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桜のあやかしと共に18

術者の浮竹と夜刀神からもらった、付喪神つきの一輪挿しとティーカップは、今日もカタカタと音をならしていた。

京楽が紅茶を注げば、ティーカップはおとなしくなって動かなくなる。

一輪挿しのほうには、白哉が持って帰ってきたネモフィラの花を生けた。一輪挿しもかたかたはじめは音を鳴らせていたが、付喪神として使ってくれというサインだった。

ちゃんと使うと、おとなしくなるので、普通に使えたが、付喪神なので大事にすることにした。

お礼に何かあげたいという浮竹に、京楽は高級食材とそのレシピなどどうだと言い出した。

「フカヒレ、フォアグラ、ツバメの巣、トリュフ、キャビアとか・・・それらを使ったレシピを教えてあげたらどう?」

「いいな、それは。術者の俺と夜刀神はあんまり高級食材を食べたことなさそうだし」

「今手元には、フカヒレとフォアグラとキャビアがあるよ」

「いつの間に買ったんだ、そんな高級食材」

「浮竹に料理してもらって、おいしくいただこうと思って」

「兄は、浮竹をコックと間違えているのではないか」

白哉は、自分でいれたばかりの緑茶を飲みながら、京楽が取り出してきた高級食材を見る。

フカヒレもフォアグラもキャビアも、普通の市民には手の出ない値段のものだ。

うんと贅沢をすれば手に入るが、国内有数のグループの次男である京楽にとっては、それほど高い品ではなかった。

「今日は、この3つを使ったコース料理にするか」

「うわぁ、高級レストラみたいだね」

「高級レストランのコックより、浮竹がつくるもののほうがうまい」

白哉は、食材をもってキッチンに消えていった浮竹の後を追い、手伝うらしかった。

「ボクは・・・お皿を並べて、テーブルクロスをひいて、ネモフィラの一輪挿しを中央において・・・よし、家なのにちょっと高級レストランっぽいしゃれたかんじになったね」

浮竹が、まずはフカヒレのスープをもって、白哉と一緒に現れた。

「お、テーブルクロスまでひくなんて、まるで高級レストランみたいだな」

「京楽、兄にしてはやることが雅だ」

「ふふん、ボクだって料理はあんまりできないけど、準備くらいならできるからね」

3人でフカヒレのスープを食べる。

「我ながらうまいな」

「おいしい」

「浮竹の腕がよいのだ」

次のメニューは、フォアグラのソテーだった。

それもおいしかった。

「キャビア・ド・オーベルジーヌだ」

「なんの料理か良くわからない名前だけど、これもおいしいね」

「作るのを、私も手伝ったぞ」

白哉は、赤ワインを飲んでいた。

京楽もだ。浮竹だけ、オレンジジュースだった。

「むう。俺も赤ワインを飲みたい」

「だめ。君はアルコール禁止」

浮竹は、過去によっぱらって術者の浮竹にキスをしたり、同じ布団で寝たりすることがあったので、浮竹にはアルコールを飲ませないことにしていた。

浮竹は酒に弱い。

普通の赤ワインでもグラス半分でへべれけになってしまう。

「デザートはアップルパイと、苺のムースだ」

「アップルパイは私も焼いたのだ」

「白哉の料理の腕もなかなかいいかんじなってるぞ」

「そうなの。ボクは料理てんでだめだからね」

デザートも食べ終えて、3人は満足した。

「今日のメニューのレシピと食材を、全部術者の俺と夜刀神にあげようと思っている」

「大丈夫?素人には作れそうにないレシピだけど」

「術者の俺の料理の腕は、かなりいいぞ。俺の作ったメニューも作れるはずだ」

そうして、次の日浮竹と京楽は、両手いっぱいの食材とレシピを手に、術者の浮竹の店舗兼住宅を訪ねた。

チリンと呼び鈴を鳴らすと、術者の浮竹が出てきた。

『はーい』

「俺たちだ」

「やあ、元気にしてる?1週間ぶりだね」

『こっちは元気だぞ。依頼もなくて、暇で京楽と囲碁してた』

「これ、今日の夕飯の食材とレシピだ。今の腕のお前なら、作れるはずだ」

『え・・・フカヒレ!?フォアグラにキャビアまで・・・・・はう』

食材の値段の高さに、術者の浮竹はめまいを覚えた。

『い、いくらしたんだ』

「200万くらい」

『はう』

卒倒した術者の浮竹の頭の上には、蝙蝠姿の夜刀神がいて、術者の浮竹に一生懸命話しかけていた。

『しっかりして、浮竹!傷は浅いよ』

「漫才か。まぁ、とにかく食材とレシピ置いておくな?そっちの俺が正気に戻ったら、調理手伝ってやれ、夜刀神」

『はぁ・・・・ボクたちは倹約の節約家なのに・・・・これまた、とんでもない値段の材料もってきたねぇ』

「200万くらい、普通だぞ?いく時は500万いくこともある」

「まぁ、さすがに滅多にそんな高級料理作ってるわけじゃないけどね、十四郎は。ボクは金があまってるから、まぁ浮竹は着るものや装身具に興味ないから、食材なら受け取ってくれるから」

京楽は、浮竹の頭を撫でた。

浮竹はぱちくりしていた。

『はぁ・・・・今日は一生で一度の、ご馳走かもね』

『あ、京楽・・・・・』

卒倒していた術者の浮竹が目を覚ます。

『気が付いた?』

『200万もするんだって・・・・食材』

『うん、聞いたよ』

『付喪神のティーカップと一輪挿しのお礼にしては高すぎる』

「まぁ、ものをあげるよりレシピのほうがいいかなと思ったんだが、食材がそろえれそうにないから、こっちでもってきた」

『俺たちは節約家だから、今度からもっと安いもので頼む』

「わかった。じゃあ、調理がんばれよ」

『俺にできるかな。こんなフルコースのメニュー』

「おい、夜刀神、手伝ってやれよ?」

『もちろんだよ』

「じゃあ、俺たちはこれで戻るな」

「またねぇ」

浮竹と京楽が去っていった後には、高級食材とレシピが残された。

『や、やるだけやってみるか。もらったからタダだし』

『ボクも、料理手伝うから』

蝙蝠姿から人化して、夜刀神は術者の浮竹と一緒にキッチンにこもり、「うわー」とか「焼きすぎたーー」とかいう悲鳴が聞こえるのあった。

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