名の分からぬ友人
朝起きると、まっぱでフルチンの京楽がコマネチをしていた。
なかったことにして、二度寝した。
次におきると、まっぱでフルチンの京楽が一人で蹴鞠をしていた。
なかったことにして、三度寝した。
次におきると、服をきた京楽が、キャベツを前に座禅して、瞑想していた。
なかったことにして、流石に四度寝はできなかったので起き出した。
「ふあ~」
もう、昼を回って午後2時だった。
今日は休日である。
冷蔵庫をあけると、オレンジがあった。適当にカットして、口に運ぶ。
酸味のある甘さが口いっぱいに広がった。
「おい、京楽」
「私ハ京楽。今、悟リヲ開イテイマス。邪魔ヲシナイデクダサイ」
「・・・・・・・」
浮竹は、思案した。
そして、京楽のコレクションを漁って、自分のパンツを見つけると、それを京楽の頭に被せた。
「(*´Д`)ハァハァ。悟リガ終了シマシタ。コレヨリ、変態京楽モードニ移行シマス」
機械のような音をたてて、ガクリと京楽から煙があがった。
「どうなってるんだ、お前?」
「マイスウィートハニー!僕に自分からパンツを被せてくれるということは、今はいているパンツも僕にくれるってことだね!?」
ばきっ。
浮竹は、京楽を殴り飛ばした。
「なんでそうなる!何気に脱がせようするな!」
ずり下げられかけている袴を引き上げる。京楽の手を外そうとするのだが、なかなか離れてくれない。
「京楽、愛してる」
耳元でそう囁くと、京楽は袴から手を放して飛び上がった。
「ついに、僕の想いに答えてくれる気になったんだね!」
浮竹に襲い掛かろうとする京楽を蹴って、浮竹は腹が減ったと食堂へ行った。
それを、殴られたり蹴られたりを、加減なしでされたのに平気な顔で、京楽がついてくる。
「お前、あひるの雛みたいなやつだな」
「浮竹のいるところなら、例え炎の中水の中」
食堂につくと、まばらだが人がいた。
「お、変態京楽と被害者浮竹じゃないか。よお、久しぶり」
「お、久しいな。元気にしてたか?」
その友人は、虚退治の遠征に授業の一環としてついていった、友人だった。
かれこれ、3か月ぶりになるだろうか。
「京楽は相変わらずか?」
二人の仲を裂こうと、京楽が割って入ってくるが、そんな京楽を無視して二人は会話を続ける。
「見ての通りだ・・・・ああ、鬱陶しいな」
浮竹は、京楽の足を引っかけて、倒れさせた。
「酷い!浮竹、僕よりもそんな男を選ぶのかい!?」
「ただの友人だろう・・・・お前にとっても、友人だろう」
「え。あほんとだ。元気にしてた?」
大人しくなった京楽に、浮竹は安堵しながら、遠征がどうであったかを聞いた。
「もう、最悪さ。最後は食料が尽きて・・・草や虫を口にして生還した」
「よく生きて帰れたな」
「自分でも、よく生きて戻れたものだと思うよ」
「まだしばらく、休暇なんだろう?」
「ああ」
「よければ俺らの部屋に遊びにこいよ。寮の寝る場所、まだ決まってないんだろう?しばらく泊まっていくか?」
その言葉に、浮竹の背後で般若の面を被った京楽が静かに威嚇していた。
「寮の泊まる部屋は、自分でなんとかするよ。ただ、お前たちと会うのも久しぶりだから、今日は泊まってもいいか?」
「ああ、いいぞ」
かっと、般若の面を被っていた京楽も、一日くらいならと、菩薩の面を被っていた。
「本当に面白いな、お前と京楽」
「そうか?」
くるくる変わる京楽の表情と、あどけない笑顔浮かべる浮竹。そのコンビは、学院でも有名だ。
できているようできていないカップルとして。
「こんな遅くに、昼飯を食いにいにきたのか?」
「ああ、寝過ごしてしまってな」
「京楽は、浮竹を起こさないのか?」
「ああ、こいつに起こされると変態行為を働いてくるから、こいつには起こされないことにしている」
「浮竹も、大変だな」
「僕はそんなに厄介かい?」
「起きるたびに、まっぱで何かしているお前に突っ込みをいれるのもいやだからな」
「うわぁ、京楽はまっぱで部屋にいるのか。それはいやだな。ますます泊まるの1日してよかったぜ」
「こいつ、こんな図体で甘えてくるんだぞ。鬱陶しいったらありゃしない」
「うわぁ。京楽って、上流貴族なのにどういう教育受けてきたんだろうな?」
「さぁ。でも、出会った頃は正常だったんだ。好きだと言われたのを断って数か月経ったら、こんな京楽になっていた」
「京楽と付き合う気はないのか?」
「やめてくれ。こんな変態と付き合う気はない」
「僕が変態じゃなくなったら、付き合ってくれるのかい?」
シリアスな顔をつくって、どこに持っていたのか、薔薇を口にくわえて、口説き出す京楽の頭をはたいて、浮竹はBランチ定食を注文した。
野菜がメインのヘルシーな昼食を、お腹がすいていたこともあって完食する。
京楽は、浮竹の食べ残しがないので、浮竹の使っていたフォークをぺろぺろしていた。
「京楽も、部屋に戻るぞ。置いていくぞ」
「あ、僕も戻る」
洗い場に食器を置いて、友人と3人で会話しながら戻った。
部屋に入ると、友人はぎょっとした。恐らくは京楽のベッドであろうその場所に笑顔の浮竹がプリントアウトされた抱き枕があったのだ。
「ああ、初めて見るとちょっと異様かもしれないが。まぁ、害はないから」
「このテープは?」
「ああ、この内側に京楽が入ってこないように、境界線を。最近はあまり意味がなくなっているが」
「寝る時は、俺はどっちのベッドで?それとも床かな」
「俺のベッドで一緒に・・・・・」
かっと、京楽が般若の顔になった。
「僕のベッドかしてあげる。僕が浮竹と同じベッドで寝るから」
「おい、いいのか、浮竹」
「んー。まぁ、1日だけなら」
やったと、満足げな京楽がいた。
夜になるまで、語りあかした。
とてもいい体験になった。
朝になる。浮竹は、京楽がいなくてどうしたのかと部屋を見ると、京楽は浮竹印の抱き枕を抱えて床で寝ていた。寝違え、落ちたのだ。
友人を見ると、もう起きたのか、簡易キッチンでパンを焼いてくれていた。
「パンだけど、食べるだろう?」
「ああ、ありがとう」
3人分を焼いてくれた。
バターを塗ったトーストを口にしながら、今日からはしばらく休暇になるが、遅れを取り戻すために積極的に授業に出るらしいので、一緒に登校した。
「おい、浮竹が京楽以外の男と部屋を出るのを目撃したやつがいるんだ。間男かな?」
「おいこら、アホなこと言ってるな。こいつの顔、忘れたのか?」
その顔をみて、みんなあっと驚く。
「お前、生きてたのか!」
「別の部隊は全滅したって聞いたぞ」
「勝手に殺さないでくれ。見ての通り、死にそうだったがなんとか生きて戻ってきた」
その時にやっと気づいたが、右目は義眼のようだった。
授業が全て終わって、午後になって教室中で、その友人を囲んで宴を開いた。
お菓子やら酒やらジュースで騒ぎあう。
ひとしきり騒いで、解散になった。
「おい、今日泊まるあてはあるのか?」
心配になった浮竹が聞くと、前々からその友人に想いを寄せていた女子生徒の寮が、ベッドが空いているらしく、しばらくそこで泊まるという。
浮竹は安堵した。京楽が、ふとした違和感に気づく。
あの友人の、名前が出てこないのだ。
「ねぇ。あの子の名前、なんだっけ」
「え・・・・・」
浮竹も、首を捻る。
「確か・・・・あれ?なんで、出てこないんだろう」
二人は首を捻った。
でも、その時はただそれだけであった。
なかったことにして、二度寝した。
次におきると、まっぱでフルチンの京楽が一人で蹴鞠をしていた。
なかったことにして、三度寝した。
次におきると、服をきた京楽が、キャベツを前に座禅して、瞑想していた。
なかったことにして、流石に四度寝はできなかったので起き出した。
「ふあ~」
もう、昼を回って午後2時だった。
今日は休日である。
冷蔵庫をあけると、オレンジがあった。適当にカットして、口に運ぶ。
酸味のある甘さが口いっぱいに広がった。
「おい、京楽」
「私ハ京楽。今、悟リヲ開イテイマス。邪魔ヲシナイデクダサイ」
「・・・・・・・」
浮竹は、思案した。
そして、京楽のコレクションを漁って、自分のパンツを見つけると、それを京楽の頭に被せた。
「(*´Д`)ハァハァ。悟リガ終了シマシタ。コレヨリ、変態京楽モードニ移行シマス」
機械のような音をたてて、ガクリと京楽から煙があがった。
「どうなってるんだ、お前?」
「マイスウィートハニー!僕に自分からパンツを被せてくれるということは、今はいているパンツも僕にくれるってことだね!?」
ばきっ。
浮竹は、京楽を殴り飛ばした。
「なんでそうなる!何気に脱がせようするな!」
ずり下げられかけている袴を引き上げる。京楽の手を外そうとするのだが、なかなか離れてくれない。
「京楽、愛してる」
耳元でそう囁くと、京楽は袴から手を放して飛び上がった。
「ついに、僕の想いに答えてくれる気になったんだね!」
浮竹に襲い掛かろうとする京楽を蹴って、浮竹は腹が減ったと食堂へ行った。
それを、殴られたり蹴られたりを、加減なしでされたのに平気な顔で、京楽がついてくる。
「お前、あひるの雛みたいなやつだな」
「浮竹のいるところなら、例え炎の中水の中」
食堂につくと、まばらだが人がいた。
「お、変態京楽と被害者浮竹じゃないか。よお、久しぶり」
「お、久しいな。元気にしてたか?」
その友人は、虚退治の遠征に授業の一環としてついていった、友人だった。
かれこれ、3か月ぶりになるだろうか。
「京楽は相変わらずか?」
二人の仲を裂こうと、京楽が割って入ってくるが、そんな京楽を無視して二人は会話を続ける。
「見ての通りだ・・・・ああ、鬱陶しいな」
浮竹は、京楽の足を引っかけて、倒れさせた。
「酷い!浮竹、僕よりもそんな男を選ぶのかい!?」
「ただの友人だろう・・・・お前にとっても、友人だろう」
「え。あほんとだ。元気にしてた?」
大人しくなった京楽に、浮竹は安堵しながら、遠征がどうであったかを聞いた。
「もう、最悪さ。最後は食料が尽きて・・・草や虫を口にして生還した」
「よく生きて帰れたな」
「自分でも、よく生きて戻れたものだと思うよ」
「まだしばらく、休暇なんだろう?」
「ああ」
「よければ俺らの部屋に遊びにこいよ。寮の寝る場所、まだ決まってないんだろう?しばらく泊まっていくか?」
その言葉に、浮竹の背後で般若の面を被った京楽が静かに威嚇していた。
「寮の泊まる部屋は、自分でなんとかするよ。ただ、お前たちと会うのも久しぶりだから、今日は泊まってもいいか?」
「ああ、いいぞ」
かっと、般若の面を被っていた京楽も、一日くらいならと、菩薩の面を被っていた。
「本当に面白いな、お前と京楽」
「そうか?」
くるくる変わる京楽の表情と、あどけない笑顔浮かべる浮竹。そのコンビは、学院でも有名だ。
できているようできていないカップルとして。
「こんな遅くに、昼飯を食いにいにきたのか?」
「ああ、寝過ごしてしまってな」
「京楽は、浮竹を起こさないのか?」
「ああ、こいつに起こされると変態行為を働いてくるから、こいつには起こされないことにしている」
「浮竹も、大変だな」
「僕はそんなに厄介かい?」
「起きるたびに、まっぱで何かしているお前に突っ込みをいれるのもいやだからな」
「うわぁ、京楽はまっぱで部屋にいるのか。それはいやだな。ますます泊まるの1日してよかったぜ」
「こいつ、こんな図体で甘えてくるんだぞ。鬱陶しいったらありゃしない」
「うわぁ。京楽って、上流貴族なのにどういう教育受けてきたんだろうな?」
「さぁ。でも、出会った頃は正常だったんだ。好きだと言われたのを断って数か月経ったら、こんな京楽になっていた」
「京楽と付き合う気はないのか?」
「やめてくれ。こんな変態と付き合う気はない」
「僕が変態じゃなくなったら、付き合ってくれるのかい?」
シリアスな顔をつくって、どこに持っていたのか、薔薇を口にくわえて、口説き出す京楽の頭をはたいて、浮竹はBランチ定食を注文した。
野菜がメインのヘルシーな昼食を、お腹がすいていたこともあって完食する。
京楽は、浮竹の食べ残しがないので、浮竹の使っていたフォークをぺろぺろしていた。
「京楽も、部屋に戻るぞ。置いていくぞ」
「あ、僕も戻る」
洗い場に食器を置いて、友人と3人で会話しながら戻った。
部屋に入ると、友人はぎょっとした。恐らくは京楽のベッドであろうその場所に笑顔の浮竹がプリントアウトされた抱き枕があったのだ。
「ああ、初めて見るとちょっと異様かもしれないが。まぁ、害はないから」
「このテープは?」
「ああ、この内側に京楽が入ってこないように、境界線を。最近はあまり意味がなくなっているが」
「寝る時は、俺はどっちのベッドで?それとも床かな」
「俺のベッドで一緒に・・・・・」
かっと、京楽が般若の顔になった。
「僕のベッドかしてあげる。僕が浮竹と同じベッドで寝るから」
「おい、いいのか、浮竹」
「んー。まぁ、1日だけなら」
やったと、満足げな京楽がいた。
夜になるまで、語りあかした。
とてもいい体験になった。
朝になる。浮竹は、京楽がいなくてどうしたのかと部屋を見ると、京楽は浮竹印の抱き枕を抱えて床で寝ていた。寝違え、落ちたのだ。
友人を見ると、もう起きたのか、簡易キッチンでパンを焼いてくれていた。
「パンだけど、食べるだろう?」
「ああ、ありがとう」
3人分を焼いてくれた。
バターを塗ったトーストを口にしながら、今日からはしばらく休暇になるが、遅れを取り戻すために積極的に授業に出るらしいので、一緒に登校した。
「おい、浮竹が京楽以外の男と部屋を出るのを目撃したやつがいるんだ。間男かな?」
「おいこら、アホなこと言ってるな。こいつの顔、忘れたのか?」
その顔をみて、みんなあっと驚く。
「お前、生きてたのか!」
「別の部隊は全滅したって聞いたぞ」
「勝手に殺さないでくれ。見ての通り、死にそうだったがなんとか生きて戻ってきた」
その時にやっと気づいたが、右目は義眼のようだった。
授業が全て終わって、午後になって教室中で、その友人を囲んで宴を開いた。
お菓子やら酒やらジュースで騒ぎあう。
ひとしきり騒いで、解散になった。
「おい、今日泊まるあてはあるのか?」
心配になった浮竹が聞くと、前々からその友人に想いを寄せていた女子生徒の寮が、ベッドが空いているらしく、しばらくそこで泊まるという。
浮竹は安堵した。京楽が、ふとした違和感に気づく。
あの友人の、名前が出てこないのだ。
「ねぇ。あの子の名前、なんだっけ」
「え・・・・・」
浮竹も、首を捻る。
「確か・・・・あれ?なんで、出てこないんだろう」
二人は首を捻った。
でも、その時はただそれだけであった。
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