朝顔
夏がやってきた。
さわさわと揺れる風の音には緑の匂いも混じり、梅雨が明けたばかりなので、まだ少し空気は熱気だけでなく湿気をはらんでいた。
直射日光に弱い浮竹は、縁側で朝顔を見ていた。日差しに当たらないようにと、注意しながら。
「ああ、今年も見事に咲いたねぇ」
「そうだろう」
隣に当たり前のように座る京楽は、薄紫色の小ぶりの朝顔に彩られた雨乾堂の庭を見て、綺麗だなと思った。
「毎年この時期は朝顔が咲き乱れるんだ。紫陽花の季節でもあるが、朝顔のほうが目立つな、この庭は」
確かに、雨乾堂の庭にはいろんな花が咲き乱れていたけれど、紫陽花よりも朝顔の咲き乱れる様のほうが視線を集めた。
紫陽花の上にまでつるを伸ばして、朝顔が花を咲かせている。
チリリンと、風鈴が涼しげな音を立てる。
「麦茶、飲むかい?」
氷をいれて冷やされた麦茶をすすめられて、浮竹は頷いて麦茶を飲んだ。
「夏だからねぇ。直射日光だけでなく、熱中症にも注意してね」
京楽も、カランと氷の音をたてる麦茶の入ったコップを傾ける。
「ねぇ、キスしていい?」
「ん?」
「なんだかよくわからないけど、むしょうに君にキスがしたい」
「好きにすればいい・・・・・」
浮竹は、京楽に抱きしめられた。
浮竹はこの前まで臥せっていたため、少し細かった。
「ん・・・・」
触れるだけのキスをしたのかと思うと、舌が浮竹の唇をなめて、浮竹は唇を開いた。
「ふ・・・んん・・」
舌と舌が絡まりあう。歯茎をなぞって京楽の舌が動き、咥内を蹂躙する。
チリン。
風鈴の音がやけに耳にこびりつく。
「んん・・・も、いいかげんに・・・・・んっ」
今日の京楽はしつこかった。
互いの唾液を飲み込んで、それでもまだ執拗に攻めてくる。
「京楽・・・・・」
「ん?・・・・スイッチ入った?」
「今日はしない。おとついしたばっかだろう」
「僕は貪欲だから」
クスクスと、京楽が笑って浮竹を押し倒す。
チリン。
風鈴がなる音がとても涼しげに聞こえるが、実際暑かった。
「今日はこれ以上何もしないよ。ただ君の傍にいれれば、それでいいよ」
京楽は、浮竹を抱きしめて何度も口づけをしてきた。
薄紫色の朝顔は、太陽が真上に真上にくればくるほどしおれていく。
ごろごろと、二人して畳の上で自堕落な時間を過ごす。
今日は仕事はしない日と、二人で決めた休日の日だ。
「ねぇ、キスしてもいいかい?」
「さっきから、してるくせに」
「君にしてほしいって言ってもらいたい」
「めんどくさい」
「いいじゃない。言うくらい」
「じゃあ・・・・京楽、キスをいっぱいしろ」
「うん」
京楽は、浮竹の唇だけでなく、首筋や鎖骨あたりにキスマークを残した。
「キスマークを残すな」
「いいじゃない。どうせ見る相手は僕くらいなんだから」
副隊長がいない13番隊では、3席が二人いる。
「清音と仙太郎がいるだろうが」
「ああ、でも見て見ぬふりしてくれるし、あの二人なら」
「そういう問題じゃ・・・・・ん・・・・」
深く口づけられて、だんだん思考がぼーっとしてきた。
酸素不足かもしれない。
「朝顔・・・種できたら、集めないと・・・・」
畳の上に白い長い髪を乱しながら、ふとそう思った。
今年も綺麗に咲いてくれた。
薄紫色の小ぶりなものが大かったが、赤紫、ピンク、水色、白といろんな色の朝顔が咲いてくれた。
特に種を集めなくても、自然に地面に落ちたものがまた来年も双葉をだし、また勝手に生えてくるのだが、種は集めて植えたほうが見栄えはいい。
京楽は、ふと庭に出ると、まだしおれていない水色の大きめの朝顔をとって雨乾堂ないに戻ってきた。
それを、浮竹の髪に飾る。
「愛してるよ、浮竹」
「・・・・・・恥ずかしいやつ」
浮竹が笑う。
「ねぇ、浮竹は?僕のことどう思ってるの?」
「ああ、愛しているさもちろん」
でなければ、こんなに近くにいて抱きしめあったりキスしたりしない。
「君から愛しているとか好きだとか言われること少ないから、声を残しておきたいよ」
「やめてくれ」
「ふふ・・・・好きだよ、浮竹」
浮竹は言葉に出さず、俺もと口だけつぶやいて、京楽の肩にかみついた。
「あいてて」
「ふん」
浮竹は、京楽を押し倒して、その目を見る。
ぱらぱらと、白い髪が京楽の顔に落ちる。
「ああ、いいね。君のその表情・・・・・・」
長い白髪を、京楽の手がすいていく。
ぽとりと、水色の朝顔が落ちた。
それを手に取って、京楽はまた浮竹の髪に朝顔を飾る。
「朝顔は、儚いね。君に似てる気がする」
「でも強いぞ」
「そうだね。君も儚いようで、実はとても強い」
「儚いは余計だ」
「実家から、スイカがたくさん送られてきたんだ。明日にでももってくるから、一緒に食べないかい?」
「ああ、いいな。スイカか。今年はまだ食べてない」
「今年のスイカは甘いらしいよ」
まるで僕らの仲みたいにと、京楽は笑った。
チリンと、風鈴が乾いた音を立てた。
さわさわと揺れる風の音には緑の匂いも混じり、梅雨が明けたばかりなので、まだ少し空気は熱気だけでなく湿気をはらんでいた。
直射日光に弱い浮竹は、縁側で朝顔を見ていた。日差しに当たらないようにと、注意しながら。
「ああ、今年も見事に咲いたねぇ」
「そうだろう」
隣に当たり前のように座る京楽は、薄紫色の小ぶりの朝顔に彩られた雨乾堂の庭を見て、綺麗だなと思った。
「毎年この時期は朝顔が咲き乱れるんだ。紫陽花の季節でもあるが、朝顔のほうが目立つな、この庭は」
確かに、雨乾堂の庭にはいろんな花が咲き乱れていたけれど、紫陽花よりも朝顔の咲き乱れる様のほうが視線を集めた。
紫陽花の上にまでつるを伸ばして、朝顔が花を咲かせている。
チリリンと、風鈴が涼しげな音を立てる。
「麦茶、飲むかい?」
氷をいれて冷やされた麦茶をすすめられて、浮竹は頷いて麦茶を飲んだ。
「夏だからねぇ。直射日光だけでなく、熱中症にも注意してね」
京楽も、カランと氷の音をたてる麦茶の入ったコップを傾ける。
「ねぇ、キスしていい?」
「ん?」
「なんだかよくわからないけど、むしょうに君にキスがしたい」
「好きにすればいい・・・・・」
浮竹は、京楽に抱きしめられた。
浮竹はこの前まで臥せっていたため、少し細かった。
「ん・・・・」
触れるだけのキスをしたのかと思うと、舌が浮竹の唇をなめて、浮竹は唇を開いた。
「ふ・・・んん・・」
舌と舌が絡まりあう。歯茎をなぞって京楽の舌が動き、咥内を蹂躙する。
チリン。
風鈴の音がやけに耳にこびりつく。
「んん・・・も、いいかげんに・・・・・んっ」
今日の京楽はしつこかった。
互いの唾液を飲み込んで、それでもまだ執拗に攻めてくる。
「京楽・・・・・」
「ん?・・・・スイッチ入った?」
「今日はしない。おとついしたばっかだろう」
「僕は貪欲だから」
クスクスと、京楽が笑って浮竹を押し倒す。
チリン。
風鈴がなる音がとても涼しげに聞こえるが、実際暑かった。
「今日はこれ以上何もしないよ。ただ君の傍にいれれば、それでいいよ」
京楽は、浮竹を抱きしめて何度も口づけをしてきた。
薄紫色の朝顔は、太陽が真上に真上にくればくるほどしおれていく。
ごろごろと、二人して畳の上で自堕落な時間を過ごす。
今日は仕事はしない日と、二人で決めた休日の日だ。
「ねぇ、キスしてもいいかい?」
「さっきから、してるくせに」
「君にしてほしいって言ってもらいたい」
「めんどくさい」
「いいじゃない。言うくらい」
「じゃあ・・・・京楽、キスをいっぱいしろ」
「うん」
京楽は、浮竹の唇だけでなく、首筋や鎖骨あたりにキスマークを残した。
「キスマークを残すな」
「いいじゃない。どうせ見る相手は僕くらいなんだから」
副隊長がいない13番隊では、3席が二人いる。
「清音と仙太郎がいるだろうが」
「ああ、でも見て見ぬふりしてくれるし、あの二人なら」
「そういう問題じゃ・・・・・ん・・・・」
深く口づけられて、だんだん思考がぼーっとしてきた。
酸素不足かもしれない。
「朝顔・・・種できたら、集めないと・・・・」
畳の上に白い長い髪を乱しながら、ふとそう思った。
今年も綺麗に咲いてくれた。
薄紫色の小ぶりなものが大かったが、赤紫、ピンク、水色、白といろんな色の朝顔が咲いてくれた。
特に種を集めなくても、自然に地面に落ちたものがまた来年も双葉をだし、また勝手に生えてくるのだが、種は集めて植えたほうが見栄えはいい。
京楽は、ふと庭に出ると、まだしおれていない水色の大きめの朝顔をとって雨乾堂ないに戻ってきた。
それを、浮竹の髪に飾る。
「愛してるよ、浮竹」
「・・・・・・恥ずかしいやつ」
浮竹が笑う。
「ねぇ、浮竹は?僕のことどう思ってるの?」
「ああ、愛しているさもちろん」
でなければ、こんなに近くにいて抱きしめあったりキスしたりしない。
「君から愛しているとか好きだとか言われること少ないから、声を残しておきたいよ」
「やめてくれ」
「ふふ・・・・好きだよ、浮竹」
浮竹は言葉に出さず、俺もと口だけつぶやいて、京楽の肩にかみついた。
「あいてて」
「ふん」
浮竹は、京楽を押し倒して、その目を見る。
ぱらぱらと、白い髪が京楽の顔に落ちる。
「ああ、いいね。君のその表情・・・・・・」
長い白髪を、京楽の手がすいていく。
ぽとりと、水色の朝顔が落ちた。
それを手に取って、京楽はまた浮竹の髪に朝顔を飾る。
「朝顔は、儚いね。君に似てる気がする」
「でも強いぞ」
「そうだね。君も儚いようで、実はとても強い」
「儚いは余計だ」
「実家から、スイカがたくさん送られてきたんだ。明日にでももってくるから、一緒に食べないかい?」
「ああ、いいな。スイカか。今年はまだ食べてない」
「今年のスイカは甘いらしいよ」
まるで僕らの仲みたいにと、京楽は笑った。
チリンと、風鈴が乾いた音を立てた。
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