのはつい最近なのだ・・・」

「じゃあ付き合いだしてまだ日が浅いんだ」

井上が、残念そうにしていたが、相手がルキアと知って、一護とルキアを祝福してくれた。

「朽木さんも、黒崎君も幸せそう。いいなぁ」

季節は冬なのに、二人には春が訪れていた。

「私のところにも、黒崎君みたいな王子様現れてくれないかなぁ」

井上の言葉に、ルキアが赤くなる。

「い、一護は王子様なんかじゃないぞ。む、むしろ魔王だ!」

「魔王!なんかかっこいい!」

その日のうちに、魔王一護とかいうわけのわからないあだ名が、一護につけられた。

「魔王ってなんだよ、ルキア」

「だ、だって!結婚を誓いあいそうになった桐蔭殿から、私をさらっていったであろう。桐蔭殿はとてもできたお方で、王子様のようであった。だから、一護は魔王だ」

「最近はやりの、異世界アニメかなんかの見すぎだ、お前は」

一護は溜息をついて、魔王とか呼ばれるのを好きにさせていた。

「一護、貴様は何故、皆に私と付き合い出すことを言ったのだ?」

「ん?別に意味はあんまないけど・・・・隠れていちゃいちゃとか面倒じゃねーか」:

「いちゃいちゃ・・・!」

ルキアは真っ赤になった。

「まぁ、学校では極力我慢するけど、キスしたりハグしたりしてーじゃん」

「たわけ!そのようなこと、学校で!」

「まだやってもいないのに、怒るなよ」

「う、うむ・・・・・そうだな」

昼休みになって、屋上で昼食をとった。

メンバーは一護、ルキア、井上、石田、茶虎。

「それにしても黒崎が、朽木さんと付き合いだすなんて、てっきり、もう付き合っているものと思ってたのに・・・・・」

石田の言葉に、茶虎も頷いた。

「はたから見ればラブラブカップルだった」

「な、な、な・・・・」

ルキアは真っ赤になって、オレンジジュースを飲みほした。

「今までの私のどこが、一護とラブラブカップルなのだ!」

「えーだって、登下校は一緒、教室移動も一緒、休み時間には二人でいることが多いし、昼食をはまぁみんなととってたけど・・・・・」

井上の言葉に、くらりとルキアは眩暈を覚えた。

「これのどこが、カップルじゃないっていうんだろう?」

「うう・・・・・」

ルキアは頭を抱えた。

一護は、気にせずにコーヒーを飲みながらパンをかじっていた。

「全部貴様が悪い!責任をとれ、責任を」

「責任とって、付き合いだしてるだろ」

「う、そうであった・・・・私と貴様は、付き合い始めているのだったな」

ルキアの手をとり、抱きしめる。

「な、皆の前で!」

ルキアはさらに真っ赤になった。

「見せつけてくれるね」

石田が、パンを食べながらそう言う。

「青春だな」

と茶虎が。

「あーあ、いいなぁ朽木さん。私も黒崎君にそんな風に扱ってもらいたい」

「井上まで!」

皆に茶化されて、ルキアは真っ赤になって縮こまるのだった。

昼休みを終わるチャイムが鳴って、皆それぞれのクラスに戻っていく。

1年の時は皆同じクラスだったが、3年になってルキアと一護は同じクラスだが、井上、石田、茶虎とは違うクラスになっていた。

授業が全て終わり、一護が鞄を手にルキアに声をかける。

「一緒に帰ろうぜ」

「う、うむ」

いつもなら、何も言わずに一緒に帰るのだが、恋人同士になってから、何故か少しぎこちなくなった。今日の昼休みにハグされたけど、あれは別らしい。

自然体であろうとすればするほど、相手を意識してしまう。

まぁ、それも長くは続かなくて、2週間も過ぎる頃には、告白する前のように自然体で二人は過ごしていた。

「ねぇ、朽木さんは黒崎君と何処まで進んだの」

「な、な、な!」

興味本位の井上の質問に、ルキアは真っ赤になって何も言えなくなった。

「その様子だと、最後までいっちゃたんだね」

いや、全然違うから。

ルキアの代わりに、一護がそう言った。

「俺らは清く正しく交際してるんだよ。キスとハグまでだ」

「きゃー、清く正しくだなんて!」

井上がくねくねしていた。

暴走していく井上を放置して、その日も一緒に帰宅する。

「そのな・・・貴様と、寝るのが・・・すごいドキドキして・・・・・」

寝る前に、いつものようにルキアを抱いて眠ろうとしたら、ルキアがそう言って小さくなった。

「別に、手出したりしないから、安心しろ」

「私では・・・その気にならぬか?」

アメジストの瞳をうるうるさせて、見つめてくるルキアに、一護も理性が吹き飛んだ。

「ルキア・・・・・」

家族がいるのに。

気づかれたら、やばいのに。

分かっていても、止まらなかった。

その日、二人は体を重ねあい、一歩大人の階段を踏み出した。

翌日は休みだったので、とろとろになってしまったルキアを見る者が、一護だけだったので安心できた。

ルキアは、まだ余韻を残したけだるげな表情で、ベッドの上で寝そべっていた。

「いちご・・・・好き・・・・」

「ルキア・・・・」

睦み合うことはできないので、キスを何度も繰り返した。

「ああもう、なんでお前はそんなにかわいいいんだ」

「いちご・・・・・?」

「やっぱ、清く正しく交際するべきだった」

「私と関係をもったのが、嫌だったのか?」

不安そうなルキアの頭を撫でた。

「違う。一度味わってしまうと、貪欲になりそうで怖い」

「私は、一護になら・・・・・」

「ルキア、あおらないでくれ。我慢するの、けっこう大変なんだから」

「す、すまぬ」

ルキアは真っ赤になった。

毎日、同じベッドで抱き締めあいながら寝た。

学校で、時折キスをした。

告白してからの毎日が新鮮で、気づけば5か月という時間が過ぎ去ろうとしていた。

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