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桜のあやかしと共に65

藍染は、濡れ女との間に子供を作った。

子は、禁忌の術によすぐに育つ。

0歳児であるにも関わらず、15歳ほどの少女に成長していた。

「朱音(あやね)、さぁ、私を四季の王にするために、憎き現在の四季の王を殺してきなさい」

「はい、お父様」

朱音は、濡れ女と藍染の間にできた子であったが、梅の花の花鬼であった。

花鬼なら、浮竹も油断するだろうという目論見であった。


「桜の王、お願いがあります」

朱音は、浮竹と京楽の住むマンションを訪れた。

「藍染の匂いがする。お前、藍染の手下だな!?」

浮竹は、臨戦体制をとる。

「はい、私の父は藍染です。でも、私は父の言いなりになるしかありません。私は、普通の梅の花鬼として生きたいのです」

「十四郎、気をつけて。口ではこんなこと言ってるけど、何をしてくるか分からないよ!」

「ああ、分かっている」

浮竹は、室内で桜の花びらをふっと吹いて、朱音の身動きがとれないようにしてから、桜の術を朱音にかけた。

自白用の術であった。

「お父様は怖い。でも私は自由がほしい。梅の花鬼になれたのだがら、桜の王の庇護のもとで暮らしてみたい。自由がほしい。お父様なんて嫌い。あんなの、私のお父様じゃない」

「十四郎、この子‥‥‥」

「ああ。本心から、藍染の子であるのが嫌なようだ」

浮竹は、朱音の戒めをといた。

「あの、私を、保護してください!」

「人もあやかしも滅多に来ない、異界で過ごすのはどうだ?異界にも梅のあやかしはいる」

「お父様から自由になれるなら、どこだってかまいません!」

朱音は、ぽろぽろと涙を零した。

「ああ、私は桜の王の抹殺を命じられたのに、桜の王はこんな私を守ろうとしてくださる」

「現世で梅の花鬼のままでいると、絶対に藍染に利用されるからな」

浮竹は、異界へのゲートを開いた。

京楽と一緒に、朱音を異界の梅の花鬼たちが集う場所へ連れていく。

異界は現世との行き来がほとんどないが、異界で生まれ、育つ花鬼たちも珍しくはなかった。

「ここが、異界の梅の里だ」

「わぁ、私と同じ梅の花鬼がたくさんいる」

わいわいと、梅の花鬼たちでにぎわう里は、春の王であり四季の王である、桜の王を見て皆、敬うようにその場に跪く。

「いい。俺のことは気にしないでくれ。今日は、この朱音という梅の花鬼を、里の一員にしてほしくて、来た」

「桜の王の望みでしたら、その子を里の子として受け入れましょう」

「よかったね、朱音ちゃん」

朱音は、怪しく微笑んだ。

「ここが異界か‥‥私も来たことがない。桜の王よ、死ね!」

朱音は、隠し持っていたナイフで、浮竹を刺した。

「何するの!」

京楽が瞬時に桜鬼になって、浮竹から朱音を引きはがす。

「ふふふ。私は藍染。この娘の体を借りている。さぁ、殺すがいい。私を殺すわけではないのだから、好きにすればいい」

桜鬼となった京楽は、朱音の息の根を止めようとして、血を流す浮竹に止められる。

「先に、傷治すね?」

「ああ‥‥‥朱音は、操られているだけだ。桜の術で、他者に操られんようにするから、命をとるのはやめてくれ」

「でも、君を傷つけたんだよ?」

「俺を傷つけたのは、藍染だ。朱音じゃない」

「ははは、四季の王、優しいことで。こんな娘、私の子ではない。死ね」

朱音は、藍染に操られて、首の動脈をナイフで描き切った。

「京楽、俺はいいから朱音を!」

「分かったよ!」

京楽は、浮竹の傷の応急手当をしておいたので、命にかかわる傷の朱音の傷を癒す。

「朱音から出ていけ、藍染!」

「くそう、もう少しで四季の王を殺せたというのに‥‥」

朱音の中から、藍染は完全に消えてしまった。

浮竹の桜の術は、精神に干渉するものが多い。

「私は‥‥‥ああ、なんてことを。桜の王を傷つけるなんて」

「心配するな、傷は浅い。それより、お前は藍染に殺されそうになったんだぞ。術でもう二度と藍染からの干渉を受け付けないようにしたが」

「私を殺さないのですか」

「お前は、いい花鬼だ。殺す必要性はない」

「ボクは今すぐにでも殺したいけどね?」

京楽は、残酷に微笑む。

「京楽さんの思う通りにしてくださってけっこうです」

「京楽、許してやれ。じゃないと、お前のこと、嫌いになるからな」

「十四郎にそう言われちゃ、許すしかないね」

言葉ではそう言うのが、桜鬼の姿のまま、京楽は怒っていた。

「この怒り、誰にぶつければいいの?」

「京楽、帰ったら俺を抱け。俺に怒りをぶつけろ」

「君がそう言うなら、そうするよ」

結局、幾重にも封印を施されて、朱音は異界の梅の里で暮らしていくことが決まった。

すぐに、男の梅の花鬼が、桜の王を指すシーンを見ていたが、処分を自ら望む潔さに心を打たれたといって、朱音の夫になることが決まった。

「朱音、幸せにな」

「幸せになってね。ボクの浮竹を傷つけたんだから、幸せになって浮竹を驚かすくらいにならないと、許さないからね」

「ありがとうございます、桜の王、それに京楽様」

「俺が、責任をもって幸せにしてみせます」

男の梅の花鬼は、朱音と手を握り合い、一緒に暮らすことにした。

異界から現世に戻ると、心配そうな白哉が立っていた。

「浮竹、兄の妖力に大きな揺らぎをかんじた。血がついている。京楽がいるのに、誰かに傷つけられたのか?」

「ああ、白哉、心配するな。傷は京楽が癒してくれた。問題はもう解決済みだ」

「そうか。それならば、よいのだが」




「くそ、朱音のやつ‥‥‥‥おい、濡れ女。今すぐ、次の子供を作るぞ」

長老神である藍染は、四季の王の座ほしさに、いろんな女のあやかしを妊娠させて子供を産ませて、自分の傀儡になるように育てるのであった。





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