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恋する瞬間 プロポーズ

ルキアが現世にいられる5か月が終わった。

卒業式は滞りなく終わり、ルキアは尸魂界に戻ることが決まった。

一護は国際大学に進んだ。

ルキアは、週末になると、黒崎家に顔を出した。

「ルキア・・・・」

「好きだ、一護・・・・・・」

その日のルキアは、酔っぱらっていた。

しきりに体を押し付けてきて、一護の我慢も限界を迎えてしまい、幸いにも家族は一護を残して旅行に出かけていたので、体を重ね合った。

「あ、一護・・・・・」

「好きだ、ルキア・・・・」

何度も混じり合った。

一つに溶けてしまうのではないかと思った。

幸福な微睡みの中、ルキアは思う。

一護と結ばれてよかったと。

一護は、大学2年になると、一人暮らしを始めた。

バイトで貯めたお金を使い、2部屋あるアパートを借りた。

ルキアが、週末になると転がり込んできた。

今までのように、家族を気にすることなく過ごすことができて、一護もルキアも、体を重ねあうことに後ろめたい思いをすることがなくなった。

「今日は何が食べたい?」

「んー。キムチチャーハン」

「わーった。材料買いに行くから、一緒に行こうぜ」

土日になるとやってくルキアに、現世の好きな食べたいものを食べさせてやり、デートに出かけたりもした。

「なぁ、ルキア」

「ん?なんだ」

「明日、触れ合い動物園にいこう。ルキア、うさぎ好きだろ?チャッピーじゃないけど。今年はうさぎ年だし」

「触れ合い動物園?なんだそれは」

「犬とか猫、うさぎとかモルモット、あとはアルパカとかカンガルーとかまぁ、いろいろいるんだけど・・・・・」

パンフレットを見ながら、一護がこれだと、そのパンフレットをルキアに差し出した。

「ふむ・・・そう遠くはないな。触れ合えるとは普通の動物園ではできないからな。よいな、行きたい」

「じゃあ、決まり。明日はデートな」

「デートか・・・・」

始めてのデートは水族館だった。甘酸っぱい思い出だ。

あれから2年が経った。

ルキアは土日になると、現世の一護のアパートに転がり込んでくる。それを当たり前のように、一護は受け入れた。

次の日、触れ合い動物園に出かけた。

うさぎに人参をあげて、ルキアは目をキラキラ輝かせていた。

「抱っこ、してもよいだろうか?」

係員に尋ねると、そっとならと言われて、壊れものを扱うように一匹の子うさぎを抱き上げた。

子うさぎは、動くこともなくルキアの手の中でじっとしていた。

「写真とるぞ」

スマホで、一護はルキアがうさぎを抱っこしている写真をとった。

いろんな場所で、二人で写真をとりあっていて、スマホと伝令神機には「ルキアと一護」という
フォルダができてしまっていた。

写真の数は、年月を経るごとに増えていった。

夏きがきて秋がきて冬がきて、また春がきた。

一護は、大学3年生になっていた。

将来の仕事は、翻訳家になるのが夢だった。ドイツ語の翻訳家を目指し、3年の夏に2カ月留学した。

その間は、ルキアとはスマホでもやりとりができず、一護はとにかくルキアは寂しい思いをしていた。

「なぁ、ルキア」

「なんだ、恋次」

「ルキアは、このまま中途半端に一護と付き合うのか?」

「中途半端とはなんだ!」

「だって、そうだろう?婚姻もしないまま、ずっと付き合うだけなのか?」

はっとなった。

一護と付き合いはじめて3年以上になる。でも、好きだ、愛していると言ってくれるが、結婚のことについては何も言ってくれなかった。

ふとした不安感に襲われて、ルキアはその日恋次と夜まで飲み明かした。

「一護は、人間なのだ。死神の私と婚姻など・・・・・」

「前例がないわけじゃないだろ?一護の父親の一心さんは、死神でありながら、一護の母親の、人間と結婚して子供が生まれた」

「私に、死神をやめろと言っているのか?」

「いや、そうじゃねーよ。でも、それくらいの覚悟がないと、これから先やっていけないぞ。もうすぐ、一護も大学卒業して社会人になるんだろ?」

「それはそうだが・・・・一護と、結婚か・・・・・」

ルキアは、酒をぐいぐい飲んだ。

そして、酔っぱらって、恋次を殴った。

「いってぇ」

「貴様が悪いのだ!私を不安にさせるから!」

「それは、一護に言えよ」

殴られた頭を押さえながら、酔っぱらったルキアをルキアをおんぶして、朽木家にまで送り届けた。


一護が、留学から帰ってきた。

その一報を聞いて、ルキアは土日でもないのに、一護の家に転がりこんだ。まとまった休みをもぎとっていた。

「一護、ずっと会いたかった!」

飛びついてくるルキアを抱き締めて、一護はルキアが少しおかしいのに気づいた。

「どうした、ルキア」

「・・・・・・」

ルキアは、しばし無言だった。

「貴様は、このままでいいのか?」

「何がだ」

「このまま、私と付き合い続けることだけで・・・んっ」

唇が重なった。

「参ったな・・・秋頃までとっておこうと思ってたんだけど」

ルキアの手に、一護は指輪をはめた。

「エンゲージリング。俺と結婚してくれ、ルキア」

「一護・・・・・・・!」

ルキアは、アメジストの瞳から涙をポロポロ零しながら、微笑んだ。

「喜んで!貴様と、結ばれてやる」

恋する瞬間は一瞬。

でもその恋は、永遠と続くのだった。



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