桜のあやかしと共に87
「彼岸花の精霊の俺、鴆の京楽ではなく、昔の山の王の京楽を求めているのか?」
『そ、そんなつもりは‥‥‥』
彼岸花の精霊の浮竹は、言葉をつまらせる。
『ただ、京楽に傍にいてほしい。離れたくない。死なないでほしい』
「君の思いは分かるけど、君は心のどこかで、昔の山の王のボクを欲している」
『そうか‥‥‥‥』
彼岸花の精霊の浮竹は、俯いた。
『だが、今の京楽のままでもいいんだ!』
「うん。それは分かってる」
「彼岸花の精霊の俺が、今の鴆の京楽だけでないものを欲している。見ていてつらい。それに、下級とはいえあやかしを殺しすぎている。今後の改善点は多いぞ」
『改善したら、京楽は許してくれるか?』
「多分ね。絶対とまでの保証はないけど、君が鴆のボクに山の王を重ねなくなったら、前みたいに仲睦まじくいられるよ」
『俺は、山の王だった京楽が好きだった。外の世界を教えてくれたから。でも、もういない」
「そうだね」
「ああ。死んでしまったものは仕方ない」
「今の京楽をずっと好きでいたい』
「いっそ、山の王の京楽の記憶を封印するか?」
『いやだ。それはいやだ』
彼岸花の精霊の浮竹は、首を左右に振る。
『山の王だった京楽も大好きなんだ。今の京楽も大好きだけど』
「結局、問題は解決しないのか?」
『俺が変わってみる』
「うん。そのいきだよ」
京楽に励まされて、彼岸花の精霊の浮竹は鴆の京楽に山の王の京楽をなるべく見ないことをしようと思った。
「さて、あちらさんは、一人で今頃何を悩んでいるんだろうね。まぁ、大体の察しはつくけど」
結局、彼岸花の精霊の浮竹は京楽のマンションに泊まった。
「寝顔だけ見てると、本当に君がもう一人いるみたいなんだけどね?」
「寝ている間に術をかけよう。山の王の京楽を、だんだん忘れていく術を」
「いいの?そんなことして」
「そうでもしないと、二人に待っているのは破滅だ」
「うん、そうだね」
彼岸花の精霊の浮竹は、眠りながら涙を零した。
『もう‥‥失いたく、ない』
「やっぱり、術かけるのやめておく。これは二人の問題だ。俺たちがどうこうしていい問題じゃない」
「確かにそうだね。下級のあやかしを食う件は、なくなってくれるといいけど」
「なくなるだろうさ。鴆の京楽がそれを望む限り」
「夜も遅い。ボクたちも寝よう」
「しっぽりはなしだぞ」
「さすがに、今の気分でしっぽりはないね」
「白哉、一緒に寝よう」
部屋のソファーで、静かに読書していた白哉を呼んで、一緒に寝ようと誘う浮竹に、京楽はちょっとだけ眉が動く。
冷静に冷静に。
嫉妬に飲まれると、闇が蠢き出す。
京楽は、桜鬼の闇を今でも体内でかっている。
うまくつきあっていくつもりだった。
「京楽と寝なくていいのか、兄は」
「京楽とは毎日のように一緒に寝てるから、たまには白哉と寝たい」
「私は別にかまわぬが。京楽が、変な顔をしているぞ」
「ああ、あれは放置でいい」
次の日のあさ、鴆の京楽が彼岸花の精霊の浮竹を迎えにくるのだった。
『そ、そんなつもりは‥‥‥』
彼岸花の精霊の浮竹は、言葉をつまらせる。
『ただ、京楽に傍にいてほしい。離れたくない。死なないでほしい』
「君の思いは分かるけど、君は心のどこかで、昔の山の王のボクを欲している」
『そうか‥‥‥‥』
彼岸花の精霊の浮竹は、俯いた。
『だが、今の京楽のままでもいいんだ!』
「うん。それは分かってる」
「彼岸花の精霊の俺が、今の鴆の京楽だけでないものを欲している。見ていてつらい。それに、下級とはいえあやかしを殺しすぎている。今後の改善点は多いぞ」
『改善したら、京楽は許してくれるか?』
「多分ね。絶対とまでの保証はないけど、君が鴆のボクに山の王を重ねなくなったら、前みたいに仲睦まじくいられるよ」
『俺は、山の王だった京楽が好きだった。外の世界を教えてくれたから。でも、もういない」
「そうだね」
「ああ。死んでしまったものは仕方ない」
「今の京楽をずっと好きでいたい』
「いっそ、山の王の京楽の記憶を封印するか?」
『いやだ。それはいやだ』
彼岸花の精霊の浮竹は、首を左右に振る。
『山の王だった京楽も大好きなんだ。今の京楽も大好きだけど』
「結局、問題は解決しないのか?」
『俺が変わってみる』
「うん。そのいきだよ」
京楽に励まされて、彼岸花の精霊の浮竹は鴆の京楽に山の王の京楽をなるべく見ないことをしようと思った。
「さて、あちらさんは、一人で今頃何を悩んでいるんだろうね。まぁ、大体の察しはつくけど」
結局、彼岸花の精霊の浮竹は京楽のマンションに泊まった。
「寝顔だけ見てると、本当に君がもう一人いるみたいなんだけどね?」
「寝ている間に術をかけよう。山の王の京楽を、だんだん忘れていく術を」
「いいの?そんなことして」
「そうでもしないと、二人に待っているのは破滅だ」
「うん、そうだね」
彼岸花の精霊の浮竹は、眠りながら涙を零した。
『もう‥‥失いたく、ない』
「やっぱり、術かけるのやめておく。これは二人の問題だ。俺たちがどうこうしていい問題じゃない」
「確かにそうだね。下級のあやかしを食う件は、なくなってくれるといいけど」
「なくなるだろうさ。鴆の京楽がそれを望む限り」
「夜も遅い。ボクたちも寝よう」
「しっぽりはなしだぞ」
「さすがに、今の気分でしっぽりはないね」
「白哉、一緒に寝よう」
部屋のソファーで、静かに読書していた白哉を呼んで、一緒に寝ようと誘う浮竹に、京楽はちょっとだけ眉が動く。
冷静に冷静に。
嫉妬に飲まれると、闇が蠢き出す。
京楽は、桜鬼の闇を今でも体内でかっている。
うまくつきあっていくつもりだった。
「京楽と寝なくていいのか、兄は」
「京楽とは毎日のように一緒に寝てるから、たまには白哉と寝たい」
「私は別にかまわぬが。京楽が、変な顔をしているぞ」
「ああ、あれは放置でいい」
次の日のあさ、鴆の京楽が彼岸花の精霊の浮竹を迎えにくるのだった。
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