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熱Ⅱ

13番隊と8番隊で、合同の飲み会があった

「もっと飲んでください、浮竹隊長」

「ああ、すまない」

酒を注ぎたされて、浮竹はそれを飲んでからにしていく。

どうぞどうぞと、次々に杯に酒を満たされて、やや困惑気味の浮竹。

飲み屋の奥の方で、女性死神に囲まれていた京楽は、突然立ち上がった。

「ごめん。ここの勘定は僕がもつから、後は好きにして」

「あ、京楽隊長!」

「え~つまんないー」

女性死神の言葉を無視して、ずんずんと浮竹に近づいていく。

「京楽?」

小首を傾げる浮竹を、京楽は抱き上げた。

「うわ、なんだ」

「多分、熱あるよ。お酒はここまで」

「え、熱?」

「今は微熱だけど、このまま酒をのんでいたらきっともっと酷くなる」

浮竹自身も気づいていなかった。

自分の額に手をあてて、ああ本当に熱があると、驚いていた。

お開きにするには時間が早かったので、勘定は全て京楽がもつといって、隊長である京楽と浮竹は飲み会を後にした。

「どうして分かったんだ?」

「ただの感だよ。あと、君が僕の知らない死神たちに囲まれて酒を飲むのが、気に食わなかったのもあるかな」

席官クラス以外も出席していたので、京楽の知らない死神もたくさんいた。

「そういうお前は、女性死神たちに囲まれてでれでれしてたじゃないか!」

「あれはただの付き合い。僕が、浮竹以外に心を動かすはずないでしょ」

噛みつくようなキスをされて、浮竹は朱くなった。

「一人で歩ける」

「だめ。けっこうきついお酒飲まされてたでしょ」

「それは・・・・本当に、何もかもお見通しなんだな」

「君の隣で杯に酒を満たしてた男死神、前に後輩に手を出しかけて捕まった子だよ」

よく死神に戻れたものだと、京楽は呆れ声だ。

「え、それじゃあ・・・・・」

「きっと、君を酔わせていかがわしいことしようとしてたんじゃないの。君は鈍感すぎて疎いから、蜘蛛の糸に捕まる前に助けなきゃね」

「なっ。俺一人でも、どうにかなる」

「この前、薬もられて強姦されかけたの、忘れたの」

「それは・・・・・」

浮竹が口ごもる。

あの体験は、想い出すだけで恐怖を感じた。

ぎゅっと京楽に抱き着くと、京楽はため息をこぼした。

「君はほんとに無防備なんだから。自分の見た目がいいの、もっと理解しなきゃ」

「すまない・・・・・・」

「謝らなくていいよ。瞬歩で雨乾堂まで移動するよ。しっかり捕まっててね」

言葉通り、京楽に抱き着くつと、雨乾堂はすぐそこだった。

「ついたよ」

「ああ、すまない」

浮竹は一人で立ち上がろうとするが、京楽がそれを許さなかった。

「3席の子呼んで」

「ああ。清音ーーー!」

「はい、隊長!」

叫ぶと、すぐに清音は現れた。

「清音ちゃん、布団だしてくれるかな。僕の手、塞がってるから。あと解熱剤と白湯を」

「隊長、また熱出したんですか!」

清音は、布団をしくと、京楽の前に夜着を置いて、解熱剤を白湯をとりに隊舎まで戻っていった。

「着替えくらい、一人ででき・・・・・」

くらりと歪んだ視界に、嫌気がさした。

結局、京楽の手をかりて着替えた。着換えが終わった頃には、清音が解熱剤と白湯をもってきてくれた。

薬と白湯を飲んで、布団に横になる。

「京楽はどうするんだ。8番隊隊舎に戻るのか?」

「君の傍にいるよ。七緒ちゃんには、地獄蝶を飛ばしておくから」

「じゃあ、お泊りだな」

浮竹は、どこか楽しげだった。

よく京楽が泊まりにくるので、布団はもう一組あった。

それをしいて、京楽も横になる。

「今は、とにかく寝て熱下げて」

「分かった」

浮竹が眠りについたことを確認して、京楽もまた眠りにつくのであった。



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