残った傷跡
その日の授業は、鬼道の詠唱の暗記テストだった。
100まである鬼道の全てを一字一句間違えないように暗記した後、100ある縛道を同じように一字一句間違えないように記憶し、数日かけて暗記を繰り返した後で、テストを行われる。
浮竹や京楽クラスになると、詠唱を破棄してもそこそこの威力を出すが、鬼道の正確な暗唱を蔑ろにしてはいけない。
90番台になれば、果てしなく長い詠唱が待っている。それを200個、短期間で覚ようとするには無理があるが、その日を境に少しずつ覚えていくのだ。
浮竹は、特進クラスで出されたそのテストを100点満点で通過した。
テストの点が悪かった場合、補習もあるのだ。
京楽はというと、85点。
鬼道は使えるが得意というわけでもなく、詠唱のほとんどを破棄して覚えていたための点数だった。
次は、実技テスト。
これは浮竹でなく京楽も高い点数を出した。
詠唱破棄で、的を粉々にする。
教師たちがこそこそと話しをする。
「末恐ろしい生徒たちだ」
後に、学院からはじめての隊長格となる、京楽と浮竹の若かりし日があった。
「なーんかさー。最近つまんないね」
「何がだ?」
「なんか、周りと差ができちゃってさ。昔はわいわいしてたけど、今は指をさされて「ああなりたい」とか言われる始末じゃないか」
「友人は、けれどいるだろう?」
「いるけど、すでに護廷13隊の席官クラス入りって決まってるから、どこかよそよそしいんだよね」
今は、5回生だった。
ごろりと、校庭の芝生の上で寝転がっていた。
今は授業は自習で、まだ遅れている生徒たちは、死神に、護廷13隊に入りたいと死にもの狂いで鍛錬している。
それを、こうやってのどかに青空なんて見上げている二人を妬む者もいるのも事実だ。
「下級貴族のくせに・・・・・」
上流貴族の、ある男が、浮竹と喧嘩をした。
下級貴族のくせに、護廷13隊入りの席官クラス入りなんて間違っていると言い出したのだ。同じ上流貴族の京楽が止めに入ったが、京楽にも刃の先を向けた。
「背後から根回しして、きっと金の力だ!」
そう言い出す男に、京楽は。
「そういう君こそ、金の力でどうこうしようとしてできなかったんじゃないの」
そう図星を言い当てて、怒らせまくった。怒りの果てに、浮竹に鬼道をあてて、浮竹は1週間の怪我を負った。
無論、将来の有望な優秀な生徒に怪我を負わせたことで、1か月の停学を食らっていた。
「ねぇ、君、もう一回見せて?」
草っぱらに寝転びながら、京楽が半身を起こして、隣で同じように寝転がっていた浮竹を見る。
「え?昨日も見せただろう?」
傷跡のことだ。
うなじの普段は見えないあたりに、傷跡が残った。火傷の、ひきつれた後の皮膚に、やっぱりと、京楽は思う。
「4番隊の子に知り合いがいるんだ。傷跡も消してくれるらしいし、行かない?」
「俺は別に・・・・・うなじだし、別段見えるわけでもないし」
「髪の毛くくったら、見えちゃうでしょ!いいから一緒にくるの!」
その日は、自習になった授業以外は、遅れている生徒の指導の授業が入っているため、優等生である浮竹と京楽は自由だった。
さわさわと、緑が風で揺れた。
長くなった白髪が揺れて、白いはずのうなじに残ったひきつれた傷跡が目立った。
「行こう」
半ば無理やり、浮竹を伴って4番隊の隊舎までやってきた。
「4席の子呼んでくれるかな。京楽春水って名前だすと分かるだろうから」
「え、あ、はい・・・・・・」
出てきたのは隊長だった。
「隊長の卯ノ花烈です。今4席は生憎と、故郷に戻っているので、代わりに私が要件を聞きましょう」
まだうら若い女性なのに、もう隊長とは。
緊張しながらも、浮竹の傷跡を治してくれと頼むと、卯ノ花は手を浮竹のうなじにあてた。
ぽうっと、白い光が出て、浮竹のうなじの傷跡は綺麗に消えてしまった。
「学院の子たちですね?」
「あ、はい」
「はい」
「いつか時が廻れば、同じ隊長として護廷13隊に在るかもしれませんね」
ふふっと微笑んで、卯ノ花は去って行った。
「なんか・・・・不思議な人だったね」
「俺は母性を感じた」
「お母さんって呼びたくなったよ」
「それは失礼だろう。年はそんなに大きく変わっていないだろうし」
学院に戻ると、綺麗に消えた浮竹の傷に京楽は満足して、寮の自室にもどった。お互い4回生までは同じ部屋だったのだが、5回生から一人部屋に移動していた。
「今夜、泊まってもいいかい?」
「ああ、いいぞ」
酒盛りをした。
浮竹が酔い始めたことで、酒盛りは終わる。
そっと、ベッドに寝かせられた。
大切なものを扱うように、壊れものを扱うように、触れてくる。
「京楽、俺は硝子細工じゃない。もっと乱暴にしても構わない」
「浮竹・・・・」
口づけが、浅く深くまじりあう。互いの服を脱がしあった。院生の服が、ぱさりとベッドの下に落ちる。
「ん・・・・・・」
浮竹は、キスが好きだった。
「もっと・・・」
急かされるままに、口づけを繰り返す。
背骨のラインをたどる手が、鎖骨に移動して、そこにキスマークを残された。
「あっ」
胸の先端を口に含まれて、舌で転がされ、反対側は指でつままれた。
「んっ」
浮竹の花茎に手をかける。
「ああ!」
口腔にいれられて、指とは比較にならない快感が襲ってくる。
「や、きょうら・・・く・・・ああっ」
刺激に弱い浮竹は、あっという間に射精してしまった。
潤滑油で濡れた指がはいってくる。こりこりと前立腺を刺激しては狭い蕾を解していった。
「んう」
暑い灼熱があてがわれる。
ズズっと、入ってくる音が分かった。京楽は、一気に貫くか、ゆっくり挿入してくるかのどっちかしかない。今回はゆっくりのほうだった。
先端が入ると、後はスムーズに入った。
「あ、あ、あ・・・・・・・・・」
奥まで入れられて、揺さぶられた。
「んっ」
前立腺をこすりあげて、奥まで入ってくる。
「京楽・・・キスを・・・・」
行為の最中も何度もキスを繰り返した。
「ああ!」
狭い入口に指までいれられた。
「ひう、むりっ!」
ゆっくりと、体内に埋め込まれる。
「ああああ」
ぎちぎちと、限界にまで広げられら蕾から指をひきぬくと、少し余裕ができた。
そこを狙って、何度も穿たれた。
「んあああ!!」
「浮竹・・・一緒に、いこう」
ぐちゅぐちゅと内部を侵す雄は、硬くて力強くて。
「んーー!」
キスをしながら、浮竹は自分の腹にむかって精を吐き出していた。
「んんっ」
京楽の果てた熱が、内部に広がる。
「ん・・・・・・はあっ」
「愛してるよ、十四郎」
「俺もだ・・・・春水」
舌を絡ませあいながら、また求めあった。
若いので、京楽の欲望もすぐに硬くなった。
二度目の精を放つころには、浮竹は体液にまみれてドロドロになっていた。
いきすぎたせいで、目がトロンとなっている。ドライのオーガズムでも何度かいっている。
「湯あみにいこう」
「んっ」
だきあげられて、バスタオルを片手に、備えつけの浴槽に湯をはって、浮竹を洗い清めた。
「キスを・・・・・・」
「浮竹は、キスが好きだね・・・・・・」
何度もせがむたびにキスをした。
浮竹の放ったものをかきだして、体も髪も洗って、風呂からあがった。
「ちゃんと、かわかさなきゃね」
肩より少し長い浮竹の髪の水分をバスタオルですいとる。
「やっぱり、傷跡なくなって正解だね。あんな傷跡、君には似合わない。うなじは白くて綺麗なままの今がやっぱりいい」
ふと、4番隊の隊長を思い出す。
卯ノ花烈。
その後、学院を卒業し、8番隊と13番隊の3席になった二人は、卯ノ花烈とまた会うことになる。さらにその50年後には、京楽も浮竹も、8番隊と13番隊の隊長にまで登りつめた。
卯ノ花烈は、ずっと死神だった。
若く見えたが、もう浮竹や京楽が隊長になる数百年も前から、隊長を務めているという。
「あの頃の坊やたちが、今はこうして肩を並べて一緒に隊長をしているは、何かの縁(えにし)でしょうか」
「卯ノ花隊長、坊やはやめてくれないかい。未だに山じいにまで子供扱いされるし」
「卯ノ花隊長は、花があっていいな」
「ふふふ、お世辞として受け取っておきますね」
浮竹は病弱でよく肺の発作を起こすため、卯ノ花とは個人的に交流があった。
京楽も、そんな浮竹を抱き抱えてよくやってくるでの、卯ノ花のことを信頼していた。
死剣・卯ノ花烈。その正体が明かされるのは、遥かなる未来。
100まである鬼道の全てを一字一句間違えないように暗記した後、100ある縛道を同じように一字一句間違えないように記憶し、数日かけて暗記を繰り返した後で、テストを行われる。
浮竹や京楽クラスになると、詠唱を破棄してもそこそこの威力を出すが、鬼道の正確な暗唱を蔑ろにしてはいけない。
90番台になれば、果てしなく長い詠唱が待っている。それを200個、短期間で覚ようとするには無理があるが、その日を境に少しずつ覚えていくのだ。
浮竹は、特進クラスで出されたそのテストを100点満点で通過した。
テストの点が悪かった場合、補習もあるのだ。
京楽はというと、85点。
鬼道は使えるが得意というわけでもなく、詠唱のほとんどを破棄して覚えていたための点数だった。
次は、実技テスト。
これは浮竹でなく京楽も高い点数を出した。
詠唱破棄で、的を粉々にする。
教師たちがこそこそと話しをする。
「末恐ろしい生徒たちだ」
後に、学院からはじめての隊長格となる、京楽と浮竹の若かりし日があった。
「なーんかさー。最近つまんないね」
「何がだ?」
「なんか、周りと差ができちゃってさ。昔はわいわいしてたけど、今は指をさされて「ああなりたい」とか言われる始末じゃないか」
「友人は、けれどいるだろう?」
「いるけど、すでに護廷13隊の席官クラス入りって決まってるから、どこかよそよそしいんだよね」
今は、5回生だった。
ごろりと、校庭の芝生の上で寝転がっていた。
今は授業は自習で、まだ遅れている生徒たちは、死神に、護廷13隊に入りたいと死にもの狂いで鍛錬している。
それを、こうやってのどかに青空なんて見上げている二人を妬む者もいるのも事実だ。
「下級貴族のくせに・・・・・」
上流貴族の、ある男が、浮竹と喧嘩をした。
下級貴族のくせに、護廷13隊入りの席官クラス入りなんて間違っていると言い出したのだ。同じ上流貴族の京楽が止めに入ったが、京楽にも刃の先を向けた。
「背後から根回しして、きっと金の力だ!」
そう言い出す男に、京楽は。
「そういう君こそ、金の力でどうこうしようとしてできなかったんじゃないの」
そう図星を言い当てて、怒らせまくった。怒りの果てに、浮竹に鬼道をあてて、浮竹は1週間の怪我を負った。
無論、将来の有望な優秀な生徒に怪我を負わせたことで、1か月の停学を食らっていた。
「ねぇ、君、もう一回見せて?」
草っぱらに寝転びながら、京楽が半身を起こして、隣で同じように寝転がっていた浮竹を見る。
「え?昨日も見せただろう?」
傷跡のことだ。
うなじの普段は見えないあたりに、傷跡が残った。火傷の、ひきつれた後の皮膚に、やっぱりと、京楽は思う。
「4番隊の子に知り合いがいるんだ。傷跡も消してくれるらしいし、行かない?」
「俺は別に・・・・・うなじだし、別段見えるわけでもないし」
「髪の毛くくったら、見えちゃうでしょ!いいから一緒にくるの!」
その日は、自習になった授業以外は、遅れている生徒の指導の授業が入っているため、優等生である浮竹と京楽は自由だった。
さわさわと、緑が風で揺れた。
長くなった白髪が揺れて、白いはずのうなじに残ったひきつれた傷跡が目立った。
「行こう」
半ば無理やり、浮竹を伴って4番隊の隊舎までやってきた。
「4席の子呼んでくれるかな。京楽春水って名前だすと分かるだろうから」
「え、あ、はい・・・・・・」
出てきたのは隊長だった。
「隊長の卯ノ花烈です。今4席は生憎と、故郷に戻っているので、代わりに私が要件を聞きましょう」
まだうら若い女性なのに、もう隊長とは。
緊張しながらも、浮竹の傷跡を治してくれと頼むと、卯ノ花は手を浮竹のうなじにあてた。
ぽうっと、白い光が出て、浮竹のうなじの傷跡は綺麗に消えてしまった。
「学院の子たちですね?」
「あ、はい」
「はい」
「いつか時が廻れば、同じ隊長として護廷13隊に在るかもしれませんね」
ふふっと微笑んで、卯ノ花は去って行った。
「なんか・・・・不思議な人だったね」
「俺は母性を感じた」
「お母さんって呼びたくなったよ」
「それは失礼だろう。年はそんなに大きく変わっていないだろうし」
学院に戻ると、綺麗に消えた浮竹の傷に京楽は満足して、寮の自室にもどった。お互い4回生までは同じ部屋だったのだが、5回生から一人部屋に移動していた。
「今夜、泊まってもいいかい?」
「ああ、いいぞ」
酒盛りをした。
浮竹が酔い始めたことで、酒盛りは終わる。
そっと、ベッドに寝かせられた。
大切なものを扱うように、壊れものを扱うように、触れてくる。
「京楽、俺は硝子細工じゃない。もっと乱暴にしても構わない」
「浮竹・・・・」
口づけが、浅く深くまじりあう。互いの服を脱がしあった。院生の服が、ぱさりとベッドの下に落ちる。
「ん・・・・・・」
浮竹は、キスが好きだった。
「もっと・・・」
急かされるままに、口づけを繰り返す。
背骨のラインをたどる手が、鎖骨に移動して、そこにキスマークを残された。
「あっ」
胸の先端を口に含まれて、舌で転がされ、反対側は指でつままれた。
「んっ」
浮竹の花茎に手をかける。
「ああ!」
口腔にいれられて、指とは比較にならない快感が襲ってくる。
「や、きょうら・・・く・・・ああっ」
刺激に弱い浮竹は、あっという間に射精してしまった。
潤滑油で濡れた指がはいってくる。こりこりと前立腺を刺激しては狭い蕾を解していった。
「んう」
暑い灼熱があてがわれる。
ズズっと、入ってくる音が分かった。京楽は、一気に貫くか、ゆっくり挿入してくるかのどっちかしかない。今回はゆっくりのほうだった。
先端が入ると、後はスムーズに入った。
「あ、あ、あ・・・・・・・・・」
奥まで入れられて、揺さぶられた。
「んっ」
前立腺をこすりあげて、奥まで入ってくる。
「京楽・・・キスを・・・・」
行為の最中も何度もキスを繰り返した。
「ああ!」
狭い入口に指までいれられた。
「ひう、むりっ!」
ゆっくりと、体内に埋め込まれる。
「ああああ」
ぎちぎちと、限界にまで広げられら蕾から指をひきぬくと、少し余裕ができた。
そこを狙って、何度も穿たれた。
「んあああ!!」
「浮竹・・・一緒に、いこう」
ぐちゅぐちゅと内部を侵す雄は、硬くて力強くて。
「んーー!」
キスをしながら、浮竹は自分の腹にむかって精を吐き出していた。
「んんっ」
京楽の果てた熱が、内部に広がる。
「ん・・・・・・はあっ」
「愛してるよ、十四郎」
「俺もだ・・・・春水」
舌を絡ませあいながら、また求めあった。
若いので、京楽の欲望もすぐに硬くなった。
二度目の精を放つころには、浮竹は体液にまみれてドロドロになっていた。
いきすぎたせいで、目がトロンとなっている。ドライのオーガズムでも何度かいっている。
「湯あみにいこう」
「んっ」
だきあげられて、バスタオルを片手に、備えつけの浴槽に湯をはって、浮竹を洗い清めた。
「キスを・・・・・・」
「浮竹は、キスが好きだね・・・・・・」
何度もせがむたびにキスをした。
浮竹の放ったものをかきだして、体も髪も洗って、風呂からあがった。
「ちゃんと、かわかさなきゃね」
肩より少し長い浮竹の髪の水分をバスタオルですいとる。
「やっぱり、傷跡なくなって正解だね。あんな傷跡、君には似合わない。うなじは白くて綺麗なままの今がやっぱりいい」
ふと、4番隊の隊長を思い出す。
卯ノ花烈。
その後、学院を卒業し、8番隊と13番隊の3席になった二人は、卯ノ花烈とまた会うことになる。さらにその50年後には、京楽も浮竹も、8番隊と13番隊の隊長にまで登りつめた。
卯ノ花烈は、ずっと死神だった。
若く見えたが、もう浮竹や京楽が隊長になる数百年も前から、隊長を務めているという。
「あの頃の坊やたちが、今はこうして肩を並べて一緒に隊長をしているは、何かの縁(えにし)でしょうか」
「卯ノ花隊長、坊やはやめてくれないかい。未だに山じいにまで子供扱いされるし」
「卯ノ花隊長は、花があっていいな」
「ふふふ、お世辞として受け取っておきますね」
浮竹は病弱でよく肺の発作を起こすため、卯ノ花とは個人的に交流があった。
京楽も、そんな浮竹を抱き抱えてよくやってくるでの、卯ノ花のことを信頼していた。
死剣・卯ノ花烈。その正体が明かされるのは、遥かなる未来。
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