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酔っ払いと現世での虚退治

「うぃー、俺は酔っぱらってなんかないぞお」

「浮竹、足にきてるから。ほら、肩かすから歩いて」

「京楽のあほー。お前のせいで、俺の人生設計が滅茶苦茶だー」

「なんで僕のせい・・・・・」

「お前が変態で、俺のことを好きだからだ」

「ああ、確かに僕のせいだね」

京楽を半分抱えた状態になりながら、夜道を歩く。

今日は、飲み会があった。合同のコンパだった。浮竹と京楽は女子に興味はないだろうが、連れて行けば女子が黄色い声をあげて喜ぶので、ほぼ無理やり参加させられた。

やはり浮竹にしか興味を示さぬ京楽が、あれやこれやと浮竹の世話を焼く様子に、女子たちははしゃいで、結果的に誰か男とくっついて帰っていって、コンパは無事成功した。

送っていく女子もいないので、浮竹を送る京楽。

といっても、京楽は浮竹専門だが。

京楽は瞬歩を使えるが、まだ未熟で中途半端なため、体に負荷をかける。だから、よほどのことがない限り、瞬歩は使わないことにしていた。

千鳥足で歩く浮竹を支えながら歩くのにも、限界があった。

「ああもう、抱いていくよ」

その軽い体を横抱きにして歩いていく。こっちのほうが疲れないし、楽だ。

鍛錬を怠っていない京楽の体躯はでかく、筋肉ももりもりだ。それに対して、浮竹は鍛え上げても薄くしなやかな筋肉がつくだけで、細い。おまけに食も細いし、よく熱を出したり肺の病で臥せってろくに食事もとれないこともある。

浮竹の体重なんて、京楽の3分の2あるかないかだった。

それを浮竹はとても気にしていて、京楽の体を見ては、いいなと言う、

京楽からしてみれば、今のままの浮竹がいいので、筋肉もりもりにはなってほしくなかった。

どこか中性的な浮竹が好きなのだ。

背丈はあるのが、容姿のせいで、私服の時はよく女に間違われた。

院内では、男にまで告白されるという。京楽が睨みを効かせてから大分減ったが、それでも浮竹に邪な思いをもつ男は後を絶たない。

3回生も、もうすぐ終わりだ。

冬も終わりに近づいていた。

桜の花が咲く季節には、4回生になる。

この頃の学院は、飛び級をしていなかったので、成績のいい浮竹も京楽も、しっかりと6回生まで生徒として在席していた。

寮の自室につくと、浮竹をベッドの上に寝かせた。

「お前も、一緒に寝ろ」

ぽいぽいと衣服を脱いで、襦袢姿になった浮竹が誘ってくる。それに応える京楽。同じようにぽいぽいと衣服を脱いで、こっちは全裸になった。

最近、ちょっと露出璧が出てきたので、裸でいても平気だった。

「むちゅー」

「やっ」

たこのようにキスを求める京楽にビンタが炸裂した。

「普通に、しろ」

普通にキスをすると、浮竹はそれに応えた。舌と舌を絡ませなあいながら、深く、そして浅くキスを繰り返していると、浮竹は寝てしまった。

「ちぇっ」

もうちょっと、イチャイチャラブラブしたかったが、浮竹が酔って甘えてくることはたまにあるので、今度の機会になる。

そのまま、浮竹のベッドの上で一緒に丸くなって眠った。

朝になって。

「このドヘンタイ!何、人のベッドで全裸で寝てやがる!」

浮竹が怒って、京楽の尻を蹴った。

「もぎゃ!」

「パンツくらいはけ!」

京楽の脱ぎ散らかした、勝負パンツを投げてよこすと、京楽はしぶしぶパンツを身に着けた。

「これはね、浮竹が酔って・・・・」

「俺が酔って、お前を一緒のベッドで眠ろうと誘うことはあるかもしれない。でも、裸になれとは、酔っていても絶対に言わない!」

「解放感あるよ?」

「俺に裸になれと言っているのか?」

「うん」

「ごめんこうむる!」

京楽の尻を、また蹴り上げる。

「きゃいん!」

「この駄犬が!服を着ろ!」

そういう浮竹も、襦袢姿だったので、下着を変えて新しい院生の服を身にまとう。

洗いものにいれた浮竹の下着を、京楽が盗もうとするので、股間を蹴り上げておいた。

登校の時間になり、京楽も真面目になって・・・・いや、大分にまついているが・・まぁ、なんとか学院まで登校して、授業を受けた。

次の日は、現世での虚退治だった。

すでに、尸魂界で2つしかないと言われている二対一刀の斬魄刀をもつ二人は、ペアになって虚を駆逐していく。

そのスピードはすさまじく、撒きえで呼ばれた虚の80%までを二人が退治してしまった。

「京楽、浮竹はそこまで!これ以上虚を退治されては、他の生徒の授業にならん」

「つまんないの」

「仕方ないだろう」

ふと、空を見る。

黒腔(ガルガンタ)があき、大虚(メノスグランデ)が顔を覗かせた。

「生徒たちは至急、尸魂界へ戻れ!こちら現世、大虚が現れた、至急、援助にこられたし!」

「あれ、やっちゃう?」

「そうだな」:

違いの斬魄刀を始解して、大虚に切りかかる。

大虚は、理解できないおたけびをあげて、塵となった。

「浮竹、京楽・・・・・・ここまで成長したか」

引率の教師が、舌を巻いた。

すでに、護廷13隊の席官入りは間違いなしとされていて、山本元柳斎重國の愛弟子であり、秘蔵っ子。

二人の身柄を確保すべく、すでに13隊の間で苛烈なとりあい合戦が繰り広げられているという。

4番隊はなしとしても、残りの12隊でのとりあいだ。

「けが人がいないな!?」

「いません」

浮竹が、周囲にいる進学クラスの仲間をみて、そう答えた。

「では、これより尸魂界に帰還する!」

穿界門が開かれる。

京楽は、浮竹の腕をひいて、穿界門から遠ざけた。

「何をする、京楽!」

大虚のがでたせいで、他の普通の虚たちが集まってきていた。まだ教師は気づかないほど遠くだが、浮竹と京楽は感知した。

「先生、大量の虚がこちらにむかっています。退治して帰りますね」

「おい、浮竹、京楽!」

教師も、穿界門に入った後だった。

「暴れますか」

「ああ、たまには死を抱えた戦いをしようじゃないか」

互いに背をあわせて、遅いかかってくる虚を切りすてていく。

その数、50、60、70・・・・・。

100ほど数えたあたりで、虚はいなくなってしまった。

「暴れたりない」

「同じく」

大地に降りて、抱き締めあう。

貪るように、口づけを繰り返した。

虚の返り血で真っ赤になった浮竹の白い髪を手にとり、口づける。

そのまま、互いの体を少しだけまさぐりあって、そこで終わった、

「物足りないよ・・・・」

「ここまでだ。我慢しろ」

「うん」

体の全てを許したわけではないので、そこで終わりだった。

迎えの教師が、遅れてやってくる。血だらけの二人を見て、血相を変えるが、無事なのを見て安堵した。

「浮竹、京楽、今回のようなことは今後慎むように」

「はい」

「すみません」

形だけの謝罪を口にする。例え教師でも、あの数の虚は駆逐できないだろう。

それを知っているので、あえて汚れ役を引き受けた二人であった。




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