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桜のあやかしと共に33

夜、京楽は桜鬼の姿になって、ただひらすら眠る浮竹の髪を撫でていた。

「君はボクのものだ。ボクだけを見て、ボクのために笑って。十四郎、君はボクの全てだ」

すでに、あやかしになっているが、いつ闇に飲まれれてもおかしくない状態だった。

そんなある日、浮竹が夏の朝顔の王に会ってくると言って、出かけてしまった。

京楽はついていきたがったが、王同士の話があり、京楽は連れていけない言われて、しょぼんとなった。

夏の朝顔の王の名は市丸ギン。

京都弁をしゃべる、一見すると普通の青年だが、秘めている力は四季の王の中でも一番強かった。

「十四郎が帰ってこない」

1日経っても帰ってこないので、念のために妖狐の浮竹と夜刀神の元に連絡をいれてみたが、知らないと言われた。

『桜鬼の京楽、闇に飲まれるなよ』

電話ごしにそう言われたが、京楽は姿を桜鬼にして、すでに闇に飲まれていた。

「十四郎の居場所を見つけてきて」

京楽は、200体くらいの式を放ち、夏の朝顔の王近辺を探させた。

すると、浮竹を拉致したのは、朝顔の王だと分かった。

「十四郎を返してもらうよ」

「あちゃー、なんで居場所ばれてもうたんやろ。せっかく、藍染様に捧げようと思ってたのに」

「藍染に?させるものか。ここで、死んでしまえ」

京楽は、桜鬼になったまま、意識のない浮竹を庇いながら、桜の術を使う。

「うわ、なんやのこれ。桜の花びら‥‥刃やんか!」

「切り刻まれてしまうといいよ」

「ほんなん言うても、ボクも夏の朝顔の王やで?ただでやられるわけないやん」

市丸は、朝顔の花を咲かせて、桜の花びらの刃を吸収していく。

「これならどう?」

京楽は、桜の花をふっと吹いて、業火で市丸を包んだ。

「効かへんなぁ。でも、まだ桜鬼をやる時期じゃないし、藍染様も桜の王を今欲しているわけじゃないから、ボクは引かせてもらうわ」

「逃げるの?」

「ちゃうちゃう。見逃してあげるんや。こっちは撤退やで」

市丸は、朝顔の花鬼を大量に召喚した。

「させると思ってるの?」

市丸を消そうとする京楽の体を、朝顔のつるがしめつけて、動けないようにする。すぐに桜の花びらを吹いて、火で燃やすが、もう市丸の姿はなかった。

京楽は、襲い掛かってくる朝顔の花鬼を全て殺した。命乞いをしたり、逃げようとする者も。

「浮竹、起きて。ボクだけを見て。ボクだけのものになって」

浮竹と京楽を心配して、桜鬼の気配が強くなった場所にかけつけた妖狐の浮竹と夜刀神が見たものは、朝顔の花鬼を皆殺しにして、血の海にひたる京楽と浮竹の姿だった。

『桜鬼のボク。闇に、飲まれてるね?』

「また、ボクの浮竹をさらいにきたの。みんな、殺してあげる」

『だめだ、京楽。話し合いじゃどうにもならないくらい、暴走してる』

京楽は、桜の花びらの刃を二人に向ける。

それを、夜刀神がシールドをはって防ぐ。

「桜の花鬼たちよ、やってしまえ」

京楽は、桜の花鬼を数体召喚して、妖狐の浮竹と夜刀神にさしむける。

『この花鬼、普通じゃないね。桜鬼の分身みたいなものだね。でも、片付けても桜鬼には被害がでない‥‥‥‥‥これだから、桜系のあやかしは嫌いなんだよ。桜の王は別だけど』

『全部殺してしまえばいい』

妖狐の浮竹は、鬼火で桜の花鬼たちを灰にしていく。

けれど、灰から桜が芽吹き、また桜の花鬼が復活する。

『これじゃきりがない。術者である、桜鬼のボクをなんとかしないと』

『俺がいく』

妖狐の浮竹は、浮竹に化けた。

「十四郎が二人?」

とまどう京楽の鳩尾に、拳をいれる。

「ぐ‥‥‥‥」

『正気に戻れ、桜鬼』

「ボクは正気だよ」

『まさか、自分から闇に飲まれて、その力をコントロールしているのか?』

「さぁ、どうだろうね。妖狐の浮竹も、夜刀神もいらない。消えて」

妖狐の浮竹は、妖力をまとわせた拳で、再度京楽の鳩尾に拳を入れて、意識を失わせた。

『とりあえず、意識を失わせたが、起きたらまた暴走しそうだ。京楽、暴走しないように術をかけてやってくれ』

人の姿になっていた夜刀神は、京楽に術をかける。

暴走すると、激しい痛みが伴うものを。

「ん‥‥‥俺は?そうだ、朝顔の王に襲われて」

『助けにきた』

『右に同じく』

「京楽は?なぜ、血まみれで息絶えた花鬼たちがこんなにいる?」

『ここじゃ、ゆっくり話もできないね。とりあえず、ボクらの屋敷においで』

夜刀神は、意識のない京楽を背負い、浮竹は妖狐の浮竹に支えられて、異界を通って二人の屋敷にやってきた。

『案の定、桜鬼の京楽は暴走した』

 びくりと、浮竹が強張る。

『力のコントロールの仕方、一から教える必要があるな。俺は嫌だから、京楽に頼もう』

『仕方ないねぇ』

夜刀神は、京楽に力のコントロールの仕方を教えることが決まった。

「ん‥‥‥」

そこで、京楽が目覚める。桜鬼の姿ではなく、人の姿に戻っていたが、瞳は赤いままだった。

「ボクの十四郎を返して」

『何も、とってないぞ』

「ボクの十四郎は、ボクだけがいればそれでいい。ね、十四郎」

「正気に戻れ」

浮竹は、京楽に自分の血を少量分け与えた。

「ああっ、ボクは何を‥‥」

「もういいんだ、京楽。なるべくお前の傍にいるから、暴走しないでくれ」

『ボクが力のコントロールを教えるんだよ?そうそう暴走なんてしなくなるさ』

「ああ‥‥夜刀神、妖狐の浮竹、排除しようとしてごめん」

『今更だね』

『今更だな』

「夜刀神、力のコントロールの仕方を教えて。このままじゃ、十四郎まで傷つけてしうまう」

『仕方ないねぇ』

「京楽、無理はするなよ」

「うん」

二人は、数日屋敷に滞在して、京楽は夜刀神から力のコントロールの仕方を教わり、大分桜鬼でさあることにも慣れたし、妖狐の浮竹が浮竹に抱き着いたりしても、嫉妬で闇に飲まれることはなかった。

「長く、世話になったな。連絡はいれてあるが、白哉が飢え死にしてそうなので、帰る」

『ふふ、帰る理由がそれ?よっぽど白哉くんが大事なんだね』

「当り前だ。弟だからな。ほら、京楽も礼を言え」

「世話になったね。もう、きっと暴走はしない」

『だと、いいけどねぇ』

夜刀神が京楽を見る。

『まぁ、俺が精霊の俺に抱き着いたりキスしても、桜鬼にならなかったから、大丈夫じゃないか?』

『ちょ、浮竹キスって!』

浮竹は真っ赤になった。

「凄かった‥‥テクが、今までの誰よりも凄かった」

『ええっ』

夜刀神も知らない、妖狐の浮竹の一面であった。

『精霊の俺はかわいいな。キスしてもよいと思える』

『ボクがいるのにぃぃ』

夜刀神は、妖狐の浮竹の頭の上で、こうもり姿で嘆いた。

『俺が愛しているのは、京楽、お前だけだ』

『うん』

それを聞いて、京楽も浮竹にささやく。

「愛してるよ、十四郎。でも、君がボク以外を見ても我慢する。いろいろたくさん我慢する」

「春水、偉いぞ」

「ふふ。キスしていい?」

「俺からしてやろう」

浮竹にキスされて、京楽は赤くなった。

「テ、テクが凄い」

『妖狐の俺直伝だぞ」

『ああもう、いちゃつくなら外でやれ』

「ああ、そうする」

浮竹と京楽は、異界渡りをして、浮竹の桜の木がある公園まできていた。

「京楽。もう、俺のせいで暴走なんてしないでくれ」

「うん。でも、君を傷つけたり攫おうとする者は殺すよ?」

「俺は王だ。そうそう簡単にやられない」

「でも、この前は相手が格上の夏の王だった」

京楽は、心配気に浮竹を見つめた。

「市丸には気をつける。あと接触していないのは、冬の王で椿の王である、日番谷冬獅郎だけだな」

「接触するの?」

「桜の王として、椿の王から冬の終わりをもらうからな。椿の王は、3千年を少年の姿のまま生きている古参だ」

「浮竹に惚れない相手なら、いいよ」

「俺に惚れるのは、お前や「春」くらいだ」

「そうでもないよ?君は綺麗だから、いろんな花鬼やあやかしが惚れてる」

それは本当の話であった。

浮竹が気づいていないだけで。

「ねぇ、さっきのキス、もう一回して?覚えて、君にする」

「仕方ないやつだな」

浮竹は背伸びして、京楽に妖狐の浮竹直伝のキスをするのであった。






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