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吸血鬼とトマトケチャップ

「日番谷隊長・・・・」

「なんだ、浮竹」

「血をくれーーーーー」

「ぎゃあああああああああ」

突然襲ってきた浮竹に、日番谷は悲鳴をあげていた。

はぁはぁと荒い息を繰り返す、浮竹はの顔はいつもより青白く、牙があるのが見えた。小さかったが、背中にはコウモリの羽があった。

「ああっ、遅かったか。日番谷隊長、無念は僕が晴らすから」

「ちょっとまて勝手に殺すな京楽!どうたんだ、この浮竹は!」

「いやね、吸血鬼になる薬を開発したとかいって涅隊長が、健康になれるからって、被験者を探していたら、健康になれるならと浮竹が名乗りをあげてね・・・・ほんとに吸血鬼になっちゃったんだよ。解毒薬もってきたけど、飲んでくれなくって」

「とりあえず、浮竹をなんとかしてくれ」

日番谷の力が弱いわけではないが、迫ってくる浮竹の力のほうが強い。

「浮竹、止めなさい」

そう命令すると、浮竹は大人しくなった。

「どういうことだ?」

「念のため、暴走しないように主従の関係を築けるんだって。だから、僕を主として登録しておいた」

「日番谷隊長の血が吸いたい・・・・子供の血が・・・・・」

「僕の血で我慢してよ」

「お前の血は、まずい」

そう言って、また日番谷に襲いかかろうとする浮竹を、京楽が止めた。

「ほら、トマトジュース」

「トマトジュース、おいしい」

ちゅるるるーと、トマトジュースを飲みだす浮竹。

「涅の頭の中にあるヴァンパイアってちょっと変なんだな」

「そうなんだよ。普通、美女を襲って血を啜り、太陽と十字架とニンニクと銀を嫌うのに、今の浮竹は子供の血が好物で、太陽は大好きだし十字架もニンニクも銀も平気で、トマトジュースとトマトケチャップが大好きなの」

「おい、松本!」

「はーい、なんでしょ隊長」

「ちょっと、浮竹を抑えておいてくれ」

「え?ちょっと、隊長!」

日番谷は、10番隊の執務室を抜け出して隊舎にいってしまった。

「松本副隊長・・・・その胸けしからん!」

「え、浮竹隊長?」

いつもなら、見向きもしない松本の神々の谷間に、浮竹は顔を埋めていた。

「ああん、もう、浮竹隊長ってば。ほら、京楽隊長がめっちゃ怒ってますよ」

「けしからん胸・・・・しかし子供ではない。年増のおばさん」

その言葉に、松本の眉間に皺が寄る。

「浮竹隊長?いくらなんでも、怒りますよ?」

「京楽、トマトケチャップ!」

浮竹がトマトケチャップを求める。

「ごめん、もう切らしてるんだよ」

「うー。日番谷隊長の血が欲しい」

そこに、日番谷が戻ってきた。

トマトジュースとトマトケチャップを大量に。

「日番谷隊長!・・・・とトマトケチャップ・・・トマトケチャップのほうがうまい」

トマトケチャップをあけて、中身をなめだす浮竹に、日番谷は京楽に問う。

「おい、解毒薬はどんなのだ」

「ああこの液体状の・・・・」

「よし、このトマトジュースに混ぜるぞ。念のため、少しだけ俺の血をいれよう」

氷輪丸で指を切って、数滴トマトジュースに混ぜて、それを浮竹の前にさしだした。

「浮竹隊長の血の匂いがする・・・・トマトジュースおいしそう」

ちゅるるるーとそのトマトジュースを飲むと、ぼふんと音をたてて浮竹は元に戻った。

「あれ?俺は、何をしていたんだ・・・・なんで、こんなにトマトケチャップまみれになっているんだ?」

「吸血鬼の間のことは覚えていないのか」

「ああ、そういえば吸血鬼になるっていう薬を飲んで・・・・すまん、そっから先全然おぼてない。そうだな、京楽の血がまずかったことだけ覚えている」

「浮竹、君は血を求めてわざわざ10番隊の執務室まできて、日番谷隊長を襲ったんだよ」

「うっ、すまない日番谷隊長。傷物にしてしまったのか?」

「おい、京楽!」

「そうなんだよ、日番谷隊長はお嫁に行けない体になってしまったんだよ」

悪のりする京楽。

「責任はとる!お嫁にきてくれ!」

「ああもう、お前らは!蒼天に座せ、氷輪丸!」

ひゅるるるるるーーー。

氷の龍を出したはいいが、浮竹も京楽も松本ももみくちゃになるだけで、おまけにトマトケチャップとトマトジュースも巻き込んで天まで昇り、赤いべとべとする雨が降ってきた。

「うわ、これ最悪だ」

死覇装も隊長羽織も、トマトケチャップまみれになった。

どさどさと降ってきた、浮竹、京楽、松本もトマトケチャップまみれになっていた。

「うう・・・・・日番谷隊長の血が飲みたい・・・・」

解毒薬が完全でなかったのか、また牙だけはやした浮竹が襲い掛かってきた。

「ぎゃあああああああああ」

ぺろり。

でも、トマトケチャップのほうがすきなのか、頬についていたトマトケチャップをなめとられて、とてもくすぐったかった。

「浮竹、元に戻ってるのか?それとも吸血鬼のままなのか?」

「あ、日番谷隊長・・・・・だめだ、トマトケチャップがどうしてもほしい」

足元に無事に残っていたトマトケチャップを渡すと、その中身をなめだした。

「みんなトマトケチャップまみれだな」

浮竹の白い髪にも、べっとりとトマトケチャップがついていた。

「ちょっと、湯あみしてくる。浮竹も、京楽連れて雨乾堂まで帰って、湯あみして服を洗濯しろよ」

「ああ」

意識を失っている京楽の足を掴んで、瞬歩で移動する。

結局、松本は放置されたという。

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