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浮竹死んだけど幽霊です憑いてます2

「おはよう」

「ああ、おはよう」

浮竹は死んだはずなのだが、どういうわけか幽霊として京楽に憑いていた。

悪霊でも虚でもない。霊子の塊かと思われ、最初は日番谷に魂葬をさせらそうになったが、成仏できなかった。そもそも透けていて、触れれなかった。

浮竹は、残してきた京楽のことを強く思っていたし、京楽も失ってしまった恋人が帰ってきたかのようで、二人の死神とそれに憑いた幽霊という、微妙な関係は長く続いた。

そんなある日のこと。

独り身になった京楽に、見合いの話が舞い込んできた。

総隊長だし、身を固めるべきだという両親の強い説得に、けれど憑いている浮竹をみて、両親は言葉をなくす。

「悪いけど、僕にはこの通り、想い人が憑いてるから」

「今すぐお祓いを!」

「もう試したよ。それに、僕はこんな形でも大好きな浮竹といれて、今は幸せなんだ。見合いは断っといて」

両親は、それ以上食いさがれなかった。

まさか、見合いで結婚する相手に、夫には男の恋人の幽霊がとり憑いているなんて事実、侮辱以外の何物でもない。

「京楽、ほんとによかったのか?」

もう最近は、隣にいれるようになった浮竹が問う。

最初の頃は背中に憑いていたが、最近は少しなら京楽の近くから移動することもできるようになっていた。

「あ、アイス売ってる」

「はいはい」

二人分購入する。

売店の子が、透けている浮竹を見てぎょっとしていたが、慣れたものだ。

京楽が両方の手にもつ。片方は、幽霊なのに飲み食いできる浮竹が食べてしまった。

食べたいと思うと、それがさっとなくなってしまうのだ。

味は分かるようで、美味しそうな顔をする恋人の幽霊に、京楽も笑顔になる。

「明日は非番だし、温泉宿にでもいこうか」

「お、いいな」


次の日になって、一泊二日で温泉宿にいくことにした。

瀞霊廷にあるので、瞬歩で移動する。

「ようこそ、おこしくださいました、京楽さま、浮竹さま」

先方には、幽霊浮竹もついてくると伝えてあるので、驚きはされなかった。

「浮竹様は・・・ええと。幽霊でらっしゃるから、着換えは?」

「ああ、着換えはいいよ。ただ、食事は二人分用意してほしい」

「畏まりました」

荷物を部屋において、浴衣を手に早速露店風呂に入る。

幽霊浮竹も、服をきたまま入った。

幽霊なので、脱衣できないのだ。体は洗えないけど、温泉の湯に浸かると温度が分かるので、幽霊浮竹もゆっくりと入った。

「本当なら、お前の体を洗ってやりたいんだけどな」

物を掴めなないので、いろいろと不便がある。特に、京楽が抜くとき、浮竹がわざと喘いで、乱れるようなイメージを作り出させて、それが二人のセックスだった。

浮竹に触れたい。

その思いが強くなると、一時ではあるが、具現化して触れることもできるが、年に数回くらいで、数分しかもたない。

でも、それだけでもかなり違う。

口づけくらいしかできないけど、実体化した浮竹を堪能できるのだ。本当に、浮竹が生き返ったようで、浮竹の墓参りには時折いくけれど、とうの本人が横にいるので、なんだかおかしな感覚だった。

「ああ、いいお湯だった」

「そうだね」

浮竹も満足したようだ。京楽も満足していた。

夕餉はてっちり鍋だった。

鍋からすくいあげたものをさっと浮竹が食べる。

他の海鮮ものも食べた。

デザートは、プリンだった。京楽の分も、ねだってもらった。

普段、普通に二人で甘味屋などにいく。元から二人は注目されていたが、総隊長と幽霊になった恋人ということで、余計に視線が集中した。

まぁ、そんなことで動じる二人ではないので、甘味屋でしゃべりながらゆっくりと甘味物を食べた。といっても、浮竹はさっと消えるように食べてしまうが。

「んー。やっぱり、二人だけってのはいいね」

「ああ」

「具現化できるかい?」

「2分くらいなら」

「それで充分だよ」

浮竹は、透けていた体を実体化させた。

「好きだよ、浮竹。永遠の愛を君に」

口づけた。

それから、用意していた指輪をはめる。

「これは?」

「エンゲージリング」

かっと、浮竹が朱くなる。

「恥ずかしいやつ・・・・でも、俺も愛してる。死んでも変わらない愛を、お前に」

すーっと、浮竹の体が透明になっていく。

指にはめたエンゲージリングは、浮竹の霊体の一部になった。

「やっぱり、実体化したときに身に着けたものは、君の一部になるね。今度は、そうだね、髪飾りでも贈ろうかな」

「俺は死んでいるんだ。あまり高価なものはいらないぞ」

「死んでるって言われても、右隣に君がいるんだ。死んだって思うより、透明化してしまったと思い込む方が早いかな」

「普通なら、こんな風に泊まった日は逢瀬を重ねるんだが・・・・・俺の体は見ての通り透けてるし、お前の一人エッチになってしまってすまないな」

「それはどうでもいいよ。君がいてくれるだけでいいんだ」

始めの頃は、厠にまで憑いていっていたが、今は少しの距離なら離れられるので、待つことができた。

「ちょっと、トイレで抜いてくる」

「喘ぎ声はいるか?」

「うん。ほどほどに」

浮竹は、喘ぎ声をだした。その声を聞きながら、生身の浮竹を蹂躙しているイメージをつくりだして、抜いた。

「はぁ。すっきりした」

「そうか、よかった」

一人で喘ぐのは、けっこう恥ずかしいのだ。

「寝ようか」

「ああ」

ベッドは一つだった。一人部屋を用意してもらっていたのだ。料理は二人分だったが。

同じベッドで、浮竹も透明であるので、布団とかはあまり意味はなかったが、横になって眠った。幽霊浮竹は、眠ることもできた。

京楽は普通に眠る。その上で、丸くなってまるで猫みたいに浮竹も寝た。重さなんて感じさねないので、重なっていても平気なのだ。

こうして、幽霊浮竹との何気ない一日はまた過ぎていくのだった。






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