浮竹と京楽と海燕と
「あはははは、海燕、お星さまをがまわっているぞ」
「しっかりしてください、隊長!」
飲み屋で、浮竹と海燕は飲んでいた。強い酒を頼んだつもりはなかったが、深夜まで飲み明かして、浮竹は酔っぱらってしまった。
浮竹は、酔っぱらうと笑い上戸になって、饒舌になる。そして、いきなり寝だす。
「ちょっと、ほんとにこんなところで寝ないでくださいよ」
「海燕お前も結婚したらどうだ。都といい関係なんだろう。結婚しろ結婚してしまえ。そして子供が生まれたら俺が名付け親になるんだ。あはははははは」
支えていた体重が、ずしりと重くなる。
「ZZZZ・・・・・・」
「もう、勘弁してくださいよ!」
海燕は辟易とした声をあげた。
このままでは移動できないので、悪いとは思いながらも、その体を横抱きにして、瞬歩で雨乾堂まで帰った。
「何してるの、海燕君」
待っていた京楽が、少し棘のある声をだした。
「ああ、京楽隊長。浮竹隊長が酔っぱらって・・・・・・」
「かしてごらん」
浮竹は、大の大人にしては体重は軽いほうであろうが、それでも海燕には重かった。その体重をひょいっと軽く、京楽は持ち上げた。
鍛錬の仕方が違う。そう思わされた。
「浮竹、起きて、浮竹」
「ん~?京楽か・・・なんだ、なんの用だ」
「まだ、肺の薬飲んでないでしょ」
そういえば、そうだった。
いつも、夕餉と一緒に肺の薬を出すのだ、今日は夕方から飲み屋で食事をしながら酒を飲んでいた。
海燕が、肺の薬を出してくる。
「苦いからいやだ」
「そう言わないの」
「いーやーだー」
「水を」
「はい」
京楽に水の入ったコップを渡すと、京楽はそれを肺の薬と一緒に口にした。
「え、京楽隊長!?」
浮竹に、口移しで飲ませる光景を、見ていた。
二人ができているのは知っているが、こうまで隠すこともなく口移しで飲ませるものなのだと思った。
「服を」
「あ、はい」
浮竹の体調羽織と死覇装を脱がせて、室内用のゆったりとした着物を着せる。
それから布団をしいて、浮竹を横にさせると、毛布と布団を被せた。
「京楽も、一緒に寝よう」
まだ酔っているが、素面でも同じことを言うだろう、浮竹は。
ぽんぽんと、自分の隣を叩く浮竹に、仕方ないなと、笠と女ものの打掛と体調羽織を脱いで、横になる。
「京楽の匂いがする・・・・・」
浮竹は、京楽にすり寄った。
「見ていても楽しいものじゃないでしょ」
「はぁ。でも、隊長の甘える姿見るのけっこうはじめてに近いんで、けっこう面白いです」
「君も、人が悪いね」
「そういう京楽隊長も、俺がいなければ浮竹隊長に手を出してたでしょう」
「そうでもないよ。浮竹が僕に甘えてくるのは酔ってる時か高熱にうなされている時くらいだから、それを楽しむことだってある」
「どっちにしろ、京楽隊長も人が悪いです」
はぁと、短いため息をついて、海燕は雨乾堂を後にした。
翌日。
ぷんぷんと怒っている浮竹の姿があった。
その先には、目に痣を作った京楽の姿。
「だから、違うっていってるじゃない。寝込みを襲ったんじゃなくって、君が一緒に寝ようと甘えだしたから、一緒に寝たんだよ」
「だったら、なんで普段用の着物がこんなに乱れているんだ!」
「それは君が暑いとかいって脱ぎだしたんだよ」
「記憶にない」
「そりゃ、酔っぱらってたからね」
ぎゃあぎゃあ言い争いあう二人を見ているのも楽しいが、流石に京楽隊長が可愛そうになって、助け舟を出す。
「隊長は、昨日俺としこたま飲んで寄っぱらって、京楽隊長に一緒に寝ようっていってるシーンをバッチリ見ました」
「海燕に見られているのに、俺はそんなことを言ったのか」
「いや、今更でしょう。隊長たち、俺がいてもおっぱじめるくらいだし」
かっと、浮竹が朱くなる。
「そ、そんなことあったのか?」
「ありました。過去に3回くらい」
「そんなバカな・・・・」
「俺の存在を空気として扱ってましたから」
「京楽、海燕がいる前では手を出してくるなよ!」
「それは約束できないなぁ」
人の悪い笑みを浮かべる京楽。くつくつと、笑む。
「京楽のあほ!」
浮竹は、その華奢な身体にどこにこんな力があるかのかって勢いで、京楽の脛を蹴った。
「あいた!!もう、浮竹、蹴るのはなしにしてよ!君の蹴り、結構痛いんだからね!」
「べーだっ」
浮竹は、たまに子供っぽいところがある。まぁ、そこが可愛いのだが。
と、上司を可愛いと思ってしまう自分もどうなのだろうかと、海燕は思った。
何はともあれ、昨日の棘のあった京楽は怖かった。
浮竹のことになると、飄々とした雰囲気が霧散して、真剣になる。
もしも、海燕が仮にだとしても、浮竹に手を出せば、京楽は海燕を切り捨てるだろう。そう思わせるほどに、剣呑な京楽がいることも確かだ。
今の関係が、一番心地よい。
京楽とできている浮竹を支えて、身の回りの世話や仕事をしたりして、上官である浮竹だけでなく、京楽と3人で過ごす時間が。
いつか、昨日いっていたように、所帯をもって子供ができたら、浮竹に名付け親になってもらおう。
そう思う海燕がいた。
「しっかりしてください、隊長!」
飲み屋で、浮竹と海燕は飲んでいた。強い酒を頼んだつもりはなかったが、深夜まで飲み明かして、浮竹は酔っぱらってしまった。
浮竹は、酔っぱらうと笑い上戸になって、饒舌になる。そして、いきなり寝だす。
「ちょっと、ほんとにこんなところで寝ないでくださいよ」
「海燕お前も結婚したらどうだ。都といい関係なんだろう。結婚しろ結婚してしまえ。そして子供が生まれたら俺が名付け親になるんだ。あはははははは」
支えていた体重が、ずしりと重くなる。
「ZZZZ・・・・・・」
「もう、勘弁してくださいよ!」
海燕は辟易とした声をあげた。
このままでは移動できないので、悪いとは思いながらも、その体を横抱きにして、瞬歩で雨乾堂まで帰った。
「何してるの、海燕君」
待っていた京楽が、少し棘のある声をだした。
「ああ、京楽隊長。浮竹隊長が酔っぱらって・・・・・・」
「かしてごらん」
浮竹は、大の大人にしては体重は軽いほうであろうが、それでも海燕には重かった。その体重をひょいっと軽く、京楽は持ち上げた。
鍛錬の仕方が違う。そう思わされた。
「浮竹、起きて、浮竹」
「ん~?京楽か・・・なんだ、なんの用だ」
「まだ、肺の薬飲んでないでしょ」
そういえば、そうだった。
いつも、夕餉と一緒に肺の薬を出すのだ、今日は夕方から飲み屋で食事をしながら酒を飲んでいた。
海燕が、肺の薬を出してくる。
「苦いからいやだ」
「そう言わないの」
「いーやーだー」
「水を」
「はい」
京楽に水の入ったコップを渡すと、京楽はそれを肺の薬と一緒に口にした。
「え、京楽隊長!?」
浮竹に、口移しで飲ませる光景を、見ていた。
二人ができているのは知っているが、こうまで隠すこともなく口移しで飲ませるものなのだと思った。
「服を」
「あ、はい」
浮竹の体調羽織と死覇装を脱がせて、室内用のゆったりとした着物を着せる。
それから布団をしいて、浮竹を横にさせると、毛布と布団を被せた。
「京楽も、一緒に寝よう」
まだ酔っているが、素面でも同じことを言うだろう、浮竹は。
ぽんぽんと、自分の隣を叩く浮竹に、仕方ないなと、笠と女ものの打掛と体調羽織を脱いで、横になる。
「京楽の匂いがする・・・・・」
浮竹は、京楽にすり寄った。
「見ていても楽しいものじゃないでしょ」
「はぁ。でも、隊長の甘える姿見るのけっこうはじめてに近いんで、けっこう面白いです」
「君も、人が悪いね」
「そういう京楽隊長も、俺がいなければ浮竹隊長に手を出してたでしょう」
「そうでもないよ。浮竹が僕に甘えてくるのは酔ってる時か高熱にうなされている時くらいだから、それを楽しむことだってある」
「どっちにしろ、京楽隊長も人が悪いです」
はぁと、短いため息をついて、海燕は雨乾堂を後にした。
翌日。
ぷんぷんと怒っている浮竹の姿があった。
その先には、目に痣を作った京楽の姿。
「だから、違うっていってるじゃない。寝込みを襲ったんじゃなくって、君が一緒に寝ようと甘えだしたから、一緒に寝たんだよ」
「だったら、なんで普段用の着物がこんなに乱れているんだ!」
「それは君が暑いとかいって脱ぎだしたんだよ」
「記憶にない」
「そりゃ、酔っぱらってたからね」
ぎゃあぎゃあ言い争いあう二人を見ているのも楽しいが、流石に京楽隊長が可愛そうになって、助け舟を出す。
「隊長は、昨日俺としこたま飲んで寄っぱらって、京楽隊長に一緒に寝ようっていってるシーンをバッチリ見ました」
「海燕に見られているのに、俺はそんなことを言ったのか」
「いや、今更でしょう。隊長たち、俺がいてもおっぱじめるくらいだし」
かっと、浮竹が朱くなる。
「そ、そんなことあったのか?」
「ありました。過去に3回くらい」
「そんなバカな・・・・」
「俺の存在を空気として扱ってましたから」
「京楽、海燕がいる前では手を出してくるなよ!」
「それは約束できないなぁ」
人の悪い笑みを浮かべる京楽。くつくつと、笑む。
「京楽のあほ!」
浮竹は、その華奢な身体にどこにこんな力があるかのかって勢いで、京楽の脛を蹴った。
「あいた!!もう、浮竹、蹴るのはなしにしてよ!君の蹴り、結構痛いんだからね!」
「べーだっ」
浮竹は、たまに子供っぽいところがある。まぁ、そこが可愛いのだが。
と、上司を可愛いと思ってしまう自分もどうなのだろうかと、海燕は思った。
何はともあれ、昨日の棘のあった京楽は怖かった。
浮竹のことになると、飄々とした雰囲気が霧散して、真剣になる。
もしも、海燕が仮にだとしても、浮竹に手を出せば、京楽は海燕を切り捨てるだろう。そう思わせるほどに、剣呑な京楽がいることも確かだ。
今の関係が、一番心地よい。
京楽とできている浮竹を支えて、身の回りの世話や仕事をしたりして、上官である浮竹だけでなく、京楽と3人で過ごす時間が。
いつか、昨日いっていたように、所帯をもって子供ができたら、浮竹に名付け親になってもらおう。
そう思う海燕がいた。
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