忍者ブログ

プログ

小説掲載プログ
10 2024/11 14 2324 26 27 28 29 30 12

浮竹死んだけど幽霊です憑いてます25 浮竹、舞う

浮竹は、霊体のまま甘味屋で甘味物を食べまくっていた。

注文されて、もってこられるものを、片っ端からさっさっと消して食べていく。

実体化するためのエネルギーを蓄えるためだった。

「よく食べるねぇ」

「実体化するには、エネルギーがいるからな。ただ憑いてるだけなら、お前の霊圧を食っているだけでいいんだが」

浮竹はすでに死人だ。

何の悪戯だか、幽霊になって復活した。

京楽にとり憑いていて、始めは離れることさえできなかった。

実体化できるようになったり、長距離を離れていれるようになったりと、できることは増えていった。1日実体化できるようになったら、長い時間を抱かれるようになった。

それまでは、喘ぎ声を無理にあげて、京楽が自分で抜くのを手伝ったりしてやっていた。

今は月に2日くらい実体化できるので、その時に抱かれて、京楽が一人で抜くことはなくなったが、回数が生前よりぐっと減ったので、意識を飛ばしてしまうまで抱かれることが多かった。

軽く6人前くらいを食べて、浮竹は満足したようだった。

京楽と、会計に向かう。

けっこうな金額になったが、浮竹のためなら金なんていくらでも出す京楽だ。痛くも痒くもなかった。

「桜の季節だな・・・・・・」

甘味屋を出て、並木道を歩くと、桜が綺麗に咲いていた。

「ちょっと待ってなよ」

京楽が、背伸びして桜の花を手に戻ってきた。

「ちょっと実体化して」

「あ、ああ・・・・・」

実体化した浮竹の髪に、桜を飾った。

「白い髪だから、もっと濃い色がいいかもしれないけど、とっても似合っているよ。幻想的で綺麗だよ」

「ありがとう」

浮竹は、頬を朱くして霊体に戻った。

桜の花も、霊体化してしまう。

「今度、花見に行こうか。そうだね、ルキアちゃんたちも誘って」

「ああ、それはいいな。朽木家に、阿散井家、両方誘おう」

白哉とルキアと恋次と、あと生まれた苺花で、花見に行こうと決める。

「場所はどこがいいかな?」

「普通に、朽木邸でいいんじゃないか」

「まぁ、苺花ちゃんは幼いから、遠出するわけにもいかないしね」

本当なら、山奥に二人の秘密の桜の園があるのだが、流石にそこまでは行けそうになかった。

「じゃあ、明日花見にしよう!」

「えらい、早いな」

「桜が散る頃は、人事異動で仕事も忙しくなるからね」

「そうか・・・・・京楽も、一応総隊長だもんな」

「一応は余計だよ」

「はははは」

浮竹は、朗らかに笑った。

どんなに京楽が忙しくても、いつも一緒にいるのだ。寂しくはない。

そして、次の日本当に、白哉とルキアと恋次、そして苺花を連れて朽木家で花見を行った。

「兄は・・・・また、今年も我が家で花見か」

京楽は、白哉にそう言われて、笑った。

「ここらへんじゃ、朽木家が一番花見にいいくらい、綺麗に桜が咲いているんだから」

「ふむ・・・まぁいい。浮竹とは、うまくいってるのか?」

「うん。もうばっちり」

その浮竹は、ルキアと恋次と話し込んでいた。

「おーい浮竹」

「なんだ、京楽」

「朽木隊長が、僕らはうまくいっているのかって聞いてきたんだけど、夜の営みもしてるし、うまくいってるよね?」

浮竹は、真っ赤になって京楽の頭を殴った。

実体化して、すとんと地面に降り立つ。

「浮竹隊長!」

苺花をちよに託したルキアが、実体化した浮竹が珍しくて笑顔で寄ってきた。

「浮竹隊長、せっかくなんですから、食べて飲んでください!」

「え、ああ・・・・」

「ルキア、無理はさせるなよ」

「恋次、貴様は黙っておれ!浮竹隊長が実体化されるのは珍しいことなのだぞ」

「いや、そうか?けっこう俺、京楽総隊長と一緒にいるとき、実体化してる場面に出くわすことあるが・・・・・」

「何、ずるいぞ貴様!」

自分の夫を責めるルキアに、浮竹が苦笑する。

「まぁまぁ、今日は花見にきたんだ。仲よくやろう」

「はい」

きらきらした顔で、ルキアは浮竹を見ていた。ルキアにとって、いつまで経っても浮竹は上司なのだ。例え死んでいても。

朽木家の料理が振る舞われて、浮竹も京楽もその味を楽しんだ。

酒が用意されて、飲んでいく。

ふと、浮竹が桜の散る庭で、舞うといいだした。

ちらちらと散る桜の中、白い髪をなびかせて舞う浮竹は綺麗だった。

京楽だけでなく、白哉まで見入っていた。

「拙くて、すまない」

「浮竹、兄の舞いは、素晴らしかった」

「そうか?」

白哉の言葉に、浮竹が照れる。

「いや、ほんとに綺麗でした浮竹隊長」

「さすがです、浮竹隊長」

恋次とルキアにまで褒められて、浮竹は照れ隠しに酒をあおった。

「いつもは、京楽の前でしか舞わなないんだがな」

「独り占めはよくありません!」

ルキアが京楽にそう詰め寄ると、参ったねといいながら、京楽は酒をあおった。

「ルキアも、舞ったらどうだ?」

恋次に言われて、酒が大分入っていたせいか、いつもはそういうことは断るルキアもその気になった。

袖白雪を抜き放ち、剣舞を披露する。

その美しさに、浮竹も拍手を送っていた。

「朽木の舞のほうが、綺麗だと思うぞ」

「そんなことありません!浮竹隊長の舞のほうが綺麗でした」

皆に意見を聞くと、どちらも素晴らしかったと言われて、二人してちょっと赤くなった。

酒を追加して飲みあい、騒ぎあいながら、朽木家の花見は終了した。

「今度は・・・そうだね、また来年くらいになったら、あの山奥の秘密の場所で、花見をしよう」

そう誘ってくる京楽に、浮竹は静かに頷く。

「大人数での花見もいいが・・・・お前と二人きりの花見も、いいものだしな」

手を出してこないのであれば、であるが。

3時間ほど実体化していた浮竹は、最後に京楽に抱き締められて、霊体化した。

「君の舞、よかったよ。見るのは何十年ぶりかな」

「そういえば、舞うこと自体久しぶりだったからな」

「ねぇ、また舞ってよ。霊体のままでいいから、僕だけのために」

「いいぞ」

寝る前に、京楽の前で浮竹は霊体のままで舞いをした。

花見の席では、普通の舞いであったが、寝る前は双魚理を霊体化して剣舞を舞った。

「綺麗だねぇ。心が洗い流されるようだよ」

「大げさだぞ」

舞いを終えて、一息つく。

「水飲むかい」

「ああ」

水がさっと消える。

「君の舞いを見れるのは、嬉しいことだね」

「こんなことくらい、何時でも言ってくれればするのに」

「君が舞いをすること自体、珍しくて忘れていたよ」

「実は、俺自身も忘れていた・・・・ただ、桜が散っていく様を見ていると、体が勝手に動き出していた」

「珍しいこともあるものだね・・・・そろそろ、もう、寝ようか」

「そうだな。夜も大分更けてしまった。明日に障るといけないから、寝るか」

京楽が、ベッドにもぐりこむ。その横に、浮竹も霊体のまま寝転ぶ。

幽霊だけど、睡眠もちゃんととるのだ、浮竹は。

京楽が眠りについたのを確認して、浮竹も眠った。

次の日、京楽は仕事にとりかかっていたが、いつもは起きている浮竹は寝坊で寝たままだった。京楽は浮竹を起こさなかった。

久し振りに深く眠っているようで、そっとしておいた。

浮竹が起きると、昼を過ぎていた。

「おはよう。よく寝れたかい?」

「舞いを舞ったことで、エネルギーが消耗されてしまったようだ。お前の霊圧を吸い上げている・・・・すまない」

「いいよ、そんなこと。吸い上げてるっていってもちょっとでしょ。僕自身、霊圧が吸われているとか感じていないし。その程度のこと、別にいいよ」

「朝食を食べ損ねた。昼食は食べてもいいか?」

「ああ、うん。これからとろうと思っていたところだから。食堂までいこう」

「ああ」

霊体化した浮竹を伴って、食堂にいくと、いつものように視線が集まった。

まぁ、京楽だけでも視線が集まるのに、浮竹が透けてその隣にいるのが原因だった。

「ほらほら、見世物じゃないよ。散った散った」

京楽が声をかけると、皆視線を彷徨わせる。

「俺は、別に見られても平気だが・・・・」

「僕がやなの。君は僕だけのものだ。僕以外のやつが、君を見るのがいやだ」

「無茶苦茶な理由だな」

「そうだよ。嫉妬深いからね」

「はぁ・・・・・」

京楽がここまで浮竹に執着を見せるようになったのは、幽霊になってからだ。昔はそんなことなかったのに。

一度失ったことで、相当の悲しみを味合わせてしまったのだろうなと思い、浮竹は実体化して京楽にキスをした。

「浮竹?」

「俺からの、返答だ。嫉妬深くならなくていい。俺はずっと、お前の傍にいる」

「浮竹・・・・・・」

京楽は、心の中がじんわりと暖かくなるのを感じつつ、浮竹と昼食をとるのだった。

拍手[0回]

PR
URL
FONT COLOR
COMMENT
Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
PASS

TRACK BACK

トラックバックURLはこちら
新着記事
(11/25)
(11/25)
(11/22)
(11/21)
(11/21)
"ココはカウンター設置場所"