浮竹死んだけど幽霊です憑いてます25 浮竹、舞う
浮竹は、霊体のまま甘味屋で甘味物を食べまくっていた。
注文されて、もってこられるものを、片っ端からさっさっと消して食べていく。
実体化するためのエネルギーを蓄えるためだった。
「よく食べるねぇ」
「実体化するには、エネルギーがいるからな。ただ憑いてるだけなら、お前の霊圧を食っているだけでいいんだが」
浮竹はすでに死人だ。
何の悪戯だか、幽霊になって復活した。
京楽にとり憑いていて、始めは離れることさえできなかった。
実体化できるようになったり、長距離を離れていれるようになったりと、できることは増えていった。1日実体化できるようになったら、長い時間を抱かれるようになった。
それまでは、喘ぎ声を無理にあげて、京楽が自分で抜くのを手伝ったりしてやっていた。
今は月に2日くらい実体化できるので、その時に抱かれて、京楽が一人で抜くことはなくなったが、回数が生前よりぐっと減ったので、意識を飛ばしてしまうまで抱かれることが多かった。
軽く6人前くらいを食べて、浮竹は満足したようだった。
京楽と、会計に向かう。
けっこうな金額になったが、浮竹のためなら金なんていくらでも出す京楽だ。痛くも痒くもなかった。
「桜の季節だな・・・・・・」
甘味屋を出て、並木道を歩くと、桜が綺麗に咲いていた。
「ちょっと待ってなよ」
京楽が、背伸びして桜の花を手に戻ってきた。
「ちょっと実体化して」
「あ、ああ・・・・・」
実体化した浮竹の髪に、桜を飾った。
「白い髪だから、もっと濃い色がいいかもしれないけど、とっても似合っているよ。幻想的で綺麗だよ」
「ありがとう」
浮竹は、頬を朱くして霊体に戻った。
桜の花も、霊体化してしまう。
「今度、花見に行こうか。そうだね、ルキアちゃんたちも誘って」
「ああ、それはいいな。朽木家に、阿散井家、両方誘おう」
白哉とルキアと恋次と、あと生まれた苺花で、花見に行こうと決める。
「場所はどこがいいかな?」
「普通に、朽木邸でいいんじゃないか」
「まぁ、苺花ちゃんは幼いから、遠出するわけにもいかないしね」
本当なら、山奥に二人の秘密の桜の園があるのだが、流石にそこまでは行けそうになかった。
「じゃあ、明日花見にしよう!」
「えらい、早いな」
「桜が散る頃は、人事異動で仕事も忙しくなるからね」
「そうか・・・・・京楽も、一応総隊長だもんな」
「一応は余計だよ」
「はははは」
浮竹は、朗らかに笑った。
どんなに京楽が忙しくても、いつも一緒にいるのだ。寂しくはない。
そして、次の日本当に、白哉とルキアと恋次、そして苺花を連れて朽木家で花見を行った。
「兄は・・・・また、今年も我が家で花見か」
京楽は、白哉にそう言われて、笑った。
「ここらへんじゃ、朽木家が一番花見にいいくらい、綺麗に桜が咲いているんだから」
「ふむ・・・まぁいい。浮竹とは、うまくいってるのか?」
「うん。もうばっちり」
その浮竹は、ルキアと恋次と話し込んでいた。
「おーい浮竹」
「なんだ、京楽」
「朽木隊長が、僕らはうまくいっているのかって聞いてきたんだけど、夜の営みもしてるし、うまくいってるよね?」
浮竹は、真っ赤になって京楽の頭を殴った。
実体化して、すとんと地面に降り立つ。
「浮竹隊長!」
苺花をちよに託したルキアが、実体化した浮竹が珍しくて笑顔で寄ってきた。
「浮竹隊長、せっかくなんですから、食べて飲んでください!」
「え、ああ・・・・」
「ルキア、無理はさせるなよ」
「恋次、貴様は黙っておれ!浮竹隊長が実体化されるのは珍しいことなのだぞ」
「いや、そうか?けっこう俺、京楽総隊長と一緒にいるとき、実体化してる場面に出くわすことあるが・・・・・」
「何、ずるいぞ貴様!」
自分の夫を責めるルキアに、浮竹が苦笑する。
「まぁまぁ、今日は花見にきたんだ。仲よくやろう」
「はい」
きらきらした顔で、ルキアは浮竹を見ていた。ルキアにとって、いつまで経っても浮竹は上司なのだ。例え死んでいても。
朽木家の料理が振る舞われて、浮竹も京楽もその味を楽しんだ。
酒が用意されて、飲んでいく。
ふと、浮竹が桜の散る庭で、舞うといいだした。
ちらちらと散る桜の中、白い髪をなびかせて舞う浮竹は綺麗だった。
京楽だけでなく、白哉まで見入っていた。
「拙くて、すまない」
「浮竹、兄の舞いは、素晴らしかった」
「そうか?」
白哉の言葉に、浮竹が照れる。
「いや、ほんとに綺麗でした浮竹隊長」
「さすがです、浮竹隊長」
恋次とルキアにまで褒められて、浮竹は照れ隠しに酒をあおった。
「いつもは、京楽の前でしか舞わなないんだがな」
「独り占めはよくありません!」
ルキアが京楽にそう詰め寄ると、参ったねといいながら、京楽は酒をあおった。
「ルキアも、舞ったらどうだ?」
恋次に言われて、酒が大分入っていたせいか、いつもはそういうことは断るルキアもその気になった。
袖白雪を抜き放ち、剣舞を披露する。
その美しさに、浮竹も拍手を送っていた。
「朽木の舞のほうが、綺麗だと思うぞ」
「そんなことありません!浮竹隊長の舞のほうが綺麗でした」
皆に意見を聞くと、どちらも素晴らしかったと言われて、二人してちょっと赤くなった。
酒を追加して飲みあい、騒ぎあいながら、朽木家の花見は終了した。
「今度は・・・そうだね、また来年くらいになったら、あの山奥の秘密の場所で、花見をしよう」
そう誘ってくる京楽に、浮竹は静かに頷く。
「大人数での花見もいいが・・・・お前と二人きりの花見も、いいものだしな」
手を出してこないのであれば、であるが。
3時間ほど実体化していた浮竹は、最後に京楽に抱き締められて、霊体化した。
「君の舞、よかったよ。見るのは何十年ぶりかな」
「そういえば、舞うこと自体久しぶりだったからな」
「ねぇ、また舞ってよ。霊体のままでいいから、僕だけのために」
「いいぞ」
寝る前に、京楽の前で浮竹は霊体のままで舞いをした。
花見の席では、普通の舞いであったが、寝る前は双魚理を霊体化して剣舞を舞った。
「綺麗だねぇ。心が洗い流されるようだよ」
「大げさだぞ」
舞いを終えて、一息つく。
「水飲むかい」
「ああ」
水がさっと消える。
「君の舞いを見れるのは、嬉しいことだね」
「こんなことくらい、何時でも言ってくれればするのに」
「君が舞いをすること自体、珍しくて忘れていたよ」
「実は、俺自身も忘れていた・・・・ただ、桜が散っていく様を見ていると、体が勝手に動き出していた」
「珍しいこともあるものだね・・・・そろそろ、もう、寝ようか」
「そうだな。夜も大分更けてしまった。明日に障るといけないから、寝るか」
京楽が、ベッドにもぐりこむ。その横に、浮竹も霊体のまま寝転ぶ。
幽霊だけど、睡眠もちゃんととるのだ、浮竹は。
京楽が眠りについたのを確認して、浮竹も眠った。
次の日、京楽は仕事にとりかかっていたが、いつもは起きている浮竹は寝坊で寝たままだった。京楽は浮竹を起こさなかった。
久し振りに深く眠っているようで、そっとしておいた。
浮竹が起きると、昼を過ぎていた。
「おはよう。よく寝れたかい?」
「舞いを舞ったことで、エネルギーが消耗されてしまったようだ。お前の霊圧を吸い上げている・・・・すまない」
「いいよ、そんなこと。吸い上げてるっていってもちょっとでしょ。僕自身、霊圧が吸われているとか感じていないし。その程度のこと、別にいいよ」
「朝食を食べ損ねた。昼食は食べてもいいか?」
「ああ、うん。これからとろうと思っていたところだから。食堂までいこう」
「ああ」
霊体化した浮竹を伴って、食堂にいくと、いつものように視線が集まった。
まぁ、京楽だけでも視線が集まるのに、浮竹が透けてその隣にいるのが原因だった。
「ほらほら、見世物じゃないよ。散った散った」
京楽が声をかけると、皆視線を彷徨わせる。
「俺は、別に見られても平気だが・・・・」
「僕がやなの。君は僕だけのものだ。僕以外のやつが、君を見るのがいやだ」
「無茶苦茶な理由だな」
「そうだよ。嫉妬深いからね」
「はぁ・・・・・」
京楽がここまで浮竹に執着を見せるようになったのは、幽霊になってからだ。昔はそんなことなかったのに。
一度失ったことで、相当の悲しみを味合わせてしまったのだろうなと思い、浮竹は実体化して京楽にキスをした。
「浮竹?」
「俺からの、返答だ。嫉妬深くならなくていい。俺はずっと、お前の傍にいる」
「浮竹・・・・・・」
京楽は、心の中がじんわりと暖かくなるのを感じつつ、浮竹と昼食をとるのだった。
注文されて、もってこられるものを、片っ端からさっさっと消して食べていく。
実体化するためのエネルギーを蓄えるためだった。
「よく食べるねぇ」
「実体化するには、エネルギーがいるからな。ただ憑いてるだけなら、お前の霊圧を食っているだけでいいんだが」
浮竹はすでに死人だ。
何の悪戯だか、幽霊になって復活した。
京楽にとり憑いていて、始めは離れることさえできなかった。
実体化できるようになったり、長距離を離れていれるようになったりと、できることは増えていった。1日実体化できるようになったら、長い時間を抱かれるようになった。
それまでは、喘ぎ声を無理にあげて、京楽が自分で抜くのを手伝ったりしてやっていた。
今は月に2日くらい実体化できるので、その時に抱かれて、京楽が一人で抜くことはなくなったが、回数が生前よりぐっと減ったので、意識を飛ばしてしまうまで抱かれることが多かった。
軽く6人前くらいを食べて、浮竹は満足したようだった。
京楽と、会計に向かう。
けっこうな金額になったが、浮竹のためなら金なんていくらでも出す京楽だ。痛くも痒くもなかった。
「桜の季節だな・・・・・・」
甘味屋を出て、並木道を歩くと、桜が綺麗に咲いていた。
「ちょっと待ってなよ」
京楽が、背伸びして桜の花を手に戻ってきた。
「ちょっと実体化して」
「あ、ああ・・・・・」
実体化した浮竹の髪に、桜を飾った。
「白い髪だから、もっと濃い色がいいかもしれないけど、とっても似合っているよ。幻想的で綺麗だよ」
「ありがとう」
浮竹は、頬を朱くして霊体に戻った。
桜の花も、霊体化してしまう。
「今度、花見に行こうか。そうだね、ルキアちゃんたちも誘って」
「ああ、それはいいな。朽木家に、阿散井家、両方誘おう」
白哉とルキアと恋次と、あと生まれた苺花で、花見に行こうと決める。
「場所はどこがいいかな?」
「普通に、朽木邸でいいんじゃないか」
「まぁ、苺花ちゃんは幼いから、遠出するわけにもいかないしね」
本当なら、山奥に二人の秘密の桜の園があるのだが、流石にそこまでは行けそうになかった。
「じゃあ、明日花見にしよう!」
「えらい、早いな」
「桜が散る頃は、人事異動で仕事も忙しくなるからね」
「そうか・・・・・京楽も、一応総隊長だもんな」
「一応は余計だよ」
「はははは」
浮竹は、朗らかに笑った。
どんなに京楽が忙しくても、いつも一緒にいるのだ。寂しくはない。
そして、次の日本当に、白哉とルキアと恋次、そして苺花を連れて朽木家で花見を行った。
「兄は・・・・また、今年も我が家で花見か」
京楽は、白哉にそう言われて、笑った。
「ここらへんじゃ、朽木家が一番花見にいいくらい、綺麗に桜が咲いているんだから」
「ふむ・・・まぁいい。浮竹とは、うまくいってるのか?」
「うん。もうばっちり」
その浮竹は、ルキアと恋次と話し込んでいた。
「おーい浮竹」
「なんだ、京楽」
「朽木隊長が、僕らはうまくいっているのかって聞いてきたんだけど、夜の営みもしてるし、うまくいってるよね?」
浮竹は、真っ赤になって京楽の頭を殴った。
実体化して、すとんと地面に降り立つ。
「浮竹隊長!」
苺花をちよに託したルキアが、実体化した浮竹が珍しくて笑顔で寄ってきた。
「浮竹隊長、せっかくなんですから、食べて飲んでください!」
「え、ああ・・・・」
「ルキア、無理はさせるなよ」
「恋次、貴様は黙っておれ!浮竹隊長が実体化されるのは珍しいことなのだぞ」
「いや、そうか?けっこう俺、京楽総隊長と一緒にいるとき、実体化してる場面に出くわすことあるが・・・・・」
「何、ずるいぞ貴様!」
自分の夫を責めるルキアに、浮竹が苦笑する。
「まぁまぁ、今日は花見にきたんだ。仲よくやろう」
「はい」
きらきらした顔で、ルキアは浮竹を見ていた。ルキアにとって、いつまで経っても浮竹は上司なのだ。例え死んでいても。
朽木家の料理が振る舞われて、浮竹も京楽もその味を楽しんだ。
酒が用意されて、飲んでいく。
ふと、浮竹が桜の散る庭で、舞うといいだした。
ちらちらと散る桜の中、白い髪をなびかせて舞う浮竹は綺麗だった。
京楽だけでなく、白哉まで見入っていた。
「拙くて、すまない」
「浮竹、兄の舞いは、素晴らしかった」
「そうか?」
白哉の言葉に、浮竹が照れる。
「いや、ほんとに綺麗でした浮竹隊長」
「さすがです、浮竹隊長」
恋次とルキアにまで褒められて、浮竹は照れ隠しに酒をあおった。
「いつもは、京楽の前でしか舞わなないんだがな」
「独り占めはよくありません!」
ルキアが京楽にそう詰め寄ると、参ったねといいながら、京楽は酒をあおった。
「ルキアも、舞ったらどうだ?」
恋次に言われて、酒が大分入っていたせいか、いつもはそういうことは断るルキアもその気になった。
袖白雪を抜き放ち、剣舞を披露する。
その美しさに、浮竹も拍手を送っていた。
「朽木の舞のほうが、綺麗だと思うぞ」
「そんなことありません!浮竹隊長の舞のほうが綺麗でした」
皆に意見を聞くと、どちらも素晴らしかったと言われて、二人してちょっと赤くなった。
酒を追加して飲みあい、騒ぎあいながら、朽木家の花見は終了した。
「今度は・・・そうだね、また来年くらいになったら、あの山奥の秘密の場所で、花見をしよう」
そう誘ってくる京楽に、浮竹は静かに頷く。
「大人数での花見もいいが・・・・お前と二人きりの花見も、いいものだしな」
手を出してこないのであれば、であるが。
3時間ほど実体化していた浮竹は、最後に京楽に抱き締められて、霊体化した。
「君の舞、よかったよ。見るのは何十年ぶりかな」
「そういえば、舞うこと自体久しぶりだったからな」
「ねぇ、また舞ってよ。霊体のままでいいから、僕だけのために」
「いいぞ」
寝る前に、京楽の前で浮竹は霊体のままで舞いをした。
花見の席では、普通の舞いであったが、寝る前は双魚理を霊体化して剣舞を舞った。
「綺麗だねぇ。心が洗い流されるようだよ」
「大げさだぞ」
舞いを終えて、一息つく。
「水飲むかい」
「ああ」
水がさっと消える。
「君の舞いを見れるのは、嬉しいことだね」
「こんなことくらい、何時でも言ってくれればするのに」
「君が舞いをすること自体、珍しくて忘れていたよ」
「実は、俺自身も忘れていた・・・・ただ、桜が散っていく様を見ていると、体が勝手に動き出していた」
「珍しいこともあるものだね・・・・そろそろ、もう、寝ようか」
「そうだな。夜も大分更けてしまった。明日に障るといけないから、寝るか」
京楽が、ベッドにもぐりこむ。その横に、浮竹も霊体のまま寝転ぶ。
幽霊だけど、睡眠もちゃんととるのだ、浮竹は。
京楽が眠りについたのを確認して、浮竹も眠った。
次の日、京楽は仕事にとりかかっていたが、いつもは起きている浮竹は寝坊で寝たままだった。京楽は浮竹を起こさなかった。
久し振りに深く眠っているようで、そっとしておいた。
浮竹が起きると、昼を過ぎていた。
「おはよう。よく寝れたかい?」
「舞いを舞ったことで、エネルギーが消耗されてしまったようだ。お前の霊圧を吸い上げている・・・・すまない」
「いいよ、そんなこと。吸い上げてるっていってもちょっとでしょ。僕自身、霊圧が吸われているとか感じていないし。その程度のこと、別にいいよ」
「朝食を食べ損ねた。昼食は食べてもいいか?」
「ああ、うん。これからとろうと思っていたところだから。食堂までいこう」
「ああ」
霊体化した浮竹を伴って、食堂にいくと、いつものように視線が集まった。
まぁ、京楽だけでも視線が集まるのに、浮竹が透けてその隣にいるのが原因だった。
「ほらほら、見世物じゃないよ。散った散った」
京楽が声をかけると、皆視線を彷徨わせる。
「俺は、別に見られても平気だが・・・・」
「僕がやなの。君は僕だけのものだ。僕以外のやつが、君を見るのがいやだ」
「無茶苦茶な理由だな」
「そうだよ。嫉妬深いからね」
「はぁ・・・・・」
京楽がここまで浮竹に執着を見せるようになったのは、幽霊になってからだ。昔はそんなことなかったのに。
一度失ったことで、相当の悲しみを味合わせてしまったのだろうなと思い、浮竹は実体化して京楽にキスをした。
「浮竹?」
「俺からの、返答だ。嫉妬深くならなくていい。俺はずっと、お前の傍にいる」
「浮竹・・・・・・」
京楽は、心の中がじんわりと暖かくなるのを感じつつ、浮竹と昼食をとるのだった。
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