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海燕と浮竹が入れ替わった件

ごちっ。

「あいたたた」

「痛い」

海燕と浮竹は、互いの頭をぶつけた。

そして、目の前に自分がいるのを見て、悲鳴をあげた。

「ななななな、なんで俺が目の前に!?」

「なんで俺がいるんだ!」

互いに、互いを見つめあう。

「「え」」

「中身、浮竹隊長なんですか?」

「そうだぞ。そういう俺の中身は海燕なのか?」

「そうです」

「前にも京楽とぶつかって中身が入れ替わったことがあったからな・・・・しばらくしたら、元に戻るらしい。じゃ、そういうことで。ふははははは、元気な副官の体だーー」

「あ、隊長!・・・ふらふらする・・・頭痛いし眩暈もするし熱あるな、これ・・・」

海燕の体は浮竹のものだ。仕方なく、布団に入って眠った。

「浮竹、浮竹・・・・・・」

「んっ」

ふと目を覚ますと目の前に京楽がいた。

「よかった、熱はさがったようだね」

とても愛しそうな目で見られた。

「京楽隊長!」

「え、何言ってるんだい、浮竹。ははん、何か面白いことを思いついたんだね。でも、僕は」

京楽にキスされて、海燕は混乱した。

「やめろ、このもじゃもじゃの猿髭!」

「浮竹、酷いな」

抱き締められて、押し倒される。

うわぁ、やばいやばい。

このまま犯されるとか、耐えられない。

「京楽隊長、俺は海燕です!浮竹隊長と頭をぶつけて入れ替わったんです!」

「はぁ、浮竹、そんな設定なの?」

「おい、信じろこの髭もじゃ!まじなんだよ!」

じたばたもがく浮竹こと海燕に、京楽も異変を察知したのか、貪ることをやめた。

いつの間にか死覇装の襟元を大きくあけられて、首筋にはキスマークまで残されていた。

「このまま犯されるとか、冗談じゃないぞ。おい、京楽隊長!」

「まじなの?」

「何が」

「中身が海燕君って」

「まじっていってるでしょう」

「うわぁ。浮竹が相手と思ってた。浮竹の体でも、気持ち悪い」

「そりゃこっちの台詞です!その気もないのに、同じ男に抱かれそうになったんですよ!心中少しは察してください!」

「で、浮竹は・・・・君の体は、どこにいったの?」

きょろきょろと室内を見回しても、浮竹はいなかった。

「なんか、副官の元気な身体だとかいって飛び出していきました」

とても楽しそうに出て行った浮竹を思い出す。

「浮竹のことだ、きっと甘味屋にでも・・・・立てるかい?」

「なんとか」

「瞬歩は使えそうかい?」

「それもなんとか」

体は悲鳴をあげかけていたが、自分の体がどうなっているのかの危機なのだ。

少しばかりの不調は、大目に見る。

「壬生の甘味屋まで、瞬歩でついていけそうかい?」

「いけます」

「じゃあ、行くよ」

雨乾堂を出て、京楽が瞬歩を使った。その速度に驚きながらも、海燕も瞬歩を使う。

壬生の甘味屋で、やっぱり浮竹・・・・こと、海燕の体がいた。

白玉餡蜜をゆっくりゆっくり食べている。

いつもは味わっているのかもわからない速度でぺろりと平らげてしまうのだが、体が海燕のせいか、きっと満腹感を味わっているのだろう。

「2名様ですか?」

「いや、ちょっと奥の人物に用があるだけだから」

「店内での争いごとは困ります!」

そういう女性の給仕係を無視して、海燕の体の浮竹のところにくると、京楽はどす黒く微笑んだ。

「浮竹~~~?」

「え、京楽!?なんだ、もうばれてしまったのか。つまらないなぁ」

「浮竹、君が海燕君と入れ替わったなんて分からなくて、いつも通りに君に接するみたいにしちゃったじゃない」

「じゃあ、ここで白玉餡蜜でも食べていけ。この体、白玉餡蜜の前におはぎ4個くったら、もう入らない・・・・・」

「浮竹隊長、何人の体で甘味物限界まで食べようとしてるんですか!」

「そうなんだ、海燕。この体、元気で健康なのはいいけど、甘味物をあまり食べれない・・・入れ替わった意味、あんまりなかった」

白玉餡蜜を何とか平らげて、勘定を払おうとする。

「ちょ、何、人の財布で勝手に払おうとしてるんですか!」

「だって、お前の体だから、お前の財布しかもってない」

「京楽隊長」

「はいはい」

京楽が、勘定を支払ってくれた。

「二人とも、戻るよ。入れ替わるまで、大人しく雨乾堂で謹慎処分だ」

「えー。なぁ、京楽」

海燕の姿で、京楽をいつもの仕草で落とそうするが、しょせん海燕なのできもいと感じただけだった。

「きもいからやめてください、浮竹隊長」

「ふむ。海燕はきもいのか。俺は自分でいうのもなんだが、見た目はいいな」

「確かに、浮竹隊長の体は見た目はいいけど・・・・中身がらりってますからね」

「お前、上官をそんな目で見てたのか!」

「入れ変わったのに、やっほいと喜んで飛び出していくようなバカは、隊長にいらないです」

「酷い」

そう言ったのは、浮竹だった。

「あれ?」

「あ」

「元に戻ってますね」

「本当だ・・・・まぁ、このほうがしっくりくるな。あ、そこのお姉さん、白玉餡蜜3人前」

給仕係の女性を呼んで、そう注文すると、オーダーが通った。

「浮竹隊長、俺は食べませんよ」

「僕もだよ」

「何言ってるんだ、俺が全部食べるに決まっているだろう」

二人ともがっくりとなった。

海燕は、この上官は・・・・と思い、京楽は、この子は・・・・・と思った。

「お前たちも何か食べるか?」

「俺はもうおなかいっぱいなのでいいです」

「じゃあ、僕も白玉餡蜜1人前を」

3人前もってきた女性に、注文する。

「浮竹、後で高くつくからね」

「な、なんのことだ」

「海燕君を君と思い込んで、押し倒した」

「うわー。そりゃ海燕、災難だったな」

「本当ですよ。こんなもじゃひげ隊長に操奪われかけるなんて、死んだほうがましです」

「そこまで言う!?」

海燕の京楽なんて・・・・・という考え方は、いったりきたりを繰り返している。

いいことをしてくれたり、気分のいいときは、京楽に感謝するが、手を煩わせたり、気分の悪い時は、京楽なんて、と思った。

「まぁ、海燕も今日のことは事故だと思って忘れろ」

「当分無理です。悪夢として夢に出てきそう」

「まぁ、今回損をしたのは海燕と京楽だし、俺は平気なのでよしとしよう」

不敬だとは知りつつも、メニューの紙を丸めたもので、浮竹の頭をスパーンと海燕は殴った。

「何をする」

「京楽隊長、俺が許可します。浮竹隊長が熱でるまでしても構いませんよ」

「おい、海燕」

「そういうことなら」

京楽が、出された白玉餡蜜を平らげてから、浮竹の体を肩に抱き上げた。にやりと、人の悪い笑みを浮かべる二人に、浮竹はすまないと謝ったのだが、もう遅かったのであった。


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