朽木白哉と浮竹3
「京楽、今日は白哉のところに行ってくる!」
「あ、ちょっと待って浮竹!」
京楽の制止をの声も聞かずに、浮竹は朽木邸に向かってしまった。
「はあもう、浮竹ったら・・・・・」
その頃、朽木邸では当主である白哉が、書道をしていた。
「白哉、遊びにきたぞ」
「浮竹・・・・半紙の上に立つな。文字が書けぬ」
「何かいてるんだ?」
「新しいわかめ大使の服を描いている」
わかめ大使と書道で美しく文字がかかれているが、肝心のわかめ大使の服はただの黒一色で、どこからどこまでが服なのか分からないし、絵が下手なのか、わかめ大使自体もかなりシュールなものだった。
「何も、書道でもなくても、鉛筆に紙で書けばいいのに・・・・」
その言葉にはっとなる白哉。
「兄は天才か」
「え、それすら思いつかなかったのか」
「なるほど。書道では、道理でうまくかけないわけだ」
書いた半紙を丸めて、書道の道具を片付けていく。
「遊びにきたといっても、何もないぞ。兄をもてなすことはわかめ大使を与えるくらいしかできぬ」
「ああ、あまり気にしないでくれ。正直に言うと、わかめ大使を食べにきた」
「そうか」
奥の部屋に一度さがしにいき、大量のわかめ大使を手に、白哉が戻ってきた。
「白哉は、自分で作っておきながら食べないんだな」
「甘いものはあまり好きでないゆえ」
「めちゃくちゃ甘いわけではないんだけどなぁ。辛いわかめ大使はないのか?」
「一度作ったが、評判が悪くてな。私も食してみたが、不味かった」
「そうか・・・・・」
浮竹は、わかめ大使を15個ほど食べると、広い朽木邸でごろりと横になった。
「白哉の家は広くていいなぁ」
「浮竹には、広い家は向いていまい。雨乾堂くらいの広さがちょうどいいのであろう?」
「あ、うん、そうだな」
最近、ルキアが一護のことを好きだと自覚して、一護と付き合っていることを相談された。
「一護君は・・・・強いし優しいし頼りがいがあるし、大穴といえな大穴なんだけどな」
「ルキアは恋次と結ばれるものだとばかり思っていた故、このまま人間である黒崎一護と付き合わせ続けていいのか迷っている」
「でも、二人の仲を引き裂こうとはしないんだろう?」
「ルキアが選んだ道だ。ルキアと黒崎一護の仲を引き裂けば、ルキアが泣く」
義妹の涙など見たくないのだと、白哉はいう。
「朽木も愛されてるなぁ・・・・・」
「ルキアのことを、私は一度見殺しにしようとした。貴族の掟ばかりが頭にあった。今はただ、誰と付き合ってもいいから幸せになってほしいと思う」
ルキアがこの場に居れば、涙を流しそうな慈愛深い言葉だった。
「俺は思うんだ・・・・きっと、京楽を置いていく」
「浮竹?」
「きっといつか、愛する京楽を置いて先に死ぬだろう」
「浮竹、そう思うだけで辛くはないのか?」
「辛いさ。でも、きっと俺は死神のとしての矜持を選んで、京楽を置いていく・・・」
----------------------------------
浮竹の墓の前に、珍し影を見つけた。
「やあ、朽木隊長じゃない。どうしたの」
「兄は・・・・兄は、浮竹に愛されていたか?」
浮竹の墓参りに来ていた白哉は、同じく墓参りに来ていた京楽のほうを向いた。
「うん?愛されていたし、愛しているよ」
「そうか。浮竹は、生前私に兄を残して先に死ぬと告げていたのだ。ただの世迷言だとばかり思っていたのだが、まさか護廷13隊のために散るとは・・・・思っていなかった。浮竹が死んだことで、私の心の中に何処かで穴があいた。血がじくじくと滲み出てくる。私も、浮竹のことをよき友人として、あるいは兄として慕っていたのだなと・・・・・」
「うん。浮竹はみんなに愛されていたから。朽木隊長にそこまで言わせたら、浮竹も本望じゃないかな」
「浮竹・・・・どうか、安らかに」
白哉は、浮竹の墓に白い百合の大輪の花束を添えた。
あと、おはぎを。
「山じいに卯ノ花隊長に浮竹。きっと、3人で今頃あの世で酒でも飲んでいるよ」
死神が死ねば、ただの霊子に還る。
その霊子から、やがて新しい命が芽吹くのだ。
「その、猫は?」
猫アレルギーらしい京楽が、猫を連れていて少し驚く。
「にゃああ」
「ああ、シロっていうんだ。白猫のオッドアイの綺麗な子でね。不思議なことに僕の猫アレルギーが出ないんだ。浮竹の生まれ変わりかな?甘い花の香がするんだ」
白哉が、その白猫を抱き上げると、ゴロゴロと猫は甘えてきた。
「確かに、浮竹と同じ香がするな」
まぁ、生まれ変わりにしては早すぎる。
京楽も白哉も知らない。
自分に何かあった時に、白猫に浮竹の記憶を刻んだ義魂丸を入れてくれと、浦原に頼んでいたことなど。浦原はそれを実行して、白猫を京楽に託した。
始めは猫などと、敬遠していた京楽であったが、猫アレルぎーが出ないことと、浮竹と同じ香がすることが気に入って、浮竹の名前の一部である「シロ」と名付けた。
死後も、共に在ろうとする浮竹。
記憶があるだけで、ただの猫であることに変わりないし、何かを猫が思うわけでもない。
ただ、傍に在れればいい。
それがその白猫の願い。
「にゃあああ」
「お腹でもすいたの?」
「にゃあ」
白猫は鳴いて、浮竹の墓石をちょんと触った。
まるで、自分の死を受け入れるように。
白猫に浮竹の自我はない。記憶はあるが、それは京楽が飼い主であるという認識になっていた。
「にゃあ」
白猫は、京楽に抱き上げられて、その肩に乗った。
「帰ろうか。朽木隊長も一緒に・・・・そうだ、今夜一緒に飲むなんてどうだい。浮竹の話でもしながら」
「たまには、それもよかろう」
「にゃああ」
「さすがにシロはお留守番だよー」
「にゃあ!」
不満そうな声をあげる白猫を撫でて、二人は浮竹の墓を後にするのだった。
「あ、ちょっと待って浮竹!」
京楽の制止をの声も聞かずに、浮竹は朽木邸に向かってしまった。
「はあもう、浮竹ったら・・・・・」
その頃、朽木邸では当主である白哉が、書道をしていた。
「白哉、遊びにきたぞ」
「浮竹・・・・半紙の上に立つな。文字が書けぬ」
「何かいてるんだ?」
「新しいわかめ大使の服を描いている」
わかめ大使と書道で美しく文字がかかれているが、肝心のわかめ大使の服はただの黒一色で、どこからどこまでが服なのか分からないし、絵が下手なのか、わかめ大使自体もかなりシュールなものだった。
「何も、書道でもなくても、鉛筆に紙で書けばいいのに・・・・」
その言葉にはっとなる白哉。
「兄は天才か」
「え、それすら思いつかなかったのか」
「なるほど。書道では、道理でうまくかけないわけだ」
書いた半紙を丸めて、書道の道具を片付けていく。
「遊びにきたといっても、何もないぞ。兄をもてなすことはわかめ大使を与えるくらいしかできぬ」
「ああ、あまり気にしないでくれ。正直に言うと、わかめ大使を食べにきた」
「そうか」
奥の部屋に一度さがしにいき、大量のわかめ大使を手に、白哉が戻ってきた。
「白哉は、自分で作っておきながら食べないんだな」
「甘いものはあまり好きでないゆえ」
「めちゃくちゃ甘いわけではないんだけどなぁ。辛いわかめ大使はないのか?」
「一度作ったが、評判が悪くてな。私も食してみたが、不味かった」
「そうか・・・・・」
浮竹は、わかめ大使を15個ほど食べると、広い朽木邸でごろりと横になった。
「白哉の家は広くていいなぁ」
「浮竹には、広い家は向いていまい。雨乾堂くらいの広さがちょうどいいのであろう?」
「あ、うん、そうだな」
最近、ルキアが一護のことを好きだと自覚して、一護と付き合っていることを相談された。
「一護君は・・・・強いし優しいし頼りがいがあるし、大穴といえな大穴なんだけどな」
「ルキアは恋次と結ばれるものだとばかり思っていた故、このまま人間である黒崎一護と付き合わせ続けていいのか迷っている」
「でも、二人の仲を引き裂こうとはしないんだろう?」
「ルキアが選んだ道だ。ルキアと黒崎一護の仲を引き裂けば、ルキアが泣く」
義妹の涙など見たくないのだと、白哉はいう。
「朽木も愛されてるなぁ・・・・・」
「ルキアのことを、私は一度見殺しにしようとした。貴族の掟ばかりが頭にあった。今はただ、誰と付き合ってもいいから幸せになってほしいと思う」
ルキアがこの場に居れば、涙を流しそうな慈愛深い言葉だった。
「俺は思うんだ・・・・きっと、京楽を置いていく」
「浮竹?」
「きっといつか、愛する京楽を置いて先に死ぬだろう」
「浮竹、そう思うだけで辛くはないのか?」
「辛いさ。でも、きっと俺は死神のとしての矜持を選んで、京楽を置いていく・・・」
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浮竹の墓の前に、珍し影を見つけた。
「やあ、朽木隊長じゃない。どうしたの」
「兄は・・・・兄は、浮竹に愛されていたか?」
浮竹の墓参りに来ていた白哉は、同じく墓参りに来ていた京楽のほうを向いた。
「うん?愛されていたし、愛しているよ」
「そうか。浮竹は、生前私に兄を残して先に死ぬと告げていたのだ。ただの世迷言だとばかり思っていたのだが、まさか護廷13隊のために散るとは・・・・思っていなかった。浮竹が死んだことで、私の心の中に何処かで穴があいた。血がじくじくと滲み出てくる。私も、浮竹のことをよき友人として、あるいは兄として慕っていたのだなと・・・・・」
「うん。浮竹はみんなに愛されていたから。朽木隊長にそこまで言わせたら、浮竹も本望じゃないかな」
「浮竹・・・・どうか、安らかに」
白哉は、浮竹の墓に白い百合の大輪の花束を添えた。
あと、おはぎを。
「山じいに卯ノ花隊長に浮竹。きっと、3人で今頃あの世で酒でも飲んでいるよ」
死神が死ねば、ただの霊子に還る。
その霊子から、やがて新しい命が芽吹くのだ。
「その、猫は?」
猫アレルギーらしい京楽が、猫を連れていて少し驚く。
「にゃああ」
「ああ、シロっていうんだ。白猫のオッドアイの綺麗な子でね。不思議なことに僕の猫アレルギーが出ないんだ。浮竹の生まれ変わりかな?甘い花の香がするんだ」
白哉が、その白猫を抱き上げると、ゴロゴロと猫は甘えてきた。
「確かに、浮竹と同じ香がするな」
まぁ、生まれ変わりにしては早すぎる。
京楽も白哉も知らない。
自分に何かあった時に、白猫に浮竹の記憶を刻んだ義魂丸を入れてくれと、浦原に頼んでいたことなど。浦原はそれを実行して、白猫を京楽に託した。
始めは猫などと、敬遠していた京楽であったが、猫アレルぎーが出ないことと、浮竹と同じ香がすることが気に入って、浮竹の名前の一部である「シロ」と名付けた。
死後も、共に在ろうとする浮竹。
記憶があるだけで、ただの猫であることに変わりないし、何かを猫が思うわけでもない。
ただ、傍に在れればいい。
それがその白猫の願い。
「にゃあああ」
「お腹でもすいたの?」
「にゃあ」
白猫は鳴いて、浮竹の墓石をちょんと触った。
まるで、自分の死を受け入れるように。
白猫に浮竹の自我はない。記憶はあるが、それは京楽が飼い主であるという認識になっていた。
「にゃあ」
白猫は、京楽に抱き上げられて、その肩に乗った。
「帰ろうか。朽木隊長も一緒に・・・・そうだ、今夜一緒に飲むなんてどうだい。浮竹の話でもしながら」
「たまには、それもよかろう」
「にゃああ」
「さすがにシロはお留守番だよー」
「にゃあ!」
不満そうな声をあげる白猫を撫でて、二人は浮竹の墓を後にするのだった。
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