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朽木白哉と浮竹

「なぁ白哉、今度みんなでカニ鍋をしようと思っているのだが、来てくれるか?」

「断る」

「そう言わずに・・・・・・」

朽木家の用意されていた執務室で、浮竹が白哉に甘えていた。

ゴロゴロゴロ。

広い畳の上をゴロゴロ転がって、甘えているのだが、白哉はなかなかうんと言ってくれないのだ。

「隊長・・・・・・あのかわいい生物、どうしましょう」

「兄にやる」

恋次は、ゴロゴロとやってきた浮竹を見て、思わず頭を撫でた。

「どうした、阿散井副隊長」

「あんまりゴロゴロ転がらないでください。かわいいから」

「うーん?もう少し転がっとく」

恋次を置いて、白哉のほうに転がっていく浮竹。

「兄は何がしたい」

「だから、カニ鍋を・・・・・」

「そんなもの、個人で食せばいいだろう」

「いや、鍋をみんなで囲むから楽しいし美味しいんだ」

「兄はそうかもしないが、私はあいにくと鍋を囲むようなことはしたことがない」

「だから、これを機に、他の隊長たちと仲良く・・・・・・ぐっ」

「浮竹?」

「ぐっ・・・・ごほっごほっごほっ」

突然だった。白哉の近くにまで転がってきたかと思うと、急に咳込みはじめた。

「すまな・・・・ごほっ」

ぼたぼたぼた。

執務室の畳の上が、血で汚れた。

「ごほっごほっ」

ぼたぼたと、口をおさえた手の隙間から大量の血を吐く浮竹。

「恋次、京楽隊長と卯ノ花隊長を呼んでこい」

「は、はい!」

白哉は、衣服をが汚れるのも構わずに、浮竹の背をなでた。

「薬はあるか?」

苦しそうに、携帯用の薬の入った箱を出す。

「しばしして落ち着いたら、飲むといい。今布団をしく」

白夜自らが布団をしいて、その上に抱き上げた浮竹を寝かせた。

「ごほっごほっ・・・・・すまない、白哉・・・・・」

「すぐに京楽隊長と卯ノ花隊長がくる。それまで、しばし我慢しろ」

白い長い髪を撫でる白哉の表情は、慈愛に満ちていた。

「ごほっ・・・・・・・」

しばらくして、京楽と卯ノ花がやってきた。

「これまた酷く吐血したねぇ」

それ1つで家10軒が建てられるという、銀白風花紗も血まみれだった。

「あまり動かさないほうがいいですね。朽木隊長、屋敷をお借りします」

卯ノ花が、回道で手当てを開始した。

京楽は、その傍で様子を見守っていた。同じように、白哉も様子を見守っている。

「すまないねぇ、朽木隊長。銀白風花紗、弁償するよ」

「いらぬ。それより兄は、浮竹を大事にしているか?」

「それはもちろんだよ」

「そうか。それならいい」

そのまま、白哉は薬を飲んで眠ってしまった浮竹の顔を見ていた。

「じゃあ、雨乾堂に帰るから」

浮竹を抱き上げようとした京楽を、百哉が制した。

「まだ寝たばかりだ。動かしては起きるだろう。このまま寝かせておけ」

「でも、君の屋敷が・・・・・」

「浮竹が眠っている間くらいは構わぬ」

「そうかい。じゃあお言葉に甘えるよ。僕もいていいのかな?」

卯ノ花は、あとは本人次第だといって帰ってしまった。

「兄を放り出すと、浮竹が悲しむ」

「朽木隊長って、浮竹のこと呼び捨てにするんだね」

「それがどうした」

「交流は、けっこう前から?」

「ああ。ルキアが13番隊に所属した頃から、少しだが交流がある」

「そうかい」

心なしか、京楽の態度が少し強張った気がした。

「別に、兄のように浮竹をどうこうするわけではない。ただ、わかめ大使を与えたり、遊びにきた浮竹を構うだけだ。仲のよさなら、日番谷隊長のほうが上だろう」

「日番谷隊長は子供だからね・・・・」

「どういう意味だ」

「別に・・・・・」

「兄は、浮竹のこととなると大人げなくなるな」

「恋敵は、一人でも少ない方がいいからね」

「下らぬ。私は、兄のような感情を浮竹には抱いておらぬ。ただ純粋に兄のようだと思っているだけだ」

「ああ、それは浮竹も言っていたね・・・・君のことを、弟のようだと」

「浮竹は兄弟が多いからな・・・・一番下の弟と、同じ年くらいだそうだ」

「それは新情報だね」

それを京楽には教えずに白哉にだけ教える浮竹に、少し複雑な感情を抱く。

「約束しろ。兄は、浮竹を大切にすると」

「勿論約束するよ。約束しなくても、大切にするけどね」

そのまま、結局京楽は朽木家で一晩を明かした。

朝になる頃には、浮竹の意識も回復していた。まだ無理は禁物だが、雨乾堂に帰るくらいはできそうなので、京楽と浮竹は、京楽は普通の朝餉を、浮竹には卵粥が出された。

それを食してから、浮竹は京楽に抱き上げられて、雨乾堂に帰ることになった。

「すまない白哉、世話になった」

「構わぬ。また、気が向いたら遊びにくるといい」

「ああ、そうする」

「じゃあいくよ、浮竹。しっかり捕まってなよ」

瞬歩で、雨乾堂まで走る。

「浮竹と朽木隊長は、思っていた以上に仲がいいんだね」

「まぁ、弟のようなものだ」

「そうかい。それを聞いて安心したよ」

恋敵にならなくて、と、心の中で付け加えた。




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