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小説掲載プログ
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愛の果てに

愛の果てに、何があるのだろう。

その想いの果てに、何があるのだろう。



「いっちごー」

啓吾が、昼飯を手に一護にタックルをしようとしてきた。それに足を引っかけて転ばす。

「うおう、一護の攻撃に俺のライフは残り10」

「なら、0にしてやるよ」

ぐりぐりと、尻を蹴られて、啓吾は変な声をだした。

「いやん、一護、みんなが見てるのに」

「はいはーい、啓吾はそこまで。脳みそ腐ってるなら、僕が新しいのに交換してあげるよー」

水色が、啓吾を起き上がらせる。

「屋上いこうか」

「ああ」

「待ってくれーいっちごーーーー」

3人で、入学してからよくつるんだ。

その中に、いつからだろうか、ルキアが混じるようになったのは。

「一護、オレンジジュースのストローが刺さらぬ。飲めるようにしろ」

「はいはい・・・・・」

「なぁ、水色、一護って朽木さんと付き合ってないのかな?」

「さぁ、付き合っていないんじゃないの?だって、好きだとか言ってないでしょ」」

「それにしては距離が近いよなー」

風が吹いた。

ルキアの短いスカートが揺れる。

パンツが見えた。

「うお、ピンク・・・・」

「啓吾、てめぇ何ルキアのパンツ見てやがる!」

一護が怒った。

こうやって、怒ってるとことか見ていると、本当に付き合っているように見えるのだが、二人は付き合っていないらしい。

「ルキア、お前スカート短すぎだ。パンツ見えるだろ!もっと丈長いのねーのかよ!」

「別に、パンツくらい・・・・・」

「パンツくらいじゃねぇ!ああもう、俺のセーターでも着とけ!」

一護が、ルキアに自分のセーターを着せる。

だぼだぼで、彼氏のものに見えて、余計に見た目が危うい。

短いスカートから見える華奢な足は白く、それが余計に艶めかしかった。

屋上で、4人で昼食を食べた。

ルキアの弁当は、遊子が作ってくれてる。一護の弁当とお揃いで、色違いだった。

その弁当箱を見ていても、どう考えても二人が付き合っていないのがおかしくて、啓吾はたこさんウィンナーを食べる一護にこう言った。

「なぁ、朽木さんと付き合っているのか、一護」

「俺たちはそんなんじゃねーよ。なぁ、ルキア」

「え、ああ・・・・」

啓吾と水色の前でも、昔は猫を被っていたが、大戦から帰還してからは、いつもの口調で二人にも接していた。

昼食を食べ終わり、啓吾と水色は教室に帰ってしまった。

「なぁ、ルキア」

「なんだ」

「お前、俺のことどう思ってる?」

「どう、とは?」

「その、好きか嫌いかで」

「す、好きではあるぞ」

「そうか」

その言葉に、一護は満足そうだった。

「そういう一護はどうなのだ!私のことを好きなのか、嫌いなのか!」

一護は、悪戯をした子供のように眩しく笑った。

「どうしうようもないくらいに、好きだ」

「え」

「どうした?」

顔を真っ赤にするルキア。

「な、なんでもない、たわけ!」

その日からだろうか。お互いを意識するようになったのは。

それから1週間後には、一護はルキアを連れて屋上にまでくると、こう言った。

「1週間前、どうしようもないくらいに好きだって言っただろ。あれから、お前のことが頭から離れなくて・・・・・好きだ、ルキア」

「一護・・・・私も、貴様のことばかりを考えていた。貴様のことが、好きだ」

お互い、好きと言いあって。

「付き合おうか」

「ああ、そうだな」

二人は、高校生活が終わる4か月前に、はれて交際をスタートさせた。

本当なら、ルキアに高校生活はない。大戦の後の普及に尽力をしないといけない立場であったが、尸魂界を2度にまで渡って救った一護の我儘で、高校を卒業するまでは、死神としてではなく人間として生活をさせてほしいと、総隊長の京楽に願い出たのだ。

一護の我儘に、けれど尸魂界は答えてくれた。

高校3年の4か月間だけ、ルキアは空座町担当の死神として赴任することが決まった。

「ルキア、好きだ・・・・」

一護の部屋で、二人で丸くなって体温を共有しあっていた。

「ふふ、くすぐったい・・・・・・」

 ルキアを自分の方に抱き寄せる。その細くて小さい肢体は、折れてしまいそうだった。

「ルキア、明日は休みだから、デートに行こうぜ。遊園地にでも行こうか」

「お、遊園地か。行ったことがないのだ。今から楽しみだな」

次の日、一護がルキアの分までお弁当を作って、二人で遊園地に出かけた。

休日ということもあって、家族連れやカップルが目立った。

「ルキア、寒くねぇか?」

「ん?少し寒いが、どうということはない・・・・」

「これでも、はめてろ」

一護が、自分がしていた手袋をルキアの手にはめた。

「暖かい・・・・でも、貴様が寒いのではないか?」

「俺はいいんだよ」

二人とも、マフラーはしていた。

ジェットコースターに乗り、ルキアは散々悲鳴をあげた。

「あのような恐怖のマシーンだったとは・・・・」

「だから、乗る前に絶叫マシーンだけど大丈夫かって何度も聞いたじゃねーか」

「たわけ、あんなに怖いものと何故もっと説明しなかった!」

ぎゃあぎゃあ言い合った。

「次行こうか」

「ああ、そうだな。せっかく遊びにきたのだ・・・・・」

絶叫マシーンをの取り除いたら、けっこうな数の乗り物がダメになった。

メリーゴーランドに乗り、マジックミラーでできた迷路のダンジョンに入った。

途中で休憩をはさみ、少し遅いが昼食を食べる。

「貴様は料理の腕はあるからな。楽しみだ」

エビチリにキムチチャーハンを中心としたお弁当だった。

「む、美味い!」

ルキアの箸が止まらなくなる。

気づけば、完食していた。デザートはパイナップルだった。

「この、甘酸っぱい味が何とも言えぬ・・・・・」

おいしそうにほうばるルキアに、一護は自分の分のパイナップルもあげた。

昼からは、揺れる映画館に入り、ムービーを見た。

やがて夕刻になる頃、最後にと残しておいた観覧車に乗った。

小さいくなっていく街の風景。

日は沈み、夜景が綺麗だった。

「また、卒業してもここに来よう」

「いいぜ。約束だぞ?」

「ああ・・・・・」

観覧車が一番真上に来たとき、始めてのキスをした。

触れるだけのキス。

甘酸っぱい味がした気がした。

それから、毎日を一日一日大切にしていった。

登下校を手を繋いで、教室移動も一緒、さすがに啓吾と水色には付き合っているのがバレたが、井上や茶虎、石田は気づいていないようだった。

やがて、卒業式の日がやってきた。

「ルキア・・・愛してる」

「一護・・・・・」

尸魂界に続く穿界門に、一護までついてきた。

「貴様、どういうつもりだ」

「別れる前に、お前が欲しい・・・・・・」

「一護・・・・」

流魂街についた。

適当な空き家を見つけて、体を重ねた。

情事あとの色気を残しつつ、ルキアが身支度をする。

「貴様は現世に戻れ」

「なぁ。約束、覚えてるよな?」

「ああ。またあの観覧車に乗ろう」

ルキアと一護は、そこで別れた。

月に3回ほど、ルキアは現世にやってきた。

気づけば、付き合いだして2年が経過していた。

一護は、国際大学に進学した。第二語学にドイツ語を選び、ドイツ語の翻訳家を目指していた。

他愛もないことで、ルキアと喧嘩してしまった。ルキアを泣かせてしまった。

ルキアは、もう現世にはこないといって、尸魂界に帰ってしまった。

それから、何度伝令神機にメールしてもレスはなく、どれだけ待ってもルキアは現世にこなかった。

浦原に頼んでもらい、穿界門を開けてもらった。

朽木邸に、ルキアはいた。

「ルキア」

「一護!?何の用だ!」

「あの時はごめん。俺が悪かった。だから、また会いにきてくれ」

「ふ・・・・私も悪かった。少しきつく言いすぎたな」

和解は、すぐだった。

朽木邸の別宅だった。家人も今はいないということで、二度目になるが、体を重ねた。

「なぁ・・・愛の果てには、何があるんだろう」

「一護?」

「お前のこと、すっげー愛してる。でも、愛の果てには何があるんだろうな?」

「たわけ。決まっているであろう。「幸せ」だ」

その言葉は、一護の中でじんわりと広がった。

「そっか。今幸せだから・・・これが、愛の果てなのか」

ルキアを抱きよせて、キスを繰り返した。

「ふあ・・・・・」

「愛してる、ルキア」

「私も、貴様を愛している・・・・・・」

「貴様、死神になるつもりはないか?」

「死神?もうなってるだろう」

「たわけ!本物の死神にだ。家族を捨てることになるだろうが」

「そうすれば、ずっとルキアの傍にいれるのか?」

「ああ・・・・・・」

「じゃあ、俺死神になるわ」

「おい、少しは迷うとかないのか!」

「お前と幸せになれる道があるなら、例え悪になるとしても道を突き進む」

「一護・・・・」

一護の想いは、十分ルキアに伝わった。

「一護が死神になったら、約束していたあの観覧車に行こう」

それからは、白哉に付き合っていて体の関係もあることを告げて、千本桜で追い回されて、何か特殊な液体を飲まされて、本当に死神になった。

「これで、お前と結婚できる・・・・・」

そして、二人で2年以上前にきた遊園地にいき、観覧車に乗った。

真上にきた時、一護はエンゲージリングをルキアの手にはめた。

「結婚しよう、ルキア」

「一護・・・・・・」

ルキアは、感動のあまりぽろぽろと涙を零した。

「お前のためなら、なんだってするし、なんでも我慢する」

「貴様への答えは・・・・・・YESだ」

ルキアと一護は、付き合いはじめて3年目に式を挙げた。尸魂界でだった。

井上、石田、茶虎もかけつけてくれた。

式は盛大に行われた。初めは反対していた白哉であったが、愛しい義妹が一護のことしか見ていないのに、ため息交じりで式を挙げることを許してくれた。

もう、一護は尸魂界の住人であった。よく、現世には顔を出したが。

結婚して数か月経ったある日、食事中にルキアは吐き気を訴えた。

「ルキア、どうした!?」

「すまぬ・・・・・最近、胸がむかむかして・・・・食べ物の好みも変わったし」

「それって、もしかしておめでたじゃねーのか?」

「ええっ!?そういえば、ここ3か月、月のものがきていないな・・・・・」

医者に診てもらい、懐妊が分かった。

白哉は、自分のことのように喜んだ。家族が増えるのだ。

「俺が父親か・・・・しっかり、しねぇとな」

死神となった一護は、13番隊の副隊長として働いていた。ルキアは黒崎ルキアになったが、相変わらず、一護と朽木家で生活していた。


愛の果てに、何があるのだろう。

その想いの果てに、何があるのだろう。


その果てにあるものは「幸せ」


それを、一護もルキアも噛みしめるのであった。






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