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桜のあやかしと共に25

「これで、本当jにさよならだよ、シロ」

「「春」!!!待ってくれ!」

「ボクは、京楽春水の魂と混じりあう。京楽春水は、「春」であり「春」でない。でも、君の愛しい京楽春水の中に、ボクはいるから。どうか、そんな風に泣かないで」

「春」の魂は、京楽の魂と混じりあう。

京楽は「春」を受け入れた。

「おいで、昔のボク。一つになろう」

「ありがとう、未来のボク。一つになって、シロを愛そう」


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「なんだかんだあったけど、「春」の魂って、今ボクの体の奥に眠っているんだよね?」

「そうだな。浄化したつもりだったんだが、黄泉に行かずに京楽の体の奥で眠っている」

京楽は、「春」の夢を見ることがなくなった。

浮竹は、今も「春」を愛している。

もちろん京楽のほうをさらに愛しているが。

京楽と浮竹は、桜が満開になったので、浮竹の仮初の宿り木である公園の桜を見に来ていた。

「春は生き物たちが眠りから目覚める季節だ」

「そうだね。冬眠してた動物や冬に耐えてきた草木が芽吹く季節だね」

京楽は、浮竹の桜の花を見上げた。

「綺麗だね」

「桜の王の俺が宿っているからな。一か月は咲き続けるぞ」

「わお。長く咲くんだね」

京楽は、浮竹の宿る桜の花を見上げていた。

浮竹は、京楽に幻想的な風景を見せたくて、わざと桜吹雪をおこした。

「桜にまみれちゃうね」

「桜は俺だ。俺の祝福だ」

「う‥‥」

突然、京楽が苦しみだした。

「どうした!?」

「わからない‥‥‥でも、邪悪な力を感じる。公園の向こう側に、誰かいる。ボクに術をかけてる」

「公園の向こう側だな!見てくる!」

「だめだ、浮竹、一人で行っちゃ‥‥」

そこで、京楽の意識は途絶えた。

浮竹が公園の向こう側に行くと、黒いフードをかぶった男性らしき影が、反魂の術を使っていた。

「お前‥‥‥藍染か!」

「おや、正体はばれていたか。また、君の愛する「春」に会わせててあげるよ」

「やめろ!死者の魂をいたぶるな!」

浮竹は、桜吹雪で藍染を包み、切り刻むが、藍染は平気な顔をしていた。

「ぐ‥‥‥これでもくらえ!」

手のひらに桜の花びらを乗せてふっと息を吹きかけると、それは業火となって藍染を包み込んだ。

よく燃えた。でも、燃えたのはフードだけで、火が消えそうになる頃には藍染の姿はなかった。

「くそ、京楽、無事でいてくれ!」

元来た道を走っていく。

公園で、桜の花びらに埋もれて京楽は倒れていた。

「京楽!」

「やぁ。また会えたねシロ」

「「春」‥‥‥」

「春」が、京楽の近くに立っていた。

「京楽に、何かしたのか!?」

「何も。魂の奥で眠っていたボクを無理やり起こされたショックで、気を失っているだけだよ」

「「春」‥‥俺は、お前を愛している。でも、もう一緒には行けない」

「わかっているよ。ボクを反魂した者は、ボクに京楽春水を殺させようとしていたみたいだけど、力いっぱい抗ったからね」

「「春」」

「シロ。最後だから、キスさせて?」

「うん」

浮竹は京楽がただ気を失っていることを確認すると、「春」とキスをした。

「「春」‥‥‥反魂はだめだ。また、眠りについてくれ」

「もう、眠らないよ?」

「え?」

浮竹は「春」を見上げた。

「京楽春水の魂と混じりあう。京楽春水は「春」であって「春」でない者になる」

「だめだ、「春」、いなくならないでくれ!今までみたいに、京楽の体の奥で眠っていてくれ!」

「それじゃあ、今回みたいにまた反魂で、今度こそシロに害をなす。ボクは消えるべきなんだ。だから、お別れだよ」

「「春」!!」

浮竹は叫んでいた。

「これで、本当jにさよならだよ、シロ」

「「春」!!!待ってくれ!」

浮竹は、ボロボロ涙をこぼしながら、「春」に抱き着いた。

「いやだ!いなくならないでくれ!」

「だめだよ、十四郎。彼を消してあげないと」

「京楽!」

いつの間にか気を取り戻した京楽が、「春」を抱きしめる浮竹を、背後から抱きしめた。

「京楽‥‥‥「春」が、「春」が」

「うん。つらいね。でも、ボクの魂と混じりあうから、完全に消滅するわけじゃないよ。「春」はボクと一つになるんだ」

「ボクは、京楽春水の魂と混じりあう。京楽春水は、「春」であり「春」でない。でも、君の愛しい京楽春水の中に、ボクはいるから。どうか、そんな風に泣かないで」

「春」の魂は、京楽の魂と混じりあう。

京楽は「春」を受け入れた。

「おいで、昔のボク。一つになろう」

「ありがとう、未来のボク。一つになって、シロを愛そう」

「春水‥‥‥」

ぱぁぁぁと光が輝き、「春」の体がぽろぽろ崩れていく。

「「春」!!」

「ボクは、永遠に君を愛しているよ、シロ。京楽春水と混じりあっても、この気持ちは変わらない」

桜の花吹雪が、「春」を包み込む。

もう、そこに「春」はいなかった。

京楽春水が立っていた。

「「春」?」

「なんだい?十四郎。シロって呼ぶべきかな?」

「いや、十四郎でいい。今まで通りで‥‥」

ボロボロと涙をこぼして、浮竹は京楽を抱きしめた。

「「春」のにおいがする‥‥」

もう、永遠に「春」とは会えない。

京楽と混じりあったというが、ベースは京楽で、「春」はそれに紛れ込んだ魂のかけら。

「春水‥‥‥‥愛してる」

「うん。十四郎、ボクも「春」も、君を愛しているよ」

桜が散っていく。

浮竹は、京楽の前で倒れた。

「十四郎!?」

「大丈夫だ。いろいろありすぎて、ショックとかでちょっと倒れただけだ」

浮竹は、藍染を業火で燃やすのに妖力の大半を使ってしまった。京楽は、浮竹をお姫様抱っこする。

「一緒に帰ろうか。マンションへ」

「おい、まさかこのお姫様抱っこのまま、運ぶつもりか?」

「そうだけど?」

浮竹は、泣きながら笑った。

「おんぶでいい」

「だーめ。このまま運ぶよ」

京楽の中に、「春」は浸透していた。「春」はよくお姫様だっこをしてくれた。

「春水‥‥‥「春」‥‥‥‥愛してる」

「ボクも愛してるよ、十四郎‥‥‥シロ」

京楽の口からシロと呼ばれて、いよいよ浮竹は涙腺が決壊し、涙を流しながら京楽の胸に顔を埋める。

「今日は、出前を頼もう。とても料理する気分になれない」

「うん。十四郎は、ゆっくり休んで?」

藍染が憎い。

けれど、「春」に会うことができた。

それはうれしい。

矛盾する二つの心で、浮竹は京楽に抱きしめられていた。

「キス、してもいい?」

「ああ、いいぞ」

「「春」としてたみたいだから。上書きね?」

「ん‥‥‥‥ふあっ」

舌をいれられて、浮竹は京楽を受け入れる。

「「春」‥‥‥‥永遠におやすみ。春水の中で、生きろ」

浮竹はそう言って、瞳を閉じた。








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