桜のあやかしと共に15
浮竹と京楽は、術者の浮竹と夜刀神の京楽の家にきていた。
「昔話に、花咲かじいさんという話があるだろう。あれ、俺だ」
4人でお茶をしていると、突然浮竹がそう言い出すものだから、京楽が自分でいれたアッサムの紅茶をふきだした。
「何してるんだ。汚いなぁ」
「何って、こっちのセリフだよ。花咲かじいさんが君?いつのことだい」
「だいたい、1100年くらい前のことかな。桜が枯れまくる時があって・・・長老神の仕業なんだが。それで、散ってしまった桜に、灰ではなく桜の花びらを吹き飛ばして咲かせていたら、白い髪のあやかしがいるって噂になって。じいさんのかっこして、年齢は今の姿のままで桜を咲かせ続けていたら、いつの間にか伝承になってた」
「一体君は、何をしているんだい」
「いや、だから枯れた桜を咲かせていただけだぞ?」
『それを見た人間は、驚いただろう?』
術者の浮竹の言葉に、浮竹が頷いた。
「当時はあやかしは今より恐れられていたからな。退治されそうになった。安倍晴明に」
『はぁ!?あの、安倍晴明かい!?』
「そうだぞ、夜刀神。お前は会ったことないだろう」
『当たり前でしょ。そもそも生まれてもいないよ』
「安倍晴明は強かったぞ。もっている式にされそうになった。あれほど強い術者は、陰陽師といえど、安倍晴明くらいだろうな」
『はうあー。生の安倍晴明か。会ってみたいな』
「人間の人生は短いからな。あれだけ強いと、他の術者が全部ゴミに見えた」
「術者がゴミ・・・・君がそう言うんだから、相当なものだろうね」
「長老神の藍染なんて、封印されかけてたぞ。都に穢れをふりまいていたからな」
「何やってるの長老神・・・・・」
京楽は、ため息を零す。
「長老神はある意味アホだからな。都に穢れをまいて、あやかしの世界にしようとして、安倍晴明に本当に封印というか、退治されかけていた。今思えば、あの時安倍晴明について、長老神を退治していれば、今みたいにややこしくなっていなかっただろうな」
『安倍晴明ってすごいな。その長老神を退治しそうになるなんて』
「だろう?それに、いい男だった。見た目がとてもよかった。そのせいで、女の花鬼はよく式にされていたな」
『安倍晴明と会って生きてるあやかしって、君と長老神くらいじゃない?』
夜刀神が、人の儚さを思う。
「まぁ、そうだろうな。桜の王じゃなかったら、あれの式になっていたかもしれん」
「式になったら、術者が死ぬまで使役されるんでしょう?」
「京楽と同じくらいにかっこよかったからな。式になることも少し考えた」
「桜の王が式なんて、冗談でもだめだよ」
術者の浮竹は、目を輝かせて質問してきた。
『安倍晴明ってどんなのだった!?』
「京楽みたいにかっこよかったぞ。ただの人間にしておくには惜しかったな。式にされかけなければ、契約をしていたかもしれない」
「春」や京楽と同じような、不老の契約であった。
「当時の都は魑魅魍魎が跋扈する闇を抱えていたからな。長老神は、その魑魅魍魎を自分のものにしようとして失敗して、安倍晴明に倒されかけていた。遠くから見ていたが、本当に強い陰陽師だった」
「長老神に助けろとか言われなかったの?」
「長老神とは面識がほぼないからな。俺が桜の王だとも分からなかったんじゃないか?」
『俺も安倍晴明に会ってみたい・・・・・』
『浮竹には、ボクがいるでしょ』
『でも、あの安倍晴明だぞ!』
『まぁ、気持ちは分からないでもないよ」
夜刀神は、術者の浮竹の頭を撫でた。
「安倍晴明に会ってたら、術者の俺は弟子になっていたんじゃないか。あれは、あやかしさえも超越していた。人間であるのが、おかしなくらいだった」
「相当強いんだね」
浮竹は、アッサムの紅茶のおかわりを、京楽に頼む。
「おかわり」
「はいはい」
茶葉は、浮竹がもってきたものだった。
いい茶葉が手に入ったと、茶のあやかしから無料でもらったのだ。
『それにしても、このアッサムのお茶、すごくおいしいね』
『ああ、俺もそう思った』
「茶のあやかしから手に入れたものだ。独自の方法で栽培しているらしい」
「浮竹は、白哉君みたいに緑茶は飲まずに紅茶が好きだからねぇ」
「京楽、お前のいれるお茶が一番うまい」
浮竹の褒められて、京楽は術者の浮竹と夜刀神の分のお茶のおかわりもいれた。
『ぼんぼんなのに、紅茶いれるのうまいって、不思議だな』
『人間のボクは金持ちだからねぇ』
実は、今住んでいる3億のマンションの他にも、3つの別荘と、2つの家をもっていた。
「今度、北海道の別荘に行こうと思ってるんだ。よければ、君たちもどうだい?」
『え、いいのか?』
『別荘・・・・やっぱりぼんぼんだね』
「まぁ、国内でも有数のグループの次男だからね。ほとんどほっぽりだされてるけど、金だけはある程度もらって、放置されてる」
「京楽、肉親がいなくて寂しいか?」
「いや?十四郎がいるから、寂しくないよ」
「春水・・・・」
「十四郎・・・・・」
二人の世界に入りそうになるのを、術者の浮竹の咳払いでなんとかなった。
『俺たちがいるのを、忘れないようにな』
『ボクたちがいない場所で、いちゃついてね?』
「ごほん。まぁ、安倍晴明の昔話をしてやる。興味をもって、当時いろいろ調べたんだ」
浮竹の話に、3人はのめりこむ。
「というのが、安倍晴明だ」
『スケールが違う』
『帝とか、時代も違うからねぇ』
「まぁ、俺の話はこれくらいだな。また何かネタを思い出したら、聞かせてやる」
『楽しみにしとくな!』
『さすがは5千年も生きているだけあるね』
「ボクにもちゃんと教えてね?」
京楽は、浮竹の過去を詮索しないが、興味はあった。
「春」の存在があったので、浮竹の過去は詮索しないことにしていた。
「じゃあ、俺たちはこれで帰る。また遊びにくる」
「またね~。あ、浮竹アッサムの茶葉渡さないと」
「ああ、忘れるところだった。あやかし印のアッサムの茶葉だ。市場に出回っている高級品よりうまい」
『ありがとう。ありがたく、もらっておく』
「術者の俺の作ったレアチーズケーキうまかったぞ。腕をあげたな」
『何度か作って練習したからな』
『ボクの浮竹はなんでもこなすからねぇ』
「では、帰る。行き来が面倒なので、桜の世界を通って帰る。京楽、異界に入るから、迷子にならないように手を繋ぐぞ」
「うん」
京楽は、うれしそうに返事をする。
二人は、手をつないで、浮竹が出した異界のゲートを通って帰ってしまった。
異界を通ると、長距離でも知って居る場所なら、すぐに到着する。
ただ、異界は不安定なので、安定している時しか利用できなかった。
京楽は、異界で桜を見ていた。
樹齢数千年はあるだろうという、桜だった。
「これが、俺の本体だ」
「へぇ。これが、浮竹そのもの・・・・・」
「人の世界では伐採されるから、異界で生きてる。で、あやかしの俺は人間界にいるわけだ。異界にある限り、人の手で伐採されることはないからな。それに、俺の許可がないと、この桜の世界には出入りできない。白哉には許可しているが」
「白哉君は、浮竹の本体から株分けされた桜なんだっけ」
「そうだぞ。弟のようなものだ」
「浮竹の桜、綺麗だね。浮竹そのものってかんじがするよ」
浮竹と京楽は、桜の世界で口づけて、手を繋いで3億のマンションに戻る。
「以外と早かったな」
異界から出ると、白哉がいた。
「ああ、桜の世界を通っていったからな」
「異界を通ったのか。浮竹、兄はいいが、京楽は慣れていないので迷い人になる可能性があるから、手をつなぐなりするべきだぞ」
「手を繋いで帰ってきたよ」
「それなら、問題はないな」
「少し早いが、夕食の準備をするか。京楽、白哉、何が食べたい?」
「カレー」
「オムライス」
「簡単だし、両方作るか」
そう言って、浮竹はキッチンに消えていくのであった。
「昔話に、花咲かじいさんという話があるだろう。あれ、俺だ」
4人でお茶をしていると、突然浮竹がそう言い出すものだから、京楽が自分でいれたアッサムの紅茶をふきだした。
「何してるんだ。汚いなぁ」
「何って、こっちのセリフだよ。花咲かじいさんが君?いつのことだい」
「だいたい、1100年くらい前のことかな。桜が枯れまくる時があって・・・長老神の仕業なんだが。それで、散ってしまった桜に、灰ではなく桜の花びらを吹き飛ばして咲かせていたら、白い髪のあやかしがいるって噂になって。じいさんのかっこして、年齢は今の姿のままで桜を咲かせ続けていたら、いつの間にか伝承になってた」
「一体君は、何をしているんだい」
「いや、だから枯れた桜を咲かせていただけだぞ?」
『それを見た人間は、驚いただろう?』
術者の浮竹の言葉に、浮竹が頷いた。
「当時はあやかしは今より恐れられていたからな。退治されそうになった。安倍晴明に」
『はぁ!?あの、安倍晴明かい!?』
「そうだぞ、夜刀神。お前は会ったことないだろう」
『当たり前でしょ。そもそも生まれてもいないよ』
「安倍晴明は強かったぞ。もっている式にされそうになった。あれほど強い術者は、陰陽師といえど、安倍晴明くらいだろうな」
『はうあー。生の安倍晴明か。会ってみたいな』
「人間の人生は短いからな。あれだけ強いと、他の術者が全部ゴミに見えた」
「術者がゴミ・・・・君がそう言うんだから、相当なものだろうね」
「長老神の藍染なんて、封印されかけてたぞ。都に穢れをふりまいていたからな」
「何やってるの長老神・・・・・」
京楽は、ため息を零す。
「長老神はある意味アホだからな。都に穢れをまいて、あやかしの世界にしようとして、安倍晴明に本当に封印というか、退治されかけていた。今思えば、あの時安倍晴明について、長老神を退治していれば、今みたいにややこしくなっていなかっただろうな」
『安倍晴明ってすごいな。その長老神を退治しそうになるなんて』
「だろう?それに、いい男だった。見た目がとてもよかった。そのせいで、女の花鬼はよく式にされていたな」
『安倍晴明と会って生きてるあやかしって、君と長老神くらいじゃない?』
夜刀神が、人の儚さを思う。
「まぁ、そうだろうな。桜の王じゃなかったら、あれの式になっていたかもしれん」
「式になったら、術者が死ぬまで使役されるんでしょう?」
「京楽と同じくらいにかっこよかったからな。式になることも少し考えた」
「桜の王が式なんて、冗談でもだめだよ」
術者の浮竹は、目を輝かせて質問してきた。
『安倍晴明ってどんなのだった!?』
「京楽みたいにかっこよかったぞ。ただの人間にしておくには惜しかったな。式にされかけなければ、契約をしていたかもしれない」
「春」や京楽と同じような、不老の契約であった。
「当時の都は魑魅魍魎が跋扈する闇を抱えていたからな。長老神は、その魑魅魍魎を自分のものにしようとして失敗して、安倍晴明に倒されかけていた。遠くから見ていたが、本当に強い陰陽師だった」
「長老神に助けろとか言われなかったの?」
「長老神とは面識がほぼないからな。俺が桜の王だとも分からなかったんじゃないか?」
『俺も安倍晴明に会ってみたい・・・・・』
『浮竹には、ボクがいるでしょ』
『でも、あの安倍晴明だぞ!』
『まぁ、気持ちは分からないでもないよ」
夜刀神は、術者の浮竹の頭を撫でた。
「安倍晴明に会ってたら、術者の俺は弟子になっていたんじゃないか。あれは、あやかしさえも超越していた。人間であるのが、おかしなくらいだった」
「相当強いんだね」
浮竹は、アッサムの紅茶のおかわりを、京楽に頼む。
「おかわり」
「はいはい」
茶葉は、浮竹がもってきたものだった。
いい茶葉が手に入ったと、茶のあやかしから無料でもらったのだ。
『それにしても、このアッサムのお茶、すごくおいしいね』
『ああ、俺もそう思った』
「茶のあやかしから手に入れたものだ。独自の方法で栽培しているらしい」
「浮竹は、白哉君みたいに緑茶は飲まずに紅茶が好きだからねぇ」
「京楽、お前のいれるお茶が一番うまい」
浮竹の褒められて、京楽は術者の浮竹と夜刀神の分のお茶のおかわりもいれた。
『ぼんぼんなのに、紅茶いれるのうまいって、不思議だな』
『人間のボクは金持ちだからねぇ』
実は、今住んでいる3億のマンションの他にも、3つの別荘と、2つの家をもっていた。
「今度、北海道の別荘に行こうと思ってるんだ。よければ、君たちもどうだい?」
『え、いいのか?』
『別荘・・・・やっぱりぼんぼんだね』
「まぁ、国内でも有数のグループの次男だからね。ほとんどほっぽりだされてるけど、金だけはある程度もらって、放置されてる」
「京楽、肉親がいなくて寂しいか?」
「いや?十四郎がいるから、寂しくないよ」
「春水・・・・」
「十四郎・・・・・」
二人の世界に入りそうになるのを、術者の浮竹の咳払いでなんとかなった。
『俺たちがいるのを、忘れないようにな』
『ボクたちがいない場所で、いちゃついてね?』
「ごほん。まぁ、安倍晴明の昔話をしてやる。興味をもって、当時いろいろ調べたんだ」
浮竹の話に、3人はのめりこむ。
「というのが、安倍晴明だ」
『スケールが違う』
『帝とか、時代も違うからねぇ』
「まぁ、俺の話はこれくらいだな。また何かネタを思い出したら、聞かせてやる」
『楽しみにしとくな!』
『さすがは5千年も生きているだけあるね』
「ボクにもちゃんと教えてね?」
京楽は、浮竹の過去を詮索しないが、興味はあった。
「春」の存在があったので、浮竹の過去は詮索しないことにしていた。
「じゃあ、俺たちはこれで帰る。また遊びにくる」
「またね~。あ、浮竹アッサムの茶葉渡さないと」
「ああ、忘れるところだった。あやかし印のアッサムの茶葉だ。市場に出回っている高級品よりうまい」
『ありがとう。ありがたく、もらっておく』
「術者の俺の作ったレアチーズケーキうまかったぞ。腕をあげたな」
『何度か作って練習したからな』
『ボクの浮竹はなんでもこなすからねぇ』
「では、帰る。行き来が面倒なので、桜の世界を通って帰る。京楽、異界に入るから、迷子にならないように手を繋ぐぞ」
「うん」
京楽は、うれしそうに返事をする。
二人は、手をつないで、浮竹が出した異界のゲートを通って帰ってしまった。
異界を通ると、長距離でも知って居る場所なら、すぐに到着する。
ただ、異界は不安定なので、安定している時しか利用できなかった。
京楽は、異界で桜を見ていた。
樹齢数千年はあるだろうという、桜だった。
「これが、俺の本体だ」
「へぇ。これが、浮竹そのもの・・・・・」
「人の世界では伐採されるから、異界で生きてる。で、あやかしの俺は人間界にいるわけだ。異界にある限り、人の手で伐採されることはないからな。それに、俺の許可がないと、この桜の世界には出入りできない。白哉には許可しているが」
「白哉君は、浮竹の本体から株分けされた桜なんだっけ」
「そうだぞ。弟のようなものだ」
「浮竹の桜、綺麗だね。浮竹そのものってかんじがするよ」
浮竹と京楽は、桜の世界で口づけて、手を繋いで3億のマンションに戻る。
「以外と早かったな」
異界から出ると、白哉がいた。
「ああ、桜の世界を通っていったからな」
「異界を通ったのか。浮竹、兄はいいが、京楽は慣れていないので迷い人になる可能性があるから、手をつなぐなりするべきだぞ」
「手を繋いで帰ってきたよ」
「それなら、問題はないな」
「少し早いが、夕食の準備をするか。京楽、白哉、何が食べたい?」
「カレー」
「オムライス」
「簡単だし、両方作るか」
そう言って、浮竹はキッチンに消えていくのであった。
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