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「隊長、隊長ねているのですか?」

文机につっぷしてしまっている浮竹のを起こそうとして、ルキアは止めた。

きっと、いい夢を見ているのだろう。

そう思って、そっと毛布をかけておいた。

その姿が、次の瞬間には消えていた。

「何やつだ!」

ルキアは腰の斬魄刀を抜く。

だが、すぐに鞘に戻した。

「京楽隊長・・・・・驚かせないでください」

部屋の隅で、毛布にくるんだ浮竹を抱き抱えた京楽が、静かに立っていた。

「ルキアちゃん、布団しいてくれる?」

「え、あ、はい」

どうしたんだろうと思いつつも、言われた通りに布団をしいた。

まさか、よからぬことを考えているのではとみていると、布団の上に浮竹を寝かせて、毛布とかけ布団をかけて、京楽はただ静かに傍にいた。

「氷、もらってきてくれるかな。あと解熱剤と白湯を」

「え。隊長、熱があるのですか?」

気づかなかった。

「うん。微熱より、少し高いかな。君もあと100年は浮竹と過ごすようになれば、分かるよ」

海燕のようにと言われて、ちくりと心が痛んだ。

13番隊の隊舎にさがり、砕いた氷をいれたビニール袋と、それを包むタオル、あと解熱と白湯をもって、雨乾堂まで戻ると、京楽が眠っている浮竹に、口づけしていた。

「はわわわわ!私は、何も見ておりません」

くすりと笑って、京楽が手まねきする。

ルキアの手をとって、浮竹の額を触らせる。

「熱い・・・・・熱、ありますね」

砕いた氷をさしだすと、それをタオルでくるんで京楽は浮竹の額の上に置いた、

「浮竹、浮竹・・・・・」

「ん・・・京楽?」

うっすらと目をあけた浮竹を助け起こして、上半身だけ起き上がらせる。

「解熱剤と白湯だよ。自分でのめる?」

「多分。眩暈が酷い・・・・」

薬を受け取ろうとして、ごほごほと咳込んだ。

「仕方ない子だね」

京楽は、解熱剤を口の中にほうりこむと、白湯を口にふくんで、浮竹の喉に流し込んだ。

「んうっ」

甘い声をあげる浮竹に、ルキアが真っ赤になった。

「自覚してないだろうけど、結構熱あるみたいだから。仕事は明日にして寝なさい」

「だが、納期が・・・・・・・」

「浮竹?怒るよ?」

「すまない」

しゅんとなって、横になる浮竹。

その額に氷をくるんだタオルを置いて、京楽はただ静かに浮竹の傍にいた。

どれくらい経っただろうか。

解熱剤に含まれる睡眠剤がきいたのか、スースーと静かな寝息が聞こえてきた。

「浮竹は、体が弱いのに無理するからね。熱があるのに無理に仕事をしたりするから、そういう時は遠慮なくしかってやってね」

「どうして、触ってもいなかったのに、隊長が熱を出していると分かったのですか」

「ただの感だよ」

意外な言葉に驚く。

「浮竹が熱を出して寝込んでる時の、顔色とか霊圧のささいな乱れとか・・・まぁ、ほとんどが感だけどね。たまに間違えて、元気な浮竹を寝かしつける時もあったね。主に院生時代とかに」

懐かしそうに話す京楽に、院生自体の浮竹に興味をもった。

「お二人は、一緒にいるようになって数百年だと聞きますが、嫌になったりするときはないのですか?」

「ないよ」

即答だった。

「僕は、誰より浮竹を大切にしているからね」

そう言って、ルキアの前で浮竹の長い白髪に口づける。

「この髪だって、僕が伸ばせっていって、浮竹が伸ばしてくれてるからね」

初耳だった。

「院生時代は短かったんだよ」

「そうなのですか・・・・・・」

少しばかり院生時代の二人のことを聞いて、改めて二人の絆の深さをしるルキアであった。









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