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桜のあやかしと共に16

「よお、桜の王。今度はダージリンの茶葉ができたんじゃ。もっていけ」

「ああ、茶のあやかしの茶翁(ちゃおきな)か。この前もらったアッサムの紅茶、すごくおいしかったぞ」

「そりゃ、わしが栽培したものは世界一だからのお」

「スケールがでかいな。でも、確かに茶翁の茶はうまい」

京楽の3億のマンションに、茶翁が訪ねてきていた。

「このおじいさん、茶翁っていうんだ」

「京楽、兄は知らんだろうが、茶翁は齢千年を超すけっこう大物のあやかしだ」

「うへぇ。千年・・・・・・」

「私で二百年だからな。茶翁はけっこうな先輩だ」

白哉は、茶翁に頭を下げた。

「おう、白哉坊か。変わらず、桜の王と同じで綺麗じゃのう」

「本当のことを言っても何もならないぞ」

「かっかっかっか。それでこそ、桜の王の弟のような存在というのものじゃ」

茶翁は、和服をきたただの人間に見えるが、その妖力が分かる者には、大物だと分かる存在であった。

桜の王である浮竹の妖力は、妖力の分かるものにもはかりきれず、白哉の妖力もとても大きかった。

「じゃあ、わしはまた新しい茶を栽培するかのう」

「今度は、緑茶で頼む」

白哉がそう言うと、茶翁は恰幅よく笑った。

「わかったわかった。今度は、緑茶を栽培することにするとしようかのう」

ダージリンの茶葉の入った、麻袋をおいて、茶翁は35階のベランダから飛び降りていった。

「だから、ここ35階・・・・・・・・」

京楽がそういうが、浮竹の元を訪れるあやかしの大半が、35階のベランダから飛び降りて、地面に激突することなく、異界のゲートを開いて帰っていく。

「京楽、早速茶をいれてくれ」

「分かったよ。茶菓子は、この前十四郎が作っていたワッフルでいいかい?」

「ああ、かまわない」

「京楽、私には緑茶を」

「白哉君は緑茶ばっかりだね。たまには、紅茶飲んでみたら?」

「紅茶は私の口にあわぬ。緑茶のしぶさがうまいのだ]

「はいはい。じゃあ、白哉君だけ緑茶ね」

京楽は、キッチンに茶をいれにいった。

「白哉、ルキアちゃんと一護君はどうしている?」

「ああ、あの二人か。正式に付き合いだして半月になるが、仲は良いようだ。太陽の王・・・ネモフィラ畑の全てのあやかしが、太陽の王である黒崎一護の恩恵を受けて、妖力が高まって進化しているらしい」

「一護君がいるだけで進化か・・・・さすが、太陽の王だけあるな」

「ルキアは、いずれ太陽の王の妻になるであろう。名誉なことだ」

「ちょっと気が早いんじゃないか?まだ付き合いだして半月だろう」

浮竹がそう言うと、白哉は首を横にふった。

「すでに、太陽の王と婚約を交わしている」

「正式な契約でか?」

「その通りだ」

「ふむ・・・・太陽の王に嫁ぐということは、ネモフィラの女王になるってことだな」

「もともと、ルキアはネモフィラの花鬼たちを統べる長だ。存在意味はあまり変わらないであろう」

そこへ、京楽がいい匂いのするトレイをもってくる。

「お茶、いれてきたよ」

「ああ、ありがとう。京楽は、そういえばなぜ、こんなに茶をいれるのがうまいんだ?」

「あー。実家に、紅茶を入れる専門の職人がいてね。けっこうな年で・・・・さっきの茶翁にちょっと似てるかな。彼から、暇な時に手ほどきを受けたんだよ。元々紅茶好きだったから。ボクがいれるお茶がおいしいって、兄が珍しく褒めてくれてね。嬉しくて、更に腕を磨いて、両親にもおいしいって言わせた」

「京楽の家族に、一度会ってみたいな」

「十四郎に会わせれるのは、兄くらいかな。両親は偏見が強いから」

「そうか・・・・・」

浮竹は、少し残念そうに笑った。

「そうそう、茶菓子に、ボクがこの前十四郎に教えてもらった形で、クッキー焼いてみたのを混ぜてあるんだ。味はまぁまぁだと思うから、食べてみて?」

「ん・・・これか。どれどれ」

「このクッキーを、兄が焼いただと・・・・浮竹が焼いてちょっと失敗したものかと思った。まぁまぁ、うまいではないか」

「お、白哉君がそう言ってくれると嬉しいねぇ」

「本当だ。けっこうおいしい」

浮竹も、びっくりしていた。

「京楽、料理を俺から習ってみないか?」

「気が向いたらね。浮竹のおいしいごはんが食べたいから」

「浮竹、兄の作る料理が生きてきた中で一案美味い」

「白哉君の言う通りだね」

「まぁ、昔になるが、料理の学校にも通っていたしな。料理は完全な趣味だな」

「あれ?茶翁のおいていった麻袋の中に、茶葉以外の何かが入ってるね」

京楽が、ごそごそと茶葉をどけてそれを掴む。

「・・・・・チュールだ」

茶翁とは古くからの知り合いなので、浮竹と白哉が猫の姿をとる時があるのを知っていた。

「チュール!京楽、黒猫になるから、兄が私に食べさせろ。兄からもらうチュールはうまいのだ」

「いや、チュールって誰があげても一緒じゃない?」

「そうでもないぞ。あやかしに関係のある人物だと、ものの味が変わる時がある」

浮竹の言葉に、京楽は興味深そうになった。

「チュール!にゃあああ」

白哉が、チュールをもらう合図のように、京楽の頭をかじる。

「白哉君、毎度頭をかじるのやめてよ」

「そうだぞ、白哉。京楽のアホがうつるぞ」

そう言われながら、京楽は黒猫になった白哉にチュールを与えた。

紅茶を飲んで、茶菓子も食べて、浮竹もオッドアイの白猫の子猫姿になると、京楽にチュールをねだる。

「ああ、白哉君もだけど、十四郎も猫になるとかわいいねぇ。あやかし姿もかわいいけど」

「にゃあああ」

浮竹は、京楽の手からチュールをもらう。

浮竹はチュールを食べ終わると、白哉の黒い毛皮をなめた。

白哉も、浮竹の白い毛皮をなめる。

それを、京楽はかわいいなぁと見ていた。

「そうだ。猫の姿で、お風呂いれてあげたい。猫用シャンプー買ってあるんだよ」

「猫の姿で、風呂に入るのか?」

「私はかまわんが・・・・・」

「じゃあ、十四郎も白哉君も、そのままの姿でいてね。猫用シャンプーとってくるから」

そう言って、京楽は一度奥に消えると、バスタオルとドライヤーと猫用シャンプーを手に戻ってきた。

「さぁ、お風呂に入ろうか」

「京楽、兄が言うと卑猥に聞こえる」

「ちょ、白哉君!この前、十四郎とお風呂でエッチしたの、気づいてた?」

「匂いが残っていた」

白哉は、あやかしだけに鼻がいい。それは、浮竹とて同じであるが。

「京楽、風呂ではもうしないからな」

「まぁ、それはまた今度話そう。お風呂入るよー」

「にゃあああああ」

「にゃああ!」

二人というか二匹は、京楽にシャンプーをしてもらい、洗われてバスタオルで包まれて水分をふきとり、ドライヤーでかわかされると、気持ちのよさから二匹は猫の姿のまま丸まって、ソファーで眠ってしまった。

「かわいい・・・写真とろう。スマホスマホ・・・」

京楽が、二人の姿をスマホで写真をとる。

それを待ち受け画面にした。

茶翁が、その腕を見込まれて、長老神の藍染に茶を入れろと命令されて、反発して亡き者にされるのは、茶翁が浮竹たちの元を去ってから、一週間後の出来事であった。

「茶翁が死んだ・・・・・」

「え、どうして!?」

京楽が驚愕する。

「長老神の、藍染の怒りを買ったらしい」

「長老神とは、また厄介な存在に殺されたものだな」

「白哉の言う通りだな。「春」の時と同じように、反魂の法で茶翁は藍染の元に通っているらしい。俺たちの手で、永遠の眠りにつかせてやろう」

こうして、浮竹、京楽、白哉は茶翁を反魂の法から解放して、永遠の眠りにつかせてやった。

「茶翁・・・仇は、いつか必ずとる。「春」を反魂の法で蘇らせたのも、藍染の仕業だと分かった」

浮竹は、春の王として、いずれ長老神に挑む時がくるだろうと分かっているのだが、まだ力不足で茶翁の仇はしばしの間とれそうにないのであった。

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