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浮竹と京楽と海燕と さぁ献血しよう

13番隊で、遠征任務があった。

いつもはほわほわしている浮竹も、この時ばかりは真面目になる。いや、真面目であってほしいと、海燕は思った。

流魂街にある森で、キャンプをした。

対象の虚は複数で、流魂街でも最終地区あたりに出没して、民を貪り食っているという。流魂街の最終地区に近づく度に治安が悪くなり、民の犠牲がなくとも、住民通しで殺し合うような世界だった。

「俺、ちょっと山から何かとってくる」

そう言って、浮竹はふらりといなくなった。

海燕が仮眠していた時なので、止める者もいたが、「まぁまぁ、こんな森の中だし、対象の虚までは遠いから」と言って、キャンプ地を出て行ってしまった。

数時間しても帰ってこない浮竹を心配して、平隊士が海燕を起こした。

「何ー!隊長が山で何かとってくるといっていなくなった!?」

「はい、すいません、もっと強くおとめすれば・・・・・・」

「いや、あんたは悪くない。悪いのは隊長だから。霊圧で探ってみる」

霊圧探知にも長けた海燕は、すぐに浮竹の霊圧をキャッチした。

どこにも違和感はなく、いつもの隊長の霊圧で、乱れはなかった。

「虚に襲われているんじゃないな・・・でも、なんでこんなに帰りが遅いんだ?」

浮竹の霊圧を辿って森の中に入っていくと、木苺がたくさんなっていた。

「まさか・・・・」

浮竹は、木苺を食べながら集めていた。他の隊士の分もと、布袋にいっぱいになるまで、摘み取っていた。

「はぁ・・・・」

「うわ、びっくりした。海燕じゃないか。こんなところでどうした?」

「どうしたもこうしたもありませんよ。あんたの帰りが遅いから、様子を見に来たんです」

「ああ、じゃああれ運ぶのも手伝ってくれ」

木苺がなっている森の奥に、一頭の鹿が急所を貫かれて死んでいた。刀傷によるものだった。

「あんたが、とったんですか」

「ああ、そうだが?隊員たちに、新鮮な肉を食わせれると思ってな」

やはり、浮竹は優しい。木苺を集めたり(自分でかなり食べてたけど)こうやって獲物をとったり。

「そこらへんの山菜や、茸もとったんだ。鍋にでもするか」

海燕は立派な雄鹿を担いで、浮竹と一緒にキャンプ地に戻ってきた。

「隊長!ご無事でしたか!」

「今日は鹿の肉の鍋だ。まずい携帯食だけでは腹がすくだろう。あとは、デザートに木苺をとってきてある」

女性隊士が、叫んだ。

「浮竹隊長、こんな森の中でもサバイバル生活できそうですね!すてき!」

「いやなぁ、子供の頃貧乏で、よく山や森に入っては、獣を仕留めたり、山菜や茸、果物をとっていたんだ。畑をもっていたから、自給自足っぽい生活だったけど、やっぱ肉は仕留めないと高いからな」

からからと明るく笑う浮竹からは、子供の頃は貧乏だったという辛い思いを、微塵も感じられない。

「隊長は強いですね・・・・・」

「何がだ、海燕?」

「いいえ、こっちの話です」

海燕も、自分の一族が没落していく姿を子供心に見ていた。あんなの、もう思い出したくもない。なのに、浮竹は思い出しても、辛さを感じさずに普通に話す。

正直、羨ましかった。

鹿の肉の鍋は美味しかった。味噌をもってきていた者がいたので、みそ味にしていただいた。

毛皮はなめして、京楽への土産にもって帰ることにした。

流魂街の最終地区につき、出てきた虚の群れを、浮竹は切り殺していく。海燕も負けるものかと、他の隊士たちと一緒になって、虚の群れにつっこんでいった。

「緑色のやつ、体液が酸だ!気をつけろ!」

浮竹の言葉に、はっとなるが、目の前の女性死神が緑色の虚を切り裂いて、返り血を浴びそうになっていた。

無我夢中で、庇う。

背中に、酸の血を浴びて、海燕は苦痛のうめき声をもらした。

「くそっ」

「離れろ!破道の8、白雷!」

浮竹の放った鬼道で、緑色の虚たちは黒焦げになった。

「残りは少ない。いけ!」

席官も、平隊士も、互いに合図しあいながら慎重に討伐を進める。

最初は指揮のもなかったが、浮竹がまとめあげると、隊はその通りによく動いた。

浮竹が、あとは席官に任せて、海燕のところにやってきた。

「大丈夫か、海燕」

「少し、背中に酸を浴びました。痛いけど、死ぬほどじゃあありません」

「回道の得意なものはいるか!」

「あ、はい!」

3席の清音は、今は瀞霊廷にいる。他の隊士で回道の得意な死神を呼び出して、とりあえず火傷がこれ以上酷くならないように、応急手当てをしてもらった。

「帰ったら、4番隊の救護詰所いきだな。あそこの飯は不味いぞー。そして卯ノ花隊長は菩薩で阿修羅だ。怒らすとどうなることか・・・・」

話を聞いているだけで、汗がでてきた。卯ノ花隊長が怖いのだ。何度が浮竹の見舞いにいって騒いでいたら、元気がありますねと、無理やり献血されて、しおしおになった記憶がる。

「とりあえず、虚の駆除もおわったようだし、引き上げるぞ!怪我人は応急手当てをしてもらえ!」

浮竹もいたので、今回は死者や重傷者はでなかった。

軽傷の者が数名だ。

そんなこんなで、13番隊の遠征は終わった。


「おかえりー」

ずっと、浮竹を待っていた京楽が、雨乾堂で抱き着いてきた。

「離れろ。湯浴みを数日できなかったから、体はふいていたが、風呂が先だ」

「浮竹は綺麗好きだもんね」

湯浴みをして、あがってきた浮竹を京楽は押し倒した。

「盛っているのか?」

「うーん、半分正解だけど、帰ってきたばかりの君を襲うほど、節操なしじゃないよ」

京楽をどけて、浮竹はなめした鹿の皮を袋から取り出した。立派な角もついていた。

「どうしたの、これ」

「俺が仕留め、隊で鍋にして夕食になった」

「ちゃんとなめしてあるね。上等な毛皮だ。ありがとう。もらっておくよ。ところで、海燕君は?」

「ああ、あいつは女性死神を庇って、酸の返り血を背中に浴びて、今4番隊の救護詰所で治療中だ」

「へぇ、海燕君が。怪我するなんて初めてじゃない?」

「まぁ、庇ったからな」

「男の鏡だねぇ」

京楽は、浮竹をまた押し倒していた。

「やっぱり、前言撤回。抱くよ、君を」

「好きにしろ・・・・」



「ああ!」

中に入っていた京楽の灼熱が、前立腺をすりあげていく。

その刺激に耐え切れず、浮竹は精液を放っていた。

「んっ」

いっている最中だというのに、京楽の動きは止まらない。

何度も前立腺を突き上げられた。

「ひう!」

最奥を突きあげられる。

そのまま、腹の奥で何度目かになるかも分からない熱をぶちまけられて、京楽も満足した。

「春水・・・キスしてくれ」

「十四郎、愛しているよ」

舌が絡み合う口づけを交わす。

まだ繋がったままだった。

「まだするのか?」

「まだしてもいいなら、する」

「んっ・・・好きにしろ・・・・」

ぱんぱんと、腰と腰をがぶつかりあう音が響いた。

結合した場所はお互いの体液と潤滑油で粟立っている。

「ひああああああ!」

もう、浮竹は精液を出し尽くしており、オーガズムでいくことしかできなかった。

とろとろと透明な蜜を零して。

「あ、あ、あ!」

体位を変えて、後ろから突き上げた。

中を抉られて、浮竹が啼く。

「んあああ!」

そのまま最奥にまで入ってこられて、最後の熱を浮竹の中に放って、京楽ももう出すものがなくなって、浮竹の中から出る。

とたんにこぽりと逆流してきた精液を、濡れたタオルでふきとる。

「一緒に、湯浴みしようか」

「ああ。体液でべたついてて、洗い流したい」

一緒に風呂に入った。

いつもは着替えとかを用意してくれている海燕は今はいないので、いつも置いてある浴衣をきた。

「そんな恰好じゃ、寒いでしょ」

「お前も同じ格好じゃないか」

京楽も、浴衣姿だった。互いの下着は用意されてあったが、夜に着る着物がなかったので、浴衣になった。

京楽は、新しい布団をだして、そこに寝そべり、ぽんぽんと隣を叩いた。

そこに、浮竹がもぐりこむ。

「人間ホッカイロだな。あったかい」

まだ季節は2月。まだ肌寒い季節だ。

布団の上に横になると、遠征の緊張感と疲れと、セックスの疲れからか、すぐに浮竹はうとうとしだして、眠ってしまった。

「明日、海燕君を見まいに行こうって・・・寝ちゃってるか」

抱き着いてくる浮竹の頭を撫でて、京楽も眠りにつくのだった。

翌日、海燕の見舞いにいくと、海燕はげっそりしていた。

「怪我人なのに・・・・珍しい血液型で今不足してるからって、献血された」

しおしおだった。

「しかもほんとに食事不味いし・・・都の手料理が食べたい・・・・」

「まぁ、京楽家の料理人が作ってくれた弁当だ。これでも食べて、少しは元気だせ」

重箱の弁当箱を浮竹から渡されて、海燕は素直に喜んだ。

「ここの料理、味うっすいし、不味いし・・・・」

京楽が、顔を蒼くする。

「う、海燕君」

「怪我人に献血させるなんて最低だ」

「う、海燕・・・・・」

「そうですか。そんなにここが気に入ってくれたのですね」

いつの間にか現れた卯ノ花に、その場にいた誰もが顔を蒼くした。

「あら、京楽隊長も元気そうですね。献血にいきましょう。浮竹隊長は、発作はおちついていますか?」

「あ、ああ。最近は発作はないな」

「浮竹ー助けてーーー」

ずるずると献血室に運ばれていく京楽を、浮竹も海燕も涙目で別れを告げた。

「昨日はあれが俺だったんです。隊長は、体が弱いから血を吐きすぎて輸血されることはあれど、献血されることなくていいですね。ほんと、しおしおになるまでとるから・・・」

卯ノ花隊長は、菩薩のように優しくて、般若のように怖いのであった。








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