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焦げたクッキーとエンゲージリング

白哉は甘いものが好きではない。

嫌いな部類に入るが、食べられないわけでもなかった。

ルキアが、一護に手作りクッキーをあげるのだと、オーブントースターの前でそわそわしていた。

「ルキア、私もそのくっきーなるものを作ってみたい」

そういうと、ルキアは喜んだ。

「恋次のためですね?あの幸せ者が・・・・・・・」

ルキアに手伝ってもらい、あらかた完成した。そこで、ルキアのクッキーが完成してしまい、ルキアは現世にいってしまった。

レシピが残されてういたが、ちんぷんかんぷんで、困り果ては白哉は清家を呼んだ。

「お呼びでございましょうか、白哉様」

「清家。この、くっきーなるものを完成させたい」

「クッキーですか。レシピはあるので、その通りにつくってしまいましょう」

ほとんど清家に作ってもらった。

後は焼くだけだのだが、どれくらい焼けばいいのか分からなかったので、適当に焼いたらこげた。

「これは・・・失敗、でしょうか」

「失敗でも構わぬ。どのみち、うまくできるとは考えていなかった」

適当にラッピングをした。

「恋次様に、渡されるのでですね?」

「そうだ」

「では、私はこれで・・・・・・」

清家は下がってしまった。

「さて、どうしたものか・・・・・」

作ったはいいが、いざ手渡すとなるとドキドキしてきた。

失敗作ではあるが、作り直すだけの材料もなかったし、最初からの作り方なんて知らないので、ちんぷんかんぷんだった。

「ストレートにいくか・・・・」

次の日、6番隊の執務室にいき、仕事をしている恋次に、クッキーの入った包みを渡した。

「なんすか、これ」

「ルキアと清家に手伝ってもらったが、私の手作りだ。失敗作だが」

「隊長の手作り!」

恋次は喜んで、クッキ―を受け取った。

「これは・・・犬?」

「兎だ」

「これは・・・猫?」

「ペンギンだ」

むすっとした表情の白哉を抱き締めた。

「そんなに不機嫌な顔をしないでくださいよ。せっかくの美人が台無しだ」

「知るか」

恋次の手から逃れて、白哉は仕事を始めた。

「焦げまくりですね」

「嫌なら捨てろ」

「そんな勿体ない真似、できるはずがありません!」

恋次は、焦げたクッキーを口に運ぶ。

「ちょっと始めは苦いけど、その後に甘味きて・・・・・おお、これ意外とうまいっすね」

「そうなのか?」

「そうなのかって、隊長、味見は?」

「そんな甘そうなもの、口すると思うか」

「いえ、思いません」

自分で質問しておいて、即答した。

「ルキアがいる時なら、また作ってやってもよい」

その肝心のルキアは、今は現世だ。一護の元へ、形式的には嫁入りに行った形となる。

白哉はルキアを愛しているので、いずれ黒崎一護を本物の死神化させて、朽木家に婿養子にとろうと思っていた。

「ルキアが、黒崎一護とできているのは知っているな」

「はい。一護のやつ、ルキアにベタ惚れですよ」

「いずれ死神化させて、ルキアの婿養子にとろうと思っている」

その言葉に、恋次が驚いた。

「ちょっと、隊長!」

「なんだ」

「一護を朽木家に入れるつもりですか!」

「そうだが、それがどうした」

「いいんですか。貴族の掟とか・・・・・」

白哉が、少し悲しそうな目をした。

「当主は私だ。ルキアを、最初、私は見殺しにしようとした。貴族の掟を守るために。あれには、幸せになってほしい・・・・・・・」

ルキアの幸せのためならば、一護を死神化させた後なら婿養子として、婚姻を許そうと思った。

「じゃあ、俺たちも幸せにならないと」

「言っておくが、式など挙げぬぞ」

「違いますよ。指、出してください」

素直に指を出すと、恋次は懐から小さな箱を取り出した。中には、プラチナでできた指輪が入っていた。

「これ、内側に俺の名前彫ってあるから」

ローマ字でRENJIと彫られてあった。

それを、白哉の指にはめた。

「これは?」

「エンゲージリング。婚約の証。俺にとっちゃ、結婚に近い」

「このような安物・・・・」

「プラチナですよ?けっこう高かったんですから」

「こんなものを、ずっとはめていろと?」

「別にいいじゃないですか。俺にも、はめてください」

恋次に、BYAKUYAと彫られたエンゲージリングをはめた。

「これで俺たち、結婚したも同然だからさっそく今日から子作りを・・・・」

「破道の4、白雷」

浮かれ過ぎていた恋次に、お灸をすえる。

「すんません。調子に乗り過ぎました。でも、指輪ははめていてください。俺の想いの、全てがつまってますから」

「ふん、こんなもの・・・・・」

そう言いながら、白哉はエンゲージリングを外さなかった。

「ああもう、あんたかわいすぎ。今すぐ食べちゃいたい」

「破道の・・・・・・」

「すみません、言いすぎました!」

クッキーのお礼がエンゲージリングとは、つり合いがとれないが。

素直にはならないが、薄く笑みを浮かべて幸せそうな白哉がいた。

その顔を見るだけで、恋次は白哉を抱きたくなり、その気を紛らわすために抱き締めて、キスを繰り返すのであった。






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