浮竹死んだけど幽霊です憑いてます13 水浴びと西瓜
夏だった。
8月の半ば。
その年の尸魂界は、記録的な猛暑で、40度をこした。
「暑いー死ぬー」
1番隊の執務室で、じわじわとした暑さにやられた京楽は、死にかけていた。
エアコンが故障したのだ。
扇風機が生き残ったので、風を送るが生暖かい風だけがやってきた。
「浮竹は、こういう時いいねぇ。温度をかんじないんでしょ?」
「ああ。寒いとか暑いとかないな。便利だぞ」
「僕もなれるものなら幽霊になりたい・・・・」
「だめだぞ、京楽。そうだ、水あびでもするか?」
「お、いいね」
そんなこんなで、じわじわと暑い外に出て、水を浴びた。浮竹も水着姿になって、実体化して水を浴びた。
実体化すると温度を感じるので、汗を流した。
「ああ、きもちいい」
「本当。井戸水だから、水道の水みたいにぬるくなってないし、最高だね」
冷蔵庫には、スイカを冷やしてある。
水を浴びている間に、技術開発局の阿近に来てもらい、エアコンの修理を頼んでいた。
水遊びが終わる頃には、エアコンも直っているだろう。
「はっくしょん」
冷えた井戸水の冷たさに、浮竹がくしゃみをした。
幽霊になってからというもの、熱もでないし、血を吐くこともない。元気そのものだ。
「実体化してると、風邪ひいちゃうのかな?もしひいたら、霊体化した時もひいたまなのかな?」
「さぁ、どうだろう。俺は、そろそろ水浴びを終わらせる」
暑いが、黒い死覇装を着て、隊長羽織を羽織って、すーっと透明になって霊体化した。
「僕は、もう少し涼んどく」
海パン一丁の京楽は、毛がもじゃもじゃだった。
ぱしゃりと音を立てて、水遊びをする京楽を、浮竹は隣にいながら眺めていた。
「涼しいか?」
「うん。井戸水がよく冷えていて気持ちいいよ。この暑さだ・・・・水道水だと、ぬるくてねぇ」
「そろそろ、エアコンの修理も終わっているんじゃないか?それにしても・・・・昔はエアコンなんてなかったから、暑いのは当たり前だったけど、一度文明の利器に慣れると、どうしても昔のように戻ることができなくなるな」
エアコンには電気がいる。
発電機を、それぞれの隊舎に置いてあった。
「京楽総隊長、浮竹隊長、エアコンの修理終わりましたよ」
「お、ありがとう阿近君」
「ありがとう、阿近副隊長。そうだ、スイカが冷えているから、食べていかないか?」
「いいんですか?」
「いいだろう、京楽?」
「勿論だよ」
エアコンで室内の温度を28度くらいに保ちながら、冷蔵庫から冷えたスイカをもってくる。包丁がなかったので、斬魄刀で切った。
綺麗に三等分にカットする。
「今年のスイカはちょっと高いけど、甘くておいしいんだよねぇ」
京楽がかぶりつく。
逡巡したが、阿近もかぶりついた。
浮竹はというと、器用に赤い果肉の部分だけを食べていく。赤い部分だけが消えていき、皮と種だけが残った。
「なんていうか、本当に便利な幽霊ですね。涅隊長が実験体に欲しがるわけだ」
「いくら欲しがっても、うちの子はあげませんからね!」
「いや、いりませんから・・・・」
午後になって、暇なので白哉の家に遊びにいった。
朽木邸ではエアコンは、静かにかけられていて、涼しくも暑くもなかった。
「白哉、その恰好で暑くないか?」
死覇装に隊長羽織姿の白哉は、書道で何か文字を書いていた。
死覇装の上から、上着を着ていたのだ。
「浮竹か・・・・エアコンが利きすぎるのだ。かといって切ると、暑い」
暑いと、文字を書く。
達筆だった。
次に書いた文字は、浮竹十四郎。そばに、わかめ大使も書かれた。
「わかめ大使を用意してある。自由に食せ」
「お、すまないな」
「京楽総隊長は、機嫌が悪そうだな」
「だって君たち、仲良すぎ」
エアコンが適度に利いた室内で、浮竹は京楽に憑いてはいるのだが、最近は10メートルくらい離れてもどうってことないようになってきたので、わかめ大使が用意されてある部屋にいくと、さっさっと食した。食べたものは消える。
10個くらい食べて、なくなった。
「白哉、もう少し食べたい」
「戸棚の中にある。勝手に出して食せ」
実体化して、戸棚からもう10個くらいわかめ大使を出すと、袋を破って食べていく。
京楽は、部屋の隅で白哉が書道をしている姿をただ見ていた。
「面白くもなかろう。浮竹のところに行けばいい」
「そうするよ」
白哉も、大戦で一時が命が危ぶまれたが、なんとか繋がった。
浮竹は、その命を散らせたが。
浮竹が死んだその日は、何も喉を通らず、その夜密かに泣いた。
数百年連れ添った、最も愛した相手が死んだのだ。泣き叫ばないだけましだった。
京楽総隊長に、その頃すでになっていた。
一番上に立つ自分が泣いているままではいかなくて、戦い、大戦が終了した後は復興に尽力し、がむしゃらに生きた。
ある日、幽霊の浮竹がとり憑いた。
その日から、色を失っていた世界が鮮やかな色を取り戻した。
最初は成仏させるために、供養やらお祓いまでしたが、今は成仏してほしくない。
浮竹には悪いけれど、このまま幽霊として、時に実体化して体を交わせ、愛を紡ぎながら生きることを改めて誓う京楽だった。
8月の半ば。
その年の尸魂界は、記録的な猛暑で、40度をこした。
「暑いー死ぬー」
1番隊の執務室で、じわじわとした暑さにやられた京楽は、死にかけていた。
エアコンが故障したのだ。
扇風機が生き残ったので、風を送るが生暖かい風だけがやってきた。
「浮竹は、こういう時いいねぇ。温度をかんじないんでしょ?」
「ああ。寒いとか暑いとかないな。便利だぞ」
「僕もなれるものなら幽霊になりたい・・・・」
「だめだぞ、京楽。そうだ、水あびでもするか?」
「お、いいね」
そんなこんなで、じわじわと暑い外に出て、水を浴びた。浮竹も水着姿になって、実体化して水を浴びた。
実体化すると温度を感じるので、汗を流した。
「ああ、きもちいい」
「本当。井戸水だから、水道の水みたいにぬるくなってないし、最高だね」
冷蔵庫には、スイカを冷やしてある。
水を浴びている間に、技術開発局の阿近に来てもらい、エアコンの修理を頼んでいた。
水遊びが終わる頃には、エアコンも直っているだろう。
「はっくしょん」
冷えた井戸水の冷たさに、浮竹がくしゃみをした。
幽霊になってからというもの、熱もでないし、血を吐くこともない。元気そのものだ。
「実体化してると、風邪ひいちゃうのかな?もしひいたら、霊体化した時もひいたまなのかな?」
「さぁ、どうだろう。俺は、そろそろ水浴びを終わらせる」
暑いが、黒い死覇装を着て、隊長羽織を羽織って、すーっと透明になって霊体化した。
「僕は、もう少し涼んどく」
海パン一丁の京楽は、毛がもじゃもじゃだった。
ぱしゃりと音を立てて、水遊びをする京楽を、浮竹は隣にいながら眺めていた。
「涼しいか?」
「うん。井戸水がよく冷えていて気持ちいいよ。この暑さだ・・・・水道水だと、ぬるくてねぇ」
「そろそろ、エアコンの修理も終わっているんじゃないか?それにしても・・・・昔はエアコンなんてなかったから、暑いのは当たり前だったけど、一度文明の利器に慣れると、どうしても昔のように戻ることができなくなるな」
エアコンには電気がいる。
発電機を、それぞれの隊舎に置いてあった。
「京楽総隊長、浮竹隊長、エアコンの修理終わりましたよ」
「お、ありがとう阿近君」
「ありがとう、阿近副隊長。そうだ、スイカが冷えているから、食べていかないか?」
「いいんですか?」
「いいだろう、京楽?」
「勿論だよ」
エアコンで室内の温度を28度くらいに保ちながら、冷蔵庫から冷えたスイカをもってくる。包丁がなかったので、斬魄刀で切った。
綺麗に三等分にカットする。
「今年のスイカはちょっと高いけど、甘くておいしいんだよねぇ」
京楽がかぶりつく。
逡巡したが、阿近もかぶりついた。
浮竹はというと、器用に赤い果肉の部分だけを食べていく。赤い部分だけが消えていき、皮と種だけが残った。
「なんていうか、本当に便利な幽霊ですね。涅隊長が実験体に欲しがるわけだ」
「いくら欲しがっても、うちの子はあげませんからね!」
「いや、いりませんから・・・・」
午後になって、暇なので白哉の家に遊びにいった。
朽木邸ではエアコンは、静かにかけられていて、涼しくも暑くもなかった。
「白哉、その恰好で暑くないか?」
死覇装に隊長羽織姿の白哉は、書道で何か文字を書いていた。
死覇装の上から、上着を着ていたのだ。
「浮竹か・・・・エアコンが利きすぎるのだ。かといって切ると、暑い」
暑いと、文字を書く。
達筆だった。
次に書いた文字は、浮竹十四郎。そばに、わかめ大使も書かれた。
「わかめ大使を用意してある。自由に食せ」
「お、すまないな」
「京楽総隊長は、機嫌が悪そうだな」
「だって君たち、仲良すぎ」
エアコンが適度に利いた室内で、浮竹は京楽に憑いてはいるのだが、最近は10メートルくらい離れてもどうってことないようになってきたので、わかめ大使が用意されてある部屋にいくと、さっさっと食した。食べたものは消える。
10個くらい食べて、なくなった。
「白哉、もう少し食べたい」
「戸棚の中にある。勝手に出して食せ」
実体化して、戸棚からもう10個くらいわかめ大使を出すと、袋を破って食べていく。
京楽は、部屋の隅で白哉が書道をしている姿をただ見ていた。
「面白くもなかろう。浮竹のところに行けばいい」
「そうするよ」
白哉も、大戦で一時が命が危ぶまれたが、なんとか繋がった。
浮竹は、その命を散らせたが。
浮竹が死んだその日は、何も喉を通らず、その夜密かに泣いた。
数百年連れ添った、最も愛した相手が死んだのだ。泣き叫ばないだけましだった。
京楽総隊長に、その頃すでになっていた。
一番上に立つ自分が泣いているままではいかなくて、戦い、大戦が終了した後は復興に尽力し、がむしゃらに生きた。
ある日、幽霊の浮竹がとり憑いた。
その日から、色を失っていた世界が鮮やかな色を取り戻した。
最初は成仏させるために、供養やらお祓いまでしたが、今は成仏してほしくない。
浮竹には悪いけれど、このまま幽霊として、時に実体化して体を交わせ、愛を紡ぎながら生きることを改めて誓う京楽だった。
PR
- トラックバックURLはこちら