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僕_

桜のあやかしと共に74

「俺は藍染様の部下の窮鼠(きゅうそ)」

「ああ、間に合ってます」

チャイムを押してでたら、藍染の部下という窮鼠がきていた。お断りをいれて、無視すると鋭い牙で扉をかじりはじめる。

「ちょっと、やめてくれない?」

「やめてほしくば、四季の王を呼べ」

「おーい、十四郎、藍染の部下とかいうアホが扉かじってるんだよ。君の力を見せつけてやって?」

「いいぞ」

四季の王であり、桜の王であり、桜の花神でもある浮竹と窮鼠の力の差は歴然だと思えた。

「くくく、かかったな!」

窮鼠は、何かの液体を浮竹にかけた。

すると、浮竹は子猫のサイズよりも小さくなり、窮鼠は瓶の中に浮竹を閉じ込めてしまった。

「ふふふ、四季の王はもらっていくぞ!」

「待て!」

京楽が桜鬼の姿になって、窮鼠を殺そうとするが、結界ではじかれてしまった。

「君は、ただの窮鼠ではないね」

「心眼見事なり。我は夜叉。藍染の部下ではないが、人質をとられている。悪いが、四季の王はもらっていくぞ!」

「あ、まて!」

夜叉は、神の一種だ。そんな相手が、藍染なんかの部下であるはずがない。

京楽は、桜鬼の姿のまま、浮竹の妖力を頼りに浮竹を探すが、ある一定の場所までくると、浮竹の妖力は消えていた。

「十四郎‥‥‥どうしよう」

京楽は困り果て、鴆の京楽と彼岸花の精霊の浮竹がいる裏山の洞窟までやってきた。

『どうした、一人で。しっぽりしすぎて、嫌われたか?』

『浮竹、彼に失礼だよ』

和んでいる二人とは反対に、青白い顔をして京楽は訴える。

「浮竹が連れ去られた!相手は夜叉。神だ」

『夜叉神が、藍染と結託しているのか?』

「ううん、人質をとられてるっていってたよ。とにかく、浮竹を助け出したいんだ。力をかしてくれるかな?」

『もちろんだ』

『当たり前でしょ』

頼もしい仲間が二人加わり、それぞれの方法で浮竹の居場所を探すが、一向に見つからなかった。

「どうしよう‥‥‥ひどい目にあってなきゃいいけど。藍染、殺してやる‥‥」

京楽が、少しずつ闇の飲まれていくのを、恍惚とした表情で彼岸花の浮竹が見ていた。

『浮竹、今はそんな場合じゃないでしょ』

鴆の京楽にたしなめられて、彼岸花の精霊の浮竹は残念そうな顔をする。

『俺好みの闇なんだがな‥‥』

3人の元へ、浮竹を攫った夜叉が現れる。

「すまぬ、人質を解放されたので、桜の花神の居場所を言う」

夜叉神は、藍染に恋人の人間を人質にとられていて、仕方なしに浮竹を攫ったらしかった。

「浮竹はどこ!?」

「中央大学の地下にいる」

「大学?そんなところに潜んでいたのかい」

「元のサイズには戻されたが、藍染から何かをされているかもしれない。四季の王を藍染は殺せないが、傷つけれないわけじゃない」

『早く行こう、中央大学へ!』

『俺の異界渡りを使え!』

「浮竹、待ってて!すぐに助けにいくから!」



一方、浮竹は。

「はじめましてかな、浮竹十四郎」

「お前が、藍染惣右介か」

「いかにも。長老神であり、四季の王となり神となる存在だ」

「はっ、笑わせてくれる。何が神だ。宝玉たちに拒まれて、四季の王になれなかったくせに」

浮竹は、元のサイズに戻されていた。

「今、君は私の手の中なのだよ。言葉に気をつけたまえ」

「どうあがいたところで、俺を殺せないだろう。お前の手では」

「だから、違うあやかしをけしかけて殺そうと思ってね」

今度は、本物の窮鼠が20体は出てきた。

「やってしまえ!」

「桜の花びらよ!」

結界がはられてあった。本来なら、浮竹の術など使えないはずであった。

「俺を怒らせたこと、後悔させてやる」

浮竹は、桜の花神になっていた。桜の花びらに触れると、窮鼠たちは桜の花になってしまった。

「なんだと!?神だというのか!私をさしおいて、お前が神だというのかあああ!!!」

藍染は、浮竹を自分の手では殺せないという掟を破って、殺そうとする。

全ての攻撃は、藍染自身に跳ね返った。

「ぐわあああ」

「俺は桜の花神」

「神だと‥‥‥ええい、呪詛をかけてやる。お前の愛しい者の記憶を奪ってやる!」

「うぐ‥‥‥」

浮竹は、穢れ、毒、呪詛に弱かった。

「くくく、ははははは!お前の仲間たちがきそうなので私はここで退散させてもらう。愛しい者を忘れて、絶望するといい!」

藍染は、そう言い残して消えた。



『こっちから、桜の王の気配がする』

『大きなけがとかはしてないようだね』

「十四郎、今行くよ!」

3人がかけつけると、白い椅子以外何もない部屋で、浮竹は座っていた。

「十四郎!」

「誰だ、お前は。俺は、桜の王。俺を知っているのか?どこか、懐かしいかんじがする」

その言葉に、京楽は茫然とした。

「冗談、だよね?」

『これは、藍染の仕業だな。君の記憶だけを綺麗に抜かれているみたいだよ?』

鴆の京楽が、浮竹にかけられた呪詛を見ながら言う。

「嘘でしょ、十四郎」

「そっちは鴆の京楽、彼岸花の精霊の俺‥‥‥お前は鴆の京楽に瓜二つだ。双子か何か?」

「十四郎!!」

浮竹は、涙を流していた。

「分からない‥‥愛しいのに、お前のことを思い出せない」

京楽は、浮竹を抱きしめた。

『とりあえず、呪詛を解かないと』

「あ、うん」

京楽は、浄化の力で浮竹が纏っていた呪詛を解くが、浮竹の記憶が戻ることはなかった。

「十四郎‥‥‥‥‥」

「泣くな。誰か分からないが、俺のためなんかに泣くな」

京楽は、闇にのみこまれていく。

『彼岸花が‥‥‥咲いた』

彼岸花の精霊の浮竹は、京楽に埋め込んだ種が開花したことに喜びを感じた。

「十四郎、帰ろう?ボクらの家に」

「俺は、お前の恋人なのか?」

京楽は泣きながら、浮竹を強く抱きしめた。

「君の記憶は、ボクが絶対に取り戻してみせるから」

「懐かしい‥‥‥「春」みたいだ」

京楽は、浮竹をただ抱きしめた。そして異界渡りをして、自宅に戻る。

『桜鬼の京楽、どうするつもりだ』

『闇に飲まれているな』

「浮竹の意識にもぐりこんでやる」

『その方法は、あまりにも危険だよ?』:

下手をすると、現実世界に帰ってこれない。

「構わない。ボクを忘れた浮竹を見ていたくないから」

『闇が、お前を照らすだろう。さぁ、彼岸花の褥で眠れ』

彼岸花の精霊の浮竹は、京楽の家の中を彼岸花の絨毯に変えた。

そこに、浮竹を術で眠らせて、京楽も隣で横たわり、手を繋いで精神的にリンクする。

『さぁ、戻ってこれるか?』

『浮竹、だめだよ、このまま二人が眠りについたまま帰らないとか』

『すべては、桜鬼の京楽次第‥‥‥‥』

彼岸花の精霊の浮竹は、妖艶に笑って、彼岸花の絨毯で眠る二人をそっと撫でるのだった。







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