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小説掲載プログ
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焦り

「卍解、大紅蓮氷輪丸!」

天井の高い洞窟の中で、一人黙々と卍解の修行に励む日番谷を見て、浮竹は思う。

若いな、と。

藍染に、結果的に護廷13隊は勝てなかった。

勝ったのは、一護。その一護ですら、不死の体になった藍染を殺すことはできず、浦原がしかけた封印を基本に、藍染は五感の全てを封じられて、2万年の投獄がきまった。

無闇という、光も音さえもない場所に今は封印されている。

雛森を守り切れなかったことが、よほど堪えたのだろう。日番谷はいつも真っすぐで、ひたむきなまでに純粋に強さを求めている。

それは、浮竹がなくしてしまった心でもあった。

強さはもっている。それをなくなさいように、落とさないように鍛錬はする。でも、もう高みに登ろうとしても、剣の腕はそれ以上あがらず、鬼道の腕も変わらずだった。

いつの頃からだろうか。

「強く」あろうとすることを諦めたのは。精神的には諦めてはいないと思う。鍛錬し、より高みに登ろうとしても、年とそして病弱さと肺の病が、それを許してくれなかった。

強くなろうとして、自分を追い込めば追い込むだけ、病に蝕まれる。

若かりし頃は、それでも鍛錬しまくり、病を克服したかに見えた。けれど、不治の病はじわじわと浮竹を侵食していく。

「俺ももう一度、ああなりたいな・・・・・・」

帰り道を歩いていると、ふわりを抱き寄せられた。

柑橘系の香水の匂いで、ああ京楽かと、振り向く。

思った通り、京楽がいた。

「何、一人で黄昏ちゃって」

「ああ、日番谷隊長の自己鍛錬を見てたんだ。卍解してた」

「日番谷隊長は、藍染にこっぴどくやられたからね。桃ちゃんも、日番谷隊長が刺しちゃったし」

未だに、意識の戻らぬ重篤な雛森を思う。

「日番谷隊長は、強くなるね。あの子はまだ子供だ。大人になったら、どれだけの腕になるか、今考えるだけでぞっとするよ」

「お前も強いしな」

「どうしたの。褒めても、何もでないよ」

クスリと、笑みを零す京楽。

「いや。俺も強くありたいものだと思って」

「浮竹は十分強いよ」

「でも、藍染たちと十刀(エスパーダ)の戦いでは、お前はスタークをやっつけたのに、俺はただ子供にやられただけだった」

「ワンダーワイス。あの子は特別仕様だったんだよ。対総隊長用だ。気に病むことはないよ」

「それでも・・・・」

それでも、もう少し力になりたかった。

「なぁ、京楽」

「なんだい」

「久しぶりに、切り合いをしないかい」

「おいおい、本気かい?」

「さすがに斬魄刀を使うわけにはいかないから、木刀にはなるが」

「まぁ、構わないけど・・・・・」

それから1時間ほどして、浮竹と京楽は、木刀を手に草原に佇んでいた。

「破道の4、白雷」

「甘い!」

雷を避けて、踏み込んできた京楽に、蹴りを入れる。

「ちぃっ!」

浮竹が子供の頃に自分の身を守るために覚えさせた蹴術は、すでに自己防衛の域を出て、敵を倒すために在るようになっていた。

キンキンカン。

木刀で何度も切り結びあう。

これが斬魄刀だったら、お互い体中にいたるところから出血していただろう。

「滲み出す混濁の紋章 不遜なる狂気の器 湧きあがり・否定し・痺れ・瞬き 眠りを妨げる 爬行する鉄の王女 絶えず自壊する泥の人形 結合せよ 反発せよ 地に満ち己の無力を知れ!破道の90・黒棺!」

浮竹は、切り結びあいながら詠唱を完了させた。

巨大な重力を帯びた、黒い箱が天から降ってくる。

それをまともに受けて、京楽が地面に膝を立てる。

「ぐあああああ・・・・ぬおおおお!」

腕力と脚力で立ち上がり、90番台の破道をかき消した。

でも、その時には浮竹の竹刀が、京楽の首につきつけられていた。

「降参。僕の負けだよ」

「本気じゃなかったろう?」

「そんなことないよ。本気で戦ってた」

「でも、殺そうとまでは戦っていなかった。俺は殺そうという勢いで戦った」

「浮竹・・・・何をそんなに焦っているんだい?」

「俺は別に・・・・・」

すとんと、その言葉が胸に落ちた。

何もできなかったことを後悔して、焦っているのだ。

「はははは・・・・・京楽のお陰で、すっきりした」

「なにがなにやら・・・」

浮竹は、京楽の腰を抱いて瞬歩で雨乾堂まできた。

そして中に入ると、京楽を押し倒した。

「ちょ、ちょっと浮竹・・・・・」

浮竹は、ぺろりと自分の唇を舐めた。

「情欲してるの・・・・?」

「そうだと言ったら?」

「ああ、わけがわからないけど、君が情欲するのは普段ないから」

キスを浅く深くしながら、互いに着ている隊長羽織と死覇装を脱がせていく。

「あっ」

首筋にぴりっとキスマークが残された。

「見える場所に痕をつけるな」

「いいじゃない。どうせ、みんな知ってるんだし」

「それでもだ・・・・んんっ」

ぺろりと、胸から臍にかけて舐められる。胸の先端をはじかれて、ぴりっとした電流が流れた。

「あ!」

「相変わらず感度はいいね」

「うるさっ・・・・ああ!」

潤滑油に濡れた指を体内に侵入させられて、浮竹の息もあがっていく。

「あ、あ、あ・・・・・・ひうっ」

こりこりと、前立腺のある場所をひっかかれた。

とろとろと先走りを出していた浮竹の花茎に手をそえてしごくと、けっこうな量の白濁した液がでた。

「最近してなかったから・・・溜まってたんだね」

「はあっ・・・それは、お前もだろう」

指をひきぬかれて、熱い雄があてがわれ、一気に貫かれた。

「んああああ!」

ぎちりと締め付ける中を堪能するのは久しぶりで、藍染との戦いが終わってから、期間にすると1か月以上交わっていなかった。

前立腺をすりあげながら、奥をつきあげていく。

「はうっ」

中を抉り、角度を変えて貪ると、中が締め付けられた。

「んっ・・・・・・僕もいくよ」

「あ、一緒に・・・・好きだ、春水」

「僕も大好きだよ、十四郎」

愛を囁いて、浮竹の腹の奥に、子種を出した。

かなりの量をそそがれて、ひきぬくととろりと白い液体がでてきた。

「お前も、かなり我慢してたんだな」

「本当は、もっと求めあいたいけど、生憎仕事が残ってるしね」

「ああ、俺もだ」

二人で湯あみをして、湯の中で互いにぬきあって、その日は終わった。



「そうか・・・俺は焦っていたのか。皆に後れをとるまいと」

まだまだ、現役の隊長である。

その力は確かなものだ。

「京楽のお陰でスッキリした」

京楽が、仕事を終えてもってきたおはぎを口にしながら、そう一人ごちた。

京楽は、昼に抱いた浮竹の体調が悪くなっていないかを確認した後、おはぎをおいて、お茶だけ飲んで帰ってしまった。

「今度、礼を言いに行くか」

わかめ大使でももって。

窓から空をみあげると、三日月が笑っていた。











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