海燕の誕生日
「そうか。今日は10月27日か」
ふと、カレンダーを見て浮竹が思案する。
「どうしたの、浮竹」
京楽が、背後から浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「いや、今日は海燕の誕生日なんだ。すっかり忘れていた」
「海燕君の誕生日か」
京楽が、浮竹を抱き寄せながら、こう言った。
「何か、好物でもあげればいいんじゃないかい」
「海燕は・・・・・俺と似ていて、おはぎが好物なんだよな」
「壬生の甘味屋まで、買いに行くかい?」
「そうだな、行こうか」
抱き締められて、キスをした。浅く深く・・・・何度か口づけあって、離れた。
「そうと決まれば、行くぞ」
京楽を伴って、雨乾堂を出る。
「どうしたんですか、隊長、京楽隊長」
途中で隊舎から出てきた海燕にあって、浮竹が焦った。
「なななななな、なんでもないぞ」
「浮竹、落ち着いて」
手を握りしめられて、幾分落ち着いた浮竹が声を出す。
「何、ちょっと甘味屋まで食べに行くだけだ」
「夕餉、入るようにちゃんと少しは空腹を抱えてきてくださいね」
そう言われなくても、甘味物をたくさん平らげても、普通に夕餉は食べるのだが。
「分かっている、海燕」
「そうそう、今日も京楽隊長はお泊りですよね?いい加減、たまには8番隊の隊首室か自分の屋敷で寝たらどうですか」
「浮竹を持って帰っていいなら」
「普通に泊まりでいいです」
前言を撤回する海燕。
この男は・・・・そう思いながら、上官の大切な想い人なので無碍にできない。
何も、京楽が嫌いなわけではない。でもここ数日毎日のように泊まる京楽に、少し嫌気がさしているのも事実だ。
自分の上官を、まるで自分のもののように扱うから。
まぁ、でもそれを浮竹も望んでいるのだから、何も言えないのだが。
13番隊の姑として名高い海燕にしてみれば、京楽がくるのは毎日じゃなくてもいいと思うのだ。
「行こう、京楽」
「そうだね」
これ見よがしに、手を繋いでいるところを見せつけられる。
海燕は、軽いため息をついた。
「海燕、どうしたんだろう。あんまり元気がなかったな」
「んー。多分、僕のせいだろうね」
「何かしたのか、京楽?」
「いやー。ここ最近毎日泊まってるから。身の回りの世話とかに、嫌気がさしたんじゃないかなーと思って」
「海燕は、俺の世話で文句を言ったことはないぞ」
「そりゃ君の副官だからね。僕の分まで朝餉やら昼餉に夕餉・・・布団をしいたりたたんだり。洗濯物を洗ったり・・・・まぁ、大変なんだろうね」
「京楽も、たまには8番隊の執務室で仕事しろよ?」
「ああ、今度ね」
最近、いつも仕事を雨乾堂にもちこんで、こなす京楽は、ここ最近雨乾堂に入り浸っていた。
小うるさい、8番隊の姑こと七緒が、最近里帰りしていていないのだ。それをいいことに、雨乾堂に毎日のように泊まりにきていた。
それも、そろそろ終わりかな。
京楽も思う。これ以上、海燕を刺激するわけにもいかない。
一度、熱を出してしまった浮竹に手を出して、熱が高くなり症状を悪化させてしまったことがあるのだが、その時の海燕の怒りようったら、ほんとに般若のようで、しばらく雨乾堂にいくこともなくなったほどだ。
般若になる前に、そろそろ8番隊に戻ろうか。そう思った。
壬生の甘味屋についた。海燕のおはぎを買いに来たはずなのだが、何故か浮竹がおはぎを注文して食べていた。他にも白玉餡蜜やらお汁粉やらぜんざいやらを頼んで、3人前はぺろりと平らげた。
「おはぎを10こ。持ち帰りで」
勘定は、持ち帰りのおはぎが浮竹もちで、それ以外が京楽もちだった。
いつもは全てが京楽もちになっていて、それが当たり前になっているので、何も言わなかったのだが、珍しく自分で金を払う浮竹に声をかける。
「僕が払っても、いいんだよ」
「俺の副官への誕生日プレゼントなんだ。これくらい、俺が出す。大した額じゃないしな」
壬生の甘味屋は、確かに高くはないが、決して安いとはいえなった。
まぁ京楽もおはぎを10個買うくらいの金はもっていて当たり前なのだが。
家族への仕送りと、薬代でかなり金がとんでいくが、たまに飲食に使う金くらいはあった。
普段の食事は、隊がもつので、そこからひかれていくので浮竹の負担はない。ただ、放置しておけば、焼き魚に漬物、汁物、ご飯程度になってしまう食事を、京楽が金を出して改善させていた。
「よし、帰るぞ」
おはぎを10個入ったパックを鞄にしまいこんで、それを背名に背負う。
また、行き道と同じように、手を繋いで帰り道を歩く。
「きゃあっ」
「浮竹隊長と京楽隊長よっ、かわいい手を繋いでる」
たまに、すれ違う女性死神から黄色い声をもらう。
京楽は、そんな女性死神にひらひらと手を振った。
それに、浮竹がむすっとなる。
「京楽は、サービス精神旺盛だな」
「そんなことはないよ。ただ手の平をふるだけだだよ」
「ふん」
気分を害したらしい浮竹を抱き寄せて、往来で口づけた。
「きゃああ!」
女性死神たちの黄色い声が高くなる。
「きょ、京楽」
浮竹も、流石に顔を真っ赤にした。
「僕には、浮竹だけだから。女性死神に嫉妬なんてする必要はないんだよ」
「恥ずかしい奴だな!ほら、帰るぞ!」
恥ずかしいといいながらも、また手を繋ぐ。
そんな浮竹にほっこりしながらも、京楽も歩き出した。
雨乾堂について、浮竹が海燕を呼ぶ。
「どうしたんですか、用があるって」
「ハッピーバースディ。誕生日おめでとう、海燕」
「え?」
「これは俺からの贈り物だ」
壬生のおはぎを海燕に渡すと、海燕は嬉しそうにしながらも、声を出す。
「俺の誕生日、明日ですよ」
「ええっ!今日は10月27日じゃ。金曜日だし・・・」
「今日は木曜ですよ」
カレンダーを見たら、9月のになっていた。
「このカレンダーめ!」
浮竹が、カレンダーの9月を破ってぐしゃぐしゃにして、足で踏みつけていた。
カレンダーに八つ当たりする浮竹が可愛くて、京楽も海燕もほっこりしながら見ていた。
「1日早いですけど、誕生日祝ってくれてありがとうございます。これ、おはぎですよね?」
「そうだぞ。壬生のやつだ」
「あそこのおはぎ、一番好きです」
海燕は、おはぎの入ったパックを手に、隊舎に下がって行った。
「ああ、1日違いなんて・・・・俺も、ボケが始まったかな」
「たまには、そんな間違いもあるよ」
京楽が、浮竹の頭を撫でた。
「今日で、お泊りは一度終わりにするよ」
「そうなのか?」
「うん。海燕君に負担かけてるし、七緒ちゃんも戻ってくるから、執務室で仕事しろって口うるさく言われそう」
「なんか、あれだな。8番隊の姑ってかんじ。海燕が13番隊の姑で」
「ははははは」
まさにその通りだった。
「まぁ、七緒ちゃんも好きで姑みたいになったわけじゃあないけどね。僕がのらりくらり、ふらふらしているから、七緒ちゃんがしっかりしないと、8番隊の示しがつかないからね」
「そうだなー。俺も臥せっている時以外で、京楽が来ない時は、日番谷隊長のところやら白哉のところにやらふらふらと行ってしまうから」
「お互い、口うるさいけどできた副官をもったものだね」
「そうだな」
その日、泊まりの最後だからと体を重ねあっていると、まだ消灯時刻ではないの海燕がやってきて、あわわわとなった。
「ちょ、俺がくるかもしれない時刻におっぱじめるの、勘弁してください!」
「海燕、今日のことは忘れろ・・・・んあっ」
「僕は、海燕君が見ていると逆に燃えちゃうなぁ」
「この変態がっ」
海燕は、真っ赤になって出て行った。
京楽は、やっぱり好きじゃないかもしれない。
そう思う海燕だった。
ふと、カレンダーを見て浮竹が思案する。
「どうしたの、浮竹」
京楽が、背後から浮竹の腰を抱いて、自分のほうに引き寄せる。
「いや、今日は海燕の誕生日なんだ。すっかり忘れていた」
「海燕君の誕生日か」
京楽が、浮竹を抱き寄せながら、こう言った。
「何か、好物でもあげればいいんじゃないかい」
「海燕は・・・・・俺と似ていて、おはぎが好物なんだよな」
「壬生の甘味屋まで、買いに行くかい?」
「そうだな、行こうか」
抱き締められて、キスをした。浅く深く・・・・何度か口づけあって、離れた。
「そうと決まれば、行くぞ」
京楽を伴って、雨乾堂を出る。
「どうしたんですか、隊長、京楽隊長」
途中で隊舎から出てきた海燕にあって、浮竹が焦った。
「なななななな、なんでもないぞ」
「浮竹、落ち着いて」
手を握りしめられて、幾分落ち着いた浮竹が声を出す。
「何、ちょっと甘味屋まで食べに行くだけだ」
「夕餉、入るようにちゃんと少しは空腹を抱えてきてくださいね」
そう言われなくても、甘味物をたくさん平らげても、普通に夕餉は食べるのだが。
「分かっている、海燕」
「そうそう、今日も京楽隊長はお泊りですよね?いい加減、たまには8番隊の隊首室か自分の屋敷で寝たらどうですか」
「浮竹を持って帰っていいなら」
「普通に泊まりでいいです」
前言を撤回する海燕。
この男は・・・・そう思いながら、上官の大切な想い人なので無碍にできない。
何も、京楽が嫌いなわけではない。でもここ数日毎日のように泊まる京楽に、少し嫌気がさしているのも事実だ。
自分の上官を、まるで自分のもののように扱うから。
まぁ、でもそれを浮竹も望んでいるのだから、何も言えないのだが。
13番隊の姑として名高い海燕にしてみれば、京楽がくるのは毎日じゃなくてもいいと思うのだ。
「行こう、京楽」
「そうだね」
これ見よがしに、手を繋いでいるところを見せつけられる。
海燕は、軽いため息をついた。
「海燕、どうしたんだろう。あんまり元気がなかったな」
「んー。多分、僕のせいだろうね」
「何かしたのか、京楽?」
「いやー。ここ最近毎日泊まってるから。身の回りの世話とかに、嫌気がさしたんじゃないかなーと思って」
「海燕は、俺の世話で文句を言ったことはないぞ」
「そりゃ君の副官だからね。僕の分まで朝餉やら昼餉に夕餉・・・布団をしいたりたたんだり。洗濯物を洗ったり・・・・まぁ、大変なんだろうね」
「京楽も、たまには8番隊の執務室で仕事しろよ?」
「ああ、今度ね」
最近、いつも仕事を雨乾堂にもちこんで、こなす京楽は、ここ最近雨乾堂に入り浸っていた。
小うるさい、8番隊の姑こと七緒が、最近里帰りしていていないのだ。それをいいことに、雨乾堂に毎日のように泊まりにきていた。
それも、そろそろ終わりかな。
京楽も思う。これ以上、海燕を刺激するわけにもいかない。
一度、熱を出してしまった浮竹に手を出して、熱が高くなり症状を悪化させてしまったことがあるのだが、その時の海燕の怒りようったら、ほんとに般若のようで、しばらく雨乾堂にいくこともなくなったほどだ。
般若になる前に、そろそろ8番隊に戻ろうか。そう思った。
壬生の甘味屋についた。海燕のおはぎを買いに来たはずなのだが、何故か浮竹がおはぎを注文して食べていた。他にも白玉餡蜜やらお汁粉やらぜんざいやらを頼んで、3人前はぺろりと平らげた。
「おはぎを10こ。持ち帰りで」
勘定は、持ち帰りのおはぎが浮竹もちで、それ以外が京楽もちだった。
いつもは全てが京楽もちになっていて、それが当たり前になっているので、何も言わなかったのだが、珍しく自分で金を払う浮竹に声をかける。
「僕が払っても、いいんだよ」
「俺の副官への誕生日プレゼントなんだ。これくらい、俺が出す。大した額じゃないしな」
壬生の甘味屋は、確かに高くはないが、決して安いとはいえなった。
まぁ京楽もおはぎを10個買うくらいの金はもっていて当たり前なのだが。
家族への仕送りと、薬代でかなり金がとんでいくが、たまに飲食に使う金くらいはあった。
普段の食事は、隊がもつので、そこからひかれていくので浮竹の負担はない。ただ、放置しておけば、焼き魚に漬物、汁物、ご飯程度になってしまう食事を、京楽が金を出して改善させていた。
「よし、帰るぞ」
おはぎを10個入ったパックを鞄にしまいこんで、それを背名に背負う。
また、行き道と同じように、手を繋いで帰り道を歩く。
「きゃあっ」
「浮竹隊長と京楽隊長よっ、かわいい手を繋いでる」
たまに、すれ違う女性死神から黄色い声をもらう。
京楽は、そんな女性死神にひらひらと手を振った。
それに、浮竹がむすっとなる。
「京楽は、サービス精神旺盛だな」
「そんなことはないよ。ただ手の平をふるだけだだよ」
「ふん」
気分を害したらしい浮竹を抱き寄せて、往来で口づけた。
「きゃああ!」
女性死神たちの黄色い声が高くなる。
「きょ、京楽」
浮竹も、流石に顔を真っ赤にした。
「僕には、浮竹だけだから。女性死神に嫉妬なんてする必要はないんだよ」
「恥ずかしい奴だな!ほら、帰るぞ!」
恥ずかしいといいながらも、また手を繋ぐ。
そんな浮竹にほっこりしながらも、京楽も歩き出した。
雨乾堂について、浮竹が海燕を呼ぶ。
「どうしたんですか、用があるって」
「ハッピーバースディ。誕生日おめでとう、海燕」
「え?」
「これは俺からの贈り物だ」
壬生のおはぎを海燕に渡すと、海燕は嬉しそうにしながらも、声を出す。
「俺の誕生日、明日ですよ」
「ええっ!今日は10月27日じゃ。金曜日だし・・・」
「今日は木曜ですよ」
カレンダーを見たら、9月のになっていた。
「このカレンダーめ!」
浮竹が、カレンダーの9月を破ってぐしゃぐしゃにして、足で踏みつけていた。
カレンダーに八つ当たりする浮竹が可愛くて、京楽も海燕もほっこりしながら見ていた。
「1日早いですけど、誕生日祝ってくれてありがとうございます。これ、おはぎですよね?」
「そうだぞ。壬生のやつだ」
「あそこのおはぎ、一番好きです」
海燕は、おはぎの入ったパックを手に、隊舎に下がって行った。
「ああ、1日違いなんて・・・・俺も、ボケが始まったかな」
「たまには、そんな間違いもあるよ」
京楽が、浮竹の頭を撫でた。
「今日で、お泊りは一度終わりにするよ」
「そうなのか?」
「うん。海燕君に負担かけてるし、七緒ちゃんも戻ってくるから、執務室で仕事しろって口うるさく言われそう」
「なんか、あれだな。8番隊の姑ってかんじ。海燕が13番隊の姑で」
「ははははは」
まさにその通りだった。
「まぁ、七緒ちゃんも好きで姑みたいになったわけじゃあないけどね。僕がのらりくらり、ふらふらしているから、七緒ちゃんがしっかりしないと、8番隊の示しがつかないからね」
「そうだなー。俺も臥せっている時以外で、京楽が来ない時は、日番谷隊長のところやら白哉のところにやらふらふらと行ってしまうから」
「お互い、口うるさいけどできた副官をもったものだね」
「そうだな」
その日、泊まりの最後だからと体を重ねあっていると、まだ消灯時刻ではないの海燕がやってきて、あわわわとなった。
「ちょ、俺がくるかもしれない時刻におっぱじめるの、勘弁してください!」
「海燕、今日のことは忘れろ・・・・んあっ」
「僕は、海燕君が見ていると逆に燃えちゃうなぁ」
「この変態がっ」
海燕は、真っ赤になって出て行った。
京楽は、やっぱり好きじゃないかもしれない。
そう思う海燕だった。
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