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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます19 結婚式

「ねぇ」

「なんだ」

「結婚式を挙げない?」

「ぶはっ」

京楽の言葉に、こいつ本気か?って顔をする浮竹。

「勿論、たくさんの人に祝ってもらいたいけど、君は死人だし、あれこれうるさいかもしれないから、教会で二人だけで式を挙げよう」

「別にいいが・・・・」

「よし、じゃあ今から早速式を挙げにいくよ!」

「ええ、今から!?」

まだ、昼の11時だ。

「1時間くらいなら、実体化できるよね?」

「ああ・・・・」

「じゃあ、服も正装しよう」

「言っておくが、白無垢は着ないぞ」

「白い男性用の袴と羽織でいいよ」

その言葉にほっとなる浮竹。

でも、甘かった。教会にいくと、京楽家の者がいて、髪を結いあげられてウェディングベールをかぶされた。

「まぁ、白無垢よりはましか・・・・・」

「とってもお似合いですよ、京楽十四郎様」

「きょうら・・・・・」

もう、ほんとなるようになれと、浮竹は思った。

いま指にはめているエンゲージリングとは違う、ブルーダイヤモンドがあしらわれた指輪を交換する。

「汝、京楽春水。病める時も健やかなる時も、浮竹十四郎を伴侶として愛することを誓いますか?」

「誓うよ」

「汝、浮竹十四郎。病める時も健やかなる時も死んでいる時も、京楽春水を伴侶として愛することを誓いますか?」

「誓う」

「これにて、結婚は成立です」

教会の外から、わっと人が集まってきた。

「朽木!?日番谷隊長や白哉まで・・・・・」

「おめでとう、浮竹、京楽」

教会の外では、隊長副隊長たちが飲んで食べて騒いでいた。

「お前、はめたな?」

「だって、みんなの前でするていったら、うんって言ってくれなかったでしょ」

「もう、なるようになれ」

ウェディングブーケをもたされていた。

それを投げると、松本の手に落ちた。

「やーん、私も素敵な殿方と結婚したいーー」

「うわーおばさんが年も考えず・・・見苦しいね。美しくないね」

「ちょっとあんた、弓親、喧嘩売ってるの!?」

弓親の首を締め上げる松本に、まぁまぁと、京楽が声をかける。

「みんな集まってくれてありがとう!晴れて浮竹と式を挙げることができたよ!無礼講だから、今日は存分に食べて飲んでいってよ!」

わぁぁあと、歓声があがった。

もう、浮竹は実体化を保てず透けた。正装のまま透けた浮竹を伴って、みんなと同じように食べて飲んだ。

浮竹は、幽霊になってから酔うことがなくなったので、お酒をぱかぱかと飲んでいく。

「こら、あんまり飲み過ぎは体に良くないよ」

「幽霊に飲みすぎも食いすぎもないと思う・・・・でも、お酒って実体化するエネルギーにするには一番手っ取り早いかな」

「もっと飲みなさい。そして初夜を!」

「初夜どころか、院生時代にお前に初めてを奪われた」

ぴくぴくと、松本の腐った耳がそれを聞きつける。

「やーん、浮竹隊長、その話もっと詳しく」

「詳しく話す気はない、松本」

「けちーーー」

ウェンディングヴェールは外していたが、結い上げた髪と白一色の正装は、白い色ばかりをもつ浮竹に実に似合っていた。

「綺麗だぞ、浮竹」

「白哉・・・・・なんか、照れるな」

「いい年したおっさんが・・・・とは思うけど、確かに似合っているな」

「日番谷隊長も、ありがとう」

その日は、みんな飲んで食べて騒いだ。


「う・・・なんか、頭が痛くてふらふらする」

次の日になって、浮竹がそう不調を訴えた。

「もしかして、二日用じゃない?」

「ああ、それに似ているな。そうか・・・・・幽霊でも、二日酔いになるのか」

浮竹はいつまでも正装しているわけもいかず、一度実体化して着替えた。

「今日は、ちょっと大人しくしている・・・・」

効くがどうか分からなかが、痛み止めと二日酔い用の薬を飲ませた。

3時間ほどたって、浮竹は元気になった。

「薬が効いたようだ」

「ほんとどうなってるの、君の体」

エンゲージリングの他に、浮竹と京楽の手には結婚指輪が光っていた。

「そうそう、新婚旅行なんだけど。温泉街でいいかな?君を連れ現世にいって、君の霊体が現世で虚化しないと言い切れない。瀞霊廷にある、馴染の温泉宿・・・・君も生前、よく僕と一緒にいったでしょ?」

「いや、別に新婚旅行なんていいのに・・・・・」

「僕がしたいの。それまでに、1日実体化できるようになっていてね」

温泉宿で、初夜を楽しむつもりだと分かっていたが。

仕方なしに、せっせと食事をして、酒を飲んで実体化できるエネルギーを極限までためた。

「もう、1日実体化できるぞ」

「じゃあ、来週の頭には休暇もぎとるから、それまであんまり実体化しないように」

「分かった」

こうして、新婚旅行は近場の温泉宿に決まったのだった。


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