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一緒のベッドで眠った。

ルキアが押し入れでいいというのに、一護が一緒に寝ようというので、ただ本当に、一緒のベッドで寝た。

それだけのことだった。

一護の黒い瞳と、ルキアの紫紺の瞳の視線が絡みあう。

「アメジストみてー」

一護が手を伸ばしてくる。

その少しひんやりした手が冷たくてきもちよくて、ルキアは頬を摺り寄せていた。

「そういう貴様の目はまるで黒曜石のようだ」

「黒い瞳なんてありふれてるだろ」

「私は、貴様の瞳の色が好きだ」

そういって、手を伸ばしてくる。頬に触れる手に、一護は自分の手を重ねた。

「髪の色も好きだ」

オレンジという色は目立ちすぎて、嫌いではなかったが、普通に黒ければいいのにと思ったこともある。
ルキアは、そのオレンジの髪がとても好きだった。
一護の色だ。

「ルキアの髪はさらさらだよな」

額にかかっていた髪を払われる。

くすぐったくて、小さく笑みをこぼす。

「なんだよ」

「いや、なんでもない」

「変な奴」

その時、ルキアの伝令神機がピーピーピーとアラームを鳴らした。

「虚か!」

ルキアが起き上がる。

「俺がいく。お前は寝てろ」

死神代行証で死神化した一護は、斬魄刀を手にガラリと窓をあけると、出て行った。

「せわしのないやつめ」

ルキアの伝令神機を手に、一護は虚の位置を確認して見つけ、苦もなく片付けた。

「終わりか・・・・」

もう、虚の気配はなかった。

窓から部屋の中に入ると、ルキアが待っていた。

「寝てろっていったのに」

「たわけ。そうそうおちおち寝ていられるか。虚は、ちゃんと退治したのであろうな?」

「当たり前だろ」

一護は霊体から自分の肉体に戻ると、すぐに横になった。

「ルキア、来いよ」

「たわけ・・・・・・」

そう言いながらも、一護のベッドに腰かける。

シングルベッドなので、二人は少し窮屈だったが、寝れないわけではない。

「来いよ」

手招きされて、一護の腕の中にすっぽりと納まるように寝転んだ。

ルキアからは、シャンプーの甘い匂いがした。

クリスマスプレゼントにと、渡したアメジストの首飾りが胸に光っていた。

「お前、それ大切にしてくれてるんだな」

「当たり前であろう。貴様からもらったものなのだぞ。心のこもったものだ」

胸に光るアメジストと、ルキアの目を見比べる。

「やっぱ、宝石よりルキアの瞳の方が綺麗だ」

瞳に口づけられた。

くすぐったくて、身じろぎする。

「あんま動くなよ。落ちるぞ」

「たわけ。大体二人で寝るにはこのベッド狭すぎだ。もっと大きいベッドを買え」

「この部屋でお前を住まわせるって知ってるの、家族には誰もいないんだぞ」

もう最後の戦いが終わり、本当なら13番隊の副官であるルキアは尸魂界に帰らねばいけない身だった。

それを、あれこれ理由をつけて先延ばしにしていた。

「貴様と離れたくないと思う。これは罪なのか?」

「んなわけねーだろ」

抱き締められて、ルキアは目と閉じた。

自然と唇が重なる。

好きだと告白されて、また自分も告白し、相思相愛になって2か月が経とうとしていた。

未だ、男女の仲にはいたっていない。

一護がいつも我慢しているのは知っていた。だが、一歩先に踏み出すことが怖いのだ.。

死神と人が結ばれるなど、本当はあってはならないことだから。

「いつか、貴様は人の誰かと結ばれるのだろうな・・・・・・・」

「そういうお前は、死神の誰かと結ばれるんだろう?」

想いあいつつの矛盾。

決して、最後は結ばれることがないと分かっていて、付き合い始めた。

「今は、未来のことなど考えぬ。貴様と在れることを嬉しく思う」

「ずっと傍にいれたらいいのにな」

「私には死神としての責務があるからな。近々、また帰らねば」

護廷13番隊副隊長朽木ルキア。

朽木家の名に恥じぬためにも、尸魂界に帰り、上官である浮竹十四郎のサポートをしなければいけない。

そう分かっていても、一護と別れたくないのだ。

時間が許す限り、傍にいたいと思う。

「一護・・・・寝てしまったのか?」

ルキアを残して、一護は眠りに落ちてしまった。

今、一護は大学に通っている。その大学での生活とバイトで忙しく、ルキアを一日中構っている暇などない。

それでも、限りある時間を割いて、ルキアと接していた。

ルキアとて、ただ現世にいるわけではない。空座町の変わらぬ虚退治のために、滞在していた。

「貴様はずるいな一護・・・・。出会ったときから大分背が伸びた。私と貴様の歩む時間の違いに・・・・私は、いつまで貴様の傍にいれるのだろうな?」

眠ってしまった一護に口づけて、悩みなどいらぬのだと、ルキアもまた眠りの海に旅立つのであった。



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