狂気に似た愛
浮竹十四郎が死んだ。
僕を残して。
ユーハバッハとの大戦で、ミミハギ様を手放し、神掛をして死んでしまった。
京楽の心に、ぽっかりと穴が開いた。
それは、狂気に似た愛が奏でる悲しいメロディー。
世界が色を失っていく。
何も食べたくない。眠りたくない。何もしたくない。
ただ、君に会いたい--------------。
京楽は、涅マユリのところに来ていた。
前々から、浮竹の死が近いと悟っていた京楽は、準備をさせていた。
それはしょせんただの霊骸。
けれど、その形はとても愛しい浮竹のものと同じだった。
彼が漂っている、母の羊水に似た液体を全部抜くと、浮竹の形をした霊骸は瞬きをした。
「俺は・・・誰だ。お前は誰だ」
「僕は京楽春水。君は浮竹十四郎。これを飲んで」
特別に作らせた、義魂丸。
浮竹の生前の記憶の一部を、残したもの。
それを、浮竹の霊骸は黙って飲み込んだ。
「京楽・・・・俺は、死んだのか」
「うん。でも、こうしてまた会えた」
「京楽、これがどういうことなのか分かっているのか。俺は死んだんだぞ。こんな風に蘇るなんて、望んではいない」
「僕は、君が本物とか偽物とかもうどうでもいいんだ。ただ君を愛している」
「とんだ道化だネ」
涅マユリの言葉を無視して、浮竹に死覇装を着せて、京楽は瞬歩で浮竹を連れ去ってしまった。
浮竹が連れられてきたのは、京楽家が管理する館の一つだった。
「ここが今日から君の家だよ。使用人は好きに使ってもらって構わない。でも、僕がいない時は外に出ないこと。いいね?」
「京楽!俺を閉じ込める気か!」
「そうだよ。君は小鳥だよ。翼を切られた小鳥。その体には霊圧はほとんどない。戦闘は不可能だ。ただ、僕の傍にいて僕の傍で愛を囀ってくれたらいい」
「京楽・・・・・・」
浮竹は泣いていた。
「泣かないで」
「こんな風になるなんて、思わなかった。京楽はもっと強いと・・・・俺が先に死んでも、しっかり俺の分まで生きてくれると、思っていた」
「生きてるよ。今の僕は、君がいるから生きてる。本当の君を失った時、僕の世界が壊れたんだ。世界は色をなくして、眠れないし食べれないし何もしたくなくなった。ただ君に会いたかった」
京楽も、涙を流していた。
「君が、好きなんだ。たとえクローンでも・・・君がいてくれるだけで、僕は・・・・」
「京楽・・・・」
浮竹は、京楽を抱きしめていた。
仮初に与えられた命でも、その浮竹は京楽の知る「浮竹」であった。
「毎日会いにくるから。夜まで、おとなしくしててね」
京楽は、後のことを使用人に任せて、一番隊の隊者に戻っていった。
--------------------------------------
「聞いてますか、隊長!」
「ああどうしたの、七緒ちゃん」
「それが、なんでも幽霊が出るそうで。浮竹隊長に似た幽霊が、時折人通りの少ない夜道に現れるそうで・・・・でも、すぐ消えちゃうんだそうです」
「へぇ・・・そうなの」
「京楽隊長、ちゃんと墓参りに行ってますか?」
「もちろんいってるよ」
クローン浮竹を囲っているだなんて、誰にも気づかれてはいけない。
「七緒ちゃん、その幽霊を見たっていうのはどの子?いつ頃?」
「ええと確か、10番隊の7席で名前は・・・・」
京楽は、七緒とその10番隊の7席の記憶を、記憶置換で浮竹の幽霊のことにだけ関して忘れさせた。
「ごめんね、七緒ちゃん。でも、知られるとだめだから」
館に帰ると、浮竹が出迎てくれた。
「浮竹、深夜に外に出てるでしょ」
ぎくりと、浮竹の体が強張る。
「外に出てはいけないと、言っているのに。君の存在は、公にできないんだ。この館で、静かに暮らそうよ。僕がいれば、何もいらないでしょう?ほしいものなら、なんだって取り寄せてあげるから」
「・・・・自由がほしい」
「それだけは、叶えてあげられない。おいで、十四郎」
浮竹を手招きして傍に呼ぶ。
「愛してるよ、十四郎」
「春水、俺は偽りだ。それでも、愛を囁くのか?」
「君は偽りなんかじゃない。浮竹十四郎だ。僕の恋人の。確かに、13番隊隊長ではなくなったけれど、君は浮竹十四郎だ・・・・・」
まるで、自分に言い聞かせるように京楽はその言葉を繰り返した。
------------------------------------
「おいで、十四郎」
「あっ」
京楽は、浮竹を愛した。
「ほら・・・もうこんなになってる」
「や、いうな・・・・」
浮竹は、京楽に死覇装を脱がされて、着ているもの全てを奪われていた。
京楽も隊長羽織と女ものの打掛と、死覇装を脱いだ。
「んっ」
キスを何度もされた。
おずおずと唇を開けば、京楽の舌がぬめりと、浮竹の縮こまった舌を吸い上げて、歯茎や上あご、下あごを舐めて、唾液を溢れさせる。
「ふあ・・・・・」
飲み込みきれなかた唾液が、顎から布団のシーツに滴った。
鎖骨を甘噛みして、キスマークを残す。
自分のものだと主張するように、首筋にも胸にもキスマークをいっぱい残した。
「ん・・・・・・」
胸の先端をいじられると、それだけで浮竹の花茎はとろとろと先走りの蜜を零していた。
「もうこんなに硬くなってる」
「それは、お前もだろっ」
「うん。僕も限界かな。僕の、舐めてくれって言ったら、舐めてくれる?」
「分かった」
浮竹は、京楽のものに唇を這わせる。
「ん・・・そう、うまいね」
夜の知識も、浮竹は持っている。
京楽の大きなものを、全体は無理なので先端だけ口に含み、あとは手でしごいた。
じゅるじゅると音をたてて、舐めあげたり吸ったりしていると、京楽が限界を迎えて、浮竹の口の中に欲望を吐き出した。
「んっ」
「飲み込んで」
ごくりと飲み込んだ。
京楽は満足して、浮竹の額にキスをした。
潤滑油を手にとって、浮竹の蕾に塗りたくる。濡れないそこを、指を一本一本増やしていきながら、ゆっくりと解していく。
「あっ」
中のしこりを触られて、浮竹がびくりと体を動かした。
「ここ、君のいい場所。何度でも、気持ちよくさせてあげる」
前立腺ばかり刺激を受けて、浮竹は涙を浮かべていた。
「やあ・・・・でるっ」
指だけで、浮竹は後ろだけでいってしまった。
「いれるよ」
自分の分身にも潤滑油をぬりたくり、ゆっくりと浮竹の蕾に埋めていく。
「ひああ・・・ああ・・・・あ」
浮竹は、掠れた喘ぎ声を出していた。
数分動かずに、京楽の大きさに浮竹の体が馴染んだ頃を見計らって、律動を開始する。
「んあっ、あ、あ!」
浮竹は、シーツを握りしめていた。
「気持ちいいかい、十四郎」
「あ、あ、きもちいい・・・・・もっとお」
「かわいいね、君は」
「やあっ」
最奥を突き上げると、浮竹は頭を真っ白にさせて、快楽の波にさらわれていく。
「もっと、求めて?」
「あ、春水・・・・も、ああ、うあ・・・・」
じゅぷじゅぷと結合部は水音をたてて、泡立っていた。
正面から抱き合っていたのを、くるりと反転させて、背後から京楽が浮竹を突き上げる。
「んあ・・・・・ああ・・・・・・」
浮竹は、啼くことしかできなくなっていた。
「や、もういく・・・・・」
「僕もいくよ。一緒にいこう」
「やあっ」
最奥を突き上げて、浮竹のものに手を這わせてしごきあげて、30秒ほどのずれがあったが、同時に精液を浮竹は自分の腹に、京楽は浮竹の腹の奥にぶちまけていた。
「あ・・・・・・」
抜かれると、ずるりという音とともに、京楽の吐き出した白い液体が太ももを伝って落ちていく。
「お風呂に入ろうか。中のかき出さなきゃいけないし」
肌を重ね合わせる前も風呂に入ったが、事後処理のためにもまた風呂に入る。
「ん・・・腰が痛い。風呂まで連れて行ってくれ」
「お安い御用だよ」
浮竹を抱き上げて、京楽は広い檜の風呂場にくると、浮竹を抱き下ろして、中に放ったものをかきだすと、湯を体にかけてやった。
「あったかい・・・・・・」
湯船に浸かって、浮竹はふわりと笑った。
その表情が、生きていた頃の浮竹のものにあまりに似ていたので、京楽は言葉を飲み込んだ。
「君は、ずっと僕の傍にいてね。いなくならないでね」
「京楽・・・こんな形でも、与えられた命だ・・・・傍に、いる」
京楽はほっとして、浮竹を風呂の中で抱きしめて、キスをした。
「んあっ」
「大好きだよ、十四郎」
「俺も好きだ、春水」
風呂からあがり、長い白髪の水分をタオルでふいてもらったあと、ドライヤーで乾かしてもらって、浮竹は遅めの夕食を口にしていた。
久しぶりに半日休暇をとれたので、夕方から睦みあっていたのだ。
「おはぎ、あるよ」
「食べる」
食の細い浮竹は、京楽の3分の2ほどしか食事をとらない。
でも、甘味物はよく食べた。
「夕飯の後でね」
「ああ」
夕飯を食べ終えた浮竹は、おはぎを2個もらって嬉しそうに平らげた。
「もっと食べたい」
「明日にしよう。あんまり甘いものばかり口にしても、体に悪いからね」
「・・・・・・わかった」
物わかりのいい浮竹は、あまり昔の浮竹のように我がままを言わなかった。
------------------------------------
浮竹との甘い生活が続く。
けれど最近の浮竹は元気がない。
肺の病で血を吐くこともあるのだが、下手に4番隊になどに診せれないので、高価な薬湯や薬を買って、なんとか凌いだ。
「俺は・・・この世界に、生きている意味はあるのだろうか」
「君は、僕のためだけに生きてくれたらいい」
「京楽のためだけか・・・・それも、また別の意味でいいのかもな」
浮竹は熱を出して寝込むようになった。
京楽は総隊長としての責任と責務があるので、弱弱しい浮竹を使用人に任せて、仕事に出る。
でもある日、高熱を出して生死の堺を彷徨い始めて、京楽は責任も責務も放棄して、浮竹の傍にいた。
「京楽・・・・俺は、死ぬのかな」
「死なせない。もう二度と、君を失ったりしない!」
京楽は泣いていた。
「嫌だよ・・・・君まで、本当の浮竹のように僕を置いて行ってしまうのかい?君の命は、僕のものだ・・・・僕の寿命をあげるから、どうか生きて!」
12番隊の涅マユリの元に浮竹を瞬歩で連れ出して、京楽はこう言った。
「僕の命を、この子に分け与えてやってほしい」
「簡単にいうけどね、キミ、けっこう難しいんだヨ」
「できないの?」
「ふん、私にできないことはない。その浮竹を寝かせて、君はこの装置をつけなさい」
血を、抜きとらえれて、それが生命エネルギーに変換されて、浮竹の中に入っていく。
高熱で苦しそうにしていた浮竹の顔色が、熱が下がったのか安からなものになっていく。
「はい、終わり。言っておくけど、高くつくからネ!」
「金なら、いくらでも払うよ」
生気を取り戻した浮竹を抱き上げて、京楽は館に帰っていった。
「ん・・・・・」
「浮竹、目覚めたかい?気分はどう?」
「大丈夫・・・・臥せっていたのが嘘みたいに、体が軽い」
京楽は、浮竹を抱きしめた。
総隊長が数日も無断欠勤していたことで、居場所を特定されて、浮竹の存在が明るみになってしまった。
でも、京楽は揺るがない。
「この子は、浮竹だ。この子を殺すなら、僕も死ぬ。この子を閉じ込めるなら、僕も一緒に閉じこもる」
何を言っても聞かない京楽に、皆がため息をつく。
「浮竹十四郎は死んだ。この者は、浮竹十四郎の紛いものだ」
白哉の言葉に、京楽は冷静に答えた。
「でも、ちゃんと浮竹の記憶をもっているし、霊圧がないだけで生前の浮竹と同じだ。僕の大切な愛しい恋人なんだ」
本来なら、無に還す案件なのだが、京楽はもう、浮竹がいなければ命を捨てると言い出すので、仕方なしに13番隊の隊長、副隊長たちは浮竹の存在を認めた。
京楽は、とても喜んだ。
「君は、自由だ。もう、閉じ込めなくてもいい。好きな時に好きな場所へ行っていいんだよ」
「俺の居場所は、京楽の隣だ」
「うん。そうだね」
それは、狂気に似た愛から生まれたもの。
でも、こんなにも純粋に愛されて、狂気から生まれ落ちた浮竹は、幸せというものを手に入れた。
「浮竹、今後もよろしくね」
「俺も、よろしく」
浮竹の居場所は、相変わらず京楽の館だった。
でも、人の目のある中で普通に一番隊隊舎を訪れて、京楽の元を訪ねたり、日番谷や白哉の元に顔を出したりして、本当に浮竹が生き返ったかのようだった。
今の浮竹は、限りなく亡くなった浮竹に近かった。
肺の病を患っているが、ミミハギ様がいなくても生きていられる程度のもので、体が弱いところなども変わらない。
ただ、浮竹としての霊圧はなく、戦闘は不可能で、京楽のための浮竹ということで、居場所は固まった。
浮竹は、幸せだった。
たとえ、仮初の命だったとしても、また京楽に会えて、愛されて。
京楽もまた幸せだった。
愛した者を、また手に入れることができて。
それは狂気に似た愛。
けれど、ひたむきなまでに純粋なもの。
僕を残して。
ユーハバッハとの大戦で、ミミハギ様を手放し、神掛をして死んでしまった。
京楽の心に、ぽっかりと穴が開いた。
それは、狂気に似た愛が奏でる悲しいメロディー。
世界が色を失っていく。
何も食べたくない。眠りたくない。何もしたくない。
ただ、君に会いたい--------------。
京楽は、涅マユリのところに来ていた。
前々から、浮竹の死が近いと悟っていた京楽は、準備をさせていた。
それはしょせんただの霊骸。
けれど、その形はとても愛しい浮竹のものと同じだった。
彼が漂っている、母の羊水に似た液体を全部抜くと、浮竹の形をした霊骸は瞬きをした。
「俺は・・・誰だ。お前は誰だ」
「僕は京楽春水。君は浮竹十四郎。これを飲んで」
特別に作らせた、義魂丸。
浮竹の生前の記憶の一部を、残したもの。
それを、浮竹の霊骸は黙って飲み込んだ。
「京楽・・・・俺は、死んだのか」
「うん。でも、こうしてまた会えた」
「京楽、これがどういうことなのか分かっているのか。俺は死んだんだぞ。こんな風に蘇るなんて、望んではいない」
「僕は、君が本物とか偽物とかもうどうでもいいんだ。ただ君を愛している」
「とんだ道化だネ」
涅マユリの言葉を無視して、浮竹に死覇装を着せて、京楽は瞬歩で浮竹を連れ去ってしまった。
浮竹が連れられてきたのは、京楽家が管理する館の一つだった。
「ここが今日から君の家だよ。使用人は好きに使ってもらって構わない。でも、僕がいない時は外に出ないこと。いいね?」
「京楽!俺を閉じ込める気か!」
「そうだよ。君は小鳥だよ。翼を切られた小鳥。その体には霊圧はほとんどない。戦闘は不可能だ。ただ、僕の傍にいて僕の傍で愛を囀ってくれたらいい」
「京楽・・・・・・」
浮竹は泣いていた。
「泣かないで」
「こんな風になるなんて、思わなかった。京楽はもっと強いと・・・・俺が先に死んでも、しっかり俺の分まで生きてくれると、思っていた」
「生きてるよ。今の僕は、君がいるから生きてる。本当の君を失った時、僕の世界が壊れたんだ。世界は色をなくして、眠れないし食べれないし何もしたくなくなった。ただ君に会いたかった」
京楽も、涙を流していた。
「君が、好きなんだ。たとえクローンでも・・・君がいてくれるだけで、僕は・・・・」
「京楽・・・・」
浮竹は、京楽を抱きしめていた。
仮初に与えられた命でも、その浮竹は京楽の知る「浮竹」であった。
「毎日会いにくるから。夜まで、おとなしくしててね」
京楽は、後のことを使用人に任せて、一番隊の隊者に戻っていった。
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「聞いてますか、隊長!」
「ああどうしたの、七緒ちゃん」
「それが、なんでも幽霊が出るそうで。浮竹隊長に似た幽霊が、時折人通りの少ない夜道に現れるそうで・・・・でも、すぐ消えちゃうんだそうです」
「へぇ・・・そうなの」
「京楽隊長、ちゃんと墓参りに行ってますか?」
「もちろんいってるよ」
クローン浮竹を囲っているだなんて、誰にも気づかれてはいけない。
「七緒ちゃん、その幽霊を見たっていうのはどの子?いつ頃?」
「ええと確か、10番隊の7席で名前は・・・・」
京楽は、七緒とその10番隊の7席の記憶を、記憶置換で浮竹の幽霊のことにだけ関して忘れさせた。
「ごめんね、七緒ちゃん。でも、知られるとだめだから」
館に帰ると、浮竹が出迎てくれた。
「浮竹、深夜に外に出てるでしょ」
ぎくりと、浮竹の体が強張る。
「外に出てはいけないと、言っているのに。君の存在は、公にできないんだ。この館で、静かに暮らそうよ。僕がいれば、何もいらないでしょう?ほしいものなら、なんだって取り寄せてあげるから」
「・・・・自由がほしい」
「それだけは、叶えてあげられない。おいで、十四郎」
浮竹を手招きして傍に呼ぶ。
「愛してるよ、十四郎」
「春水、俺は偽りだ。それでも、愛を囁くのか?」
「君は偽りなんかじゃない。浮竹十四郎だ。僕の恋人の。確かに、13番隊隊長ではなくなったけれど、君は浮竹十四郎だ・・・・・」
まるで、自分に言い聞かせるように京楽はその言葉を繰り返した。
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「おいで、十四郎」
「あっ」
京楽は、浮竹を愛した。
「ほら・・・もうこんなになってる」
「や、いうな・・・・」
浮竹は、京楽に死覇装を脱がされて、着ているもの全てを奪われていた。
京楽も隊長羽織と女ものの打掛と、死覇装を脱いだ。
「んっ」
キスを何度もされた。
おずおずと唇を開けば、京楽の舌がぬめりと、浮竹の縮こまった舌を吸い上げて、歯茎や上あご、下あごを舐めて、唾液を溢れさせる。
「ふあ・・・・・」
飲み込みきれなかた唾液が、顎から布団のシーツに滴った。
鎖骨を甘噛みして、キスマークを残す。
自分のものだと主張するように、首筋にも胸にもキスマークをいっぱい残した。
「ん・・・・・・」
胸の先端をいじられると、それだけで浮竹の花茎はとろとろと先走りの蜜を零していた。
「もうこんなに硬くなってる」
「それは、お前もだろっ」
「うん。僕も限界かな。僕の、舐めてくれって言ったら、舐めてくれる?」
「分かった」
浮竹は、京楽のものに唇を這わせる。
「ん・・・そう、うまいね」
夜の知識も、浮竹は持っている。
京楽の大きなものを、全体は無理なので先端だけ口に含み、あとは手でしごいた。
じゅるじゅると音をたてて、舐めあげたり吸ったりしていると、京楽が限界を迎えて、浮竹の口の中に欲望を吐き出した。
「んっ」
「飲み込んで」
ごくりと飲み込んだ。
京楽は満足して、浮竹の額にキスをした。
潤滑油を手にとって、浮竹の蕾に塗りたくる。濡れないそこを、指を一本一本増やしていきながら、ゆっくりと解していく。
「あっ」
中のしこりを触られて、浮竹がびくりと体を動かした。
「ここ、君のいい場所。何度でも、気持ちよくさせてあげる」
前立腺ばかり刺激を受けて、浮竹は涙を浮かべていた。
「やあ・・・・でるっ」
指だけで、浮竹は後ろだけでいってしまった。
「いれるよ」
自分の分身にも潤滑油をぬりたくり、ゆっくりと浮竹の蕾に埋めていく。
「ひああ・・・ああ・・・・あ」
浮竹は、掠れた喘ぎ声を出していた。
数分動かずに、京楽の大きさに浮竹の体が馴染んだ頃を見計らって、律動を開始する。
「んあっ、あ、あ!」
浮竹は、シーツを握りしめていた。
「気持ちいいかい、十四郎」
「あ、あ、きもちいい・・・・・もっとお」
「かわいいね、君は」
「やあっ」
最奥を突き上げると、浮竹は頭を真っ白にさせて、快楽の波にさらわれていく。
「もっと、求めて?」
「あ、春水・・・・も、ああ、うあ・・・・」
じゅぷじゅぷと結合部は水音をたてて、泡立っていた。
正面から抱き合っていたのを、くるりと反転させて、背後から京楽が浮竹を突き上げる。
「んあ・・・・・ああ・・・・・・」
浮竹は、啼くことしかできなくなっていた。
「や、もういく・・・・・」
「僕もいくよ。一緒にいこう」
「やあっ」
最奥を突き上げて、浮竹のものに手を這わせてしごきあげて、30秒ほどのずれがあったが、同時に精液を浮竹は自分の腹に、京楽は浮竹の腹の奥にぶちまけていた。
「あ・・・・・・」
抜かれると、ずるりという音とともに、京楽の吐き出した白い液体が太ももを伝って落ちていく。
「お風呂に入ろうか。中のかき出さなきゃいけないし」
肌を重ね合わせる前も風呂に入ったが、事後処理のためにもまた風呂に入る。
「ん・・・腰が痛い。風呂まで連れて行ってくれ」
「お安い御用だよ」
浮竹を抱き上げて、京楽は広い檜の風呂場にくると、浮竹を抱き下ろして、中に放ったものをかきだすと、湯を体にかけてやった。
「あったかい・・・・・・」
湯船に浸かって、浮竹はふわりと笑った。
その表情が、生きていた頃の浮竹のものにあまりに似ていたので、京楽は言葉を飲み込んだ。
「君は、ずっと僕の傍にいてね。いなくならないでね」
「京楽・・・こんな形でも、与えられた命だ・・・・傍に、いる」
京楽はほっとして、浮竹を風呂の中で抱きしめて、キスをした。
「んあっ」
「大好きだよ、十四郎」
「俺も好きだ、春水」
風呂からあがり、長い白髪の水分をタオルでふいてもらったあと、ドライヤーで乾かしてもらって、浮竹は遅めの夕食を口にしていた。
久しぶりに半日休暇をとれたので、夕方から睦みあっていたのだ。
「おはぎ、あるよ」
「食べる」
食の細い浮竹は、京楽の3分の2ほどしか食事をとらない。
でも、甘味物はよく食べた。
「夕飯の後でね」
「ああ」
夕飯を食べ終えた浮竹は、おはぎを2個もらって嬉しそうに平らげた。
「もっと食べたい」
「明日にしよう。あんまり甘いものばかり口にしても、体に悪いからね」
「・・・・・・わかった」
物わかりのいい浮竹は、あまり昔の浮竹のように我がままを言わなかった。
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浮竹との甘い生活が続く。
けれど最近の浮竹は元気がない。
肺の病で血を吐くこともあるのだが、下手に4番隊になどに診せれないので、高価な薬湯や薬を買って、なんとか凌いだ。
「俺は・・・この世界に、生きている意味はあるのだろうか」
「君は、僕のためだけに生きてくれたらいい」
「京楽のためだけか・・・・それも、また別の意味でいいのかもな」
浮竹は熱を出して寝込むようになった。
京楽は総隊長としての責任と責務があるので、弱弱しい浮竹を使用人に任せて、仕事に出る。
でもある日、高熱を出して生死の堺を彷徨い始めて、京楽は責任も責務も放棄して、浮竹の傍にいた。
「京楽・・・・俺は、死ぬのかな」
「死なせない。もう二度と、君を失ったりしない!」
京楽は泣いていた。
「嫌だよ・・・・君まで、本当の浮竹のように僕を置いて行ってしまうのかい?君の命は、僕のものだ・・・・僕の寿命をあげるから、どうか生きて!」
12番隊の涅マユリの元に浮竹を瞬歩で連れ出して、京楽はこう言った。
「僕の命を、この子に分け与えてやってほしい」
「簡単にいうけどね、キミ、けっこう難しいんだヨ」
「できないの?」
「ふん、私にできないことはない。その浮竹を寝かせて、君はこの装置をつけなさい」
血を、抜きとらえれて、それが生命エネルギーに変換されて、浮竹の中に入っていく。
高熱で苦しそうにしていた浮竹の顔色が、熱が下がったのか安からなものになっていく。
「はい、終わり。言っておくけど、高くつくからネ!」
「金なら、いくらでも払うよ」
生気を取り戻した浮竹を抱き上げて、京楽は館に帰っていった。
「ん・・・・・」
「浮竹、目覚めたかい?気分はどう?」
「大丈夫・・・・臥せっていたのが嘘みたいに、体が軽い」
京楽は、浮竹を抱きしめた。
総隊長が数日も無断欠勤していたことで、居場所を特定されて、浮竹の存在が明るみになってしまった。
でも、京楽は揺るがない。
「この子は、浮竹だ。この子を殺すなら、僕も死ぬ。この子を閉じ込めるなら、僕も一緒に閉じこもる」
何を言っても聞かない京楽に、皆がため息をつく。
「浮竹十四郎は死んだ。この者は、浮竹十四郎の紛いものだ」
白哉の言葉に、京楽は冷静に答えた。
「でも、ちゃんと浮竹の記憶をもっているし、霊圧がないだけで生前の浮竹と同じだ。僕の大切な愛しい恋人なんだ」
本来なら、無に還す案件なのだが、京楽はもう、浮竹がいなければ命を捨てると言い出すので、仕方なしに13番隊の隊長、副隊長たちは浮竹の存在を認めた。
京楽は、とても喜んだ。
「君は、自由だ。もう、閉じ込めなくてもいい。好きな時に好きな場所へ行っていいんだよ」
「俺の居場所は、京楽の隣だ」
「うん。そうだね」
それは、狂気に似た愛から生まれたもの。
でも、こんなにも純粋に愛されて、狂気から生まれ落ちた浮竹は、幸せというものを手に入れた。
「浮竹、今後もよろしくね」
「俺も、よろしく」
浮竹の居場所は、相変わらず京楽の館だった。
でも、人の目のある中で普通に一番隊隊舎を訪れて、京楽の元を訪ねたり、日番谷や白哉の元に顔を出したりして、本当に浮竹が生き返ったかのようだった。
今の浮竹は、限りなく亡くなった浮竹に近かった。
肺の病を患っているが、ミミハギ様がいなくても生きていられる程度のもので、体が弱いところなども変わらない。
ただ、浮竹としての霊圧はなく、戦闘は不可能で、京楽のための浮竹ということで、居場所は固まった。
浮竹は、幸せだった。
たとえ、仮初の命だったとしても、また京楽に会えて、愛されて。
京楽もまた幸せだった。
愛した者を、また手に入れることができて。
それは狂気に似た愛。
けれど、ひたむきなまでに純粋なもの。
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